乾信一郎のレビュー一覧
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ネタバレ映画は見たが、ほとんど覚えていない。
冒頭のおじさんをいじめるシーンと、目を無理やり開かされる有名なシーンぐらい。
ナッドサット語という架空の若者スラングで書かれていて、ちょっと読みにくいけど面白い。
不良少年が仲間の裏切りにあって一人だけ刑務所に入れられたところ、暴力をふるえない人間を作るという国家の計画の実験台にされ、釈放された後でまた元通りの不良少年に戻るというのが今までの話で、映画と同じストーリー。
この後に映画にはなかった幻の最終章が追加され、なんと成長して精神的に大人になって自ら不良少年に別れを告げてしまう。
精神をいじって自由意志を失わせるのはよくないし、元に戻ったのはよかったんだけど(暴力はダメだが)、結局すべて成長の一過程のできごとだったというのがなんとも皮肉な感じ。 -
Posted by ブクログ
「アガサ・クリスティ」のミステリ連作短篇集『パーカー・パイン登場(原題:Parker Pyne Investigates, 米題:Mr. Parker Pyne, Detective)』を読みました。
『無実はさいなむ』、『蒼ざめた馬』、『ゼロ時間へ』に続き、「アガサ・クリスティ」作品です。
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「あなたは幸せ?でないならパーカー・パイン氏に相談を」こんな奇妙な新聞広告に誘われて、依頼人が次々とパイン氏の事務所を訪れる。
夫の浮気に悩む人妻、人生に退屈した退役軍人、平凡な生活を送るサラリーマン、大金を使いたがる大金持ちの婦人―人々の悩みに答える、「パイン氏」の奇想天外なサービスとは。
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1934年(昭和9年)に刊行された「アガサ・クリスティ」のミステリ短篇集… 「パーカー・パイン」シリーズの作品です、、、
本書には新聞広告を見て訪れる人々の悩みを聞き、不幸を取り除いて幸せにする「パーカー・パイン」シリーズの12作品が収録されています… 「パーカー・パイン」シリーズは、『黄色いアイリス』に収録されていた『レガッタ・デーの事件』、『ポリェンサ海岸の事件』以来ですね。
■中年夫人の事件(原題:The Case of the Middle-aged Wife)
■退屈している軍人の事件(原題:The Case of the Discontented Soldier)
■困りはてた婦人の事件(原題:The Case of the Distressed Lady)
■不満な夫の事件(原題:The Case of the Discontented Husband)
■サラリーマンの事件(原題:The Case of the City Clerk)
■大金持ちの婦人の事件(原題:The Case of the Rich Woman)
■あなたは欲しいものをすべて手に入れましたか?(原題:Have You Got Everything You Want?)
■バグダッドの門(原題:The Gate of Baghdad)
■シーラーズにある家(原題:The House at Shiraz)
■高価な真珠(原題:The Pearl of Price)
■ナイル河の殺人(原題:Death on the Nile)
■デルファイの神託(原題:The Oracle at Delphi)
■解説 小熊文彦
最初の6篇は、なんらかの理由で自分が不幸だと思っている依頼人を幸福にするという「パーカー・パイン」の本業であるカウンセラーとしての仕事が描かれています、、、
「パーカー・パイン」がよりどころとするのは医学でも心理学でも宗教でもなく統計… 官僚として35年働いてきた経験を元に、不幸を分類し、依頼人がどのタイプの不幸なのかを識別、その上でどうすべきかを伝え、悩みを解決していきます。
『中年夫人の事件』は、夫の浮気に悩む中年女性「パキントン夫人」の相談を解決する物語、、、
「パキントン夫人」を見たとたんに「パーカー・パイン」は「ご主人とご主人の事務所にいる若い婦人」の問題が、「パキントン夫人」の悩みだろうと言い当て、びっくりする「パキントン夫人」に「パーカー・パイン」は悩み解決の手数料として、前払いで200ギニーを要求… やがて「パキントン夫人」は3通の手紙を受け取り、「パキントン夫人」は美容院に行き、新しいドレスを作り、「パーカー・パイン」の事務所に向かう。
