中原淳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ残業はメリットがあった。でも今はそうじゃない。残業のメカニズムがいろんな視点から書いてあって面白かった。
・残業のメリット
日本は解雇が難しく労働市場に流動性が低いため、景気の波への対応を残業時間の増減で実施していた。
日本の労働者(男性)は、残業は増えるが、残業代確保と安定雇用と昇給というメリットがあったため耐えられた。
・現状
ー残業の見返りの約束が果たされなくなってきた
ー成長できない
・成長のためには、背伸びした仕事、振り返りすること、信頼できる人からフィードバックをもらえること
ー残業は集中する
・できる人に仕事が集中するため、残業は集中する
・その人は意欲的に仕事をするので個人としては大丈夫。その人のせいで周囲も”残業がいい!”という価値観に変わっていき、残業が感染する
・そんな環境で育った人が上に立つと、残業が遺伝する
ー残業代が生活費に組み込まれている
・残業削減が効かない理由
ー労働時間が正確に把握されていない
⇒見える化する
ー会社への信頼感がなく、やる気にならない
⇒コミットメントを高める
=色んな所で一貫して言う
=上司、キーマンが行動で示す
ー施策がやりきられず、やっても仕方ない感がでる
⇒死の谷を乗り越える、長期で見える化
⇒最終的には残業代減を従業員に還元
・上司にひつような力
ー決断する(やること、やらないことを決める)
ー把握する(現場の環境、進捗)
ーチームづくり(メンバー間の信頼をつくる)
・これから
ー成長のためには、人・本・旅
ー仕事外の時間を作って、質の高い経験を増やすことが大切 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私自身も入社当時は、時間が助長されているとまでは言わないまでもサービス残業が当たり前で、それによって自己成長を得ていたと思っており、それ自体を悪いことだとは考えなかった。逆に労基法順守、働き方改革や生産性向上という名目でサービス残業撲滅や時間外抑制を会社から求められることに対して、反発を覚えたこともあった。本書でいうところの「昔の武勇伝」を部下に語ることもあり、今の若手たちは自由に残業もできず仕事をやりたいのにできないという環境をかわいそうにおもってしまうことさえあった。
しかし、自分が若いころに得られていた成長感は効率の悪いものであり、誤った考え方であると大いに反省させられた。
一方で、これが個人的な問題ではなく、日本社会に文化として浸透し待っており、個人の意識を変えただけで変えられるような問題ではなく、国や企業が働き方改革などの号令や規制だけではなく、各職場に合致した具体的な具体的な施策をもって推進しなければ容易に解決できない問題であるということを理解した。
とはいえ、それを待つだけではなく、管理職の一人としてできることから少しずつでも始めてみる必要性を感じた。まずは、自分の考え方を改めることが最初の一歩だ。
日本以外は「ジョブ型(明確に仕事の範囲を規定した契約書に基づき雇用契約)」、日本は「メンバーシップ型(人を採用してから仕事を割り振る)」。後者では仲間意識が強くなり、残業も組織や会社全体の文化になってしまう。
欧米では「労働は」なるべく避けたいもの、といった「負の効用」を持つ概念。「国富論(アダム・スミス)」において、人間にとって労働とは「toil and trouble(骨折りと苦労)」と述べている。
一方日本人は「仕事」が「希望(幸せ)」を規定する傾向にあり、仕事の中に何か「幸せ」を見出したいという価値観を持っている人が多い。
従業員が雇用主や企業に寄せるこうした期待を「心理的契約」という。心理的契約はいわば労使間の「暗黙の了解」で明文化されたものではない。これまでの日本では、年功序列や終身雇用という「心理的契約」があったからこそ、残業も厭わずがむしゃらに働いてきたとしても、その「見返り」が期待できた。
しかし、「終身雇用」と「出世への期待」は、以前に比べて「裏切られる」可能性が高まっている。
経験学習理論では、①背伸びの原理(現在の自分の力では少し難しい能力が伸びる仕事をすること)、②振り返りの原理(過去の行動を振り返り、意味づけた上で未来に何をするべきかを自分の言葉で語れるようになること)、③つながりの原理(信頼のおける他社からのコメントやフィードバックなどを得て周りとのかかわりの中で学んでいくこと)、の3つの原理が欠かせない要素である。
一方、長時間残業では①は機能しても、②と③が機能しなくなってしまう。つまり長時間残業で経験を積み重ねる(①)だけでは成長できない。日本人には「努力信仰」と結びつく「量をこなすことが成長につながる」といった思い込みが強い。
