池上永一のレビュー一覧

  • ヒストリア 下

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    肉体から抜け出したマブイの煉を向こうに回しての、地を駆け空を舞う核弾頭の争奪戦。革命の高邁な理想と欺瞞。ボリビアの地に根を張り、移民として力強く生き抜いて行く煉。彼女にとって沖縄とは、そして戦争とは何だったのか...

    戦争、移民、革命と言った巨大なテーマを持ち味の過剰なエンターテイメント性を損なうことなく成立させた傑作。

    これまでの池上永一作品では戦争は負の遺産としての側面が強かったが、今作では煉の流転の人生を通して、個人の意思や思惑や人生などを全て呑み込んでしまう、今、眼前に広がる不条理な絶望として描かれている。
    目的化した革命への冷めた視線も印象的で、チェ・ゲバラに関してはうっすらとし

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    2025年10月31日
  • ヒストリア 上

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    空襲によって故郷も家も家族も友も全てを失った知花煉。だが、マブイを落としながらも彼女は死なせてもらえなかった。生まれ持った商才で戦後の沖縄でのし上がろうとするも、あらぬ疑いをかけられ米軍に追われる身となってしまう。偽装結婚によってボリビアへの移民となることに成功するが、新天地もまた楽園ではなかった...

    池上永一は歴史ものを書き始めてからなんとなく手を出しかねていたのだが、しばらく前に読んだ現代ものの「海神の島」が異常に面白かったので、やはり歴史ものも読まねばと思い、まずは舞台が一番現代に近い今作を手に取った。
    空襲の圧倒的な絶望感から始まる、序盤からなかなか腹に重い一発を喰らうような作品だ

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    2025年10月25日
  • シャングリ・ラ 上

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    世界の二酸化炭素が増え続け
    地球の温暖化が止まらなくなりました
    環境の破壊により今までの経済は破綻
    今まで資産を表していたものには何の価値もなくなったので(ゴールド持ってようが熱帯で死ぬので)
    世界政府により炭素税が導入
    日本は都市に超高層ビルを建設
    日本人はそこに全て住み、他の土地を森林に開拓

    どうです?
    導入部です
    僕の住んでいる試される大地こと北海道なんて全部森林地帯で日本経済支えています
    ワクワクしました?読んでください
    SF小説ですが思春期の戦闘美少女、スーパーニューハーフとキャラクターが強烈過ぎて多分ソフトな人も読めます
    なんとアニメ化もされたのですが……ノーコメントで

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    2025年07月22日
  • ヒストリア 下

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    ネタバレ

    移民先の南米ボリビアで苦心惨憺の日々を送る知花煉(ちばなれん)。プロレス女王のカルメンや日系人カルロス兄弟という仲間を得て、農業や商売に奮闘していた矢先、煉は米国の謀略に巻き込まれ、空賊となって密輸を手伝う羽目に陥る。一方、チェ・ゲバラが革命に成功したキューバで、核戦争の危機が迫っていた。米ソ一触即発の裏で、煉は戦争阻止に動くが……。果たして煉は魂を取り戻すことができるのか?

    沖縄戦の折に魂を失い二人に分かれてしまった煉。二人の彼女が苦節しつつも南米ボリビアを舞台に生き抜く物語。戦後の沖縄で実際にあった南米移民を中心に、ボリビアの革命やキューバ危機も描き、沖縄返還で幕を閉じる本作。史実を交

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    2023年09月01日
  • ヒストリア 上

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    ネタバレ

    第二次世界大戦の沖縄地上戦で家族とすべてを失い、魂(マブイ)を落としてしまった知花煉(ちばなれん)。戦後の闇市で一時の成功を収めたのも束の間、米軍のお尋ね者となった煉は、新天地を求めて南米ボリビアへと渡る。しかしそこも楽園ではなかった。移民にあてがわれたのは伝染病が蔓延する未開の地。呆然とする煉に、米諜報機関CICの魔手が迫る。一方、魂が分裂したもう一人の煉は、若き革命家チェ・ゲバラに出会い恋に落ちてしまった……。

