感情タグBEST3
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「熱帯夜」「あげくの果て」「最後の言い訳」の3作品。
叔父から譲り受けた電子書籍に入っていたのでどのような作品かも知らずになんとなく読め始めたが、どれも色んな意味で気持ちが悪かった(褒めてる)。
非現実的なグロい描写と、現代社会を皮肉ったリアリティのある描写とが混在していることで独特な世界観になっていると思った。ラストにかけて想像をいくつも裏切っていき、綺麗にオチるところでさえも気持ち悪く感じる(ほんとに褒めてる)。
バッドエンドものに耐性がない私でも、なんとも言えない読後感と引き換えに3作品続けて読んでしまうほどの不思議な面白さがあった。
私は「最後の言い訳」が好き!他の2作とは異なり、ちょっと切ない。
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ブラックユーモアなホラー小説。
今まで読んだ本の中で本作が一番好き。
熱帯夜のラストに向かって収束していく
スピーディーさと最後の言い訳のオチがたまらなく好き。
特に最後の言い訳は設定もさることながら
そのオチの面白さにゾクゾクし、読み終わって爆笑してしまった。
この世で2番目に好き
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―――タイムリミットは2時間。
美鈴とボクをヤクザの人質にして金策に走った美鈴の夫は戻ってくるのか?
ボクは愛する美鈴を守れるのか!?
緊迫の展開、衝撃のラスト。ミステリとホラーが融合した奇跡の傑作。
日本推理作家協会賞短編部門を受賞した表題作を含む3篇を収録。
久々にホラーの新規開拓
曽根圭介完成度高いなー
・熱帯夜
上記参照
まさしくミステリとホラーの融合
叙述のしかたも丁寧
・あげくの果て
近未来の日本が舞台の、ブラックすぎてシャレになりきれてないホラー
夫婦がそれぞれ金の鎖と櫛を贈り合うあの寓話を、5段階ぐらい救いのないものにした感じ
・最後の言い訳
いわゆるゾンビもののホラー
主人公のダメさ加減と、社会の変化をあらわす新聞記事の黒さが秀逸
“世界は狂った お前はどうだ”
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どの作品も、意外性のあるオチが楽しめた。
特に、代表作の「熱帯夜」は、オチの意外性だけではなく、無駄と破綻のない騙りのテクニックがとても秀逸だった。
「あげくの果て」はオチの予想がついていたが、個々の決断が皮肉な結果を生む過程と、各所にちりばめられたブラックユーモアが面白かった。ただ、もう少しコンパクトにまとまっているほうが読みやすいように思えた。
「最後の言い訳」は、「あげくの果て」以上のブラックユーモアが楽しめた。特に、タイトルが良かった。
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この筆者の時系列や人物の視点を書き分ける技術は秀逸だと思う。
また、ラストに必ずひと仕掛けけあって読んでいて飽きがこない。
そして、何よりも素晴らしいのがアイデアの意外性。単に荒唐無稽なだけでは終わらず、リアルな情報をちりばめることで現実味を持たせることに成功している。多少グロテスクな部分はあるものの、辟易するほどではない。
どんな人にでも心から勧めたい一冊。
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ホラーとミステリの融合。その言葉通りなのですが、やはり曽根圭介の作品群は、ホラーの色が濃い気がする。しかし、真っ当なホラーではなく、こう、ぞわぞわっとさせるのではなく、ぬめぬめっと背筋を這い回る半透明の温いスライムみたいな作品群というべきか……。気持ち悪いけど気持ち良い……そんな感慨を抱く。本書に収められた三編も、それぞれが、ぬめぬめっとした柔らかくて気持ちの悪い味をした物語。だけど、凄くそれが良い! なんてなってしまった私は既に曽根中毒に陥っているのでしょう。
表題作の『熱帯夜』にはやられました。ここまでスパーンと上手いこと書き切ってくれると、本当に清々しい気持ちになります。クスリと笑わせながら、不条理の味が滲み出ており、また悉く予想を裏切ってくれる展開は「最高っ!」の一言。もう、読んでて何度ニヤついてしまったことか。ホラーなんですよ? ミステリーなんですよ? なんでこんなにニヤニヤしてしまうんだ……不思議。だけど、それが曽根圭介の魅力なんでしょう。多くは語りませんが、本書は絶対に多くの方に読まれるべきです。『あげくの果て』と『最後の言い訳』の後味の悪さも何ともいえない。もう作風がバッドエンドだから、暗雲立ち込める方向へとどんどん突き進んでいくんですけど――どういう結末を迎えるのか気になって、どんどん読み進めてしまうんですよねえ……。凄いです。【263P】
