あらすじ
人間たちは、テングとブタに二分されている。鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。外科医の「私」は、テングたちを救うべく、違法とされるブタへの転換手術を決意する。一方、自己臭症に悩む刑事の「俺」は、2人の少女の行方不明事件を捜査している。そのさなか、因縁の男と再会することになるが……。日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「鼻」他二編を収録。著者の才気が迸る傑作短編集。カバーイラスト/はんだじゅんこ
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Posted by ブクログ
2026年9冊目
表題作「鼻」を含む短編集。
私は「暴落」が特にお気に入りです。
スラスラと読めてしまう文体であっという間に読み切ってしまいました。他の作品も読んでみたくなりました。ホラーという枠ですが世にも奇妙な物語くらいのやつなので読みやすいです
Posted by ブクログ
表題の「鼻」だけでなく、他短編も秀逸。
「暴落」
・人の価値が株価のように市場に左右される社会。自分がいくら善行を行なっても、周りの人間の悪行によって自身の市場価値にも影響されてしまう。自分を守るためだったら平気で人を裏切られるだろう。道徳心や思いやりの心など存在するだろうか。
・完璧な資本主義の社会に染まりたい人はこの世界に住んでみたらどうか。
・主人公はクズのようだが正直彼の生きている世界皆クズだ。彼らのような性格はこの世界の標準なのではないか。
「受難」
・宗教に心酔した女性が聖行為だと信じて虐待を行うストーリー。
「鼻」
・最下層の「テング」を救おうとする最上層の「ブタ」である医者を応援していたけれど、最後の最後で彼が刑事が追っていた犯人だと知り、複雑。
・私は、最後の最後まで「現実」を信じることができず、「妄想」の世界に呑み込まれてしまった。
→威圧感が強い、思想が偏向すぎる刑事(現実)と物腰が柔らかい医者(妄想)だったら肩入れするのは...。
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どの作品も素晴らしい完成度。
この作品を読んでから本を読むことが好きになり、自分の好きなジャンルがわかるようになった。
先日上司にも貸し、高評価だったのか上司の旦那さんにまで読まれた。。。
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自分の株価を上げるためにダメ兄の株を売ると
インサイダー取引だと告発され、そこから転落していく「暴落」
気づいたらビルの間に手錠でつながれていて、
助けを求めた女も少年も紳士も当てにならない「受難」
テングをブタに変えるモグリの医師を名乗る男と
少女行方不明事件を捜査する刑事の「鼻」
カバーイラスト:磯良一 カバーデザイン:大武尚貴
夏だからホラー、と思ったけれど特に夏向けではなかったです。
受賞作「鼻」は構成がすごい。
全然かみ合わない2人の話がパラレルだと思ったけれど
そんな繋がり方をしていたなんて。
恥ずかしながら水割りとオレンジジュースを出すまで気づきませんでした。
文体だけでは人を判断できないのね…
Posted by ブクログ
この作者には驚いた。何はともあれ、天才だろ! って思った。この不条理さは、かの筒井康隆を彷彿とさせる。収録された三つの短編、全てが馬鹿みたいに面白かった。先を気にさせる展開、とにかく発想が凄い。特に気に入ったのは『暴落』だ。人間に直裁<株>の概念を付与し、その上がり下がりによって人の価値を計るなんて……恐ろしいが面白い、面白いが恐ろしい……。しかし、矛盾を挟むことなく、秀逸な筆致によって、世界観を「本当にこんな世の中もあるかも……」と思わせるくらいの書きっぷりには恐れ入った。曽根圭介という作家が一番怖いのかも知れない。
また、これは蛇足に違いないが、どの話も(鼻は無理かも知れないが)是非『世にも奇妙な物語』のストーリーとして採用出来るんじゃないか? よく出来ている話以上に、どうにも物語の雰囲気がとても似通っている。是非とも映像化して欲しいと俺は願います。【278P】
Posted by ブクログ
『暴落』がわかり易く面白かった。株をあげるという日常的に使う言葉がリアルに自分の株価を上げる事だとは。過去を精算、毒親と縁切り、結婚で成り上がる、全部自分の株価につながる、よってインサイダー取引が起こるって。他にない作家さんだと思う。
Posted by ブクログ
一話目の暴落が、とにかく非常に大好きでした。二話目の受難もめちゃくちゃよかったです。したがって、満を持しての三話目、ホラー大賞短編賞でもあるということで期待値爆上がりの状態で挑んだものですから、若干、いやほんと若干ですよ、肩透かしを食らった気分になりました。俺だったら暴落で応募するな、と大変失礼なことを考えたりしました。ホラー大賞なるものの基準がわかりませんけれど、もしかして暴落で出してたらこれ(どれ)、あったのでは⁉︎と思ってしまったわたしのことはどうぞ真っ先に手術台へ乗せてください。
