あらすじ
宗教とは何か――。信仰、戒律、儀礼に基づく生き方は、私たち日本人にはなじみが薄い。しかし、食事の前後に手を合わせ、知人と会えばお辞儀する仕草は、外国人の目には宗教的なふるまいに見える。宗教的儀式と文化的慣習の違いは、線引き次第なのである。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から、仏教、ヒンドゥー教、そして儒教、道教、神道まで。世界の八つの宗教をテーマで切り分ける、新しい宗教ガイド。
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Posted by ブクログ
最近、自分の内面と向き合い、人生の幸せを考えるようになった。その中で、信仰の力の大きさに触れ、宗教を学ぼうと考えた。
本書では、宗教の根底をなす真理、儀礼の意味などに関して、現代的な表現でわかりやすく述べられている。
宗教ごとの共通点や相違点に触れ、それぞれの宗教の概説もなされている。
これまで何となく触れたりしてきた宗教的な知識や文化の意味がわかり面白かった。
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宗教抜きに生きられない現代社会にあっての「真の教養書」。宗教?勘弁して、という反応は、本書で払拭されるだろう。入門とは随分と謙遜したタイトルだ。
宗教を濃い、薄いで論じる観点も、斬新で素晴らしい。前半の本編と後半の資料編の構成、バランスも良い。
・文化としての宗教の持つ「失敗のアーカイブズ」としての役割は大きい。
・(どの宗教も)、自己責任論などよりもよほど深いレベルで、悪の「不運」と「責任」の問題と取り組んでいる。
・ヒンドゥーの本質とカースト制度は、関係がないと解体がすすんだ。
・呪術信仰は馬鹿にされがちだが、実のところ、これは宗教の土台である。
・原始に帰れ式の運動はいつもどこかジレンマを抱えており、いつもどこか神秘的だ。
・おそらくインドでも中国でも、他の多神教社会でも、さらには一神教の社会においてさえ、庶民生活における宗教の実態として重要なのは、年中行事や通過儀礼的な行動パターンの総体なのである。
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やや突き放したような筆致で宗教を明快に解説した一冊。信仰・戒律・儀礼について、それらの本質を端的に捉えた記述が刺激的。また、「宗教は人間の想像力のアーカイブズである」との指摘は、宗教の意味付けについて再考を迫るものであると評価したい。
Posted by ブクログ
まず「宗教学」というジャンルが、特定の宗教についての学問ではなく、幅広く宗教について研究する分野だと本書を読んで初めて知りました。「濃い宗教」と「薄い宗教」という分類など、筆者の主張がとてもユニークで実際にお話を聞いてみたいと思う内容でした。
無宗教と言われる日本人ですが、本書を読むとそうでもないのだろうと分かるでしょう。タイトル通り、教養として知っておくべきことだと思います。
Posted by ブクログ
題名通り宗教を「教養」「知識」として学ぶには最適な一冊。前半部は信仰としての宗教を「濃い」、共通文化としての宗教を「薄い」と大別して解説。後半部は資料編としての世界の主な宗教の解説で構成されておりそれぞれが広く分かりやすい説明で初心者でも抵抗感なく読める。
また掲載されている宗教や経典の比較表もイメージを掴むのに役立っている。
この著書からもう少し深く学んでいきたい。
Posted by ブクログ
入門書としてとても分かりやすい。
以下メモ。
宗教には信仰度によって濃い、薄いがある。
薄い→神頼み。
日本人が好むものは無意識的に馴染んでいく儀礼。
深い信仰も大事だが、浅い文化的習慣も大事。もともとイスラム、キリストはユダヤから派生。→一神教。
一神教では神が一番大事。
多神教では解脱や悟りが大事。
状況が厳しい方が神様が濃くなる。
希望を信じるということが宗教の原点。
戒律を守ることで平等が得られる。
個人主義化、科学の発展、自由思想により宗教が後退。
Posted by ブクログ