事務所で夫人は「クロード・ラトレル」という若い男を紹介され2人で昼食に… 「ラトレル」はすぐに夫人の楽しくさせてくれ、その夜2人はナイトクラブでダンスをするまでに、、、
それ以来「パキントン夫人」は、毎日毎晩のように「ラトレル」と会った… この行動がきっかけとなり、冷え切っていた「パキントン夫妻」の関係が回復してハッピーエンド… 夫婦間の愛情って、複雑ですよね。
『退屈している軍人の事件』は、海外の任地から帰国した退役軍人「ウィルブラム少佐」の相談を解決する物語、、、
任地の東アフリカから帰国して、田舎の小さな村に引っ込んだ「ウィルブラム少佐」は、退屈でやり切れない日々を過ごしており、「パーカー・パイン」の広告に目を引かれて、その事務所を訪れた… 「ウィルブラム少佐」の話を聞いた「パーカー・パイン」は50ポンドを請求し、明朝、さらに詳しい指示をすると言って「ウィルブラム少佐」を送り出した。
翌朝、「ウィルブラム少佐」は「次の月曜、朝11時にハムステッドのフライヤーズ通りへ行き、ジョーンズ氏を訪ねろ」という短い指示を受けた… 指示された場所に向かう途中、一軒の家から女の悲鳴が聞こえた… 「ウィルブラム少佐」が駆けつけると、明らかに空家と思われる家の中で若い女「フリーダ」が2人の黒人に襲われていた、、、
これは「パーカー・パイン」がミステリ作家の「オリヴァ婦人」の協力を得て考案した計画で、「ウィルブラム少佐」は危険な冒険に巻き込まれることで刺激的な日々を過ごすことができ、そして、「フリーダ」と結ばれるというハッピーエンド… でも、二人が向かった東アフリカで宝物はみつからないんですよね… まっ、刺激的なハネムーンになったからよかったんでしょうね。
『困りはてた婦人の事件』は、お金に困って知人のダイヤの指輪を盗んでしまった婦人「ダフネ・セント・ジョン」の相談を解決する物語、、、
「パーカー・パイン」のもとを訪れた「ダフネ・セント・ジョン」が見せたダイヤの指輪は最低でも2千ポンドはする見事な指輪だった… その指輪は「ドートハイマー夫人」のもので台座の緩みを直してもらうために預られたが、「ダフネ」は多くの借金を抱えていたので、ダイヤの模造品を作り、本物のダイヤを質入れして借金を返したのだ。
よって、現在「ドートハイマー夫人」のもとにあるのは、精巧な模造品ということになる… 「ダフネ」は後悔しており、「ドートハイマー夫人」の指輪を模造品から本物に取り替えてほしい依頼したのだった、、、
でも、実は「パーカー・パイン」を利用して「ダフネ」は、ダイヤの指輪を自らのモノにしようと悪だくみをしていたんですよね… それを見抜いた「パーカー・パイン」は、本物を「ドートハイマー夫人」のもとに返し、「ダフネ」には模造品を返すことにより、事件を解決します。
ちょっと複雑ですが、面白い展開でしたね… 経費のみ受け取り、報酬を受け取らない「パーカー・パイン」の態度も良かったですね。
『不満な夫の事件』は、趣味の合わない妻にないがしろにされ、妻から離婚を要求された夫「レジノルド・ウォード」の相談を解決する物語、、、
「パーカー・パイン」はスタッフの一人「マドレーヌ・ド・サラ」を使って、「レジノルド」が浮気をしたという芝居をすることに… 妻の心を夫に向かわせることができて、作戦は成功たかに思えたが、「レジノルド」は、あろうことか芝居ではなく本気で「サラ」に執心してしまった という「パーカー・パイン」にしては珍しい判断誤り(失敗談?)でした。
『サラリーマンの事件』は、不幸せではないが、なぜだか満足できないサラリーマン「ロバーツ」の相談を解決する物語、、、
有名会社に勤め、結婚をて見苦しくない世間体を保ち、子供たちにはきちんとした教育を受けさせ、その子供たちも健康で力強く、何がしかの貯蓄もある、大変に幸せな「ロバーツ」が「パーカー・パイン」の事務所を訪れた… 何か華々しい体験をしたいというのだ。
「パーカー・パイン」は、そんな「ロバーツ」に、ジュネーブまで列車でロシアの戴冠用宝石の秘密の隠匿場所を記した暗号文を運ぶように指示… しかも過激派組織が「ロバーツ」を阻止しようとしていると言って、、、
