【感想・ネタバレ】ブラッド・ミュージックのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年01月14日

ヴァージルが主人公の間の展開は身震いする恐ろしさで、細胞が学習していくのが脅威だった。全て学習し尽くされたら乗っ取られるという恐怖に追い立てられる。
パンデミック要素も、コロナ禍を経験している今は身に迫ってくる。ワクチンの注射だってそう。ウイルスはあっという間に国境を越えてしまうものだし、意志を持っ...続きを読むたヌーサイトならより簡単に全てをやってのけられる。
バーナードが他人の記憶を見て、ヌーサイトの思考宇宙を知るシーンが衝撃だった。壮大すぎて胸がザワザワする。全ての記憶が内包される一つの生命体のような、その混じり合った様々な経験や記憶が共有されてずっと続いていく事実が胸を締め付けて、わけもなく涙が出そうになる。消滅しない、というだけでこんな気持ちになるのか。
感染した人間の身体が変わっていくのが面白かった。肌の白い隆起は震えるほど気持ち悪いけど、人間の形態への執着を捨てれば安寧が待っている。細胞を弄ったことによる進化を受け入れるのか、もし私が選択を迫られたらどうするだろうと考える。たぶん迷わず捨てるだろうと思う。

0

Posted by ブクログ 2021年02月14日

こんなに映画を見るようにイメージが思い浮かんだ読書ははじめて.... 缶詰を開けるには缶切りが必要!

0

Posted by ブクログ 2016年03月02日

ベアのまだ初々しさがある長編秀作
表紙   6点上原 徹
展開   8点1985年著作
文章   8点
内容 770点
合計 792点

0

Posted by ブクログ 2015年11月28日

全然古臭くなくて面白かった。どきどきした。バイオテクノロジーで生まれた知性ある細胞群が、人体を、世界を侵食していく。
初めは人体を自分のたちの住む世界としか考えていない彼らは、住処である人体を調べながら都合よく改変していく。このあたりはかなりグロテスクで怖く緊迫感がある。
やがて人という存在を認識し...続きを読む、人とコミュニケーションを取り始める彼らだが、その辺りからストーリーは全く予想つかない領域に突入していく。人とは異なるミクロの世界を観測する彼らの影響力は凄まじく、人体のみならず世界法則にまで影響しはじめる。彼らは人を、世界をとう変えていってしまうのか。
全く価値観の異なる知性体どうしの出会いと共生の物語は寄生獣を思い起こさせたが、寄生獣が個の変化や個と個のつながりを描いたのに対し、この作品は容赦ない世界のダイナミックな変化を描いているのかなぁと思う。
人間がもし爆発的に宇宙に広がり始めて、星の意識や宇宙の意識を発見し、認識し、コミュニケーションを取り始めたら、なんて妄想も広がる。
細胞内の反応をこんなに詩的に美しくリズミカルに表現できるんだなぁというところも見所の一つ。

0

Posted by ブクログ 2013年11月01日

バイオ工学がもたらす壊滅的な宇宙の崩壊!SFならではの壮大な展開

人生の50冊 SF編 ベスト1

ヒューゴー&ネビュラのダブルクラウンですが、
今では知る人ぞ知る傑作で、
SF史上初めてバイオハザードが取り上げられた作品です。
「考える細胞」というワン・アイディアを良くぞここまで論...続きを読む理的に展開させた!
とSFの持つ底力や可能性を実感しました。
印象的なのは「考える細胞」が増殖して行く中で、
彼らの「観察」や「思考」のエネルギーの総量が、
不可避的に増大し、
それによって世界が崩壊して行く過程が
とてもSF的で、いっそ爽快なこと。
そのあり得ない位の飛翔感こそ、SFの醍醐味なのです。