「教養としての宗教」ガイドとして、「広く浅く」世界の宗教について解説。本書では、深い信仰を前提とする「濃い宗教」、文化や共通語彙としての「薄い宗教」という2つの宗教のレベルを提示し、それぞれについて、宗教全体を通ずる概論を行った上で、宗教の仕掛けとして「戒律」と「儀礼」について解説し、最後に、世界の主な宗教として、①ユダヤ教、②キリスト教、③イスラム教、④仏教、⑤ヒンドゥー教、⑥儒教と道教、⑦神道と日本の民族世界について概説している。
まさに「教養」として宗教を概観するのに適した一冊。日本は無宗教といわれるが、東アジア世界はそもそも宗教については「チャンポン型伝統」があり、日本もその延長線上にあるといった著者の指摘はなかなか含蓄があって面白いが、本書は全体的にエッセイ的な論調で、著者の主観的見解が多いような気はした。
Posted by ブクログ
宗教の入門書。各主要宗教の解説は後半に回し、前半部分では濃い宗教、薄い宗教という信仰の深さの視点で、世界の人々がどのように宗教に付き合っているのかを説明する。後半の各宗説明も含めて非常に参考になった。
Posted by ブクログ
キリスト教や仏教、イスラム教といった代表的な宗教の概要と特徴、戒律や儀礼という宗教を構成する要素を「濃い」「薄い」という比喩で解説している。「薄い」宗教は日常や文化の一部となった意識しない宗教で、「濃い」宗教は信仰や修行という積極的な宗教といったところか。軽い口調でややもするとふざけているようなところもあるが、ポイントが明確であり、例え方もうまいのでそれぞれの宗教の違うところ、そして同じところがよく分かった。
Posted by ブクログ
宗教から一定の距離を取った視点で茶化さずに真面目に書かれている。普通の当たり障りのない宗教紹介本かと思いきや、しっかり主張がある。印象に残ったところ抜粋。
〜文化としての宗教のもつ「失敗のアーカイブズ」としての役割は大きい。〜そういう意味で我々は、個人的信仰とは別次元の、文化としての宗教という歴史的共有財産に、もっと注意を払うべきなのではないだろうか。
ドライな切り口カッコいい。
Posted by ブクログ
宗教とは何か。
日本人にはなじみの薄い世界の8つの宗教をテーマで切り分ける宗教ガイド。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教、儒教、道教、神道の8つの宗教を分かりやすく解説したガイド本です。
あらゆる宗教から距離を置いたうえで、教養として様々な宗教やその歴史、背景にある文化などを広く浅く知りたいという方向け。
入門というだけあって、表紙やタイトルのイメージほど難解ではなく、読みやすいです。どれかの宗教に偏らず、俯瞰した視点で書かれているのでどの宗教の話も頭に入ってきやすい気がします。所々そんな書き方して大丈夫? と思ってしまうようなところもあり、エッセイのような趣もある気がしました。教養本としてだけでなく、純粋に読み物としても面白い。
どんな宗教も一概にこういうものとは言えず、他の宗教や考え方との混合や変遷があったりだとか、現代における諸宗教は宗教的戒律と政治的・社会的システムなどとの摩擦やギャップを引き起こしやすいという話は特に興味深く読みました。
次は近現代における宗教問題についても調べたいです。
Posted by ブクログ
要所要所が抑えてあり、歴史的流れや、地理的な解説もあってとても分かりやすく面白い本だった。この本をとっかかりにして、取り上げられている宗教を勉強するのも良いと、あえて取り上げていないものを調べてみるのも面白いように思う。
著者いわく、すこし突き放した形で記述してある。けれど敬意は充分に感じられた。
この本の前に読んだ中野京子著『残酷な王と悲しみの王妃』についての解像度が、かなり上がったのは良い副産物だった。
Posted by ブクログ
本書は前半と後半に分かれた2部構成になっています。前半は宗教を「薄い宗教」と「濃い宗教」という表現で噛み砕いて説明しています。後半は世界の8つの宗教の概説です。それは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教、儒教、道教、神道です。ちなみに自分自身は無宗教です。自分が一番興味のあった宗教による救済のカラクリや洗脳の仕組み、また日本人の宗教に対するアレルギー反応、といった事は書かれていませんでした。そういった意味では少々、物足りなかったです。とはいえ、初心者向けの宗教ガイドとして非常に面白かったです。
