グレッグ・ベアのレビュー一覧
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毎度あっと読者をあっと驚かせてくれるグレッグ・ベアの作品。 今回はなんと、木星の衛星が突然消滅するところから物語が始まる 。 それと同時に世界各地で異常気象が観測され、なんとエイリアンが「地球は滅亡する。自分たちはそうやって滅亡させられた惑星から来た」と告げ、地球滅亡へのカウントダウンが始まる。
じっくりと、エイリアンや異常気象についての描写が続き、いったい地球はどうなるのだろう、と最後までページをめくらせる力はさすが。
登場人物ひとりひとりの描き方も丁寧だし、専門用語が沢山出てくるがそれも難しいと感じさせない話の面白さ。
何より、地球が滅亡する話は他にもあるように思うが、こうやって破壊され -
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A brilliant but unorthodox researcher has exceeded ethical guidelines for genetic research to engineer blood cells that think for themselves. Once his illegal experiments are discovered, he injects himself with the deadly serum to save his creations. The author has won Hugo and Nebula awards.
遺伝子工 -
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ネタバレ「天空の劫火」(上/下)「天界の殺戮」(上/下)2部作(4冊)まとめての感想。
とにかくいろいろな要素を盛り込んだ、スケールの大きな話だった。
以下、内容に関するネタバレあり。
第一作「天空の劫火」では、次々に発生する謎のイベント、(多少くどいけれども)キャラクターの立った登場人物により、海外SFには珍しく、冒頭からストーリーに引き込まれていく。次々と謎が深まっていく中、ある時点で謎が見えてきたとたんに、取り返しのつかない(言葉通り)大惨事が始まる。終盤の、惑星破壊装置による破壊、それに否応なく巻き込まれていく人々の運命、これらを延々と大きなスケールで描いていく様は、読者を救いのない思いへ -
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80年代の『幼年期の終り』と評される当著は、ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞の確かな傑作でした。
『幼年期の終り』とは、巨匠アーサー・C・クラークによる人類のより高度な存在へのメタモルフォーゼを壮大なスケールで描いた叙事詩で、あまたのSFオールタイムベスト1位を占有することは周知の事実。
そんな大著と並び評されるが、『幼年期の終り』から感じ取れた壮麗さは皆無で、終始背筋が凍りつく感覚を覚えた。
だってこの本、ただ淡々と事実が積み重ねられるだけで、他人事のようにメタモルフォーゼが進行していくんだもの。つまり、メタモルフォーゼに対する著者の評価が全く読みとれなかったのだ。
事実、一度たりともこのメタ -
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チャールズ・ストロス著「アッチェレランド」の「コンピューターで地球が変わってしまう」つながり。ゼロ時代の「幼年期の終わり」に例えられるのが「アッチェレランド」なら、80年代の「幼年期・・・」はこの「ブラッドミュージック」。当時バイオチップが流行っておりました。この作品も白血球から作られたバイオチップが研究所から持ち出され、ウィルスのように感染していくというパニック物の器をかりて、人類が変容していく姿を描きます。最近はバイオブームも去ってしまいましたが、ナノ・テクノロジーも実は排熱(ナノ・マシンは小さいのだが、数が集まるとものすごい熱を発するらしい)の問題があってクリアされないと、またバイオ系が
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ベアの「ナノテク」世界は面白いんだか面白くないんだか非常に微妙な感想を持っているのですが、こいつはちょっと違う。火星に植民し、地球の圧力に屈せず戦う人々の物語だ。解説でも指摘されている通り、ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王」を髣髴とさせる設定。しかしたどる道は大きく違います。
月にしろ火星にしろ、生身のままでは生きていけない苛酷な環境です。その過酷さと(過去に生物がいたという設定の下の)神秘さについての描写はエンディングの一つの大きな感動の元になります。そんな環境で、できるだけ「生の」人間として生きようとしている火星人。一方で地球人は「セラピー」の影響下で冷静な判断力を身に着けている。主 -
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昨年秋(2022年11月)に亡くなったSF作家、グレッグ・ベアの代表中編、『鏖戦(原題:Hardfought)』(ネビュラ賞受賞)と『凍月(原題:Heads)』(星雲賞受賞)を収録した一冊。以前読んだ同著者の『ブラッド・ミュージック』がとても面白かったので、本新訳を手に取ってみることに。
『鏖戦』は、「これぞハードSF」と言わんばかりの高難度なファンタジーSF。姿形や社会構造が大きく変容した人類が、異星種族<セネクシ>との果てない戦いを繰り広げる世界が舞台。<セネクシ>を抹殺することだけを目的に育てられた、妖精のような姿をした少女・プルーフラックス。<セネクシ>の研究者で、人類のことを知ろう -
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前作「ファウンデーションの危機」(グレゴリー・ベンフォード)で大苦戦したのですが、これは比較的スムーズに読めました。訳者は同じ人なので、元々ベンフォードの文章が難解だったのかなあ。
セルダンの老境、ファウンデーション設立と第2ファウンデーション設立にいたる経緯が書かれています。
時に遠宇宙が出てきたりもしますが、人間(政治)、精神感応者、ロボット、それぞれの内部抗争が主題ですので、全体としてスケールは小さい感じはします。
とは言え、ダニール・ジスカルド・キャルビンなんて名前が出てくると、ついつい懐かしさがこみ上げてきますね。
この作品の最期でダニールは表舞台から消えていくようです。さて