0

Posted by ブクログ 2013年02月08日

去年話題を呼んだ「ジェノサイド」など「人類という種」の未来を語る小説は今でこそ珍しく無くなったが、その元祖はといえばクラークの「幼年期の終わり」ということになるだろう。
初めて読んだとき、あまりのスケールの大きさに僕らは驚愕したものだった。
そして、その驚愕を全く新しい形で、よりリアルに、より実感を...続きを読む伴って上書きしたのが、「ブラッド・ミュージック」なのだ。
だが、新しい驚愕は「幼年期の終わり」ほど能天気な希望に満ちてはいない。苦い味を伴った究極の問いを読者に投げかけてくる。「進化を受け入れるか、否か、あなたならどうする?」と。

0

Posted by ブクログ 2012年04月23日

そして人類は、ミクロの彼岸へと旅立つ。

人類の変容を壮大なビジョンで描き切ったSF、という点で、クラーク「幼年期の終わり」と同一テーマに属する作品。

ただし、圧倒的なスケール感で拡散しまくる「幼年期の終わり」に比べ、こちらで提示されるビジョンは徹底的に内向きかつグロテスク。最終章で示される「救い...続きを読む」の気色悪さは特筆モノ。
人類にとってあまり嬉しくない結末である点はこちらも「幼年期の終わり」も一緒だけど、まだ「幼年期の終わり」の方が前向きなパワーがあると鴨は思いたいです。
2作並べてオールタイム・ベスト級の作品ではないかと。

0

Posted by ブクログ 2011年01月31日

ヒューゴー・ネビュラ賞受賞の超名作。
エヴァの元ネタとしても有名。人類補完はノーストリリアだけど
群体から単体はこっち。
何度読んでもおもしろい!

0

Posted by ブクログ 2010年11月30日

『幼年期の終わり』は文明的進化と書いたけど、この本では「生命体としての進化の行き先」について考えさせらた。(妄想的に)
そしてタイトルのとおり、血液がキーポイント。いつだったか再読の際に「開け!進化のモード!」と叫びそうになった記憶がw

0

Posted by ブクログ 2010年05月22日

地元新聞の本紹介コラムにこの本を取り上げさせていただいた。もともとSF好きだけど、これでその嗜好を決定的なものにされたって感じ。

0

Posted by ブクログ 2009年10月04日

ある科学者が開発したウィルスに感染し、人類全体に広がってしまうが…そのウィルスが実は新たな進化の可能性を目指していた。
これもカナリ面白いSFです!

0

Posted by ブクログ 2020年10月14日

1985年に発表された小説。企業に勤める遺伝子工学の天才が実験の中止を言い渡される。しかし、彼の研究はほぼ完成していた。実験結果をかんたんに持ち出せない中、彼は自らの体内に注射して持ち出すのだった。
遺伝子操作で作られた細胞から、徐々に肉体が変化していく。人類の進化は、万人が望むような形ではないかも...続きを読むしれないという作品でありながら、こんな進化なら受け入れられると思う人もいるのだと思う。世界貿易センタービルのシーンがとても印象に残った。
『夏への扉』と同様、繰り返し読みたくなる作品だった。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年06月29日

北アメリカで起きたかなり物質的な(後半は精神的な)人類補完計画。てか元ネタこれ説もみかけた。
序盤にヴァージルを殺しちゃった理由がいまいちつかみかねる。あの時点ではヌーサイトの脅威がどの程度のものか判明していないので、もったいなくないか?と。むしろその未知への危機感からなのかな。
ヌーサイトが敵対存...続きを読む在になっている感覚がとても抑えられていて、この手の話につきものなぞわぞわする恐怖感を楽しむわけでなく「なんか幸福そうだな…」と事の顛末を眺めてしまった。
ラストは救いがあると感じるかそれは騙されてる終わったんだと感じるかは読み手次第なんだろーなと。
タイトルがおっしゃれで好きだなー。