タイトルもいいですよね。なんてことないように感じるかもしれませんけど、鼻とついていなければ、全く違ったお話として受け取っていたと思います。言葉選びが素晴らしいなというのと、発想の豊かさと緻密さ、それでいてしっかりと芯が通っているので遠くないんですよね。ちゃんと近い話になっている。だから怖いし面白い。そこが本当に心臓ひと突きポイントでした。幸せですね、こんなに鋭利な先生に出会えて。感謝しかない。
Posted by ブクログ
怖くてすぐ読み終わっちゃった。短編3篇ともイヤな感じが続く…
「藁にもすがる獣たち」が好きで、他の曽根作品読みたくなりまして
全く違う世界の話だけど共通してやっぱりなんかかっこいいんだよ文章が。うすらかっこいいの。
ご本人、すごくユニークな方らしくて(あとがきより)それがうかがえるね。
新装版になる前の表紙もこの表紙もなんだかな、合ってないな
Posted by ブクログ
ホラー短編集
ホラージャンルは正直疎いのだけど表題作の「鼻」
エルロイ文体の刑事パートと外科医の私パートが結びつく圧巻のクライマックスに盛大にKOされた
他も楽しめた
こういうのがあるのならホラーももう少し熱心に読んでいかねば
見事な病み具合に心躍りもうした
少しずつ手を出してみよう
Posted by ブクログ
軽い文体なのでサクッと読める。読みやすいが構成は複雑なので読後感も満足。
読んだ印象はテレビの「世にも奇妙な物語」的な感じ。不思議な世界で展開されるストーリー、どんでん返し。でも結末はブラックなのでそのままテレビ番組にはしづらい。
・暴落
国民全員に株価評価がついてまわる世界で、評価が暴落していく男の転落劇。
・受難
監禁された男の前に次々と現れる奇妙な人々。誰も男を解放しようとしない。監禁された理由は?助けてくれないのはなぜ?
・鼻
豚と呼ばれる人々がテングと呼ばれる人々を差別する世界で、豚の医者がテングの親子を助けようとするが…。
Posted by ブクログ
幽霊ではなく人的な怖さのホラーでした。
なんだかんだ全部楽しく読ませてもらいました。鼻は、およ?という感じだったけどホラー大賞なのですね。
なんとなくハサミ男を思い出す感じがしました。
特に救いがない感じが好感触。
Posted by ブクログ
暴落:割り切った話し手と設定で面白かったが、最後の部分はいささかテンプレートで単純すぎ。
受難:宗教的意味合いはあり、深読み価値はある。救いのない展開には少し辛い気持ちだが、インパクトを感じる。
鼻:構図としてとても斬新とは言えないが物語は傑作!脳内世界の構築は素晴らしいし、二人の因縁の「再会」も皮肉で面白かった!「俺」の記述は更なるブラックユーモアを加えている。
とにかく最近で読んだ本で一番良いかな!
Posted by ブクログ
角川ホラー文庫、久しぶりに読んだかも。
暴落、受難、鼻、の3編。
私は「暴落」が一番好き。設定がまず面白かったし、先が気になる展開で一気に読んでしまった。主人公がどんどん悲惨なことになっていくのも読み応えがあった。
「受難」は終盤になるまで不可思議な部分が多くて、よくわからない状態ながらもやっぱり一気に読まずにいられなかった。
「鼻」は少し難しかった。読後にしばらく考えて、解説で補完もして、理解したくてもう1周した。そうしたらとても面白かった(笑)。
どの作品も、あり得ないような展開。救いの無さもすごい。だからこそ余計に面白いのかな。こういう、悪〜い話、けっこう好き。人間が一番こわいよね!
Posted by ブクログ
3つの短編からなるホラー小説。
それぞれが趣向を凝らしてあって面白かった。
3つとも世にも奇妙な‥的な物語だったが、(すでに原作になってたのかな?)特に「受難」のまともに話が通じない不条理さがなんとも言えずもどかしかった。
Posted by ブクログ
「暴落」「受難」「鼻」の三編。
「鼻」は第14回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作だそうです。
三編とも世にも奇妙な物語テイストで、じわ怖で面白かった。
特に「鼻」は大賞受賞作というだけあって、すっかりやられてしまいました。
後書きの解説読むまでいまいちわからなかったのですが、解説読んだ後思わずもう一回読み返してしまいました。よく作りこまれた話で、良質ミステリー読んだあとみたいな衝撃でした。これはすごい。
Posted by ブクログ
『暴落』が好き。★3.5。『受難』はオチが大体読めてしまったのと、物足りなさで★2.0。『鼻』は解説を読んでやっと騙されていたことに気がついた。★3.0/5。この作家のホラー小説を他にも読みたい。
Posted by ブクログ
「暴落」 「受難」 「鼻」の三部作の短編集でした。
個人的には一つ目が一番好きだったかな。
鼻に関しては、解説を読んで初めて理解した。
テングとブタの、種族の生き残りを賭けた大戦争を想像していたけど、もっと身近で気味の悪い話だった。
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こう言ったもしかしたら実現できる?ような世界の中での人の怖さを存分に楽しめた。
個人的には暴落が好きで鼻はあまり話がわからなかったがうとうとしながら読んだので2度読みして見てから再度本の評価をしたいと思う。
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個人的には『受難』が面白かった!
