社内向けに問い合わせのメールを送ったら「この聞き方では萎縮と反発しか感じない」と返信されてしまい、積読にしていた本書を読む時がきたか!?と手にしてみた。
結論として、仕事にも育児にも夫との会話にも活かせそうな気づきを得ることができた。ということで、星は5つ。
冒頭の「お通夜ミーティング」が、自分の働く組織の打合せそのもので引き込まれた。企業におけるミーティングの司会進行を担当する人は非常に参考になると思う。課長にこの本を紹介したいなぁ…。
読み始めたときは、「社内で上手なファシリテーターのもとで打合せに出たことないしなぁ…」「私自身が手法を使いこなせるようになる気がしないなぁ…」と思っていたけど、司会じゃなくても使えそうで、おぉー、と思うテクニック満載。
このところ打合せに参加しないといけないことが多くて、早速「素人質問ですみませんが〜」という前置きとか、進行役ではないことばかりの自分にも打合せで使えるフレーズを実践。ただ座ってるだけだった打合せが、急におもしろいものに思えてきた!進行役の不手際に気づいてしまって、イラつくことも増えたけど…。
1回本を読むだけでできるものではなくて、繰り返し繰り返し訓練が大事なんだろうなぁ。
日常生活でも、大事な話をするときに行き当たりばったりで話していたけど、あらかじめ問いかけを自分の中でデザインすることはとても大事だとハッとした。本当に自分がたどり着きたいゴール、話し合いの目標、相手の意見を聞き出しながら場をまとめて行くにはコツがあるんだなぁ。
もしかすると、小さい子どもへの問いかけも、作法によって会話の広がり方が違くなるかも。
まだうまく説明できない子どもに対して、「今日1番楽しかったことは?」と聞いても「わかんない」になってしまっていたが、「1番じゃなくてもいいよ、なにを思い出すかな?」と聞いてみたら「ブロック」「お砂場」などいくつか単語がでてきた。「全部!」と言われてしまう場合もあるけど…。
それでも、共感によって「そっか、全部楽しかったんだね」と受け止めてから次の質問をすると、保育園からの帰り道にどんどん話がはずんでいったので、効果は実感できた。
そんなことを少しずつ実践しているうちに、育休中に参加した育児セミナーを思い出した。「言葉にしてくださって、ありがとうございます」本書の最後のほうにこの例文がでてきたのを見て、そのセミナーのファシリテーターさんの声が聞こえた気がして、思いがけず涙ぐんでしまった。
あのときの進行役の方は、思い返してみればめちゃくちゃ有能なファシリテーターさんだった。はじめての子育てで不安ばかりだった。そんな中で参加したセミナーだった。あのときも、ファシリテーターさんは参加者の無能さをあぶり出すことなく、安全に話しやすい場を作り上げていたんだなぁ、としみじみ納得。
社内でいい打合せに参加したことない、と思っていたけど、問いかけの場は仕事だけじゃないんだな。夫との会話にも活かせそうだし、仕事でも日々の雑談やコミュニケーションの基礎になりそう。とにかく繰り返し実践してみよう。