0

Posted by ブクログ 2019年01月22日

「80年代の幼年期の終わり」という触れ込みもあり、期待値が上がってしまった。「幼年期の終わり」の方が好きかな。けど想像もつかない世界が展開。細胞全てが意識、知識を持つなんて!ゾクゾクするな。

0

Posted by ブクログ 2018年08月13日

SF。バイオSF。
人類のメタモルフォーゼ。80年代の『幼年期の終わり』とのこと。
個人的な印象として、前半は瀬名秀明『パラサイト・イヴ』のようなバイオSF。中盤以降はパンデミックSFという感じ。
今までSFというと、未来や宇宙に向かい外向きに広がるイメージを持っていたが、この作品は徹底的に内側へ深...続きを読むく潜り込むような新鮮なイメージを感じた。上手く表現できてないな…。
内容は難しいが、ストーリーは分かりやすく、意外と読みやすいのも好印象。

0

Posted by ブクログ 2014年06月14日

A brilliant but unorthodox researcher has exceeded ethical guidelines for genetic research to engineer blood cells that think for themselves. Once his...続きを読む illegal experiments are discovered, he injects himself with the deadly serum to save his creations. The author has won Hugo and Nebula awards.

遺伝子工学の天才ヴァージル・ウラムが、自分の白血球から作りだした“バイオロジックス”―ついに全コンピュータ業界が切望する生体素子が誕生したのだ。だが、禁止されている哺乳類の遺伝子実験に手を染めたかどで、会社から実験の中止を命じられたウラムは、みずから創造した“知性ある細胞”への愛着を捨てきれず、ひそかにそれを研究所から持ちだしてしまった…この新種の細胞が、人類の存在そのものをおびやかすとも知らずに!気鋭の作家がハイテク知識を縦横に駆使して、新たなる進化のヴィジョンを壮大に描きあげ、80年代の『幼年期の終り』と評された傑作!


・レビュー

グレッグ・ベアによる1985年の作品『BLOOD MUSIC』の邦訳、これはヒューゴー賞とネビュラ賞をダブル受賞した、SF史では有名な古典作品。分子ナノテクノロジーを扱った初のSF小説とされていて、SF好きなら名前くらいは知っていることが多いと思う。人類の進化をテーマとしている、アーサー・C・クラークの古典名作『幼年期の終り』と並び称される事もかなり多い。後述するけれどその内容に関して言えば似ているのではなく踏まえているといった感じ。現代日本人からしたら多分エヴァンゲリオンがこれを踏まえて作ってあると見て間違いないんじゃないかと言ったほうが興味を惹かれるかもしれない。

内容を改めて紹介すると、これはヴァージル・ウラムという天才科学者が、自分のリンパ球から作りだした知性を持つ細胞「ヌーサイト」を血液に注入して研究所から持ち出し、やがて全地球と全人類、そして宇宙をも巻き込んだ進化と変革に発展するといった話。
まあややネタバレの文章ではあるけれどこのあたりは最初から知っていて読む人がほとんどであろうと思う。

80年代版『幼年期の終り』といわれるのはいくつかの同一のテーマを扱っているからだ。まずは人類が変態して、あるいは進化して、別の存在になっていく。その先の目的や結末、経過、ミクロかマクロかなどと掘り下げていくと、むしろ『幼年期の終り』とは逆になっている部分も多いことに気づく、その一方で終始『幼年期の終り』を思わせる雰囲気はあり、作中の描写の幾つかは『幼年期の終り』を知っているとなかなか面白く思えてくるものばかりだ。
全く別の作品と言っていいくらい関連はないのだけれど、やはり両方を読むことをすすめたくなる。

人類のメタモルフォーゼを極限まで推し進めた~という表現を色んな場所で目にするのだけれど、まさにそこが面白いところだと思う。『幼年期の終り』は、タイトルが秀逸で、まさに幼年期が終る「メタモルフォーゼ」だ。『ブラッド・ミュージック』もまたタイトルが実に秀逸。このタイトルの意味は読者が結末を目にするときにきっと自然と想われることだろう。

