著者は安藤勇樹氏。1985年生まれ、東大→東大院→株式会社MIMIGURI社長(現職)。資生堂、京セラ、三菱電機、マネーフォワード、smartHR、layerXなどの組織づくりを支援。
本のタイトルや表紙に誘われて購入。
感想。
面白い。TOBE像は激しく同意。ワンピース戦略もたまたま私自身が社内に発信したことあるくらい。そのための課題(解決ポイント)も激しく同意。最後のHOWだよね。ここはやっぱり現場で頑張ろうになってしまう。そこがマネジメントの仕事だろ、ってことなのだろう。
備忘録。
・これまで、ビジネスは戦争であり、会社は軍隊だった。会社の中で、軍事的な用語がたくさん使われてるよね。武器、競争優位、調達、投下、通達のかとか。
・昨今、キャリア感が大きく変わってきたので、人は事業の道具で、効率的に、標準的に動くことのみを求めるような軍事的な世界観を引きずっている組織からは、人が逃げ出していく可能性あり。
・これからは、不確実な世界の中で各人が自分なりの目的を探索しながら、時には仲間たちと協力して新たな価値を生み出していく冒険的世界観が求められる。
・この組織と個人の間のモヤモヤ感やギャップは決して新しいテーマではない。それを解決する様なテーマとして、パーパス経営、人的資本経営、ウェルビーイング経営、タレマネ、心理的安全性、1on1、コーチング、エンゲージメントなどが出現しているが、これらは組織のアプリケーションでしかない。これらを動かす組織のOSのアップデートが必要。
・組織が成熟してくると、官僚的文化の組織になって行きがち。これを打破するのに、外部思考と統率性を高める「軍事的文化」を強めるケースや、内部思考と柔軟性を高める「家族的文化」を強めるケースがあるが、どっちも課題がある。外部思考を高めて、柔軟性を高める方向感が、冒険的文化だ。
・冒険的組織はワンピースの麦わらの一味だ。船員それぞれが自己実現の夢を持ちながら、同じ船に乗り、同じ方向を向いて協力する。ここの自己実現を諦めない組織、かといって楽しいだけではなくて苦しい戦いにも臨む組織であってぬるま湯ではない。
・エンジニアリング(合理的思考)とブリコラージュ(野生的思考)。合理的な選択と集中ではなく、野生的な分散と修繕(細かな複数に分散した活動を散りばめては修禅して、総体で大きなゴールに向かう)。
・冒険する組織では対話が重要になる。対話とは、雑談でもないし、討論でも議論でもない。お互いの意見の背景にある前提に目を向けた、凝り固まった考えや関係性を再構築するコミュニケーションだ。好き。
・冒険的成長とは、しっくりくる自分になることだ。麦わらの一味で考えるとよくわかる。そしてしっくりくる自分像は常にアップデートされるのだ。内的動機を自分で神格化させるのは危険だ。なお、軍事的組織においてはスキルや行動の習得だった。
・「やりたいことの神格化」は結構問題を孕む。少し前から漂う誰もが夢や野望を明確に持っていなければならないかの様な風潮の弊害で、かえって悩みを増やしている感もある。承認欲求もそう。
・組織づくりとは「組織内の構成要素の整合を図ること」。なるほど。スッゴイしっくりくる。つながりを良くする、辻褄を合わせる、矛盾なく折り合いがついた状態をつくる。
・整合が取れてない例。①業務と人材のズレ、新規顧客開拓が必要なのにルートセールスが不向きな人しかいない。②業務の組織のズレ、エンジニアとデザイナーが連携して欲しいのに、組織が縦割りで接点が少ない。③組織と人材のズレ、ポテンシャルの高い人に機会提供がされない。とかとか。
・CCMモデルは、パッと見ただけでは全く頭に入ってこないけど、その後の解説を読むとスゴいしっくりきた。外的価値⇄社会的ミッション⇄事業ケイパビリティ⇄組織アイデンティティ⇄個々の自己実現⇄内的動機、のメインの縦軸。左に機能的整合として事業構造、組織構造、業務構造。右に精神的整合として、ブランド、組織文化、職場風土。この整合が取れていればバラバラな思惑の人が集まっても大丈夫。
・簡単にまとめると、(下から)個人と組織を整合させる職場マネジメント、組織と事業をつなぐ組織マネジメント、事業と社会を整合させる事業マネジメント。ここの整合がそれぞれ大事。
・整合させるためには、議論の対象を、CCMモデルを参考にして、合わせること。その上で、現実に合わせて変化させる・現状を訂正すること。
・目標は夢ではなく仮説。こう考えると軌道修正がしやすい。目標を追いかける過程に学びがある。予測不能な未来に対して、常に前向きな足をこめる
・深い自己紹介で心理的安全性を正しく高める。個性を活かすには心理的安全性が欠かせない。個性を共有し合う自己紹介が有効。何が好きで何をやりたかったのか、今の仕事に就く時の想い、今のモチベーション、将来挑戦したいこと、たのしいとかんじるこた、不安な葛藤、苦手だ嫌いだと感じていること、など。マウンティングはもってのほか。弱い自分を開示していくべき。
・チームの問題解決は「目線合わせ」が9割。解くべき問いを見つける。組織内の誰かが、自分の視点だけからみた自分の正義に基づいて「これが問題だ」と決めつけると、課題設定は歪む。曖昧な問題を「明確な問い」に落とし込んでから答えを出しに行く。
・仕事の属人性を解消する発想は、働く人を取り換え可能な道具だとする考え方と隣り合わせ。暗黙知と形式知を行き来することでこそ、組織は強くなる。形式知にした後に変化を拒む(イレギュラーを避けすぎる)と、硬直する。