    主人公の煉が、数々の失敗をしながらボリビアで生き抜いていく話。史実をベースに作られているらしく、沖縄からのボリビア移民も史実であったことをこの作品で知った。2人の煉を通して描かれ

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    2023年08月26日
  • テンペスト 第四巻 冬虹

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    歴史に疎いのですが、4冊もあるのですが、サクッと読めました。以前、NHKで放映されていましたが当時は興味なく見ていませんでした。ただ、安室ちゃんのテンペストという曲が好きなため、今更ながら読んでみようと思った本です!通勤中に安室ちゃん聴きながら、琉球に想いを馳せながら、楽しんで読めました!

    #ドキドキハラハラ #切ない

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    2022年09月30日
  • バガージマヌパナス わが島のはなし

    購入済み

    感動


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    2022年08月26日
  • 統ばる島

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    春が近づいてくるとダイバー的には南の島の海が気になってくる季節。沖縄の作家である池上さんの描く島の姿や海の描写は幻想的な言葉をつかってはいても非常にリアルに心に響いてくるので大好きです。
    この作品は沖縄本島よりも南の八重山諸島の島そのものにまつわるお祭りや民話を題材にした作品集。生活の厳しさも描かれてはいるもののやっぱり行ってみたくなります。島の背景をこのような形ででも知ってから行くと、さらに島の魅力がましてくると思います。あああ暖かい海に行きたい。

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    2021年03月19日
  • ヒストリア 下

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    後半戦も面白かった~。読み終えて、表紙のインパクトほど、チェが前面に出てきてはいないな、っていう感想。要所要所で絡んではくるし、歴史的な重要性も込めて、ってことかも。それよりも、終始不気味な存在感を放ち続ける、元ナチスの殺し屋とかの方が、よほどインパクトがあった。そして、沖縄米軍基地の内部に、未だ終戦を見ていない己の魂を見るクライマックスが、何といっても圧巻。しばらく痺れてしまいました。

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    2020年10月12日
  • ヒストリア 上

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    単行本の時から気になっていたもの。それにしても、文庫化にあたって分冊化され、それぞれが千円もすると、結局単行本と変わらんがな、とか恨みがましく思いつつ。前からうすうす気付いてはいたんだけど、文庫化に際して分冊されそうな分厚い単行本は、もうさっさと買っちゃった方が良いのかも、って改めて思った次第。
    それはさておき、この前半戦。池永作品は3作目だけど、どうしても『絶賛大好き!』とならない理由が、やはり本作にも…。それは、ちょいちょい感じられる会話の不自然さと、行空きもなく唐突に移り変わる場面展開。後者は、識者にとってはむしろ魅力と考えられている節もあるけど、それはいかがなものか、と。とはいえ、突拍

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    2020年10月07日
  • シャングリ・ラ 下

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    ネタバレ


    加速する地球温暖化を阻止するため、都市を超高層建造物アトラスへ移して地上を森林化する東京。しかし、そこに生まれたのは理想郷ではなかった!CO2を削減するために、世界は炭素経済へ移行。炭素を吸収削減することで利益を生み出すようになった。一方で、森林化により東京は難民が続出。政府に対する不満が噴き出していた。少年院から戻った反政府ゲリラの総統・北条國子は、格差社会の打破のために立ち上がった。(上巻)

    ついに反政府ゲリラは政府に宣戦布告。國子はブーメランひとつで戦車部隊に立ち向かう。だが地上の森では政府とゲリラの戦争をあざ笑うかのように、想像を超えた進化が始まっていた。究極のエコロジー社会がもた

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    2020年01月21日
  • シャングリ・ラ 上

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    ネタバレ


    加速する地球温暖化を阻止するため、都市を超高層建造物アトラスへ移して地上を森林化する東京。しかし、そこに生まれたのは理想郷ではなかった!CO2を削減するために、世界は炭素経済へ移行。炭素を吸収削減することで利益を生み出すようになった。一方で、森林化により東京は難民が続出。政府に対する不満が噴き出していた。少年院から戻った反政府ゲリラの総統・北条國子は、格差社会の打破のために立ち上がった。(上巻)

