夏樹静子のレビュー一覧
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購入済み
夏樹静子さんの本は、ずっと昔から読ませていただいていました。どの小説も全く時代遅れを感じさせないのには、驚かされます。このお話も設定は昭和のお話で、現在のようなテクノロジーを駆使している場面は、
一切無いのに、古臭さを感じませんでした。令和の今読んでも十分に楽しめます。
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悲劇のヒロイン「桶谷遥」
僕は「阪神淡路大震災」の前夜にこの推理小説を読みました。「インディアナ号」の7人の乗客全員が、それも「帰って来たヨッパライ」と言う歌みたいな異様な「声」に殺人容疑をかけられて次々と殺されていったのも実は「演技」だったと言うあらすじがとても素晴らしかったです。逆に1人だけ「インディアナ号」から海へ身を投げてしまいました主人公の「桶谷遥」と言う女性がとても気の毒です。主人公の父親の「桶谷正穀」は本当に狡い!「ホテル・コスモポリタン」の手抜き工事が原因の火事で多くの人々を死なせ、なんの罪もない自分の娘を「被害者遺族」の処罰感情の犠牲にしたのですから。
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初の夏樹静子作品
僕は年号が「昭和」から「平成」に変わってから間もなく、それも「角川文庫」として古本屋でこの推理小説の文庫本を見つけました。偶然にしてはあまりにも出来すぎているかもしれませんが、この推理小説、山本鈴美香先生の「7つの黄金郷」や萩尾望都先生の「11人いる!」と同じ時期に執筆されました。この推理小説の冒頭で交通事故死しました「山波始」と言う車のセールスマンの「77便が危ない」と言う遺言がとても印象的でした。また、「若月公一」と言うサラリーマンが「77便爆破計画」を察知した弟の「ガソリン抜き取り行為」によって77便に乗り遅れて命拾いしたと言うあらすじもとても素晴らしかったです。この推理小説の文庫本に収
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Posted by ブクログ
ちょっと驚いた
知っているようで自分の知識が間違っていた
これだから本て面白い
原因不明の体の不調を心療内科で調べたら、
精神障害による身体症状として適切な治療をされる
と思っていた
正しくは心身症といって
身体疾患のなかで心理的因子が密接に関係し障害が認められる症状を治療する
ただし神経症やうつなど他の精神障害に伴う身体症状は除く
うつは除くんだ!
なんでもうつ(パニックとか)と診断されてしまうと思い込んでいた
中高年の高血圧であっても心療内科で治療して改善されることもあるそうだ
作者の夏樹静子さんは腰痛が改善された
もちろんそれぞれ医療的ケアをしても改善がされないので、心療内科の -
Posted by ブクログ
明治22年(1889)明治憲法の公布以来行われてきた裁判の中で、のちの判決に影響を与えたものや、国・政府と対立したもの、冤罪だったものなど12件を取り上げ、書いている。小説家だけあって事件の様子は見ていたように再現されて読みやすく、また説明部分も、専門用語に頼らず分かりやすい。印象的なところ、感心するところ、いくつもあって付箋だらけになった。
翼賛選挙を、命を懸ける思いで"無効"にした裁判官。
冤罪と思われる被告人らを支援しようと、雑誌への寄稿などで声を上げた文筆家たちに対し、「裁判官は世間の雑音に耳を貸すな」という訓示があった話。
無罪と死刑判決が繰り返された事件。
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Posted by ブクログ
東医大の裏口入学を受けての天声人語でこの本を知り、リクエスト。
すると、書庫保存の昭和62年初版の文庫本でした。
昔の文庫本って、老眼に優しくない!と思いながら読み始めましたが、夏樹さんって、こんなに面白かったっけ?の世界。
短編集でしたが、どれもこれも緻密に構成されてて、面白かった。
表題の「暗い循環」は、二世医師からの、ってことなのかな。
ここに出てくる寄付金詐欺のやり方は今じゃ無理だけど、でも他の方法で現代でもいくらでもありうる話だと思う。
件の東医大は、ここから話が進み、女子や多浪生排除の話まででてきて、一体、どこまで広がるのか、この闇。
事実は小説より奇なのかもしれないね(笑) -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み始めて、話にのめり込んでいくごとに、奥が深くなっていく小説だった。
初めは、ソーシャルネットワークにおける単なる殺人だと思っていたが、それが被害者と加害者の親によってあらね方向に、事件が展開してしまった。
でもその真相を知るのは話の後半で、私はほんとにびっくりした。この小説の登場人物と同じように、ハコとメールのやり取りをしてたのは、永沢悟だと思ってたから。
朔子も悟も、被害者と加害者であるそれぞれの子供を思うあまりに行い、自分が犠牲になってでも子供を庇う姿がなんとも胸に突き刺さる。
永沢側は控訴して話は終わってて
「ええーー。これで終わり~~?」
と続きがどうしても気になる終わり方 -
Posted by ブクログ
「椅子がこわい」の著者
ご自身が、3年にわたり数多くの治療を経験し、最終的に心療内科にかかり腰痛を克服した経験をお持ちである。
その恩返しと言うのか、
14人の心療内科にかかった患者さんとそのご家族、そしてドクターにインタビューをし、書き上げられている。ちなみに、1症例目の報告は「腰痛」、ご本人の経験談の要約を書かれている。
作家の書いた症例報告は患者の表情や反応を詳細に書き述べられており、非常に興味深く読むことができた。
著者曰く、『症例の一つ一つに、患者と家族の人生の物語がある。』とのことで、読み進めるほどにそれが理解できる。
何らかの症状に苦しんでおられる方も、この本を読むことで