瀧羽麻子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
おとなしくのんびりした性格の上原璃子。
父の転勤で、璃子が4歳のとき一家は奈良へやってきた。
住宅地にある公園で、璃子は同い年の果菜と友達になり、三つ歳上の「お兄ちゃん」が、時々遊びに加わってくれた。
商店街のはずれで両親が青果店を営んでいる兄妹。「お兄ちゃん」とは、すなわち安藤くんである。
その後も上原一家の転勤はたびたび続き、大阪に栄転となった父のおかげで、ついに高校生の璃子は、果菜と「お兄ちゃん」に再会するのです。
左京区シリーズでおなじみの、優しくて親切なあの寮生たちにまた出会えます。
お兄ちゃんと同じ大学の農学部に入学した璃子の大学生活に、前回も登場した学祭のたこ焼き屋の場面や、葵祭や五山の送り火などが、ブレずに再現されていて、何だか集大成のようで、左京区ファンにはたまらなく嬉しいです。
物語全体が人の縁であふれていて、出てくる人たちが次々と幸せになっていきます。
2人の傍らでとってもいい味出してくれる果菜と、大学のたくさんの仲間たちと、のんびりゆっくり着実に、一歩一歩坂を上るように進んでいく、璃子とお兄ちゃんの物語は、本当に幸せな気持ちにさせてくれます。 -
Posted by ブクログ
左京区シリーズ第二弾は、大学院生になった山根くんが主人公。
相変わらずの寮生活が続いています。
バイオを専攻している、食べ物が大好きな安藤くんに加え、三次元ゲームの開発に携わっている後輩の寺田くんや、ダニを研究している川本くんも登場します。
工学部工業化学科、花火が大好きで、小柄でメガネをかけた艶やかな黒髪のおかっぱ頭の山根くんが、白いワンピースの可憐な乙女に人生初の恋をするのです。
花ちゃんのアドバイスを受け、下鴨神社に毎日参拝したかいあってか、名前も知らない例の姫とようやく再会を果たすのですが、なにしろ女性慣れしていない山根くん。お茶をするにも、デートの待ち合わせやランチをするにも失態続きで、笑っちゃいけないけれど、面白すぎます。
瀧羽さんの文章はクセがなくて読みやすく、一癖も二癖もありそうな理系男子をこんなにも楽しく描き上げて、愛情を注いでくれているところに好感が持てます。
葵祭や五山送り火など、京都ならではの伝統行事が盛り込まれていて、とても読みごたえがありました。
恋のお相手は正真正銘の姫だったけれど、山根くん、「姫」に出会えてよかった。楽しい時間を一緒に過ごせて本当によかったです。 -
Posted by ブクログ
瀧羽さんの小説はいつもタイトルが個性的です。
これは、京都を舞台にした、大学生の恋愛小説。
オシャレが大好きな、文学部4回生の花の恋物語。
「七月七日の朝にブルーベリーをこぼしたおかげで、わたしはたっくんにめぐりあった。」
なんて純粋で可愛いお話なんだろう。
花は、同じ高校だったアリサとその彼氏修治の主催する合コンに参加して、たっくんこと龍彦に出会います。
寮生活をする理学部のたっくんと、同じ寮生の友人ヤマネとアンドウ。
三人セット、プラス花の四人で、タコパに花火、学祭、飲み会。
もう青春そのものって感じです。
京都の町を散策したくなります。
たっくんをどんどん好きになる花。「数学バカ」の壁が立ちはだかるけれど、焦ってもどうしようもない。二人の距離が縮まらない。
一体たっくんのどこがいいのと言われるけれど、たっくんの良さは私にしかわからない。
恋ってそういうものですよね。
これ、ピュアすぎて、泣けます。
ブルーベリーのような甘酸っぱい恋。
こんな素敵な学生時代の思い出は、色あせずにいつまでも心の片隅にあり続けてほしいです。 -
Posted by ブクログ
小説になる綺麗な話ばかりじゃないんだろうけど、
相手の人生を一緒に創れるって良い
これからの仕事がんばろう(2021,12.31)
24年3月
21年に読んだ際は気づかなかったけど、
この作者は実際に働いたことがあるのか?というくらいエージェントへの解像度が高くて
再読なのに圧倒された。