「ロバーツ」は刺激的な冒険により輝かしい経験ができて、「パーカー・パイン」は「ボニントン」に頼まれた設計図をジュネーブに送り届けることができてWin-Win… 一石二鳥でしたね。
『大金持ちの婦人の事件』は、「お金を使い方を教えて欲しい」という(贅沢な)悩みで「パーカー・パイン」のところにやって来た「アブナー・ライマー夫人」の相談を解決する物語、、、
5年前の夫を亡くした「アブナー・ライマー夫人は、夫が事業に成功したために金に困ったことはなかったが、それが逆に悩みであった… 娘のころは農家でせっせと働いていた夫人」は、金持になれば楽しい生活を送れると考えていたが、それは最初のうちだけだった。
今では楽しいどころか、お金があっても何もできない、持ってないもので金で買えるようなものが思いつかない、つまり生活が面白くなく何の楽しみもないのだった… そんな「ライマー夫人」の話を聞いた「パーカー・パイン」は1千ポンドを要求し、「ライマー夫人」に「コンスタンチン博士」を紹介する、、、
「コンスタンチン博士」は東洋人で、夫人に向って「あなたの魂は疲れている」と謎めいたことをいい、香り良く淹れられたコーヒーを飲ませた… いつしか「ライマー夫人」は深い眠りにつき、目覚めた時はどこかの農場のベッドの上にいた。
幸せ って、何なのかなぁ… ということを考えさせられる作品でしたね、、、
一緒に過ごすパートナーや環境によっては、お金がない方が幸せな場合もあるんですよね… 価値観というのは、一人ひとり異なるものだと改めて感じました。
後半の6篇はトラベルミステリ… 休暇を取った「パーカー・パイン」が旅行に出かけたものの、なぜか行く先々で次々と事件に出くわしてしまい、さっぱり休めない、という展開、、、
人を幸せにする… という行動原理こそ変わらないものの、「パーカー・パイン」らしい独特なスタイルは失われ、一般的なミステリに近い作品に仕上がっています。
『あなたは欲しいものをすべて手に入れましたか?』は、スタンブール行きのシンプロン急行で夫が誰かに何かを依頼した痕跡があって困惑しているという「エルシー・ジェフリーズ」という若い人妻の相談を解決する物語、、、
「エルシー」は旅立つ前に妙な物をみていた… 吸い取り紙に残された文字で、それは夫が手紙に書いたもので、「妻、シンプロン急行、ベニスの少し手前が最適だ」と読み取れた。
やがて列車がベニスの手前の海を渡る橋にさしかかると、空き室のコンパートメントから煙が出て大騒ぎになった… 発煙筒がたかれただけと分かったが、その騒ぎの間に「エルシー」の宝石箱が荒らされ、中身が無くなっていた、、、
「エルシー」の客室にいたスラブ系の女を「パーカー・パイン」が捕まえたが、その女は宝石を一切身に着けていなかった… 「エルシー」の夫「エドワード」が過去の出来事で恐喝されており、その解決のために一芝居打っていたとは、ちょっと読めない展開でしたね。
『バグダッドの門』は、ダマスカスからバグダッドへ向かうバス旅の途中、砂漠のただ中で起こった殺人事件を解決する物語、、、
ダマスカスからバグダッドへ砂漠を横断して進む六輪自動車の中で男性客の一人「スミザースト」が車内でグッタリしているのが見つかった… 男はすでにこと切れており、同乗していた空軍軍医「ロフタス」の検死により死因は頭を鈍器のようなもので殴られたらしいことが判明する。
かつて悪路を走る車の中で、頭を天井にぶつけて死んだ人間もいるとのことで、今回も事故かもしれないとの意見もあったが… ちょっと雑な検死だなぁ と思いましたが、、、
やはり「ロフタス」は、ただの空軍軍医ではありませんでしたね… 「スミザースト」がイートン校出身ということから、別な事件との絡みに気付くところがポイントでしたね。
『シーラーズにある家』は、イラン(ペルシャ)の首都テヘランと古都シーラーズを舞台にシーラーズの一角でひっそりと暮らす英国人女性「レディ・エスター・カー」にまつわる秘密を解き明かす物語、、、
バグダッドに着いた「パーカー・パイン」は、その後ペルシャに向ったが、その途中、飛行機のパイロットから乗客だった2人の英国人女性の話を聞いた… その話によると二人の女性はシーラーズに向い、そこで一人が建物から転落死し、もう一人が気が狂ってしまい、現在もシーラーズで世捨て人のような暮らしをしているらしい。
「パーカー・パイン」は、その話を聞いてさっそくシーラーズに向かい、気狂いと言われている「レディ・エスター・カー」に合い、話を聞くうちに彼女の秘密に気付く… 誰も知らない異国で過ごしているってことは、知られたくない過去があるんですよねぇ、、、
