湯浅邦弘のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
老荘思想について、新発見の資料の紹介をおこないながら解説している入門書です。
2009年になって北京大学にもたらされた大量の竹簡群のなかに、『老子』のほぼ完本に近い内容のものがあったことが明らかになりました。そのなかには、現行本の『老子』にもとづく解釈に大きな変更をもたらす可能性のあるものがふくまれていると著者はいいます。老荘思想が中国において流行した魏晋時代に、儒家の思想に対抗するかたちで『老子』が成立したという説をとなえる研究者もいましたが、戦国時代や漢代にまでさかのぼる新資料が発見されたことで、そうした解釈は否定されることになります。
本書では、こうした新発見を踏まえつつ、『老子』と -
Posted by ブクログ
リーダーシップ論として、日本の経営者にも愛読者が多い中国古典。いつかは読まねばといいつつ、先送りしてきたが、とりあえずビギナーズ・クラッシックの抄訳・解説版で読んでみた。
なるほど、と思うところも多いし、リーダーとして、謙虚であること、部下の意見、ときにはそれが厳しい言葉であっても、じっくり傾聴するというのは、今でも大事なことだと思う。
一方、この頃は、まだ世の中の変化がゆっくりとしていて、また何が正しくて、何が間違っているのか、しっかりと学問をおさめた人には、わかる、つまり、なんらかの絶対的な真理があるという前提に立ったものとも言える。
残念ながら、わたしには今ひとつしっくりこない本。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ中国の二大処世訓。ベースに儒教の考え方があるから、仁・義・礼・智・信の五常を基本に「道徳的に生きる」というところが基本。ただ、ベースがそこにあっても仏教やその他の考え方も織り込まれている。そして聖人君子を目指しているというものでもない。そういうところが少し現実的で受け入れやすい感じもしました。特に気になったのは、
・名誉や評価は独り占めしてはならない
・人を叱ったり注意する際は、逃げ道を一本用意してあげること
・何事においてもほどほど、「中庸」であることが大事
・欲張りすぎるな、頑張りすぎるな
・「足るを知る」ことこそが幸せに近づくための秘訣
という点。欲望を追いかけ続けるときりが -
Posted by ブクログ
中国の処世訓の最高傑作とされる明末の浩自誠の著書『菜根譚』をわかりやすく解説。『菜根譚』の来歴のほか、『菜根譚』から具体的な中身をピックアップして、現代語訳、解説、書き下し文のセットで紹介している。
『菜根譚』の中身自体は、古今の儒教・仏教・道教からの良いとこどりのような内容であり、ややインパクトに欠けるかな(少し読んでいて退屈)という印象は受けたが、もちろんどれも人生のヒントとなるような内容であった。
特に印象に残ったのは、「一歩を譲る」「清濁あわせのむ度量」「悪中の善、善中の悪」「時間と空間の悟り」「衣冠の盗」「騎虎の危」「小過・陰私・旧悪」「人生は只百年のみ」などの内容である。
「処世訓