    ついに反政府ゲリラは政府に宣戦布告。國子はブーメランひとつで戦車部隊に立ち向かう。だが地上の森では政府とゲリラの戦争をあざ笑うかのように、想像を超えた進化が始まっていた。究極のエコロジー社会がもた

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    2020年01月21日
  • シャングリ・ラ 下

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    小説としては1ページごとに文句を付けたくなるほど酷い
    しかし溢れかえるサイエンスファンタジーとしての魅力は
    くやしいが認めざるを得ない
    次回作ではましになってるとかなので読んでみよう

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    2019年01月12日
  • シャングリ・ラ 上

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    気になっていた作家。内容は、それなりに定番のディストピア小説。オカマをメインに持ってきたり、10代の少女が最強だったり、人物の造形は魅力的。いかにもありそうな近未来の東京の不気味さも迫力満点で、状況設定も言うことなし。武力戦争だけじゃなく、経済戦争的側面も貪欲に取り入れられていて、読んでいて飽きさせない。これでつまらない話になる訳ないってことで、前半が終わった時点で素晴らしい作品には間違いなし。ここからの盛り上がりにも期待大。

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    2017年10月24日
  • バガージマヌパナス わが島のはなし

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    おおらかで、シンプルで、ミニマム。
    そしてゆるーいスピード感。
    大げさだけど、そういう人生観(?)がとても好き。

    20年以上振りの再読になるけど、その時に感じた面白さ(単純な爽快さって感じかな)とは違って、いろんな意味で考えさせられたり深みを感じられたような気がして、いっそう好きな作品になった。

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    2017年10月18日
  • シャングリ・ラ 下

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    上巻からの読書速度は高めのギアを保持したまま、いきなり「飛んだ」内容に入ってもスピードが落ちなかった。國子が飛行中の軍用機の機外でブーメランを振り回しミサイルを撃落としてみたり、小夜子も涼子も不死鳥のように蘇り、肉体の神経系にケーブルを突っ込んで電脳空間を操作したり、突っ込みどころ満載!それでも結末まで虜にされてしまった(笑)アトラス第零層の結末も「何だかな~」という感じ。そもそもそこに、その古墳があるの?なんてのは野暮ですかね~。解説に我が心の師・筒井康隆氏だったのが良かった。

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    2017年09月06日
  • シャングリ・ラ 上

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    読み進む速度がどんどん上がっていくのを感じた。書き出しは地上にいる反政府ゲリラとアトラスに住む政府との抗争という構図に、やや期待外れ感があったが、ゲリラと政府と公社と、カーボニストを巻き込んだ陰謀にはまっていく。下巻に突入~!

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    2017年09月06日
  • シャングリ・ラ 下

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    「それはないでしょっ」ていう設定が多くぶっ飛んでいた。
    最終的には愛の話が強く心を打ち、とても良い物語でした。
    関連する小説があるようで、そちらも読んでみたい。

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    2017年01月17日
  • あたしのマブイ見ませんでしたか

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    聖教新聞がよかった。宗教関係か?と思ったら、ちょっぴり切ない話。
    どのショートストーリーも切れ気味なキャラがいて、独特なリズムで物語が進む。
    沖縄帰省中に読んで、やっぱり池上さんファンです。

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    2015年10月24日
  • レキオス

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    牧港住宅地区が返還され、新都心として産声を挙げる前の那覇市天久に巨大な魔法陣が出現し、米軍の発射したミサイルは消滅する――。という何ともスリリングなスタートから、伝説の「レキオス」を巡り、”文字通り”時空を超えて進行する壮大なストーリー。テンペストへ続く著者の真骨頂がにじみ出てる、と思う。科学の話のくだりは難しいが、米軍、ユタ、科学者、そして鍵を握るのは葛藤を抱え生きるアメラジアン。色んな意味での沖縄の魅力を凝縮させた大作。この著者の本はいつもボリュームあって大変…。だがもう熱狂的ファン。ありがとう。

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    2014年01月04日