乾信一郎のレビュー一覧

  • 北人伝説
    最初から最後まで主人公バクダットの使者の紀行文、それも逸散した文献を寄せ集め、それに学者が解説をつけたという形式で語られる。それなりにリアリティを出そうとする試みなのだろうが、それほどの効果が得られたとは思えない。むしろ読みにくさを感じるほうが多かった。
    最後にアッと驚かせようという嗜好があるのだ...続きを読む
  • バートラム・ホテルにて
    古き良きエドワード王朝の面影を残すバートラム・ホテル。そのホテルでの偶然の再会が契機となって起きる殺人事件。殺人事件が起きるのは、小説の3分の2以上が過ぎてからであり、それまでは周辺で頻発する強盗事件、牧師の失踪事件、列車強盗事件の調査が中心となって、物語は展開される。
    本事件でのマープルの役割は探...続きを読む
  • 復讐の女神
    本作品では、マープルと犯人が直接対決する危機一髪の場面があり、興味深い(しかし、あの場面で登場する二人も真相に気づいていたのではないだろうか)。
    マープルの推理は、ロジックではなく、人間観察と直観に基づくものであり、本格的な妙味は薄い。
    人間の持つ複雑な感情に根差した犯行動機や、殺人偽装とそれを行っ...続きを読む
  • パーカー・パイン登場
    「あなたは幸せ? でないならパーカー・パイン氏に相談を」そんな広告を頼りにやってくる依頼者の問題を解決していくパーカー・パインの活躍を描く連作短編。

     前半に収録されている短編と後半に収録されている短編で大きく趣向が変わっています。前半は様々な不幸せな依頼人がやってきてパーカー・パインはそれを、コ...続きを読む
  • パーカー・パイン登場
    前半の依頼人が訪ねに来るパターンのほうが好きかな。
    しれっとオリヴァ夫人が登場していたりするので、
    ポアロを読んでいるとニヤっとできる。
  • バートラム・ホテルにて
    ミス・マープル第十作。
    もしかしたら訳のせいなのかもしれないが、
    これまでのシリーズとは少し雰囲気が違う。

    タイトルのバートラム・ホテルを中心に話が進む。
    マープルが推理するという立場ではないのが、
    異色に思えるポイントなのかもしれない。

    過去に想いを馳せるマープルがどこか切なく感じる。
  • バートラム・ホテルにて
    これは、ミス・マープルシリーズの最後、もしくはそれの一つ前、と呼ばれるものらしい。
    本当のところは知らない。
    最初の頃より随分とお年を召されたミス・マープルは、既に自分が意欲的に犯罪解決に乗り出すのではなく、解決される過程を傍から見ている、というスタンスでこの事件に関わっている。
    こう……元来の主役...続きを読む
  • 復讐の女神
    ミス・マープルシリーズを、全て読破したわけではないが、しかしながらその中でも、この復讐の女神は意外なものだったと思われる。
    というのも、マープルシリーズのこれまで読破したもと比べて、最初から最後までミス・マープルが主体で物語が進むものが初めてだったからだ。
    大抵は他の誰か――事件に主要に関わっている...続きを読む
  • 北人伝説
    内容(「BOOK」データベースより)
    バグダッドの使節イブン・ファドランは、旅の途上で屈強の一団と遭遇した。彼らこそ勇猛で知られる北人―。バイキングであった。彼らの客となったイブン・ファドランは、北方のロスガール王国の救援に馳せ参じる北人の勇士十二人に同行することになる。王国は邪悪な死者常食族ウェン...続きを読む
  • 復讐の女神
    カリブ海の秘密の続編。中盤までなかなか事件にならないが、後半事件が起きてから面白くなる。今までのマープルのイメージと違う気の強い姿、犯人と対峙するきぜんとした姿はかっこいい。テイストは他のマープル作品と違い、謎解きというより愛憎劇という感じ。
  • バートラム・ホテルにて
    クリスティーの中では普通のほう。ファンなので高く評価したいのですが。でも二つの話が同時進行して読者を惑わせるところはさすが。
  • バートラム・ホテルにて
    やっぱり性格悪いよ、マープルおばあちゃん‥笑。
    刑事コロンボにも通じる悪さ。まぁ名探偵とはそういうものか。
    ホテルの豪華な描写がステキ。わたしもノコノコ行ってお茶したい!
    肝心のミステリー的には、殺人もあまり起らないし、期待するクリスティではないのかも。
  • 北人伝説
    バグダットの使節イブンがバイキング(北人)の客となり、遠方の王国へ救援に向かう勇士に同行する、という異文化見聞録の物語です。10世紀に実在した人物、イブン・ファドラーンが記した見聞録をベースに、マイケル・クライトンが冒険活劇のドラマに仕立てています。さらっと読める面白い小説でした。
  • パーカー・パイン登場
    新潮文庫版の短編集で昔読んだことのあるパーカー・パインもの。クリスティー文庫で再読しました。幸せを求めてパイン氏のもとを訪れる客たちの問題は、少し皮肉で温かい終幕を迎えます。こちらの文庫は訳がちょっと現代語すぎるかなと思ったけれども。
  • バートラム・ホテルにて
    マープルもの。後味の悪い終り方だった。あの娘さんの心境はいまいち分からん。
    どうでもいいけど、ジェーン・マープルをイメージした服のブランドがあるよね。
  • パーカー・パイン登場
    短編アンソロジーで、興味を持ったので読んでみた。
    時間に余裕のあった、良い時代。
    事件のない日常が退屈で、危険を欲する人。
    夫に不満のある、婦人。
    自分勝手に浮気(未満だけど)して、妻が同じ行動をとると面食らう男性、
    などなど。
    パーカー・パインは探偵ではないけれど、観察力がすごい。
    前半は、広告を...続きを読む
  • 大列車強盗
    お話は19世紀のロンドンであります。例によってその当時のイギリスについてのレクチュア-から始まります。ビクトリア女王治世時代に頭を切り替え、読み出します。物語よりも歴史上の出来事に興味がそそられました。例えば、セポイの反乱です。昔世界史でちょっぴり出会ったことがあります。「大列車強盗」なんて...続きを読む
  • パーカー・パイン登場
    「あなたは幸せ?でないならパーカー・パイン氏に相談を」
    という新聞広告に引き寄せられていろいろな不幸を抱えた人々がパーカー・パイン氏の元を訪れる短編集。
    日常的な問題が多くて身近な感じがよい。
    ただ、後半パイン氏が旅行に出てしまい、魅力的なスタッフが登場しなくなったのが残念。
  • パーカー・パイン登場
    私の読書傾向を知る友人に薦められて読んだ。ムダに人が死なないのがマル。日々のちょっとしたところにある秘密だって充分に事件なのだ。
  • バートラム・ホテルにて
    階級社会を感じさせる描写。
    マープルの活躍も、今回は偶然の産物、といった感じで地味な印象。
    アフタヌーン・ティーやお菓子の描写は美味しそうだった(笑)。