中原淳のレビュー一覧
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人々が教育についてやたらと雄弁になる(なれる)理由は「誰もが教育を受けた経験をもっているから」であり、またそれが「『評価』の難しい営みであるから」という中原氏の指摘はもっともであると思う(P228)。しかし僕は、ある意味、だからこそこれまでこの分野にはそれほど関心が持てなかった。
人にものを教えたり教わったり、「学び」それ自体はとても好きなのだけれど、それは例えば「収益」といった形で定量的に分析・評価されるものでもなければ、そうするべきものでもないものと勝手に思っていたし、仕事との関連で言えば、本当に意味のあるのか疑わしい退屈な研修などを想起させるから、やはり関心のわかない分野であった。「人材 -
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導管メタファーでは伝えきらないことを「対話」で解決することの大切さを教えてくれる本。
読まれ易さを意識した装丁(一見稚拙に見える)もこの手の本には大切な要素で好感が持てる。
具体例を多用した記述はイメージが容易で非常に判り易い。
情報やデータをそれぞれがどのように「意味づけ」を行った上で「対話」というコミュニケーションで相互理解に帰着するか?という半分ワインの入ったボトルの話なんか秀逸。
僕自身は「対話」の大切さを著者とのFace to Faceの「対話」で学んだ訳ではなく、活字を通した「対話」で理解することができた。
「対話」はちゃんと書かれた活字をちゃんと読めれば、すなわちコミュニケーショ -
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平成15年の著作であり、ちょっと記事が古いところもあるが、登場する方々のそのときどきの気持ちはよく伝わってくる。
実力主義・能力主義に日本全体が急速に移行するため、働くために必要な力を付け、学び続けることが求められているのは言うまでもないこと。
院に行くと、全体を俯瞰できる力がつき、前よりも会社の組織図が小さく感じるようになった人も紹介されている。ほんの少しだが今の私もそういう瞬間がたまに訪れる。
・研究計画書を書くにあたり、先行研究のリサーチや、必要な知識については自ら手探りで勉強しなくてはならない。
・仕事も研究も、背景を認識し、本人の問題意識と解決する価値のある問題があり、それに対し -
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■概要
東京大学の中原准教授と、産業能率大学の長岡教授による、最新の書籍。
SNSなどの非公式なネットワークや、パワーポイントを使ったプレゼンテーションなど、情報の伝達・共有などが一昔よりも容易かつスピーディーに行われるようになったものの、「なんか伝わらない」「行動に移らない」という問題意識を時々耳にする。組織の理念浸透やOJTなどにしても、みんな言葉や技術、数値、やり方はそらで言えたりするのに、懸案が一向に解決しなかったりする。これらの問題は、すべてコミュニケーションのあり方に起因する、と著者らは言う。
唯一絶対的な解釈などない、人は事象に対して主観的な意味づけをすることで物事を -
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企業や組織の中のコミュニケーションの問題を取り上げ、議論や会話などとは異なる社会構成主義に立脚した「対話(ダイアローグ)」によるアプローチが学びにつながるというもの。ビジネスの文脈で語られてはいるが、もちろん、教育現場にも十分に落とし込めるなぁと考えながら読みました。「教員組織の学び」として捉えるのもよし、「学習者の学び」として捉えるのもよいだろうなぁと。
英語教育の文脈でよくある「達人の技を伝授的ワークショップ」などで起こっているコミュニケーションはどうなっているか、一方通行になっていないか、対話になっているか、と考えてみることは面白いのではないだろうか。別にワークショップを批判しているので -
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「対話」と「決断」
フラットに話し合い、相手の背景を理解した上で
決めて実行する
p.190よい対話例
再読
※会社や学校、付き合いや立場がある人間関係が毎日続く中で、フラットに話し合うのは難しいなぁ
※もし対話が成功するような人間関係であれば、その集団が出した結論はどんなものでも尊重され実行しようとするだろう。対話が成立する時点で本来の目的は達成されている
※その集団は上位下達が通用しないから、何をするにも対話と決断なら、合意形成にものすごく時間がかかるのでは?集団規模が大きい、定期的な人事異動があるならなおのこと
※対話を重ね以心伝心が成立する環境を作れたらなら、それは伝説の黄金のチ -
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在宅勤務が中心になってから、部下との関わり方が本当に難しくなった。対面する時間が限られていて、業務負荷が「ストレッチ経験」なのか「ただの無理」なのか、見極めがとても難しい。
この本では、成果につながらない状況にこそ“耳の痛いこと”を伝える必要があると説いていて、読んでいて何度も立ち止まった。伝えることで相手の心が折れてしまうのでは…という不安は、どうしても残る。でも、感情や思い込みを排して、相手の成長を信じて言葉を届けることが、マネジャーとしての責任なのかもしれない。
フィードバックは、相手のためだけじゃなく、自分自身の学びにもなる。そんな気づきが残る一冊でした。 -