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久しぶりに、曽根圭介はヒット。3編の短編集だが、はずれなし。
■熱帯夜
どんでん返しの回数にびっくりしました。
もうね、どん底とスッキリが繰り返しすぎて…
■あげくの果て
高齢者問題。ラストはまぁ、続いてもいいんじゃない?とか思うが…設定のディテールがすごい
こんなことにならないように、みなさん政治に参加しようね。
■最後の言い訳
壮大な夢オチばりに、そこまでひっぱってそんな言い訳すんなよって、大、大、どんでん返しおち。
すぐ読み返しますよこれは。
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相変わらず曽根さんは意表を突いてくるなぁ。そこに緊迫感とブラックユーモア、人間の滑稽さと悲しさが絶妙に同居。上野のパンダの名前には思わず笑いが漏れたw
「あげくの果て」の結末はちょっと締まらなかったけど、「最後の言い訳」はオチもついてかなりの快作ならぬ怪作だと思う。
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曽根圭介の短編ホラー、面白い〜!ホラーといってもおどろおどろしいものでなく、ブラックユーモアが効いているのがなんとも好み。ただ評価は同じ星4つながらも、同じ短編ホラー集の「鼻」の方が面白かった。
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うまい。日本推理作家協会賞を取っただけあり、ホラーと推理小説の上手いクロスオーバーである。
読者は文章を時間を追って読まねばならないところを逆手に取った作品。最初の状況からよもやこんな結末になってくるとは予想だにできない展開である。
女性との関係、女性自身の姉妹関係、性交関係、殺人関係 等々。これでもかこれでもかというどんでん返し。
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エゲつない表紙でお馴染み(?)の「あげくの果て」を「熱帯夜」と改題し文庫化したもの。内容は「熱帯夜」「あげくの果て」「最後の言い訳」の三篇。
なかでも、近未来SF「あげくの果て」がずば抜けて良かったが、個人的(年齢的)にシャレにならない題材で、その強烈なブラックコメディっぷりにくくく、と笑いながらも背中に汗したりして…(苦笑)
もちろん、小説ならではの展開が冴えるサイコミステリ「熱帯夜」も、世相をパロったゾンビギャグが炸裂する「最後の言い訳」も構成・物語共々ハイクオリティなブラックコメディで大満足の一冊。
ああしかし、俺もいずれは「難局二号」で東シナ海に投入されるんだろか…生ける軍神…おおヤダヤダ(笑)
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ミステリというより、ブラックユーモア・エンタテイメント。話の展開にスリルとスピードがあって面白い。ゾンビの話も気持ち悪いが、いいところでエンタテイメントに仕上げている。ホラー小説を得意とする作家の本領発揮。
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作者の小気味よい底意地の悪さ、
もとい小説という表現の舞台に対する一種の軽薄さが実に中毒性がある
本作に収録されている「熱帯夜」「あげくの果て」「最後の言い訳」のどれもがきれいにまとまった短編作品
ただ作品全体に漂う退廃した雰囲気、
特に「最後の言い訳」ラストのちゃぶ台返しには
「小説とは格式高いものである」なんて高尚な思い込みを持っている奴ほど面喰らう
直球勝負などはせず、超山なりのスローボールやふにゃふにゃ曲がるナックルボールで打つ気満々の四番バッターを手球に取ってグローブの裏でニタニタ笑いながら悠々とベンチに帰っていく
テクニックのある人間が本気で読者を舐め切ってやろうとしたためた
そんな小説への軽薄さに中毒的な心地よさを覚える良作
Posted by ブクログ
2022.04.24
あまり読んだことのないタイプのホラー小説というのか、SF小説というのか…
読みやすいけど、グロめのブラックユーモアが効いてるホラーは初めてかもしれない。
面白かった。
サクサクスイスイと読めるしわかりやすくて気持ちよかった。
「熱帯夜」は、うまくまとまってそーゆーことか!とグロさもあったのに読後はスッキリ。
読み進めるのに苦労した本がしばらく続いたので軽快に読めて、すぐ読み終わって嬉しい。
「鼻」も気になっていたので、次回読んでみる予定。
Posted by ブクログ
笑窪(エクボ)ありますか?