日本企業では「残業あり、成果あり」(よく頑張った)>「残業なし、成果なし」(もっと成果を出せたはずだ)=「残業あり、成果なし」(まあよくがんばった)と評価される傾向が強い。
日本人男性は残業時間が減っても「家事・育児」の時間に変化はないが、女性は増加する。つまり、女性が社会進出することで、今まで以上に女性への負担が増える構図になっている。
残業が発生するメカニズムは、「個人の能力不足」ではなく、職場の雰囲気や人間関係の中で生まれる。「集中(優秀さに基づく仕事の振り分け)」「感染(帰りにくい雰囲気)」「遺伝(若いころに長時間労働していた上司)」。
残業が定常化すると、生活費を残業代に依存する「残業代依存」になり、残業が助長される。
残業削減は、個々人で解決できるものではなく、トップダウンで全社的に取り組まなかれば効果が出ない。単なる号令だけでなく、具体的な施策やフォローがなければ浸透しない。
経営学において、マネジメントのもっとも有名な定義は「他者を通じて、事を成し遂げる」。 -
Posted by ブクログ
働き方改革について、アカデミックなアプローチ。特にアンケートの結果を重回帰分析している点が勉強になった。以下、本文からメモ。
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・世の中の「働き方改革」関連情報は、枝葉ばかりを見て、木も見てないし、ましてや森も見ていない。重要なのは森を見ること。本来問われなければならないのは、「日本をどのような社会にしていくか」ということ。
★このような絶望的なすれ違いをもたらすのは、「データに基づく対話がされていない」ため。
×人は自分に関心がある分野にだけスポットライトをあてて、全体を見ようとはしない
★残業の個人リスク=健康リスク+学びのリスク
★残業の企業リスク=採用リスク+人材リスク+イノベーションリスク+コンプライアンスリスク
★残業の三層分析モデル(分かりやすい!)P53
★残業で幸福感が増す仕組み(分かりやすい!)P123
★★★★仕事の責任範囲が明確であればあるほど、優秀な人への仕事の偏りが抑制される
★多元的無知:みんなが「帰りたいと思っているけれど人は残りたいのだろうと思って残る」
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進め方
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・市場環境が変化する中で、このままだと自社がどのように推移していくか、経営の数字をもって語る
・〇〇は手段であって、目的は、自社が力強く成果を残すこと。
・長い時間かけて組織学習されてしまった〇〇の慣行を解除するには、〇〇という外科手術的方法に加えて、中長期的な効果を狙った「漢方治療のような施策」が必要になる
→「人材開発のナレッジ」と「組織開発の知恵」が重要
★組織学習を解除する3つの透明性
①業務の透明性
②コミュニケーションの透明性
③時間の透明性
★組織開発の鉄板フレームワーク
①見える化
②「ガチ対話」
③未来づくり=プランを作る
★組織開発のコツ
①武器を渡す(知識やスキルの教育、、研修・テキスト・ワークショップ。。)←おそらく筆者が売りたい商品
②トップの強いコミットメント
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アンケートの活用←おそらく筆者が売りたい商品
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×データは得たが使い方が分からない
×やりっぱなしになっている
★従業員調査で大事なポイント
①どの数字が自社にとって重要か
②解釈を邪魔する邪念に抵抗できるか
③データを誰がどう活用するのか
★測定しないことには修正できない
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Posted by ブクログ
仕事上での困難を乗り越えるために、とにかく何か学ばなければならないけど、何をどう学べば良いかわからない人にはヒントになると思う。
特に、大人の学びのための3つの法則と、7つの行動は学びを進める上での指針になると感じた。
ただし、学生までの学びに比べて、社会人の学びはその対象や目的など個々人による差が大きい。したがって、ここに書かれている指針には従ったとしても悩むことは多そうである。
