中村圭志のレビュー一覧
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今、欧米では無神論が台頭しているという。そして日本でよく聞かれる「自分は無宗教」。
これらは本当なのか、そしてどういうことなのかを宗教学者である著者が述べる。
日本人が無宗教であると言う場合、多くは特定の宗教・教義の信者ではない、という意味だ。そう言いながらも初詣に行き、お守りを買い、墓前に手を合わせる。これは神道や自然に宿る八百万の神などの多神教の文化が根付いているということに他ならない。
一方で欧米で無神論を唱えるということは、きっぱりと神を否定することだ。是か非か、と白黒はっきりさせるのも一神教世界の伝統だそうだ。
また、日本では宗教的規範よりも「自国の伝統」とされるものに対する固執の -
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正典の確立まで、イスラム教は短かったが、新約、旧約聖書は数世紀かかっている。仏典は、大乗仏教が展開する間に多くの経典が作られ発散していった。また言語も、コーランはアラビア語版が唯一の正典であるが、聖書はラテン語版、ギリシア語版、ヘブライ語版などありそれぞれ内容が異なるケースもあるし、プロテスタントではそれぞれの言語バージョンが作られた。仏典は、元々のブッダの言葉はほとんど残っておらず、日本の経典は、サンスクリット版をさらに漢訳したものを参照しているケースがほぼ全てであり、また内容も不況のためというより、修行の手引きとなるものであり、(ここの宗派においてはあるが)正典なるものは確立していない。
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ネタバレこれまでに読んだキリスト教関係の本の、一区切りつけた総復習みたいな気持ちで読んだ本。
期末テストの対策みたいな感じで読もうと思った。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教についてはもちろん、ざっくりとではあるが見落としてはいけない点を確認しながら読める。
あと、神道・儒教・道教・仏教についても少し知れた。
一神教と多神教の違い、その共通点や似ていそうなところが分かる本。
個人的にはⅢ宗教学から見えること、が一番読み応えあった。
ⅠとⅡを踏まえたうえで、現状どういうことなのか・じゃあどう解釈するかを知り考えさせる。
あと読書案内。次読む本の参考になった。 -
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仏教、ヒンドゥー教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の5大宗教について、その起源や現在までの歴史、主な経典や教義などが見開きのページに収まる形で解説されています。
文章と絵で丁寧に説明されており、内容そのものが複雑なので理解しにくい部分もありますが(簡潔にまとめるため、どうしても情報量は少なくなってしまいますし)、知識を整理したりそれぞれのテーマについて概観したりするときにはとても使いやすい本だと思います。
5大宗教以外にも「その他の宗教」としてゾロアスター教や道教など各種宗教についても触れられていますし、宗教学についての解説もあり、「宗教」というジャンルでわからないことがあったら、とりあえず -
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「教養としての宗教」ガイドとして、「広く浅く」世界の宗教について解説。本書では、深い信仰を前提とする「濃い宗教」、文化や共通語彙としての「薄い宗教」という2つの宗教のレベルを提示し、それぞれについて、宗教全体を通ずる概論を行った上で、宗教の仕掛けとして「戒律」と「儀礼」について解説し、最後に、世界の主な宗教として、①ユダヤ教、②キリスト教、③イスラム教、④仏教、⑤ヒンドゥー教、⑥儒教と道教、⑦神道と日本の民族世界について概説している。
まさに「教養」として宗教を概観するのに適した一冊。日本は無宗教といわれるが、東アジア世界はそもそも宗教については「チャンポン型伝統」があり、日本もその延長線上に -
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タイトルの通り教養として宗教とはなんだろうかと知ってみたくなったので読んだ。
今思うことは、人がより良く生きるための手段が宗教なのだと思う。
宗教によって、一神教、多神教だったり、また信仰、戒律、儀礼が異なっているが、目指すところは、信徒自身の心の安寧なのだと思う。ただし、何を心の安寧とするかは異なるが。
文化、宗教、法律、慣習、習慣、信条、哲学など、このあたりの言葉を区別して説明できるようになると、宗教とは何かを理解できるのだと思った。
宗教は、文化や法律と違って、民族や国を越えて広がっている。
また、宗教は、目的がある。と思う。
今は、そんな理解。