乾信一郎のレビュー一覧
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【マープル】
冒頭のシーンが魅力的。
舞台は都会ロンドン、古き良きエドワード王朝時代そのままの佇まいを保つバートラム・ホテル。
高級で優雅でゆったりとした時間が流れるホテルに完璧なサービス。
ピカピカの銀製ティーポットで飲む最高級のインド茶葉の紅茶の味は最高だろうなぁ。
その描写がまるで映像のように鮮明に浮かぶ。
「ほんもののシード・ケーキでしょうね?」
出た出たー!!この名セリフ!料理の本で気になってたやつだ。
「だって彼は殺されたんでしょ?」
「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」
など、クリスティー作品はセリフも魅力的で、1度目にすると忘れられない。
由緒正しいイギリ -
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ネタバレ反則級の真相かもしれないが、それを予想させた上で上回ってくるからこそ成立する話。序盤から何かホテルに秘密がある(従業員は悪人?)ことを匂わせておいて、その真相は従業員はおろか宿泊客、その他大勢が皆強盗団というどこのオーシャンズ11やというお話。そんなんあり!?と言いたくなるけど、結末が予想外過ぎるから面白い!!そして、ドアマン殺しの真相は、ホテルとは別に二転三転するから楽しい。全く異なる思惑が入り込み、事件を起こし、最後には黒幕の人生すら左右してしまう。一人の女の金への妄執から一つの特大の強盗団が潰れることになるなんて。
事件の内容とは別に、何だかノスタルジーを感じさせてくれるお話。シード -
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まず、なにより邦題も「ネメシス」でよかったのではと。日本語にしてしまうと名称としての力強さがなくなり、少し説明じみたイメージになってしまう。ネメシスの方が復讐の女神より力強さや恐ろしさを感じるのは僕だけだろうか。
僕はクリスティがミステリにおける殆どの試行やトリックを編み出し使い尽くしたと考えており、彼女以降の作家は新たなジャンルや作風の工夫こそ出来うるかも知れないが、ミステリの観点でアイデアで彼女の創作を超えていく事は難しいと常々偉そうに語っている(笑)
ミステリの形式としては、1.犯人は誰か2.何故事件は起きたのか3.事件の過程を解き明かす4.叙述トリックなどが考えられるのだが、 -
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ネタバレ今まで読んだマープルシリーズは、どちらかというとマープル以外の登場人物によって調査が進められていたものが多かったので、今回のようにマープルの場面がほとんどの作品は私には珍しく、いつもと違った雰囲気を味わうことができた。
前作『カリブ海の秘密』でも印象的だったピンクのフワフワ、あの作品の中でこの場面だけが、話の要点は忘れても記憶に刻まれていた。今作でラフィール氏があのフワフワに言及した瞬間に前作と繋がり、しかも「ネメシス」という暗い響きとギャップが大きいこともあり、強烈な印象を残した。
事件の真相を、人や家から漂う「暗さ」から嗅ぎとる独自の捜査方法が面白かった。 -
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マープル
「カリブ海の秘密」の続篇。ただし、未読でも充分楽しめると思う。私はラフィール老人のキャラクターは覚えていたけれど、ストーリーはぼんやりしか覚えてないのでこの後再読してみよう。
だいへん面白かった!自分の場合、クリスティー作品は半分ほどまでは途切れ途切れに読み進めていて、後半になると引き込まれて一気に読むパターンが多いが、今作はすぐにワクワク読み進めるのが楽しかった。
クリスティー作品では他でもあった若く、可愛い、素敵な女性が、誰からも賛成されない男と熱烈な恋をして結婚しようとする、しかし分別ある大人たちではそれを止めることはできないというエピソード。現在(2021年10月)の日本国民 -
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2021年に読んだ&読む既刊の、まずベスト1だろうなー。
私、前世は1910〜20年代のイギリス人だったよ、きっと。『メアリー・ポピンズ』に始まり『ダウントン・アビー』も『ダロウェイ夫人』も漫画『エマ』も心をつかんで離さない。なんで今までクリスティーにハマらなかったのか。この年になるまで待っててくれたのか。
『さあ、あなたの暮らしぶりを話して』に書店の旅コーナーで出会って魅了され、自伝に進んだが、読んでる一瞬一瞬が幸せだった。
裕福な家に生まれ、破産、戦時の結婚、離婚、13?も年下の考古学者との再婚、執筆と中東での発掘の日々…思い出すままにあちこち書き連ねたこの自伝、ゆったりしたペース -
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アガサ・クリスティが生んだキャラクターの中でも、マイナーな存在かもしれないパーカー・パインが主人公の短編集。
読んで初めて知ったんですが、パーカー・パインさんはいわゆる「探偵」ではないんですね。
新聞に「あなたは幸せ? でないならパーカー・パイン氏に相談を」という不思議な広告を出し、事務所に訪れる人の悩みを解決するということをしている人です。
確かに、「悪い奴を推理で追い詰めてこらしめる」というよりも「困っている人を助ける」という面が前面に押し出されています。
そのためなのか、読み進めていくうちに、だんだんとくつろいだ気持ちに。。。
こちらの短編集には12作が収録されています。
前 -
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ミス・マープルシリーズの長編11作目。9作目「カリブ海の秘密」の続編にあたる。
クリスティが最後に執筆したマープルシリーズでもある。
【あらすじ】
「カリブ海の秘密」で知り合った大富豪のラフィール氏が死去した。氏の遺言である事件の調査を引き受けることになったマープルだが、漠然とした情報のみが提示され困惑する。やがて、死去前の氏の計らいでイギリス各地の名所・庭園を回るバスツアーに招待されたマープルは、ある場所で悪の気配を感じ取る。
【感想】
「カリブ海の秘密」の続編ではあるが、関係者の再登場は故・ラフィール氏と元秘書程度なので、この本を先に読んでも楽しめる。最初は事件の陰すら暗中模索状態 -
Posted by ブクログ
ネタバレラフィール氏の死亡記事を読んだ数日後にラフィール氏からの依頼がミス・マープルの元へ。事件の内容も何も分からないままにラフィール氏に指定された観光バスツアーに参加するミス・マープル。同じツアーに参加するミス・ベンサムとミス・クックが本名ではないと気がつくミス・マープル。ツアーの参加者エリザベス・テンプルからラフィール氏の息子マイクルの恋人の話を聞かされる。「愛」で死んだ娘。ラフィール氏の依頼で館に招待してくれたグリン婦人。彼女の姉妹クロチルドとアリシア。マイクルの放蕩三昧の生活。少女を殺害し逮捕され収監されているマイクル。ツアー中落石で意識を失うエリザベス・テンプル。ラフィール氏に依頼され接触し
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