Posted by ブクログ
信仰、戒律、儀礼といった、宗教の根本的な概念についてわかりやすく説明されている。後半ではキリスト教、イスラム教、仏教などの主要宗教についての概観もされている。
宗教に入信したいわけではなく、特定の宗教に特別な関心があるわけでもないけれど、宗教というものに関心がある人に向けた入口となる本。
宗教についてある程度知識を持っている人でも、その知識の位置付けを知るために大いに役立つと感じた。とりあえず1冊持っておいて損はないだろう。
Posted by ブクログ
宗教とは何かという概要を1〜7章で説明し、資料編で主な宗教をそれぞれ解説している。
教科書の補助として読みやすく、分かりやすかった。
専門的にそれぞれの宗教を学びたい人にとっては物足りないと思う。教養としての入門書、ほんとにそのまんま。
「空」は“カラッポ”、「四諦」は煩悩を追い払う4つの過程を“明らかにする”こと、の説明で、だいぶスッキリした。
以下個人的な要約
序章
宗教は文化に根付いており、お辞儀の習慣や「平常心」の用語などにその影響は見て取れる。どこから宗教と括るのかは定義によって変わる。自然などの凄いパワーを表す「神」と救済する(仏陀のような)「神」がいる。キリストが「神」と訳されたのは、多神教の「仏」では唯一神の宗教観と矛盾するからだ。
第1章
歴史的な系譜を辿るとユダヤ/キリスト/イスラム/仏教/ヒンドゥー/儒教/道教/神道へと還元できる。東アジアは仏教/儒教/道教が(日本では神道も)チャンポンになり、東南アジアはイスラム/キリスト教も含み宗教の見本市のようだ。宗教的緊張が低く文化的交流のあるこの特異な環境は注目すべきように思う。
第2章
ユダヤ教からキリスト教とイスラム教が派生した。これら一神教は、唯一神とは何か、神の正義や救いとは何かと探求する。ヒンドゥー教、道教、神道など多神教では、様々な神を一種の現象と見て、その背後に宇宙的な原理があるとすることが多い。仏教では人間が修行して悟りを開くことを目的としている。
第3章
深く心に残る厳しい体験をした人は、希望と心の支えを求め、濃い信仰が必要になる。信仰の対象は必ずしも宗教ではない。宗教の本質は当事者の実存体験の深さだとする意見もある。宗教の負の歴史は宗教的叡智の記録であり共有財産だ。宗教は「不運」などの悪やその罪に自己責任論より深く取り組んでる。
第4章
宗教の営みに病治癒があるが、科学が発達した今日では正当できない。しかし人は不確実な「明日」さえ信じて生きるものだ。呪術の効果には気休めや社会団結の要素があり、それは案外重要だ。復活祭や豊穣祭などのめでたいものを祝う行事も、病治癒のような奇跡進行も、根底には生命力の信仰がある。
第5章
宗教とは生活習慣の一種である。多くの宗教には禁欲的な側面を持つ戒律があるが、それがどのようなルールになるかは歴史的に全く偶然だ。戒律や儀式に合理的理由がなく、神仏の命令としか言いようがないものでも、欲望が自然を蝕み社会格差を拡大している現実を見れば、宗教の善き働きが想像できる。
第6章
宗教には形の決まった動作や人生に付随する慣しが多くあり、儀礼という。儀礼を行う理由は複合的で難しいが、一番の機能はアイデンティティの表明あるいは確認がとする見方もある。儀礼そのものが共同体を運営する目的になる場合もある。厳粛なものから祭りのように賑やかなものまで様々だ。
第7章
宗教の教えは最終的に同じだとする意見がある一方、宗教間には異なる規定がありその本質が明らかでないことも確かだ。何かを問うことは宗教的な問いとして適切ではないかもしれず、どこまでを宗教とするのか線引きは難しい。保守的~革新的宗教が混在する中で宗教を問うことは、世俗を問うことである。
Posted by ブクログ
タイトルの通り教養として宗教とはなんだろうかと知ってみたくなったので読んだ。
今思うことは、人がより良く生きるための手段が宗教なのだと思う。