狂気の中での偶発的な事故死… 二人のことを、誰も知らない土地で入れ替わり、二度と母国には帰れないと思いつつも、徐々に故郷のことが恋しくなるが、真実を告白したら事故死ではなく殺人の容疑をかけられてしまうのではないか… そんな不安を抱えた彼女に、「パーカー・パイン」は温かい手を差し伸べたんですね。
『高価な真珠』は、ヨルダンのペトラ遺跡を舞台に真珠のイヤリングの盗難事件を解決する物語、、、
赤岩の都市ペトラに着いた「パーカー・パイン」はじめ旅行者の一行… その一行の中にアメリカの粗野な金持ち親子「ケイブル・ブランデル」と娘の「キャロル」が含まれており、「キャロル」が身に着けている真珠のイヤリングが8万ドルの価値があることや、失くしても直ぐにもう一組買ってもらえるとか、そうしたからといって破産するわけでもない、という嫌味な会話を聞かされていた。
翌日、一行が絶壁を登って広い台地に出た際、「キャロル」のイヤリングが外れていることに気付く… 確か少し前にはイヤリングは「キャロル」の耳についていたはずだった、、、
台地を探したが落ちておらず、誰かが隙を見て盗んだ可能性が高くなったが、身体検査等によってもイアリングは発見できなかった… 「パーカー・パイン」の推理は見事でしたが、盗んだ犯人はともかく、盗まれたイアリングには5ポンド程度の価値しかないことまで見破った手腕は見事でしたね。
『ナイル河の殺人』は、ナイル河を航行する観光船の中を舞台に船内で発生した殺人事件を解決する物語、、、
ナイル川を行く観光船は、金持ちの「レディー・グレイル」の貸切になるはずだった… 乗船していたのは「レディー・グレイル」と夫の「ジョージ卿」、姪の「パメラ」、付き添い看護婦「エルシー・マクノートン」、「ジョージ卿」の秘書「バージル・ウェスト」だけのはずだった。
だがそこに出港間際に「パーカー・パイン」が紛れ込む… そこではわがままな「レディー・グレイル」が気持ちをイラつかせていた、、、
その「レディ・グレイル」から「パーカー・パイン」に会ってほしい手紙が届く… 彼女はは夫が自分を毒殺しようとしていると打ち明けるが、「パーカー・パイン」は一笑に付し、「レディー・グレイル」は怒って、その場を去る。
しかし、その夜、「レディ・グレイル」はストリキニーネで毒殺される… 「レディ・グレイル」の生前の証言や「エルシー・マクノートン」の証言から「ジョージ卿」に疑いが向けられるが、、、
「パーカー・パイン」は灰皿に残っていた燃えかけの紙片から読み取れた僅かなメッセージ等から、真犯人を突き止めます… たまたま「パーカー・パイン」が乗り合わせなかったら、真相は闇の中だったでしょうね。
『デルファイの神託』は、ギリシャのデルファイを舞台に18歳の少年の誘拐事件を解決する物語、、、
ギリシャのデルファイのホテルに滞在する「ウィラード・ピーターズ夫人」のもとに脅迫状が舞い込んだ… 差出人は「ディミトリアス」と名乗り、彼女が溺愛する息子の「ウィラード」を誘拐したといい、身代金として1万ポンドを要求した。
「ピーターズ夫人」は同じホテルに滞在する「パーカー・パイン」に相談することに… 翌日2通目の脅迫状が届き、身代金の代わりに「ピーターズ夫人」が所有するダイヤのネックレスでも取引に応じると言ってきた、、、
「ピーターズ夫人」が再び手紙をもって「パーカー・パイン」を訪ねると、「パーカー・パイン」はダイヤを模造品に取り替えることを提案する… その後、同じホテルに滞在する怪しげな男「トムスン」が「ピーターズ夫人」の部屋を訪ねてきて、事件は意外な展開をみせる。
いやぁ… 叙述トリックにまんまと騙されましたね、、、
「パーカー・パイン」に成りすました悪人が、「ピーターズ夫人」を騙してダイヤを巻き上げようとしていたとは… まさか、「トムスン」が本物の「パーカー・パイン」とはねぇ。
気軽に読める作品ばかりなので、気分転換には良かったですね… 後半6篇のトラベルミステリは、イラクやイラン、ヨルダン、ナイル等が舞台となっており、後の「アガサ・クリスティ」作品を予感させるような作品でしたね、、、
イチバン印象に残ったのは、エンディングが鮮やかで意外性のある『デルファイの神託』かな… ダイヤを盗もうとした犯人の片棒を担がされそうになっていたことを見破った『困りはてた婦人の事件』も面白かったですね… 心にぐっとくる結末は『大金持ちの婦人の事件』かな、本当の幸せ って、人それぞれなことを改めて感じました。 -
