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Posted by ブクログ
明治22年(1889)明治憲法の公布以来行われてきた裁判の中で、のちの判決に影響を与えたものや、国・政府と対立したもの、冤罪だったものなど12件を取り上げ、書いている。小説家だけあって事件の様子は見ていたように再現されて読みやすく、また説明部分も、専門用語に頼らず分かりやすい。印象的なところ、感心するところ、いくつもあって付箋だらけになった。
翼賛選挙を、命を懸ける思いで"無効"にした裁判官。
冤罪と思われる被告人らを支援しようと、雑誌への寄稿などで声を上げた文筆家たちに対し、「裁判官は世間の雑音に耳を貸すな」という訓示があった話。
無罪と死刑判決が繰り返された事件。
1995年まで残っていた「尊属殺人」の加重規定。形骸化していた時期にあった対象の事件を、どう裁くか。社会の変化とともに、裁判も変わっていくことの難しさは今でもあるし、これからもずっとあるのだと思う。離婚など婚姻についても、社会情勢の変化に遅れつつ判例もついていかざるをえないことがある。
そして最後、平成9年。弁護士の妻が殺害され、弁護士は初めて"被害者"の立場に真の意味で立つ。それによって得た気づきや味わった無力感から、「全国犯罪被害者の会」の設立へと至るくだりでは、たたみかけるような文章に胸の詰まる思いがする。
平成16年に犯罪被害者等基本法が成立したことが、ほとんど奇跡のような大転換だと分かる。
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