漂月のレビュー一覧
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ミラルディア大陸の南北統一編、あるいは次なるロルムンド帝国編の緒戦となる第四巻である。
表紙ともなっているロルムンドの皇女エレオラが北部山脈を超えて侵攻してきたことにより、ミラルディアの南北対立は新たな局面へと突入した。魔族との融和を選んだ南部と、それを鋭く拒む北部という対立構造に大きな変化が生じた形である。
そうした政治的な変化がドラスティックに描かれながら、ディテールにもよく気が配られている。この展開のさせ方の巧みさはさすがと、改めて読み直しても感心させられてしまう。
今回も星五つで評価している。今巻でエレオラの他に、元老院の探知術師カイトも登場している。彼に翻意を促すヴァイトの -
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魔王軍による平和的な侵攻が楽しめるシリーズの第三巻は南大陸での魔王軍の伸長を描いている。相変わらずネット版からの加筆が多くされているようで、南静海で人と人魚を獲物にしていた怪物・魔の海の討伐と、ザリアにおける元老院との対峙の二部構成で綺麗にまとまっている。
書き下ろしストーリーの「迷宮の守護者」においては、ネット版でごく最近姿を見せたあのキャラが姿を見せているし、初回版限定封入購入者特典の「一番弟子の苦悩」においてもさらにネット版へと繋がるようなメレーネとパーカーのやりとりが描かれている。
これにさらにアニメイトで購入した場合は「ラシィのお料理教室」という怪文書が手に入るのだから、作者の -
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二巻はタイトルのように、二人の勇者にまつわる物語が展開され、シリーズ切っての死闘が繰り広げられる様が収録されている。
歯を噛みしめて見入ってしまうような、そんな凄まじいドラマである。特に勇者との闘いは、簡素ながら数あるネット発のファンタジー小説の中でも頭抜けた死闘ぶりであり、魔王側から見た勇者の脅威をまざまざと描いてくれている。
書き下ろしの前日譚も素晴らしく、ヴァイトの魔王フリーデンリヒターとの出会いに到るエピソードが描かれていて、出会いと別れを倒置法のような形で収録した構成は、一冊の小説としての体裁をよく整えている。お見事としか言えない。
加筆によって深められた世界もまた素晴らし -
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タイトルの通り、ファンタジー世界で人狼に転生した、魔王軍で副官を務める主人公の物語である。と言ってもダークヒーロー物ではなく、魔王軍において人間の心情を推し量れる貴重な人材として制圧した拠点であくせく働く、ある種の内政物であり、軍記物である。
元はネット小説であり、この感想を書いている時点でも精力的に投稿されておいでなのだが、この書籍化に当たって加筆部分が多数見られる。特に目につくのは、拠点としているリューンハイトの太守アイリアのヒロイン化が顕著なところだろうか。
その上で、主人公の幼少期も書き下ろされているのだから、読者としては頭が下がるところである。執筆に割かれるだろう手間暇は、ちょ -
購入済み
次の戦場は荒野、騎兵超怖い
初陣から戻ったマスケットガールズ達は部隊を再編制することに。ユイナーの友人ロズをオブザーバーに、ハンナを中核とした砲兵隊を結成。
言葉巧みにハンナをかどわかしたユイナーはしかし、彼女の胸に秘められた自身への恋慕の情に気づくこともなく、互いの思いは掛け違う。
更に他にも一般隊員のレラや、上司のアルツァー閣下など、ユイナーに思いを寄せる女性陣に囲まれて、益々ラブコメ色が深まっていくが、リトレイユ公の次なる陰謀により、空気は一変シリアスなものに。
リトレイユ公の画策によって他国への侵攻を余儀なくされたマスケットガールズ達。しかしそれは失敗する確率の高い無謀な計画であり、敗退はほぼ確実。ユイナーはマス -
購入済み
初戦から
戦闘開始の第2巻。
敵が戦いの定石を知らないが故に余裕かと思われたが、なんだかんだとまあまあ苦戦を強いられる。
籠城戦はやはり守備、死守のイメージが先行するからか、緊迫感も相応に出てくるものです。惨状のほどはご覧の通り。守るべき砦がああも無惨な姿に。
増援もたまげたことでしょう。さぞ激しい戦闘だったに違いない。あんな惨状のなか、味方を多く生存させた参謀殿は稀代の名将…と呼んでいいのか…?
