布施祐仁のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
詳しく語られているのか否かもよく判らず、通暁している人が多いとも思い悪いテーマだが、大変に大切な内容なのだと思う。そういうことを解り易く説く本書に出逢えたことが善かったと思っている。非常に「新書らしい」という感じの読書体験が出来たと思う。
防衛を巡って様々な用語が飛び交う場合が在る。そういう用語が一定期間飛び交うと、特段にその種の話題が出るでもない様子になってしまい、何時の間にか忘れている。そんなことが多いように思うのだが、本書はその種の用語に纏わる経過を少し掘り下げながら、1950年代という少し旧い辺りから2020年代の近年の新しめな様子迄を要領よく纏めていると思う。そうした中で「何時の間に -
Posted by ブクログ
日本は「専守防衛」と「非核三原則」を貫き、保持する軍事力は領土・領空・領海の防衛に必要な最小限のレベルにとどめた上で、ASEANと連携して米中対立を克服し、平和共存の理念に基づく包摂的な国際秩序を形成する外交に全力を尽くすーーーこれが筆者の主張
日米軍事一体化から台湾有事には日本への攻撃は不可避、戦域核兵器の使用の可能性もある
説得力のある主張だったと思う。
【目次】
はじめに
第1章 南西の壁
第2章 中距離ミサイルがもたらす危機
第3章 米軍指揮下に組み込まれる自衛隊
第4章 日本に核が配備される可能性
第5章 日米同盟と核の歴史
第6章 米中避戦の道
おわりに
主要参考文献 -
Posted by ブクログ
南スーダンPKO時の日報隠蔽問題を明らかにしたジャーナリストによる新著。カンボジアから始まる30年間の自衛隊PKO活動を振り返り、日本政府の「二枚舌」=国内向けの法解釈とPKOの現実が乖離しているさまを明らかにする。
個人的な関心からすると、PKOに対する考え方が国連内部でも大きく変化してきたにもかかわらず、日本政府の法解釈・法の建て付けが基本的に変わっておらず、そのことが矛盾をより深刻にさせているという議論が興味深かった。これは一方で、ポスト冷戦期の自衛隊が「国際平和」のエージェントとして活動できるのではないか、という期待を担っていたこと、にもかかわらずそうしたあり方は実現せず、紛争当事 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本書もまた戦前から命がけで戦争に反対して来た100年続く野党=日本共産党が戦後も以前から訴え続けて来た事と殆ど同じである。終わりの方のASEANの評価までも。
これはどういう事を意味するのか、件の政党とはイデオロギー的には異なる、全く別系統の研究の結果がほとんど同じ結論を導き出しているのである。
自然科学の世界では追実験が大変重要であるが、同様にこれは両者が相互にその正しさを証明している事になる。ここが大変重要である。
そしてこのリスクというよりハザードから我が国が逃れるにはどうするべきか、それは言わずと知れた事であろう。
このまま放置すれば、日本がアメリカの使い捨ての砲台とされ、中国と戦 -
Posted by ブクログ
警察、外務、経産と読んできて今度は防衛省の日報隠蔽事案について読んでみた。情報公開を武器に防衛省に迫るフリージャーナリストの布施氏と南スーダンの現地を取材する朝日の三浦記者の共著。読みやすさ、両者のコラボレーションもさることながら、問題に当事者として取り組んでいった布施氏の着眼と問題を炙り出した能力には脱帽。
両者の分析を一言で言うと、防衛省・自衛隊は十分な権限の無い中で戦闘に巻き込まれる危険性を、現地部隊中心に認識していたが、安保法制の適用実績を作りたい官邸、自衛隊を売り物にしつ国連常任理事国に入りたい外務の思惑もあり、現地の生情報は出せなかった。そのため、情報公開請求に不存在で対応し、矛 -
Posted by ブクログ
2016年、南スーダンにPKO活動として派遣されていた自衛隊をめぐり、「文民駆け付け警護」等の任務が新たに付与されようとしていた矢先、その派遣先である南スーダンで政府軍と反政府軍との間で激しい戦闘が発生しました。
自衛隊をPKO派遣する前提として「戦闘状態にある現場には派遣しない」という原則があったため、安倍政権は頑として「戦闘ではなく”武力衝突”である」等の答弁を繰り返しました。事実確認のため、本書の著者である三浦氏が当時の日報を情報開示請求したところ、「日報は破棄されているため開示できない」との回答が出されます。以後の国会でも「日報は規則に従って破棄されており存在しない」と一貫して当時の稲 -
-
Posted by ブクログ
安保法案をめぐり、それに反対をする側からは、徴兵制の問題もよく指摘されてきた。本当にこの時代に徴兵制なんて復活するのだろうか…とずっと疑問だった。これまでの国家VS国家の通常戦とはちがい、今、起きているのは、武装勢力などによるゲリラ戦であることのほうがはるかに多いから。期間限定で徴兵されても対応できるわけはないのではないかと。本書を読んでみて、おそらく徴兵制は定められないだろう。これまでどおり、「志願制」でいくのだろうと思う。ただし、アメリカで問題になっているように、経済的弱者が「志願」する仕組みができあがるだろうということは想像にかたくない。そういう意味では、「志願制」=「経済的徴兵制」と言
-
Posted by ブクログ
読もうと思ってから1年も経っていた。
その間に「従属の代償」がどんどん大きく膨らんでいく道筋を辿っているのではないか。
昨日布施さんのXでの引用で知ったのだが
中国、中距離ミサイルシステム「タイフォン」の 日本からの撤去要求
らしい。合同訓練の際に持ち込まれたらしい。
その他、地対艦ミサイル訓練も日米合同訓練がされたり、自衛隊と米軍はどんどん一体化している。
アメリカは中国から遠いけど、日本はものすごく近いので、アメリカの言いなりになっていたのでは日本は「従属の代償」を非常に多く払わなければいけなくならないのではないか。国民の命や国土が危機にさらされるのではないか。
どんどん事が知 -
Posted by ブクログ
1945年の敗戦から1950年の警察予備隊発足をスタートに現在の防衛の現状を詳しく記載した本だが、憲法9条の歯止めが長く機能してきたことはある程度認識していた.しかし、実際には数多くの密約の存在があり、事実上アメリカの思い通りの動きが目に見えない形で進行してきたと言えよう.エポックは2022年12月16日に閣議決定された安保三文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)であり、事実上憲法9条の歯止めは無くなった.国会での審議もなく. 7月20日投開票の参議院選挙では、防衛問題に焦点は当たっていないが、真剣に議論するべきだと思っている.
-
Posted by ブクログ
従属とは日本(ないし自衛隊を通じて直接的に)アメリカ(ないし米軍)に従属する(安保条約を通じ)ことで、歴史的に実態として反共の前線として役割を果たしてきたこと(非核三原則を建前にしながら)から更に台湾有事をきっかけとする日中戦争の最前線かつ実行部隊に組み込まれていく最近の状況を公開資料やデータを基に平易に解き明かしていく。
政府発表の裏にある真実(本音)を一般国民が解き明かすことは難しいが、本書のような最新の情報に触れながら選挙で政権を選択することはできる。
米軍の核の傘に残る自民党の政治と非核化をどれだけ真剣に推進し,自立的な安全保障(外交)を薦めるか(択一的ではないが)問われている。