新津きよみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレサスペンスを普段読まないため、話に入っていけるか不安でしたが、読みやすい文体でかつ主人公のみの視点での文章だったので、とてもサクサク読めました。
とても文章は丁寧できちんとしており、物語の根幹にかかわる蘇りという大きな謎に対して直ぐに自分も不思議感を味わうことが出来ました。
最初は殺された主人公が蘇りによって謎解きをするのかという期待があったので、サスペンスという物語の流れとはこうなのかなという気持ちで読んでいたのですが、殺された主人公は残された周りの人々が今どうしているのか、ということが気になるようで、自分のいなくなった世界の話を、主人公の視点を通して話が進んでいきます。
個人的にそういった視点は面白かったのですが、(ここから物語の展開のネタバレになります)、主人公が蘇りに慣れていくにつれ、蘇りの憑依先の人(蘇りは憑依という形で成されます)の立場や人間関係が気になるようになり、それも確かにとても人間的な感覚であり納得できる考えなのですが、行動がどんどん本筋(だと思っていた主人公の殺人)からずれ、さらに主人公の周りの残された人々の話からもずれてしまっていくのがもどかしく思えました。
その後主人公の取った蘇りの際の行動に無関係に(全く無関係とまでは言えないのですが)、犯人が捕まったので話は終わりを迎えます。
話の広げ方はとても速かったため、主人公の人柄を理解させる心理描写だったり、時代を知らせる風景描写だったり、物語の前提条件をうまく知らしめられるような、それらの文章の展開のうまさに感心しました。ただ、話の進行や話の畳み方もまた同様で、あっという間に(うまく納得できないまま)終わってしまったので、余韻を味えるようなところがもっと欲しかったなと思いました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ学生時代、友人たちと交換していた日記が
大人になった私に回って(送られて)くる。
戸惑いと、少しの恐怖と、懐かしさ。
私も友達と交換日記をしていた青春時代を思い出しました。
複数人では交換していなかったけど、その子とは今でも1年に
1,2度会って近況報告をしています。
ケンカした時でさえ日記の交換をとめなかった。
お互い日記に言いたいことや文句を書きあった記憶…笑
新津さんといえば「女性の狂気」をこれでもかってくらい
体感させてくれるホラー作家というイメージ。
本作もどれほどの恐怖が味わえるんだろうとワクワクして
読んだんですが、ちょっと違った。
じわりじわり得体の知れないモノが近づいてくる緊張感は
あったけれど、どこか懐かしさとか、人によっては
勇気が湧いてくるかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『拾ったあとで』
大金を拾ったことで狂いだす女性の運命。
大金を手にした後の使い方で、その後の人生が変わってしまう。
『返しそびれて』
お金を借りた女は、返したいと思っているのに、相手が頑として応じてくれないことに困っている。時効が過ぎてしまえば、お金を返す義務がなくなってしまうのだ。一生貸しを作ったまま生きていかなければならないという少し特殊なお話です。
『切っても切れない』
離婚したのに切れない、姑との縁。
娘との血の繋がりが、主人公の女性を苦しめる。
『名づけられて』
もうすぐ子供が生まれる夫婦の話。女の子だと医者に言われていた妻は、「ナナ」とつく名前にしようと決めていた。しかし、生まれてきたのは男の子。夫婦は名付けに困ることになる。勝手に名付け親になろうとしている夫の両親は、妻が絶対に子供につけたくない名前を提案してきて……。
『信じていたのに』
一人暮らしの高齢の母親は、お人よしの性格。それゆえ、娘の尚美は心配事が尽きない。詐欺師からの電話が毎日のようにかかってくる上、母親の恒子がそれにいちいち対応してしまうからだ。そして、頻繁に恒子のもとを訪れる若い男性の存在に気付いた尚美は……。
『のちのちまで』
交通事故をきっかけに、結婚した夫婦。
夫には、以前付き合っていた彼女がいる。
その彼女が、また夫に接近しようとしていて……。
『間違えられて』
一本の傘が大きなカギを握る物語。
主人公の女性は、元夫との間にできた娘の親権を
もつことができなかった。それゆえ、2か月に1度しか
娘に会わせてもらえない。しかし、とあるファミレス
から下校中の娘の姿を見ることができることを知った
母親は……。
この中では珍しく、ハートフルな話だった。
解説は森村誠一さんです。 -
Posted by ブクログ
30年前、中学時代に4人で続けていた「交換日記」。
ある日突然典子のもとに「交換日記」が届き、送りつけたと思われるハセジュンこと長谷川淳子は遺体となって発見された。
死者が「交換日記」を届けられるはずもない。
では、いったい誰が?
典子は「交換日記」が届けられた困惑を抱えながら、一人娘・美咲の不登校問題にふり回される。
何とか美咲の心を理解しようと典子は思うのだが。
中学時代だろうと社会人だろうと、自分の居場所を求める気持ちは変わらないと思う。
疎外され、ひとりになっても毅然としていられる人間は少ないと思う。
ひとりぼっちなのではない。ひとりが好きなだけだ。
そう思い込んで無理をしても、結局は気持ちだけが疲れていく。
中学時代から30年の時が経ち、彼女たちは40代の女性になっている。
主婦として、母として、社会人として、それぞれに葛藤や悩みや問題を抱えながら生きている。
いくつになっても、どんな環境で生活していても、悩みや問題はついてまわるらしい。
40代になった自分を想像してみる。
いまとまったく違う悩みもあるだろうけれど、結局いまと同じような悩みも抱えたままのような気もする。
典子にとって届けられた「交換日記」は、家族がわかりあえるきっかけになった。
久美子にとって明美との再会は、人生をやり直すきっかけになった。
何かのきっかけで変わっていくことって、意外にたくさんあるのかもしれない。
どうせなら、良い方向へと変わっていきたいものだ。
新津さんらしい物語だった。