グレッグ・ベアのレビュー一覧
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ネタバレいやー面白かった。読みやすさでいえば鏖戦<凍月なのだが、両作品ともなんとも違う魅力があって、うなってしまった。(三体を読んだ時のエッセンスも感じた)
特大級のネタバレ以下
鏖戦/酒井昭伸訳
何がすごいってまずは、訳!絶対原典の方が簡単に書いてあるんでは?!と思いました(誉め言葉)。好みは分かれるかもしれませんが、私は結構好きでした。人vs異種族の戦いにおいて、異種族がいかに「読者含めた人」から離れた存在であるか、を示すべくの漢字も多用の訳…狙った効果の一つはそれかと考えているのですが、私は最初からやはり仏教感を感じてしまいまして、それは異端ではないので、なんだか最初から親しみが(?)ありまし -
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ネタバレヴァージルが主人公の間の展開は身震いする恐ろしさで、細胞が学習していくのが脅威だった。全て学習し尽くされたら乗っ取られるという恐怖に追い立てられる。
パンデミック要素も、コロナ禍を経験している今は身に迫ってくる。ワクチンの注射だってそう。ウイルスはあっという間に国境を越えてしまうものだし、意志を持ったヌーサイトならより簡単に全てをやってのけられる。
バーナードが他人の記憶を見て、ヌーサイトの思考宇宙を知るシーンが衝撃だった。壮大すぎて胸がザワザワする。全ての記憶が内包される一つの生命体のような、その混じり合った様々な経験や記憶が共有されてずっと続いていく事実が胸を締め付けて、わけもなく涙が出そ -
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全然古臭くなくて面白かった。どきどきした。バイオテクノロジーで生まれた知性ある細胞群が、人体を、世界を侵食していく。
初めは人体を自分のたちの住む世界としか考えていない彼らは、住処である人体を調べながら都合よく改変していく。このあたりはかなりグロテスクで怖く緊迫感がある。
やがて人という存在を認識し、人とコミュニケーションを取り始める彼らだが、その辺りからストーリーは全く予想つかない領域に突入していく。人とは異なるミクロの世界を観測する彼らの影響力は凄まじく、人体のみならず世界法則にまで影響しはじめる。彼らは人を、世界をとう変えていってしまうのか。
全く価値観の異なる知性体どうしの出会いと共生 -
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「凍月」より先に書かれているが、「凍月」より後の世界を描いている作品。
22世紀の火星は、地球から半分独立、半分依存している形で存在している。その火星で、政治家を目指すキャシーアが大学を追い出されかけるところから、火星の運命が回り始める。
大学内でも、反学長派とみなされた学生たちが一斉に退学させられることになる。それに反対した学生たちの反乱は、あっけなく終結するが…。
キャシーアの回顧録というかたちをとっている作品だが、なぜ「回顧録」なのかというのが最後にわかり、彼女の人生に圧倒されること間違いなし。
そして第1部で描かれる、キャシーアとリチャードの淡い恋愛話は、その辺の恋愛小説など風で飛 -
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バイオ工学がもたらす壊滅的な宇宙の崩壊!SFならではの壮大な展開
人生の50冊 SF編 ベスト1
ヒューゴー&ネビュラのダブルクラウンですが、
今では知る人ぞ知る傑作で、
SF史上初めてバイオハザードが取り上げられた作品です。
「考える細胞」というワン・アイディアを良くぞここまで論理的に展開させた!
とSFの持つ底力や可能性を実感しました。
印象的なのは「考える細胞」が増殖して行く中で、
彼らの「観察」や「思考」のエネルギーの総量が、
不可避的に増大し、
それによって世界が崩壊して行く過程が
とてもSF的で、いっそ爽快なこと。
そのあり得ない位の飛翔感こそ、SFの醍醐味なので