宗教によって、一神教、多神教だったり、また信仰、戒律、儀礼が異なっているが、目指すところは、信徒自身の心の安寧なのだと思う。ただし、何を心の安寧とするかは異なるが。
文化、宗教、法律、慣習、習慣、信条、哲学など、このあたりの言葉を区別して説明できるようになると、宗教とは何かを理解できるのだと思った。
宗教は、文化や法律と違って、民族や国を越えて広がっている。
また、宗教は、目的がある。と思う。
今は、そんな理解。
Posted by ブクログ
「宗教入門」ではあるものの、いわゆる宗教だけでなく、文化として生活習慣に融合されている宗教的なものの存在に気付かされました。
日本人は無宗教と言われていますが、例えば毎朝のラジオ体操はムスリムの礼拝と同じような身体的習慣であり、見方によっては宗教的でもあるとのこと、なるほどなぁ!と思いました。
Posted by ブクログ
一神教で一番大事なのは「神」で、多神教では「さとり」や「解脱」ということになるという説明。
なるほど!ごちゃごちゃだった頭の中がすっと整理された。
色んなものが共存しているのは日本だけではなく、インドや中国なども一緒で、多神教世界におおむね共通することなのだということが印象的だった。
Posted by ブクログ
五大宗教の基礎知識を豊富な情報量で説明していて勉強になった。例え話が多くわかりやすく書かれている。
宗教は文化やライフスタイルでもあり、日本も無宗教ではないという趣旨の説明が印象に残った。
教養としてフラットに宗教を知っておきたい方におすすめだと思う。
市販本の帯に「いかにしてイスラム国は生まれたか」とあるが、イスラム国には直接的には「おわりに」で軽く触れているだけだった。
Posted by ブクログ
世界の大宗教の基本的なことがわかる本。各宗教の特徴について書いてあるが、入門編ということでどの宗教も触りの部分のみの説明になっている。また本の前半部分では信仰の度合いによって、
Posted by ブクログ
<目次>
序章 なぜ「神」と「仏」が区別されるのか
第1章 薄い宗教① 世界の大伝統
第2章 薄い宗教② 神の物語と悟りの物語
第3章 濃い宗教① 信仰
第4章 濃い宗教② 奇跡と呪術
第5章 宗教の仕掛け① 戒律
第6章 宗教の仕掛け② 儀礼
第7章 宗教の多様性と現代社会
資料編 世界の主な宗教 概説
1 ユダヤ教
2 キリスト教
3 イスラム教
4 仏教
5 ヒンドゥー教
6 儒教と道教
7 神道と日本の民俗的世界
おわりに
<内容>
本当にあっさりと説明している。資料編の仏教の所や儒教の所が役立ちそう。
Posted by ブクログ
宗教、と耳にすると、正直身構えてしまう自分がいて、その上、昨今のイスラム国大暴れ報道を見て、いよいよ宗教ってどうなのよ?と思ったりしたけれど、そんなときこそしっかり基礎を知ってみようと思い立ち、読んでみた。
宗教って何だろう?と言う基本を具体的な宗教を例に取りながら、歴史的、地域的、文化的な観点からスッゴくわかりやすく説明した一冊。
著者が最初に示しているとおり書き方が「中立的」なのでこの宗教最高!!とか偏りがなく成り立ちとか特徴とかを淡々と説明されていて、読んでいると素直に読めるのは良かった。ただ途中「おおおそんな事書いちゃって怒られないか?」とか心配になる表現もあった気がするけど。
まず宗教って一概に定義できないって事がよくわかった。もちろん信仰対象があったり教義があったり戒律があったり共通する点はいくつかあるものの基本は自由で様々なのねぇと。あと神と仏の違いとか、信仰には薄い信仰と濃い信仰があるとか。アメリカ人のほとんどは薄い信仰らしい。以前、外人は君の信仰はなんだ?とすぐに聞いてきて、答えられないと一人前に見られない、と聞いた記憶があるけど実際はそんなの大嘘らしい。だよねぇ。
まぁ要するに人間は生きる上で希望が欲しい訳で、その希望としての信仰、ってのが一番ポピュラーなんだなぁと。人間そこまで強くないし、その逃避の先に宗教があるとも言えるかな?
あとは宗教は行動様式でもある、ってのはわかりやすいね。そう考えると日本人は無宗教ってのは違うって話になるよと。まぁ宗教って俺が考えていた以上に自由で適当と言うことがわかった気がする。
宗教はこれ!こんなものだ!って思いこんだりはいけないよ、とかそんな事思いました。