片瀬茶柴のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大円団!
原作を読んでいるので展開などは全て知っていたのですが、いやあ、本当に見事な漫画化でした。
原作者あとがきで書かれてますが、この漫画に関しては(原作者の方には嬉しくない言葉でしょうが)原作よりも漫画の方がより魅力的な表現ができているのではないかなと思います。自分、原作読んだ時全然琴子が好きになれなかったんですけど、漫画の琴子は本当に魅力的なキャラクターになっていると思います。
まあ正直、内容としては明らかに漫画よりも小説向きの内容で、これをあえてコミカライズしようとするのはよっぽど弾に困ってんのかなと編集部の内情を心配したくなっちゃうほどなのですが、片瀬先生が本当に見事な仕事をしてくれたと思います。
まあでも、自分も原作を読んだ上で漫画を読んでるので、漫画だけを読んだ時にどう思うかというのは本当のところ分からないのですが。
原作を読んだ時にもその論理のねじくれた構成に唸らされて、ぜひ続きが読みたいと思ったのですが、なんと!続編が決定ということで!本当にめでたい!
今度は小説抜きで漫画だけで読もうかな…(城平先生すいません)
あとはアニメ化かな!ぜひよろしく! -
Posted by ブクログ
トンデモ作中作の『新九郎忍法料理帖』と現実の殺人がリンクし始めた事で作中作のトンデモ具合にも深い意味が見られてくるのは面白い展開
特に現実の殺人が未解決であり、解決の鍵となりえる「金庫の鍵」が『新九郎忍法料理帖』の鍵である「賢者の石」とリンクするのは良いね。どちらにおいても鍵の行方が重要と成ってくるわけだ
ただ、これはそもそも『新九郎忍法料理帖』の主人公が九郎に似ているのではないかという疑惑から始まった調査。このトンデモ作に九郎はどう反応するのかと思いきや、琴子とは別ルートで知っていたというのは何とも間の抜けた展開
心配されずとも、九郎は九郎できちんと小説に籠められた想いを知っていたわけだ。おまけにそれを書いたのが人生の転機に関わる女性なら尚更に手助けしてやりたいとも思うか
桃子の明かす話は一種の犯人の自白に通ずるものでありつつ、本作が正統派ミステリではなく変則球の『虚構推理』であるように、これがそのまま答えに成るわけではない
桃子が話の続きを執筆し兄へと届けるのが困難であるように、予定されていた真実ではなく虚構へと作中作を塗り替える必要がある
まあ、だとしたら琴子がミステリと思い込んでいた物語がミステリでは無かったのは厄介だろうなぁ(笑) いや、読んでいるこちらもサラッと騙されたシーンだったけども。
未執筆部分の展開が琴子の予想の斜め上を進むように、谷崎マルスを現実においても犯人扱いするには斜め上の発想が必要になる
それは虚構構築において秀でた能力を求められる知恵の神・琴子にこそ求められる役割か
と、ここまで考えると今回の事件、琴子って『新九郎忍法料理帖』を発見する手柄は立てているけど、他の面では結構出遅れが目立つようなと改めて思ってしまったり
現実にリンクする殺人に気付いたり調べたりしたのは六花だし、前田雄司が誰にリンクするかも気付いていなかった。極めつけは作品ジャンルの勘違いか
事件の推移が予想から外れた為に小さな失敗をする事はあれど、明確な失策なんてそれこそ『逆襲と敗北の日』くらいしか印象にないだけに、今回の当て推量が外れる琴子の姿は少し意外に思えたな
それだけに最後くらい格好良く締めて貰いたいものだが -
Posted by ブクログ
ろくろ首の葵と良助のエピソードは印象が二転三転するミステリ然とした内容だったなぁ…
82話で描かれた内容は『雪女のジレンマ』を思い起こす要素と見え、異類婚姻譚として申し分のない逢瀬と思えた
なのに真相と共に明かされるのは、ただの妖怪を恐れる人間、人間を祟ろうとする妖怪という昔話として嫌な意味でよく聞く話
というか、葵の正体がバレてしまった時に良助の中から愛情よりも恐怖が勝り、良助の裏切りを知った時から葵の中で愛情が消え去ったというのは哀しくは有るのだけど、それによって二人が辿ったのが復讐であり計画殺人だった点も併せて『雪女のジレンマ』とは別の意味で人間と妖怪が共に生きる難しさを見た気がするよ…
『雪女のジレンマ』では探偵役の琴子はあくまでも解決策を授けてくれる脇役のようなものだった。お話の最後に現れて同行動すべきかを示してくれる
けれど、本エピソードにおける探偵役は九郎であり、既に良助が死んでいる以上は解決してやる真相も助けるべき相手も無い
だから、そんな彼が動くとしたら、それこそ彼女である琴子の為となるわけか