これは自分に合っているのだろうか、と適宜振り返り、“違和感”を感じたら方向を修正するという作業を繰り返すのが良さそうだ。
個々人による差は大きいが、先達の学びの具体例も出しており、参考になる。正直なところ、紹介されている人たちのモチベーションの高さや意識の高さに少々圧倒されてしまい、自分とは違う世界の人たちだと思ってしまう面もある。そこをぐっと堪えて、自分もこれくらいやろう、という方向に自分を奮い立たせるツールにしたいと思う。 -
Posted by ブクログ
「横浜市教育委員会と立教大学経済学部中原淳研究室の3年間にわたる共同研究の成果」本。
本書には,横浜市の学校の職員から取ったデータが満載である。そして,そのデータに則って「持続可能な教職員の働き方は,どのように実現できるのか」を探っていく。
ここに出てくる結果は,田舎の学校の現状とあまり変わらないと思う。それだけに,全国どこの学校にいても参考になるのではないだろうか。
「働き方改革」には特効薬はないとしながらも,研究グループは,第4章「働き方を見直すアイディアとポイント」で次のような視点を教えてくれる。
○時間制限を設ける「キャップ系」の対策
○業務をやめる「カット系」の対策
○業務を手際良く「効率化系」の対策
○職場の風土を変える「漢方治療」の対策
上の三つは,「外科手術」とも呼んでいる。〈変化がすぐに目に見える具体的なとりくみ〉ということだろう。
しかし,「カット系」のない「キャップ系」の対策では,かえって悪い心理状態になるという指摘もしている。
多忙感は多少低いものの,健康不安は同等,ストレス・離職意識はなにもやっていないよりもかえって高く,やりがいや学校への愛着は何もやっていないより低くなっていた。(本書P132)
これでは何のための改革か分からない。やはり,行き着く先は「カット系」を増やすことしかない。
本書にはカットするものの中に「学力調査とその対策」には全く触れていない。これが本書の限界なのだと思う。
教員をめざす学部の競争率が低くなり,教員採用試験の競争率も低くなっていく現状があるので,教育委員会としてもブラックな状態はほおっておきたくないのだと思う。それにしても,もっと真剣な提案はできないものか? -
Posted by ブクログ
「女性活躍推進」が声高に言われていますが、はたして今の女性は活躍していないのかって素朴な疑問からスタートしています。女性はすごく活躍しているけど、望むときに選択可能な働き方が多様に用意されているかというと、まだまだ環境整備不足なのでしょう。
その職場作りが重要なのだけど、ここでの着目点は女性の働き方を「スタッフ期」「リーダー期」「マネジャー期」「ワーママ期」の4つの「トランジション」をとらえて説明しています。女性にしても男性にしても画一的に扱うのではなく個々の働く価値観が大切であって、女性の場合は、その人生のフェーズに置いてその価値観も変わっていくので、そのあたりを意識した職場作りが大切なんですね。 -
Posted by ブクログ
経営学者の金井さんと、教育学の立場から「大人の
学び」について研究している中原さんが、往復書簡の
ような形で綴っている一冊。
内省することの意義と、効果のある内省の仕方に
ついて、それぞれの立場で語っている。
現場のことを丹念に調べてあげていることが随所に
伺われ、示唆に富んでいて、説得力も十分。
マネージャ・クラスだけの本にしておくのはもったい
ない。
むしろ、これから管理職になる中堅社員が読むのが
いいかもしれない。
以下、気になった箇所を抜粋:
"他者からの「内省支援」を受けていればいるほど
成長感が高くなる傾向がある。"
"プレイしながら部下が育つ環境を整備しなければ
ならないマネジャーには同情する一方で、マネジャー
がプレイングの状態は、「部下育成のよい契機」に
なりえるのではないかと思っている。"
"「なぜ、そういうやり方をするのですか」と聞かれた
とき、「とにかく俺のする通りにやれ」と言って模倣を
強要するベテランは、単一ループ学習を押しつけて
いることになる。"
"二重ループ学習の大切さがわかっているベテラン
だったら、模倣を強いるのではなく、自分がやって
いる仕事の真の意味や、特定のやり方をしている
理由を、自らも内省しながら教える。その過程に
おいて、今までのやり方で本当に正しいのかという
深いレベルでの学習が生まれる。"
"エンドロールで内省する"
"自分の顔を鏡に映し出すのも内省のよい方法に
なりうる"
"研修の締めくくりに「正しい答え」が必ず述べられ
るのも、問題だと思う。
"「企業人材育成のあり方」と「働く大人の学びの
あり方」が時にコンフリクトをおこしてしまう"