あとはネタバレになってしまうからブログ(哲学のプロムナード(ΦωΦ)黒猫堂)の方に書くけれど、やはりこの小説は「タイトルの意味」「情報力学」「進化の先(幼年期の終りとの比較)」の三本柱かなと思う、特に全くここでは触れることができないネタバレ要素なのだけれど、情報力学に関してはこれを読みたいがためにここまで読んできたと思わせるくらい面白かった。

読んで損はしない名作SF。

0

Posted by ブクログ 2012年04月28日

80年代の『幼年期の終り』と評される当著は、ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞の確かな傑作でした。

『幼年期の終り』とは、巨匠アーサー・C・クラークによる人類のより高度な存在へのメタモルフォーゼを壮大なスケールで描いた叙事詩で、あまたのSFオールタイムベスト1位を占有することは周知の事実。
そんな大著と...続きを読む並び評されるが、『幼年期の終り』から感じ取れた壮麗さは皆無で、終始背筋が凍りつく感覚を覚えた。
だってこの本、ただ淡々と事実が積み重ねられるだけで、他人事のようにメタモルフォーゼが進行していくんだもの。つまり、メタモルフォーゼに対する著者の評価が全く読みとれなかったのだ。
事実、一度たりともこのメタモルフォーゼを賛美する言葉に出くわさなかった。呪詛する言葉も同様に。
いや確かに、メタモルフォーゼを容認するような(または否定するような)登場人物の台詞はある。
でも、どこか突き放しているんだよなぁ。
あくまでそれは”登場人物の言葉”であって、”著者の言葉”ではない。
ただ単に議題だけを提示して、バイアスもかけずに、あなたの価値観で判断して下さい、はいどうぞってパスをうけた感じ。
うーん、冷酷。
個人的には、メタモルフォーゼが、ドラッグみたいなマヤカシにみえたので嫌悪感しか抱けませんでした。

0

Posted by ブクログ 2010年03月27日

幼年期の終わりがマクロの方向に進化する人類なら、これはミクロの方向に進化する人類。細胞の一つひとつが知能を持つようになることで、知能のある生命体の個体数が激増し… ちょっと難しいところもあるけど面白い、数名の取り残された人たちのエピソードの必然性があまり感じられないような気がした。

0

Posted by ブクログ 2011年07月15日

チャールズ・ストロス著「アッチェレランド」の「コンピューターで地球が変わってしまう」つながり。ゼロ時代の「幼年期の終わり」に例えられるのが「アッチェレランド」なら、80年代の「幼年期・・・」はこの「ブラッドミュージック」。当時バイオチップが流行っておりました。この作品も白血球から作られたバイオチップ...続きを読むが研究所から持ち出され、ウィルスのように感染していくというパニック物の器をかりて、人類が変容していく姿を描きます。最近はバイオブームも去ってしまいましたが、ナノ・テクノロジーも実は排熱(ナノ・マシンは小さいのだが、数が集まるとものすごい熱を発するらしい)の問題があってクリアされないと、またバイオ系が復活するかもしれません。当時すごく面白かったような気がしますが、今、読み返すとどうなんでしょう。ラストもすごくしっとりした感じで、80年代の特徴なのでしょうか。容赦ない「アッチェレランド」と違います。

0

Posted by ブクログ 2009年10月04日

古き良きSFで育った私にはサイバー・パンクと言われるジャンルはちょっと苦手だった。 けれど、これだけは不思議に自然と受け入れられて。 結局“喰わず嫌い”だったって事。

0

Posted by ブクログ 2018年11月25日

80年代の「幼年期の終わり」ということだった
確かにそう感じ取れる場面もあったが、やはり本質的には全く違うと思われた
サイバーパンクということになるらしいが、自分にはあまりピンとこなかった

0

「SF・ファンタジー」ランキング