【感想】
うーん、耳が痛い。。。
自分がいかに「キャリアポルノ依存症」であったか、この本を読んでいて痛切に感じた。
確かに読んでいて何か成長した気になってしまうからなぁ。何も変わっちゃいないのに。。。
自分に必要な勉強、実学とは何なのか?
そもそも、生活の一部に過ぎない「仕事」について、それほど比重を置く必要があるのか?
改めて読書について見直す良いきっかけになった。
ただ、自己啓発書をALL否定するのは少し違うのではないかなとも思う。
読んだだけで満足しているのは確かに問題だが、軽く読んで元気になれたり、デトックス効果がある点など、仕事に対してプラスの要因も多数あると思う。
また、文中で「自分を変えることは不可能だし、変える必要もない」と成長することがあたかも間違っているというような内容だが、それはそれで少し的外れかな。
進化してきたから今があるのであって、自分をより良くしていきたい、生活をより良いものにしたいと願望を持つことは何も間違っていないと思う。
その願望を「自己啓発書を読む」という作業をしたことで完了したと誤認識するのではなく、しっかりと実行に向けて取り組むのであれば、それだけでも「キャリアポルノ」を読む価値はあると思う。
そのあたりの視点からすれば、自己啓発書をすべてがすべて「人生のムダだ」と非難するのは、少しおカド違いかなーというのが一番の感想(であり、反論。笑)。
要するに、読むだけで終わらずに、読んで何か「Do」をする必要があるってことでしょうね。
自身の能力アップの裏付けとなる学習もしっかりしなくちゃ成長しないってのも激しく同意。
要するにバランス良く読書をしなくちゃいけませんね。
【内容まとめ】
1.「キャリアポルノ」=自己啓発本を指す造語。
自己啓発書を読んで、「オレって何かスゴイ」と興奮するが、現実が改善された形跡がない。。。
そういうあなたは「キャリアポルノ依存症」です!
2.英語圏の「自己啓発」の定義は、「啓発」というよりも、「自発的に何かをやり問題を解決すること」が目的で、「成長」や「鍛錬」ではなく「Do」の意味が強い。
3.本を読んだだけで、その人の哲学を理解できると思ったら大間違い。
自己啓発書で描かれるような成功した人になるには、大変な努力が必要です。
書いてあるノウハウを本当に実践する努力が必要で、身につけるには手間も時間もかかります。
読むだけではどうにもならないのです。
4.「普通ではない人」の真似を「普通の人」がするのは、そもそも不可能なのです。
ところが、キャリアポルノを読む人たちは、「普通ではない人」の型を知りたがり、読みたがり、模倣したがり、錯覚を起こしてしまいます。
5.私は私、あなたはあなた、成功者は成功者と自覚する。
キャリアポルノの著者と自分は全く違う人間であり、地球上に同じ人は一人もいないということを改めて自覚すること。
世の中は平等にできておらず、どの人も異なった身体能力、見た目、家族、背負ってきた歴史など、千差万別なのです。
6.仕事は仕事。人生のひとつの側面にすぎず、自分を表すことのほんの少しのことでしかないのです。
人生にはもっと様々な楽しみ、悲しみ、喜び、創造性を発揮する場面があり、仕事は仕事で「これは対価をもらうための活動にすぎない」と割り切ればいいのです。
【引用】
「キャリアポルノ」=自己啓発本を指す造語。
自己啓発書を読んで、「オレって何かスゴイ」と興奮するが、現実が改善された形跡がない。。。
そういうあなたは「キャリアポルノ依存症」です!
