乾信一郎のレビュー一覧
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ミス・マープルもの。
舞台はロンドンにある、クラシックな佇まいを保つバートラム・ホテル。
この古き良き英国を彷彿させる高級ホテルに滞在中のマープルさん。ロンドンでのお買い物などを楽しみつつ、ホテル内外での人間観察も怠りません。
一方、ロンドン警視庁では、最近頻発している大掛かりな列車強盗等の犯行グループを追っているのですが、これらの犯行とバートラム・ホテルとの関わりは・・?
滞在客の牧師の失踪、霧の夜に起こった狙撃事件・・数々の点が終盤に見事に集約され、驚きの大仕掛けが明らかになるさまは圧巻です。
今回、真相解明するのはデイビー主任警部で、マープルさんはその協力者のようなポジションでした。勿 -
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ミス・マープルもの。
『カリブ海の秘密』の続篇といえる本作。
西インド諸島に滞在した時に知り合った、大金持ちのラフィール老人が死去し、彼の遺言にてミス・マープルに“ある犯罪調査をしてほしい”といった意味の依頼がされますが、具体的な内容は何も書かれていませんでした。何を調査するか不明なまま、ラフィール翁の手紙の指示に従ってバスツアーに参加するミス・マープル。
途中までは暗中模索状態のマープルさんですが、ツアー中に起きた“事故”をきっかけに、徐々に物事が動き出します。
そこで浮かび上がってきたのが、以前に起きた少女殺人事件と、ラフィール翁の息子との関わりについてで・・。
今回は秀逸なミステリであ -
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古き良きエドワード王朝の面影を残すバートラム・ホテル。そのホテルでの偶然の再会が契機となって起きる殺人事件。殺人事件が起きるのは、小説の3分の2以上が過ぎてからであり、それまでは周辺で頻発する強盗事件、牧師の失踪事件、列車強盗事件の調査が中心となって、物語は展開される。
本事件でのマープルの役割は探偵ではなく、事件の重要な証言者。強盗事件の謎を追うデイビー主任警部らの警察の調査が中心の話。最後まで読むと、マープルの役割が何とも皮肉なのが印象的。
バートラム・ホテルという舞台やセジウィックという冒険好きの女性の人物造形は良くできているし、エルヴァイラが一時姿を隠して自分に関する謎を調査しようとし -
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本作品では、マープルと犯人が直接対決する危機一髪の場面があり、興味深い(しかし、あの場面で登場する二人も真相に気づいていたのではないだろうか)。
マープルの推理は、ロジックではなく、人間観察と直観に基づくものであり、本格的な妙味は薄い。
人間の持つ複雑な感情に根差した犯行動機や、殺人偽装とそれを行った理由は面白い。
しかし、なぜ、依頼者のラフィール氏は、マープルに依頼目的を具体的に示さなかったのだろうか。バス旅行に参加し、旧領主邸に宿泊するように指示したのはなぜか。ラフィール氏は真相がどこまでわかっていたのだろうか。最後まで読んでもわからなかった。 -
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「あなたは幸せ? でないならパーカー・パイン氏に相談を」そんな広告を頼りにやってくる依頼者の問題を解決していくパーカー・パインの活躍を描く連作短編。
前半に収録されている短編と後半に収録されている短編で大きく趣向が変わっています。前半は様々な不幸せな依頼人がやってきてパーカー・パインはそれを、コンゲーム的な趣向で解決していきます。この趣向の中では「大金持ちの夫人の事件」と「不満な夫の事件」がお気に入り。「不満な夫の事件」は夫にいろんな意味で同情してしまう短編ですね(笑)
後半からはパーカー・パインが旅行先での事件に巻き込まれるというもの。この中では「デルフォイの神託」が意外などんでん返 -
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これは、ミス・マープルシリーズの最後、もしくはそれの一つ前、と呼ばれるものらしい。
本当のところは知らない。
最初の頃より随分とお年を召されたミス・マープルは、既に自分が意欲的に犯罪解決に乗り出すのではなく、解決される過程を傍から見ている、というスタンスでこの事件に関わっている。
こう……元来の主役とは違った形でのかかわり方。
どちらかというと、刑事が主流に話を進め、ミス・マープルはそれに思考的に寄り添う程度。
だからか、多少話がもったりしているところもあり。
だが、なんだろうなぁ……この話、ちょっと話があっちこっち飛びすぎて、構成的にとっちらかっているようにも見える。
話の進め方がそうだか -
Posted by ブクログ
ミス・マープルシリーズを、全て読破したわけではないが、しかしながらその中でも、この復讐の女神は意外なものだったと思われる。
というのも、マープルシリーズのこれまで読破したもと比べて、最初から最後までミス・マープルが主体で物語が進むものが初めてだったからだ。
大抵は他の誰か――事件に主要に関わっている人物がまず動き、マープルはサポート的に活躍するのが主だったから。
非常に珍しい。かつ……何となく矛盾に溢れていた物語だと思った。
因みに、ここまでのマープルシリーズを見るのに、現代的なわけのわからない殺人動機については語られず、その主な原因としては、『愛』と『金』である、と語られている。 -
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