不思議な世界観があり、こういう内容の本を
読み慣れていない私にはなかなか読み進めなかった。
特に『鼻』は終わりの方で話が分かると
一気に読めるけど途中の方で
「テング?」「ブタ?」と
訳分からなくなってしまうことがあった(笑)
Posted by ブクログ
どす黒い物が読みたくて、手に取りました。
″恐怖″の深淵は″理不尽″にあると考えています。
そういった意味で
とても怖く、面白い作品です。
表題の『鼻』
面白かった。
Posted by ブクログ
そこそこに楽しく読めた。
人間の価値を株価のように表した世界「暴落」が面白かった。PSYCHO-PASS然り、高度な管理型社会も近いのかもしれない。
Posted by ブクログ
「暴落」、「受難」、「鼻」の3編からなる。
暴落
人に価値を結びつけるとどうなるか、暴落するとどうなるか、というもの。
メガバンク勤務の主人公が法令に抵触しまくるあたりに疑問を抱く。
またミステリの読みすぎか、オチが読めてしまう。
ただその世界観から漂う臭気には、息の詰まるような凄まじいリアリティを感じた。
受難
都会の闇に閉じ込められる男。
ビルの間に構築したディストピア。
世界不信になる恐れのあるほど、重みのある現実味を帯びた描写。
様々な人が関わりながらも負の底へ落ち込んでいくさまが、受難一言では明らかに足りていない。いい意味で。
鼻
うまい。初読は意味がわからない。再読。
真実と向き合った時に訪れる反転。
ただアンフェアといえばアンフェア。
主人公の狂い方、世界の捉え方に、作者の意図した脚本上の調整を感じる。
Posted by ブクログ
ホラーというよりブラックな怖さでした。
収録されている「暴落」「受難」「鼻」では、「受難」にゾッとしました。ピンチなのに、やってくる人誰一人まともに話が通じないの怖い。ひょこたんはこうやって霊騎士だと思った人を弱らせては埋めてるんだろうか……
「暴落」は筋が通ったわかりやすさ読みやすさでしたが、その分?「鼻」の狂気が際立った気がします。「私」はずっと彼だけの世界に居るんだろうなと。。体臭恐怖症の刑事も彼だけの世界だったけど、「私」の見ている世界の方が歪でした。
Posted by ブクログ
2022.05.07
「熱帯夜」に引き続き2作目。
熱帯夜と同じくテンポ良くほどよくグロいブラックユーモアな作風はそのまま。
ちょっとSF的な架空の近未来のような設定も新鮮で面白い。
「受難」は登場する助け?に来る奴ら3人とも話が通じなさすぎて混乱するし主人公と同じく絶望する。でもそこが面白かった。
「熱帯夜」の時も思ったけど、「鼻」もそれぞれ別の視点からの話がどうつながるんだ?と思いながら読み進んで、最後に見事に無理なく伏線が回収されてとても上手いなあと感心する。気持ち良い。
この作者さんの小説はすごく大好きな作風というわけじゃないけどどれも後味が悪くて次もなんとなく読みたくなる後引く読後感。
巻末の解説は滅多に読まないけれど、解説まできちんと読んでしまった。
作者さんの経歴と、仕事への動機が面白い。
Posted by ブクログ
中編3本収録作。
最初の2作品は、「世にも奇妙な~」的な雰囲気を感じた。
読み始めは(なんじゃこりゃ笑)と思ったけど、これはこれで確かに恐ろしい結末。
表題作「鼻」は、色んな意味で最後の方まで「?」が抜けなかった。
結末には他の2作品と同じくびっくりはしたけど。
なかなか見破れなくてちょっと悔しかった(^_^;)
Posted by ブクログ
再読。
曽根圭介『鼻』を読んだ。おもしろかった。
表題作はホラーというより、いわゆる叙述トリックで、驚きの結末。
他の収録作も充分楽しめた。いずれも実に後味が悪い。時代風刺の要素もあった。
Posted by ブクログ
3編とも不条理と絶望にストンと落とされる感覚がスリル満点。表題作が一度読んだだけじゃわかりづらいけど、わかった時は狂気と狂気の暴風渦の中に取り残されて呆然。
こんなに自分は他人の不幸を楽しんでしまう人間だったのか…そんな後ろめたさも飛び抜けた発想の遥か彼方に遠ざかる。
著者の独特な切り口のホラーをまだまだ読みたくなる。