中原淳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ新規事業系のセミナーで紹介があった本。
紹介でもあった通り、人と組織に着目された本であり、どのような構造を作ることが大事であるかについて記載されている良著。
メモ
・新規事業の敵は組織の構造
・新規事業は数の勝負。挑戦母数をいかに増やすか
・新規事業を任せるとは、権限を付与し、新規事業を創るプロセスを伴奏しながら支援し、結果に対する責任を共有するということ
・既存事業との関連を無視して新規事業を考えることはできない
社内外の様々な利害関係主体を巻き込み、資源を動員する組織的なプロセス
経済成果を生み出す活動
・新規事業には市場開発、新製品サービス開発、多角化に分類可能
・新規事業、アイデアの創出以上に社内の理解・巻き込みに苦労しているケースが多い。
・資源動員の仕組みが伴っていない新規事業・アイデアは報われることなく機能しない。プラン採用後に資金や人員を動かせることを保証するメカニズムが重要
・新規事業の4つのジレンマと11の問題
既存事業部門ジレンマ
既存事業部門とのミスコミュニケーション
既存事業部門からの批判
経営層上司ジレンマ
経営陣の反対
上司による場当たり的なマネジメント
上司による必勝前提としたマネジメント
部下ジレンマ
戦力人材を確保できない状況下でのマネジメント
後手に回る部下の育成
モチベーションの低い部下のマネジメント
自己ジレンマ
新規事業プランを生み出せないジレンマ
過去の成功体験に基づく施工体系の適用と失敗
新規事業部門の解散、または解散の危機
・新規事業には分析アプローチとポジティブアプローチどちらも必要。
・キーマンは経営者、新規事業経験のある上司、社外の新規事業担当者。
経営層が管掌している新規事業ほど業績が上がりやすい
・社外の創る人と関係を持つことの効果
事業での成果に対する効果
知の探索による外部資源獲得
事業アイデアに対する客観的評価の獲得
著名効果の(社内政治効果)の活用
事業を創る人の成長学びに対する効果
置かれた境遇の相対化
自己の市場価値の認識(自己効力感の増大)
自組織に対するエンゲージメントの促進
・新規事業に肯定的な組織風土は新規事業業績にポジティブな影響
・風土づくりのキーワード
会社の本機をトップ自らが示す
創る人が損をしない仕組みを創る
全員が事業を創る人になる仕掛けを用意する
新規事業を前者で育てる育成事業と捉える
・ -
Posted by ブクログ
ネタバレ残業に「学」が付いている通り、残業を学問的にとらえて分析した本。残業をどうやったら減らせるのか、減らすだけではなく、生産性の向上にどうやったら繋げられるかを期待して読むと少し肩透かしかもしれません。
が、存外面白かったという印象。
具体的な対応や著者のコンサル的な解決策は、本当の後半にしか出てきませんが、現場の声というか、ノー残業デーなんて意味ないよね、とかいう声もちゃんと把握、理解した上で展開しているのも好印象。
生活費の一部として残業代を考えている人がいる(自分の会社にもいた、いわゆる大企業なのですが)のに対し
て、残業代分を給与として還元している企業があり、効果が高かった、という件は、なるほどぉー、と。
残業が、個人の問題ではなく「集中、感染、遺伝、麻痺して残業依存になるのは職場や会社の問題」という主張に納得はするものの、自分個人として、自分を守ねばな
、と思いつつ閉じました。 -
Posted by ブクログ
教育のあり方をアップデートしていこうにも、それを担う先生たちの働き方には全く余裕がない。私自身、小学校に新しく導入されたプログラミング教育を普及するための研修を行う立場だが、学校現場には「これ以上、何か追加されるのはもう無理…」という思いが渦巻いているのを感じる。
このままではまずい、何か少しでも打開するヒントはないものか…そんな思いをもってこの本を手に取った。
冒頭に「本書は、1)学校の教育現場に勤める先生方が、2)子どもたちの未来に備える学びを準備するため、3)これまでの働き方を見直し、『持続可能な働き方』に転換していくための具体的な方法を、4)データに基づいてリアルに論じた書籍です。」とある。
横浜市の小中学校の先生たちを対象とした大規模な質問紙調査から得られたデータと、現場の取材から編まれたリアルな物語を組み合わせて、実態を浮き彫りにした上で展望を示している。
一番興味をひかれたのは改善を進めていく上での視点や考え方を整理した第3章。まず個人の視点では、1)完全燃焼タイプ、2)不安憂慮タイプ、3)何でも屋タイプと類型化し、それぞれの改善策を示している。いずれも共通するのは、自分の仕事の本質を見つめ直し、何をどこから効率化していくかを考えていくことである。
しかし、個人の取り組みには限界がある。組織としての取り組みを大胆に変えていくことが求められる。それを「外科手術」(即効性のある施策)と「漢方治療」(緩やかに体質改善していく施策)に大別している。外科手術には、1)キャップ系、2)カット系、3)効率化系が考えられるが、重要なのが打ち手の組み合わせであり、キャップ系(労働時間を強制的に制限する)のみだとかえって教員の心理状態を悪化させる。これは自分の見聞きした範囲でも、「定時退勤日があるせいで、むしろ他の日が長時間労働になった」という声を聞くことがしばしばあったという肌感とも一致する。単純な問題ではないのだ。
組織の取り組みについても、具体的な方法がいろいろ提案されている。本書を読んで改めて思ったのは、働き方の改善には現状認識とマインドセットの転換が必要だということだ。そしてそれには、個人の側面と、組織の側面があり、どちらか一方だけで何とかすることはできない。簡単なことではないと思うが、今の教師の働き方を改善しなければ、子どもたちの未来をひらく豊かな教育を実現することはできない。先生たち、管理職の皆さん、教育行政に関わる方々、そして学校を取り巻く保護者や地域の人々、それぞれの一人一人がここに書かれていることを理解して、行動していってほしい。 -