屋上でティータイムのシーンはトンチキでお気に入りです。 -
購入済み
嫌われない男
異世界転生した主人公が女性軍人だらけの部隊で参謀として活躍する話。一見よくある設定ですが、1巻を読む限りかなりしっかりした戦記ものって感じがします。現代を知っているからこそ無双できるところはして、しかしそれ以外を埋める世界観の詰め方が骨太。面白い。
本格的な実戦は2巻からですが、主人公の男性からも女性からも好かれるような人間的な気持ちの良さは読んでいてかなり爽快。いい主人公だし、節々で見られるセリフのセンスは見習いたいほど。実に良い作品です。 -
購入済み
走れ高速の帝国女子戦列歩兵隊
近世ドラゴン桜に浪漫の嵐!絶対王政が頂点を極めし異世界にて、華の乙女達が戦場に駆け参じる痛快浪漫譚。
舞台となる世界は大体17世紀頃のヨーロッパ・オリエント世界を基準としており、魔法や異能の類は転生者でチート持ちの主人公のもの以外には皆無。必然科学技術が文明を支えており、戦争においては銃と大砲、あと刀剣類が主力武器となっている。
そんな異世界で女性兵士たちを鍛えるために、主人公ユイナーはあれこれ試行錯誤するが、彼は前世は21世紀頃の日本であり、異世界に先んじた現代地球世界の知識で問題の解決を図っていく。
職務の実力が高いのみならず、異世界の粗暴な男たちよりもよほど紳士的な現代人的性格をした彼は -
購入済み
侵略しない統治魔族
人狼のイメージから、かけ離れた物語ですな。無料だったので1巻だけ読みましたが、全力で統治するだけして、そこからどうしよう?な感じの、ふわふわした感じで癒されます。ただまあ、背景や人物が水墨画みたいな薄い線なので、なんというか迫力あるシーンなのに物足りない。そこは星-1かな。
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購入済み
設定がしっかりしてよく出来てる
設定がしっかりしていて、よく纏まっている。
転生物には珍しく、いわゆる魔法では無く、今世での魔女のアイテムを使ってる点は、面白い。
ただ前世の記憶は戦略に影響を与えてるが、知識の活用は少ない感じがした。 -
購入済み
話は★5
ヴァイトもフリーゼも魔王様達も取り巻く人々(?)も敵さえも個性的で魅力的。
有象無象のラノベの中でも際立った文章力でひきこまれる。
なのになぜ星4?
それはね、本棚でなぜかこの刊から別シリーズ扱いになるからだよ。
シーズンⅡとかではなく「14」って表題にもなってるのに。レーベルが変わっても読者には関係ない。
BookLiveの中の人、このシリーズだけではなく、いい加減何とかならないのかねえ??
同じ本を別レーベルで購入してしまう哀しさをわからないかねえ・・・ -
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ネタバレ封建制の中世欧州風異世界に転生した主人公が、窮鳥となったリン王女を懐中に入れて王室の後継者争いに首を突っ込むことになる物語である。
この一冊ではその序章戦とも言える内容が描かれており、地盤を固めるリン王女の後援し、人の心が分からない国王と対話しつつ、対立する立場の大貴族・ツバイネル大公の陰謀を退けている。
タイトルからは伝わらないが、この物語の主人公ノイエは長髪でオネエ言葉を操る怪人である。
前世の記憶によって、現地のテザリア語の習熟が上手くいってない背景もあり、なかなか癖のあるキャラとして生まれ育った形だ。
奇怪な人物ながら優秀、魔女の秘術を母から継承したオネエ軍師として中世の王 -
購入済み
試し読みをお勧めします
原作は未読なので漫画だけの感想を
あえて主線を省き、見せないことで想像させる…漫画というよりイラストに近い作風で、好き嫌いが分かれそうだと思いました
自分はとても好きです
ストーリーは展開がのんびり気味なのが気になりました -
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「人狼への転生、魔王の副官」シリーズの漂月さんが始めた、ちょっと癖のある魔法学院物である。
オーソドックスな学院内で完結する物語ではなく、その学院に求められている能力があまりに一律化されていることに疑念を持ち、探りを入れていくことで物語が転がっていき、最終的には「学院戦記」という副題が二重の意味で描かれていくことになっている。
この作品は少し評価が難しいというか、評価が分かれるところがあるように思える。
というのも、おそらく主題は
「学院というものは社会の一環であり、特に資源の限られる中世ファンタジー的世界観では明確な目的があって設立・運営されるものである」
といったものだろう -
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ネタバレ魔王の副官殿はサトウキビ畑の保全を求めて海を渡り、南国クウォールの動乱に首を突っ込み始める10巻である。
妊娠中の魔王陛下を置いての出張はアレではあるが、先行したパーカーの行方不明もあり、現地に来てみれば一見して野心がありありと見て取れるザカルなる傭兵隊長もいる。
そうした一筋縄ではいかない状況を前に、さらにザカルはクウォールでは考え難い大罪を犯した。そこで物語はクローズしている形である。
あくまでよそ者の立場であるヴァイトは、慎重な動きを強いられながら、いかに対応するかこれから踏み出すところだろう。
とはいえ、このクウォール編は情勢の複雑さを除けば、武力面では人狼部隊だけでも蹂躙 -
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ネタバレ異世界で公女殿下の家庭教師となったクロツハルトの物語の二巻は、国内の物語だった一巻とは打って変わって、隣国パルネア王国へと攻め入ったグライフ帝国との対峙が描かれている。
国内情勢が安定してから国際情勢へと話を進めるのは、こうした戦記物・内政物の王道であり、ここではクロツハルトが成人して執務を行うようになった公女殿下の懐刀として活躍する様が描かれている。
厳寒の地域にあるがゆえに南下政策を取り、異教徒の国へと攻め入ったグライフ帝国を相手取り、既知の歴史から知恵を引き出して対抗する様は、実に正統派の物語である。
今回は星四つ半相当と評価している。
筋立て的にも出版事情的にも次巻が出るか -
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「人狼への転生、魔王の副官」で書籍化されている漂月さんによる、ネット小説の書籍化第二弾である。ナンバリングはされていないし、シリーズではないのかな?
N-Star というウェブ小説雑誌での連載作の書籍化であり、発刊時点では更新されていない結末までが収録された形での発売となっている。
アラサー塾講師が異世界に迷い込み、その先で拾ってくれたロイツェン大公の娘の家庭教師役を行う物語であり、宗教も絡む国内外の問題を絡めた陰謀と対峙するライトな物語でもある作品だ。
漂月さんらしく世界観設計も堅固であり、物語の進め方も論理的である。ただ、その分だけ、どうしても一巻分で綺麗に納まりすぎて、物語世界の