p12
欧米や北欧の書店には、こんなにたくさんの自己啓発書は置いていない。
書店で売っているのは宗教書、ミステリーや旅行記、歴史書、クライムフィクションなど、娯楽本が多い。
ビジネス書に関しては、会計や経営戦略などを書いた「専門書」が中心である。
p15
本書は、日本ではなぜこんなに自己啓発書が人気なのか、自己啓発書の問題点や、さらにこのように自己啓発書がもてはやされる社会で私たちはどのように働いていくべきなのか。
ということを議論したいと思います。
p25
英語圏の「自己啓発」の定義は、「啓発」というよりも、「自発的に何かをやり問題を解決すること」が目的で、「成長」や「鍛錬」ではなく「Do」の意味が強い。
p52
自己啓発書も基本的にはフードポルノと同じです。
自己啓発書で描かれるような成功した人になるには、大変な努力が必要です。
書いてあるノウハウを本当に実践する努力が必要で、身につけるには手間も時間もかかります。
読むだけではどうにもならないのです。
本を読んだだけで、その人の哲学を理解できると思ったら大間違いなのです。
p54
自己啓発書を読んで、やった気になっている人、何となく自分が凄い人になったような気になる人が後を絶たない。
そういう人に限って、会社の仕事は中途半端で、仕事に本当に必要な会計・技術・語学などいわゆる「実学」はほったらかし。
自己啓発書を読んで勘違いをし、ショートカットを使って痛みや苦労を経験せずにお金持ちになれると思ったら大間違いだ。
なぜなら、その根本にあるのは怠惰であり、模倣であるからだ。
p76
なぜ若者はこのような自己啓発書に惹かれるのでしょうか?
それは、読者の心の中に「不安」と「恐れ」があるからです。
親の世代は享受してきた職業的安定や経済的な豊かさを、自分たちは享受できないという「経済的な不安と恐れ」です。
p108
欧州はアメリカや日本とはそもそも文化が異なるので、自己啓発書に手を伸ばすことはありません。
その代わりに、公共物の破壊や暴動などに参加して、怒りを自己の外側に向けるのです。
何か不満があった場合、頻繁にデモや抗議活動を起こし、個人的な動機に沿った復讐をモラルを破壊することで伝える。
p114
日本でもアメリカでも、働く人がキャリアポルノにすがる理由は、仕事における競争が激しくなっていることと、また、良い生活をしたいが自分は努力したくないという「怠け者」や、現実を直視したくない「意気地なし」が多いからです。
p143
おしゃべりの内容は、他愛もないものです。
昨日は何を食べて良かった、バカンスはどこに行く、あの人は美しい、その素敵な服はどこで買ったのか、などです。
仕事の話はゼロで、楽しい話題が多いのです。
欧州では、真剣な顔で、「今度のプロジェクトは」なんて話をしても誰も興味を持ちません。
おやつの時間に仕事の話をする人は不粋なのです。ダサい人なのです。
利害関係なんて関係ないのです。人間として生まれたからには、毎度の会話も楽しくしよう、楽しくコーヒーを飲んでもらおう、コーヒーを淹れてくれる人も笑わせよう。
そういう愛情を感じる環境です。
p172
堀江貴文は、そもそも東京大学に入学できるほど学力に恵まれており、学生時代にプログラミングを独習し、自力で起業してしまった上、その起業を育てて敵対的買収を仕掛けるほどになった。
成功する起業家には、普通の人にはない入れ込み方や集中力、強迫観念がある。
「普通ではない人」の真似を「普通の人」がするのは、そもそも不可能なのです。
ところが、キャリアポルノを読む人たちは、「普通ではない人」の型を知りたがり、読みたがり、模倣したがり、錯覚を起こしてしまいます。
p196
・私は私、あなたはあなた、成功者は成功者と自覚する。
キャリアポルノの著者と自分は全く違う人間であり、地球上に同じ人は一人もいないということを改めて自覚すること。
世の中は平等にできておらず、どの人も異なった身体能力、見た目、家族、背負ってきた歴史など、千差万別なのです。
p210
・不安や恐れを可視化する。
→自分が恐れていること
→なぜそれが恐れになるのか?
→どんな時にその恐れを感じるのか?
→誰といる時にその恐れを感じるのか?
→何をするとその恐れを解消できるのか?
まずは原因を確定し、原因を嘆くだけでなく解決策を考え、それを実行するだけ!
p212
・不安や恐れを吐き出す。
プライドの高さが自分の心を痛めつける。
素直に感情を表現し、楽しく暮らした方が精神衛生上いいのではないか。
p223
仕事でこんな実績を上げた、こんなふうに昇進した、こんなふうに給料が上がった、同僚に勝った、偉くなった。
ということだけが人生ではありません。
仕事は仕事。人生のひとつの側面にすぎず、自分を表すことのほんの少しのことでしかないのです。
人生にはもっと様々な楽しみ、悲しみ、喜び、創造性を発揮する場面があり、仕事は仕事で「これは対価をもらうための活動にすぎない」と割り切ればいいのです。