ひとりひとりの選択をささえる仕事、だけれども
ギリギリまで自分ごととして捉えていたい。
それが効率化には繋がらないとしても
私はそうしてたい。
入社日して2年、嫌になって伝書鳩になったときもあるけれど、表彰が狙いになってたこともあるけれど、そうじゃないよね。
-
Posted by ブクログ
さてさてさんにお勧めしていただいた本です。
タイトルを見てわかるかと思いますが、舞台が京都です。
私が京都に住んでいたことがあり、とても懐かしいとコメントしたら、お勧めいただきました。
川端通、出町柳、修学院。のっけから懐かしい地名がたくさん出てきました。
なにせ私は高野川沿いの川端通りに住んでいて、叡山電鉄の修学院駅まで歩いて4,5分のところでしたから。
主人公の花は京大とははっきり書かれていませんが、たぶん京大の文学部の4回生で商社に就職が決まっています。
そして人数合わせの合コンで七夕の日に出逢った龍彦(たっくん)は理学部の数学科。4回生で大学院に進む予定。
あとは花の友だちで女子大(ダム女かな?)に通う帰国子女のアリサと恋人の修治。
たっくんの学生寮の仲間、アンドウとヤマネ。
花のゼミ友の剛くん。
バイト先の服飾店ソレイユの店長、陽子さん。
そしてたっくんと親しそうな謎の女の人。
などが出てくるとってもキュートな青春ものです。
花とたっくんは自転車の二人乗りをするシーンがありますが、京都はバスと地下鉄の便がとてもいいけれど、やっぱり自転車ですね。
私も自転車通勤していたし、哲学の道を自転車で散歩したり友だちの家にもどこでも自転車ですね。
懐かしかったです。
さてさてさん、ありがとうございました。
ちょっとネタバレになりますが…。
クリスマスに花がたっくんの気持ちがよくわからないで悩んでいるとき(たっくんは数学が恋人なんです)ゼミの剛くんに告白されてしまいますが、たっくんもいいけど剛くんもなんか『あすなろ白書』の取手くん(木村君演じる)を思い出してしまいました。(「俺じゃだめか」っていう有名なシーンです)なんかフミヤの「TRUE LOVE」が流れてきた気がしました。ちょっと古いでしょうか?
あれって、まさに青春でしたよね? -
Posted by ブクログ
東京の外資系の証券会社でバリバリ働いていた弥生は、田舎の健康食品の下請けメーカーに転職した。
実は納豆が苦手だったのに、採用はあっさりと決まってしまった。
バラエティー豊かで仲のいいメンバーと、何だかほのぼのとしたゆるやかな毎日が始まってゆく。
人生には休息が必要なのだと思う。本当にそう思う。
世の中にはうまくいかないことの方が多いのだから。
「ネバーラ」という一見おかしなタイトルだけれど、恋愛の要素も少し含まれていて、読んでいくうちに、身も心も癒されます。
併録されている短編「はるのうららの」は、高卒でネバーラの事務員として働いているマユミの、高校時代のことが書かれています。
東京への憧れは、熱病みたいなもの。
でも、東京にはない何かがこの土地にはある。
本編と似通ったテーマがここにも見つけられて、温かい気持ちになれます。 -
Posted by ブクログ
6つ上の姉は、家族と離れて暮らしている。
気負いなく堂々とわが道をゆく姉。
私は風変わりな姉のことが好きだった。
17歳で詩人になった姉、中埜菫―なかのすみれ―。
第一話は妹の視線で書かれていた。
タイトルになっている「ぱりぱり」の意味もすぐに理解できた。
不思議な魅力を持つすみれのことが、続きが気になります。
連作短編のようだが、いろんな読み方、とらえ方のできる小説だと思った。
すみれってなんて凄い子なんだろう。ささやかだけれど、この独特な存在感。
菫を担当する編集者や、菫の才能を見出した高校教師など、すみれと関わった人たちの小さな気づきが、心に沁みてきます。
そして最後の「クローバー」は、優しく温かい家族のお話。すみれはしあわせ。父も母も。すみれはきっと周りの人を幸せにする。
瀧羽さんの作り出すお話は優しくて好きです。
これからも追いかけたくなる作家さんになりそうです。