曽根圭介のレビュー一覧
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2018年年、12冊目は久しぶりの曽根圭介の長編。
自営の理髪店を閉め、サウナでアルバイトをする、還暦直前の男。暴力団の闇金に手を出し、追い込みをかけられている刑事。FXの負債のため、デリヘルで働く主婦。三人の前に大金の影がチラつく。そして、三人は……。
いやぁ、面白かった。予想してた人物相関関係をそう絡めてきましたか……。
曽根圭介は長編より、短編好きな自分。『鼻』、『熱帯夜』の各表題作の要素を三人視点へ広げ、ブラッシュ・アップして長編に仕上げたような印象。個人的に同作家の長編、『沈底魚』『本ボシ』より、圧倒的に、エンターテイメントで好み。
クライマックスが少しバタバタして、少々弱い -
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ネタバレ2017/3/11
グイグイ読んじゃう。
危なっかしくて。
でも最後それ?結局どうなった?
望月氏は冤罪として加賀美は?
証人を襲わせたのは加賀美やろ?
この後どうなったんやろ?
宇津木はどこ行った?
冤罪ってさ、この望月氏みたいなのはホントに同情するし警察に怒りも覚えるんだけど、現実に見るとどうしてもこのパターンとは思えないものがあるのよね。
警察がミスって証拠を認められなかったとかやとそんな奴外に出してくるなよ~としか思えない。
しかもそんな奴に賠償金とかアホらしいし、もしその人が身近に来たとき避けるよな~
で、望月氏のような人との違いがわからない。
1回逮捕されたら終わることがたくさんあ -
Posted by ブクログ
2015年、44冊目は長らく積読だった曽根圭介。
あらすじ:静岡県警富士署、一杉研志巡査部長は沼津署管内で起こった幼女死体遺棄事件の捜査本部へ応援で詰めることとなる。事件は元小学校教師の自供で一応の解決を迎える。しかし、元刑事、宇津木は一杉に一枚の紙を渡す。そして、二年後、またしても幼女殺害事件が起こる。
500p弱、久々、一気読み。面白かった。『熱帯夜』の複数視点が織り成す展開、今回も叙述トリック系かと思いきや、どちらかと言うと、『沈底魚』に近い感触。冤罪を絡めて、警察機構(日本の行政機構)に対しての辛辣さが表れてる。
ラストは「えっ?コレで終わるの?」と思うかもしれないが、読んだそれ -
Posted by ブクログ
収録作品は3編。
「暴落」はあらゆる人間の価値を株価で示すようになった世界が舞台。例えばいい会社に入ればその人の株価が上がり、逆に犯罪などを起こせば、株価が下落、さらには上場廃止となります。そして上場廃止された人間に待つ運命とは…
なんともシニカルでブラックな展開となっています。社会的評価のない人間が地の底から這いあがることの難しさや、一度セーフティーネットからはみ出してしまうと、とことん落ちてしまう日本の現状を皮肉的にとらえた一編だとも思います。そういうわけで主人公の転落ぷりはなかなか笑えないところでもあったり…
「受難」は目が覚めると手錠で腕をパイプでつながれていた男が主人公。
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2015年、13冊目は完全初読みの作家さん、曽根圭介。
第14回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作含む3編収録。
収録順に簡単にあらすじ&感想を……。
「暴落」
人間の「株」を株式の「株」としたお話し。この波瀾万丈の展開と二段オチ的なトコは大好物。
「受難」
酒に酔い、目覚めるとビルの隙間に手錠で繋がれていたという話。いわゆる、不条理モノ。
「鼻」
人は、鼻を持たないブタと、鼻のあるテングに分かれ、テングはブタによって迫害を受けている。ソレをブタで医師の「私」とテングで刑事の「俺」の視点で綴っている。やがて、2つの物語が重なって……。途中、途中で引っ掛かるトコがあったが、そう言うコトだっ