湯浅邦弘のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
中国では長く厳しい乱世が多くの処世訓を生んだ。
中でも最高傑作とされるのが、明末に著された『菜根譚』である。
社会にあって身を処する世知と、世事を離れ人生を味わう心得の双方を記したこの書は、江戸期に和訳されて後、生涯の道を説くものとして多くの日本人の座右の書となった。
本書では内容を精選して解説するとともに、背景となる儒教・仏教・道教の古典や故事、人物を丁寧に紹介、より深い理解へと読者を誘う。
[ 目次 ]
1 『菜根譚』と洪自誠(明という時代;謎多き著者とテキスト ほか)
2 『菜根譚』を読む(人と交わる;幸せと楽しみ ほか)
3 『菜根譚』の言葉(衣冠の盗;烏有先生 ほか) -
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ネタバレ[ 内容 ]
春秋戦国時代、諸国をめぐって自らの主張を説いた思想家たち。
彼らの思想は、その後の中国社会の根幹を形づくったのみならず、日本をはじめ東アジアにおいても大きな影響力を持った。
一九九〇年代には大量の古代文献が発掘され、これまで謎とされてきた事柄も解き明かされつつある。
新知見をふまえ、儒家(孔子・孟子)、墨家(墨子)、道家(老子・荘子)、法家(韓非子)、兵家(孫子)などの思想と成立の過程を平易に解説する。
[ 目次 ]
序章 新出土文献の発見と諸子百家
第1章 諸子百家前史-新出土文献の語るもの
第2章 君子とは誰か-孔子の思想
第3章 人間への信頼-孟子の思想
第4章 特異な愛 -
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本書は、中国思想史を専門とし、
現在は大阪大学教授である著者が、
中国の説話集『菜根譚』を紹介する著作です。
16世紀、明の時代に編纂された『菜根譚』は、
儒教をベースに、仏教・道教を融合させた人生哲学を論じる処世訓。
筆者は、まず菜根譚がどのように誕生し普及したのかを解説します。
続いて、菜根譚に納められた説話を、
その内容や意味、関連する他の古典の解説などを交えて紹介
終章では、唐代の「顔氏家訓」など『小学』など、処世訓の変遷をたどります
文は拙を以て進み、道は拙を以て成る
人の小過を責めず、人の陰私を発かず、人の旧悪を念わず
-など -
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「世界は縮まった。(中略)あれほど億劫だった洋行というものも、隣村の盆踊りを見に行くほどのたやすさとなった」
明治43年(1910年)の時点で純日本人にこうまで言わしめている。
この純日本人というのが西村天囚。本書の主人公で、著者の湯浅氏が考察する『欧米遊覧記』の書き手だ。天囚は朝日新聞社が主催する「第二回 世界一周会」というツアー旅行に特派員として同行、旅中に紀行文『欧米遊覧記』をしたためた。
そろそろ人肌ならぬ旅肌が恋しくなってきたが、本書では旅疲れも感染も気にせず尚且つ優雅に廻れる笑
メンバーは、天囚ら特派員5名を含む計57名。
ルートはざっくり言うと、横浜→ハワイ→北米→ヨーロッパ -
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「性悪説」で知られる「荀子」の一番初めの言葉は、「出藍」のもとになったもので、「学は以て已むべからず。青は之を藍より取りて、藍より青し」なんですね〜。
つまり、学習を通じた自己成長を重視しているわけですね。しかも、学ぶことで師を超える可能性を明示的に書いているというのは、ある意味、人間の可能性への大きな信頼があるわけですね〜。
荀子は、賞罰による「法治」ではなく、人間の道徳性に期待する「礼治」をといたらしい。
そして、その方法としては、なんと「夫れ樂(がく)なる者は、樂(らく)なり」ということで、「音楽」が大事とのこと!!!!!
「音楽」に限定せず、多分、「楽しいこと」によって、人々の心 -
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こういう思想系の古典読むとその人のファンになってしまうとこあるけど、この荀子ももれなくファンになってしまった。
学校の先生みたいだけど、そこが厳しくもまた可愛らしく、信頼できる部分なのかも。音楽好きな先生。
「君子は能あるも亦た好く、不能なるも亦た好し。」っていう言葉には、本当に勇気づけられる。ありがとう荀子。こんなこと学校の先生に言ってもらったら傾倒する。
「天は天で、人は人」っていう冷静な分析とか、
「駑馬も十駕すれば千里走る」とか「道は近くても行かなければ着かない」とか説教くさいけど言って欲しいみたいな言葉がいい。努力によって善に向かうんですよね、先生。
全部読み終えた後に、「礼を