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「ライ麦畑でつかまえて」のホールデン少年が極悪化して、舞台を犯罪都市に変えたような小説だなぁという第一印象。
物語は三部構成となる。
第一部
仲間たちとつるんで、一般人の家に押し入っては強盗・強姦を繰り返す不良グループの筆頭格アレックスは、ある日に老女の家に強盗に押し入った時、老女を殺してしまった上に逃げるのに失敗して逮捕されて監獄送りになってしまう。
第二部
監獄で二年過ごしたアレックス。
ある日同じ牢屋に入った新入りが犯罪自慢してイキっていてウザいので、同じ牢屋の連中とボコボコにぶん殴ったら、あっけなく死んでしまった。
ここでもアレックスが主犯扱いされるが、二週間で釈放される特別プログラムに乗ってしまう。
今までの楽しみが苦痛に感じる体に変えられたアレックスは監獄から釈放される。
第三部
実家に帰ってみれば自分の居場所はなくなっていた。
かつての仲間は一人は警官になり、一人はすでに死に、もう一人は家庭を持っていた。
街を歩けば、かつて自分が危害を加えた市民たちから袋叩きにあう。
居場所を求めてさまようアレックスが行きついた先は。。。
この小説で言う「時計仕掛けのオレンジ」とは、まず時計仕掛けとは政府や公権力の言いなりになっている状態を比喩している。
公権力がアレックスを更生させるために薬を使用して、趣味や楽しみが全て苦しみに感じるように体を変えてしまい、公権力が正しいと思うことしかできない体にしてしまう。
その、強制された状態を”時計仕掛け”とさしている。
社会に”適合した人物”だけを作り出す、という社会は、なるほど確かにディストピアかもしれない。
しかし、犯罪を繰り返していたアレックス少年が”正しい”わけでは決してない。
ただの極悪の犯罪者だからだ。
本小説をテキストとして読み取る部分があるならば、釈放後の元服役囚の居場所のなさという部分だろうか。
スタンリーキューブリックの映画を見てはいないが、ラストが映画と原作では違うようだ。
このラストを付けるか付けないか、現作者自身も悩んだようだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクリスティ作品の登場人物で格別に印象深いラフィール氏、死後もなお大勢の人を振り回すのが彼らしく、懐かしくさえ感じる。前作の颯爽とした別れの挨拶の場面で既に計画が浮かんでいたのかな。終盤の守護天使は痛快だったが、ミス・テンプルも守ってあげて欲しかった…
何が謎なのか探ることから始まる冒頭から、庭園ツアー参加者のアイデンティティ偽装も昔の作品よりひねりがあって面白い(怪しく見えて実は皆味方)。
ただ核心となる事件が不自然で残念。自分勝手な偏執を愛と言ってしまう少女漫画的混同はいただけないし、女性犯人の動機として無理がある(女性ならライバルを襲っても当人に危害を加える事は無いのでは)。「書斎の死体」、火曜クラブの「舗道の血痕」「毒草」のモチーフが再登場で、その点毒草の犯人は自然。ポリゴナムの描写とノラの失踪で何が起きたかはピンときた。
Nemesis は、かなわない、手強い人=ミス・マープルであって彼女の正義の嗅覚が主題だけどタイトルには「復讐の女神」が劇的で収まりが良いかな。
冤罪が晴れる話についてはアガサは感慨薄めにするのが好きみたい?2万ポンドを当座口座に入れてパッと使うと言う思い切りよさがまさにミス・マープル。このさっぱりしたラストがシリーズの幕引きにふさわしい。その意味でも、アガサ・クリスティ解説本の巻末で、三部作説は海外文献に見当たらず、3冊目のタイトルとされているWoman’s Realmが、本作が掲載された雑誌名と一致しているらしい(どこかで混乱が生じた?)という話がミステリ的。 -
Posted by ブクログ
ネタバレもう随分と言っている通り、私はクライトンのファンだ。日本語化されている多くの本を読んでいるが、この大列車強盗は未読だった。
クライトンの有名作品の多くはSFの印象だが、時代物とか現代物も結構ある。
Wikiペディアには、、、、