あばたも笑窪ってくらいだし
やっぱ笑窪ってチャームポイント。
この作品、わずか約60Pなのに負の連鎖盛り沢山。
タ○リの世にも不思議な物語的で面白かった。
読後、思い出したアメリカンジョーク。
若い男女が深夜の公園でデートしていたら
突然、大男が現れ「オイ、俺と付き合えよ」と凄む。
彼氏は彼女に「逃げろ!」といい彼女を逃がす。
大男はふふふ・・・と笑いながら
彼氏を暗がりに連れて行きズボンを下ろす。
これはこれで、怖いだろうなぁ
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「鼻」の作者。同じく3編の中編集。ホラーと言いつつも、前作同様「世にも奇妙な物語」チックで、世界観が独特。その世界観にゾッとするような背景がありますが、叙述トリックや物語の収斂性に面白さを集約しているようなところもあり、純粋なホラーとしては楽しめなかった。つまらなくはないですけどね。
しかしここ最近の和製ホラーは、恐怖に直接語りかける作品があんまり多くないような……?
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下記3編からなる短篇集。
①『熱帯夜』・・・☆☆
凡庸。設定自体が面白いだけに残念だ。
②『あげくの果て』・・・☆☆☆
世界観と物語の構築の仕方が素晴らしい。
③『最後の言い訳』・・・☆☆☆☆
現代日本を皮肉たっぷり。ブラックユーモア満載。そして切ない。
非常に良くできたゾンビ物語だ。ただ。。。
いずれも「後味の悪さ」が舌に残る。いい意味でも悪い意味でも。
特に3編目。別の結末も読んでみたい。
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昔「鼻」を読んで以来、ファンになっていた曽根圭介さんの新作を本屋で見かけたので購入。
期待し過ぎたためか、あまり心に残らなかった。確かにかなり上手な作品だと思うのだけれど。
…趣味趣向が変わったのかしら。
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ホラーばかりでない短編集。一作目はミステリっぽい叙述もの、二作目は筒井康隆っぽいブラックユーモアもの、三作目も同じような感じ。筒井康隆系というのが一番近いと思う。
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日本推理作家協会賞受賞作といえば名作が多い。だから「熱帯夜」に対する大きな期待を持って本を取り寄せた。が、読み終わって、え? って感じだった。確かに展開にだまされた部分もある。が、傑作「鼻」のドンデン返しとは質が違うと思う。こういうのを背表紙に書いてあるように「衝撃のラスト」と言うのだろうか? 悪くはない。けど、個人的には凡作に近いと思う。
ただ、他の二作はなかなか良かった。老人徴兵制度という衝撃的な設定の「あげくの果て」
は、設定どまりでなく、ある三世代のそれぞれのドラマを積み重ねていき、読み応えがあった。ゾンビが一般化した世界を描いた「最後の言い訳」は、タイトル通りそこが笑えるし、やはりそれまでのドラマも丁寧に積み上げてあり、秀作だと思う。
結果的には、買って損は無かった。
Posted by ブクログ
藤子・F・不二雄のSF作品を彷彿とさせるような切り口は悪くないし、構成力も水準以上だとは思うが、いかんせん展開、オチが普通。
もしかしたら期待値が高過ぎるのかもしれないが、ミステリーを標榜する(してなかったらごめんなさい)エンターテインメント作品としては、もうひと頑張りしてほしい。
Posted by ブクログ
グロイ。
食事しながら読むのはよくない。
でも重すぎない。
気軽に読めるホラー。
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