葵の言動やこれまでの証言に違和感を覚えていたのに踏み込まなかった彼が琴子の役割が見えた途端に動き出す。九郎の姿は彼氏然としているというより、琴子の見えない場所で彼女の安らぎを守る為にどれだけ苦労しているかが見えるかのようだったよ
だというのに、琴子はあっさり動いてあっさり事件解決の手筈を整えていたわけか
九郎は琴子が安らぐ為に、琴子は九郎といちゃつく為に。似ているようですれ違う理由の下で行動する二人は確かに恋人然としているね。ただ、このすれ違い感が今度どうなっていくのやら…と思わなくもないけれど
お似合いかは微妙だけれど想い合っているとは確実に判る
そんな二人を前にすれば真里奈に出来る事なんて何もなくて
この時、真里奈が負け惜しみを口にしたのはせめてもの強がり、または己を奮い立たせる為かと思ったのだけれど、どうやら作者後書きによると『すっぱいぶどう』を意識した表現だったようで
そうするとまだまだ吹っ切れてないのかぁ…という点に彼女が九郎と体験した昔話の後遺症は大きいのだな、ななて思ってしまったよ
ただ、それでも真里奈が「気味が悪いと思わないよ」と言ってやれたのは、己が人間か怪しく人生に展望を見出しているか曖昧な九郎にとって、せめてもの意味ある行動となったのではないかと期待してしまうが…… -
Posted by ブクログ
『廃墟に出会う』と『まるで昔話のような』は九郎をフューチャーしたお話だったようで
普段の九郎と言えば琴子に協力的であれば彼女のワトソンとして機能し、協力的でなければ事件の表舞台に立つ事もない。琴子が機能しない状態の時だけ彼女の役割を代理する事は有っても彼女より目立つ事はない
その意味では彼がどう行動するかが事件解決に直結するかのようなこの2編は珍しいと言えるかも
廃墟で九郎が偶然であった相良が語るのは姉の死に纏わる疑念
些細な不納得から始まった彼の調査は姉の遺言によって展開を広げるというのはミステリ然としているね
相良が話すのは自殺か他殺かという疑惑に絡むものだからおいそれと話せるものではない。それを話せたのは二人が旧友だったから
そうして話す内容から推理を進めていけば普通の推理モノらしく体裁が整うが本作は虚構推理。そうは問屋が卸さない
九郎の側とて些細な不納得から相良の嘘を突き詰めるのは別の意味で推理モノらしくなってくるね
普通は犯人の行動にこそ違和感を見出すもの。なのに事件の被害者と思われる旧友の行動に違和感を見てそこから事件に別の側面を暴き出すなんてワクワクさせる
ただ、虚構推理らしさが本格的に出るのは姉の遺言が「黒の看護師」という幽霊絡みであった場面からか
勿論読者はここで真実の一片を見通す。けれど相良が一般人に過ぎないなら、ここから始まるのは怪異を隠す虚構の構築。九郎の側にだけ見えている何かが有り、相良には見せない何かがある
それによって、ここでは複数の推理が混在しているね。姉の死の真相、九郎に見える真実、相良に見せるべき虚構。それを織り交ぜて推理する事になる一連のシーンは楽しいものだったし、最終的に琴子によって事件の裏側が明かされる流れはスッキリするものでしたよ
『廃墟に出会う』では端役だった真里奈が早くも再登場するとは思わなかったし、九郎に想いを寄せているのも驚きだったな
相良の件が姉の殺人という常識範囲内の事変から怪異に繋がったタイプだったなら、真里奈の方は怪異の目撃情報から殺人疑惑へと繋がるタイプか
住む者が居ない小さな借家に浮かぶ生首、行き詰まった弟が突如用立てた大金。どちらも一般人が好奇心で突撃するには恐ろしい類
ここで琴子に白羽の矢が立つのは納得だけど、突然依頼できないからってその相方の九郎へ依頼が来るなんてね。いつの間にか九郎も業界では有名人となっていたようで
しかし、真里奈は九郎に懸想していた女性。だから久方振りの再会でときめきを覚えるのは仕方ない筈…だったのだけど、九郎を見てその辺が吹っ飛ぶのはちょっと笑ってしまったなぁ
それだけに自らかつての恋心を明かして気持ちの清算したのは好印象。彼女は良い心意気を持っていると感じられるね
そのような再会を経て後ろめたさの無い関係を構築したかと思えただけに、九郎のあまりに酷過ぎる失言からの「大きいよ」には大笑してしまったよ。あれには7年越しの恨み辛みが籠もっていたなぁ(笑)
何はともあれ、向かった借家で怪異が現れるのは予定調和的として、それを真里奈も目撃した上で九郎の体質まで知る羽目になるとは思わなかった。まあ、生首から話し掛けられて、応えた方が事件解決に役立ちそうだったから仕方ないが
思い返せば九郎の体質について知ったのって琴子を除けば紗季以来か?
ここで真里奈が九郎の体質を知った事が事件の真相を知る上でどう活きてくるのか?そして良介と葵の間にあった繋がりとは何なのか?
あと、この件に胸の大きさってどう関わってくるのだろうね?