1855年にクリミア戦争の戦費としてイギリスがフランスへ支払うため列車で輸送していた金塊12,000ポンドを、エドワード・ピアースが列車内から強奪したという現実の事件を基に執筆された。この小説では1854年5月末頃にエドワード・ピアースが錠前破りのロバート・エイガーに共犯を持ちかけるところから始まり、1855年5月22日に金塊強奪を実行、1856年11月19日のピアース逮捕、1857年8月2日のピアースによる法廷での証言とその直後の脱走までを描き、主要登場人物のその後を簡単に報告する形で小説はまとめられている。
とあり、どこまでが史実でどこからがノンフィクションなのかよく判らない、クライトンにありがちな展開。でもビクトリア女王時代の英国の雰囲気が良く判る風俗や人々の描写がなかなか興味深くおもしろい。結局最後は手に汗握る展開で強奪に成功するのだが、その後逮捕されたかと思ったら、判決後あっさりと脱獄に成功してしまうとか、あまりごたごた書かずに終わっている。
なんとなく「白鯨」的なストーリーの進め方だなと思った。いずれにしても最初から映画化を考えての原作だったのではないかと思う。
1979年の「The First Great Train Robbery」という映画も見てみたいが、どこかにあるのだろうか? -
Posted by ブクログ
「カリブ海の秘密」の続編ともいうべき作品。
西インド諸島で共に事件を解決した大富豪の死を新聞で知ったミス・マープルは、しばし感慨にふけったいた。しかし、その大富豪から届いた手紙によって、詳細を知らされぬまま、とあるバス旅行へと誘われる。正義をなしてほしい、という願いを叶えるために。
登場人物表の半分近くをバスの乗客が占めているが、覚えなくても全然問題ないというところに苦笑い。バスツアーのくだりは、退屈なので正直脱落しそうになったが、三人姉妹と出会ってから「何をすべきなのか」がぼんやりと判明しだしてからは、ビックリするぐらい面白くなった。
実際使われたトリックそのものは、途中で気づいたけれど「誰が、なんのために」という部分で、ミスリードにまんまと引っかかってしまった。
最終章で卿や大臣といった名だたる男性陣に「今までに会った最高のこわい女」「たいへんやさしくて、たいへんに冷酷」と評されるミス・マープル。作者の価値観が見え隠れしてこれも面白い。 -
購入済み
万華鏡の推理
ロンドン、ジュネーブ、国際列車のコンパートメント、魅惑的な中東の世界で繰り広げられる万華鏡のようなミステリー、
ひとつひとつ無理に謎解きをする必要はなく、のんびりと身をまかせて行く事をお薦めします。
鮮やかな推理が心地よい驚きをもたらしてくれました。
底に流れるのは「あたたかな心」と鋭い人間観察。日々の合間、合間に気分のよい句読点を打ってくれました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレロンドンのバートラムホテルに滞在するミス・マープル。スイスでの会議に出席する為にホテルに泊まるペニファザー牧師。忘れっぽくなり会議の日程を間違えて夜中にホテルに引き返してきたペニファザー牧師。何者かの襲撃。多額の遺産を相続しているエルヴァイラ。彼女の後見人ラスコム大佐。エルヴァイラに近づくレーサーのマリノスキー。記憶を失い田舎で発見されたペニファザー牧師。ホテルの支配人ハンフリーズ。エルヴァイラの産みの母親セジウィック。アイルランドへ出掛けたエルヴァイラの目的。霧の朝、何者かに銃撃されたエルヴァイラ。盾になって撃たれたドアマンのゴーマン。捜査を担当するデイビー警部。
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人の不幸は5つに分類できるという。
『あなたは幸せですか? そうでないならパーカーパインにご相談を』
パーカーパイン氏の元には実に様々な不幸を抱えた人々がやってきます。
彼はそれを統計という名の武器で見通し、曰く治療していく。
と言っても彼自身は何もしません。全ては、彼の細かな指令を受けたエージェント達の手によるものです。
短編集なのですが、どれもどれもオチが非常にいいです。
パーカーパイン氏は統計と言っていますが、それはまさにある種の霊能や千里眼にも思えるくらい的確で。解決策もお見事!
さすが、ミステリーの女王、アガサ・クリスティーです♪
惜しむらくは、途中から少し形式が変わってしまうことですかね。
オフィス型だったパーカーパイン氏が旅行に出てしまうことですかね。
最初のままで続けて欲しかったな、と思いました。