Posted by ブクログ
今朝は、なんで3千4百円も出してこれを買ったのか自分でも理由が分からない本を読んでいました。
『中小企業の人材開発』中原淳・保田江美 著、東京大学出版会
完全に学術研究書でした。
だけどもハウツー本という名を借りた自分語りを読まされるより、研究者の論文を読むほうが100倍楽です。構造化された文章はそれだけで愛せる。
本人は優秀なのに本として全く面白くなかった(役に立たなかった)歴代の時間を返せ書籍達は、南場智子(DeNA会長)『不格好経営』、岩田松雄(元スターバックスコーヒージャパンCEO・・・最近はジャパンを省略して元スタバCEOと誇大広告気味なところも胡散臭い)『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』、荒川詔四(元ブリヂストン社長・・・経営者としてすごく尊敬しているのですが、本は酷かった)『参謀の思考法 トップに信頼されるプロフェッショナルの条件』、伊賀泰代(マッキンゼー上がりのHRコンサルタント)『採用基準』あたりですね。
話を読んだ本に戻します。
検証の対象からマネジメントの方法論や組織、企業文化をばっさり削ぎ落としているのでかなり興味深い内容でした。人材開発はあまりにも複合的なプロセスなので散漫になりがちですけど、この研究はよく的を絞りきったと思います。
私は多変量解析や統計を使った学士・修士論文を書いたことがないので統計手法やモデルの解説は本当に全然わからなかったです。
大収穫だったのは組織市民行動(Organizational Citizenship Behavior:他者を支援するような、職務に規定されていないし、職務としても求められていない行動)という概念が経営学に定義されていることでした。
本書の内容の紹介として6.2 実践的示唆(p177)から引用します。
◆一般従業員の育成について
1)経験学習の概念について本人理解、管理職の理解を進める
2)中間管理職のマネジメント能力を高めて、職場学習機能を強める
3)顧客からの学習という概念について本人の理解を進める
◆管理職の育成について
4)管理職の育成は早期に行い、経験学習を促すこと
5)管理職の育成支援は、経営層が行いサポートすること
6)管理職の育成を補足するものとして研修が存在するが、研修で学んだ内容は職場メンバーに共有する場を持たせ、実践させること
しごく常識的な処方箋ですが、これを膨大な研究から導き出しているのが本書の仕事です。
一般従業員や管理職候補にタフアサイメントして経験を積ませるとうのは冨山和彦や三枝匡、稲田将人も言っていることでしたので納得性が高かったです。ただし、本書ではそこで上司からの業務上のアドバイスに学習効果が低いという悲しい研究結果が報告されています。ではどうすべきかというと上記1)の経験学習とう概念の理解が必要だと。つまり仕事として体系的な「経験学習サイクル(Kolb 1984)」を身に付けさせ、職場環境としてアフォーダンスしなさいと言っている。
ここでやはり管理職層の体系的なマネジメントスキル不足が課題となってくる。プレイヤーとしてしか経験を積んでおらず、マネジメントの概念をしっかりと学んでいない暗黙知に頼る管理職では部下に対して「経験学習サイクル」を促せないというわけです。
部下の業務の出来・不出来に対して「俺の頃は」という自分語りしかできない管理職では体系的かつ論理的なフィードバックを部下に与えられないので、「上司のアドバイスは学習効果が低い」という結果になってしまうのです。
ではネックとなる管理職にどうやって体系的マネジメントを学ばせるかというと、本書では「社外研修」と「研修内容の社内共有」「研修内容の社内実践」に効果があると言っています。要するにある程度の年齢の会社員がとても嫌がる座学の重要性を説いているわけです。しかも経営者が社内共有、社内実践を促さないとせっかくの研修も「こなすだけの消化試合」になっている実態も報告しています。
面白かったです。若手社員への上司の業務上のアドバイスに学習効果が低い・・・いやー、思い出しただけでも酒が美味くなります。企業の経営幹部、管理職の皆様には稲盛和夫の本を読むよりよっぽど有益な研究書だと思いました。 -
Posted by ブクログ
・ビフォー
転職と部署異動は似たような影響、環境になると感じていましたがまさに考えと事実論がデータに紐付いて一致して良かったです。
・気付き
現状に不満を感じて転職するわけではなく、負の見込みに気づき、将来への期待や希望が持てなくなった時やめようと離職方向を強める。
現在は過去を意味づけ、過去は未来を構想し、未来は現在を方向づける
・Todo
転職エージェントへの登録、市場価値の把握。
世間体の技術評価と自己評価のGAPを埋める。
その市場価値を考えた上で日々勉強を怠らない。
=必ず目に見える行動を起こしていく。目標との差分を振り返る。 -
Posted by ブクログ
企業の新規事業開発における課題として、人と組織に焦点を当てた本。
特に大企業の新規事業開発は人と組織が大きな問題になっており、統計的データやインタビューを交えて、その解決法を示す。
近い領域で働く者としては違和感なくその通りと感じる内容が多かった。
新たな発見は、アイデアより、社内交渉力が成功要因を握っているということ。
色んな意味で組織の力は偉大だと感じた。
企業の歯車でなくなり、個人として仕事のプロになるためには、他者に頼らない、自分で何とかする姿勢が必要と感じた。
幼い頃から「チャレンジ慣れ」できる環境があればよいのかもしれない。