乾信一郎のレビュー一覧

  • バートラム・ホテルにて

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    前半は舞台となるバートラムホテルについての話で、後半になってたたみかけるように話が展開する。
    ぶっちゃけ後味の良い感じのラストではないけれども、出てくる登場人物がそれぞれに魅力的なのと、ところどころで丁寧に描写される食事や当時のロンドンの様子などがとても面白い。
    悪に対する矜持なんかも見え隠れてしていて、長く愛される作品の根っこみたいなものを感じる。あと、ポーチドエッグが食べたくなるねえ……

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    2025年11月18日
  • バートラム・ホテルにて

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    ポアロばっかり読んでたからか、舞台装置が出来上がってて警察も有能で、壮大でありながらもホテル内で完結し、割とあっさりしていた。
    ポアロの、論理的ってよりも人間関係にスポットを当てて詰めていく展開が好きだから、今作はイマイチ響かなかったかも。オチも独特

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    2025年11月12日
  • 復讐の女神

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    以前カリブ海の旅行先で知り合った大富豪からの依頼で、イギリスの邸宅や庭園を巡るバス旅行に参加することになったマープルさん。
    謎めいた依頼で、主人公も読者も五里霧中の中、旅行が進んでいきます。
    なんせ登場人物が多いし、少し記述に冗長な箇所が多いかなあという気もしましたが、最後まで犯人もわからなかったし、ミステリーとして楽しめました。

    ビクトリア朝のお作法では~、とか出てくるのに、実は70年代学生運動サイケデリックの時代の話でイギリスの文化的、歴史的な変遷なども背景に感じられたのも面白かったです。

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    2025年10月02日
  • 復讐の女神

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    あなたにお勧め、次の本にどうぞと薦められた一冊なんだけれども、けれども……続編やないかーいっっ
    この話は『カリブ海の秘密』の続編で、この話でミス・マープルが出会った人物が亡くなったことから始まる。お話の時々にその前作に登場していた人物の人となりやらなんやらが出てくるので、『うっわーっ読みにくい』という気持ちになってしまった。とはいえ話の進行の妨げになるようなものではない。そのあたりはきちっとフォローされていて、その人となりがちゃんと描写されているので、前作が未読だったからといってなんの障碍もない。充分に面白い。
    トリック的なものはすごくシンプルで、そこまで複雑ではない。途中から、なんとなく読め

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    2025年09月30日
  • バートラム・ホテルにて

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    このところ私生活がバタバタしていて、なかなか腰を据えて本を読む時間が取れなかったのですが、そんな状況でも没頭できるのがクリスティー。
    ミス・マープルシリーズも9冊目となり、ポアロさんと共に終わりが見えてきました……さみしい(´・ω・`)

    さて今作は、「バートラム・ホテル」というなんとも素敵なホテルが舞台です。
    ”まるでほんもの”の給仕頭やメイドがいて、バターたっぷりのマフィンやドーナツを暖炉が据えられたラウンジで食べられる……なんて素敵!
    ネタバレを踏むのが怖くて詳しく調べられてはないのですが、クリスティーがお気に入りだったホテルがモデルなんだとか。いいなぁいつか行ってみたいなぁ……と夢を膨

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    2025年09月13日
  • バートラム・ホテルにて

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    ネタバレ

    なぜ私が、このアガサ・クリスティーをこよなく愛する私が、☆3評価にしたか。それは簡単な話である。

    マープルさんがほとんど出てこないんだもの!!

    マープルシリーズでなければ良いんですよ、気にならないし寧ろ面白いと思う。でもマープルさん出てきてるじゃん! マープルさんの活躍見たかったんだけど!!
    というファン心理である。

    とはいえ話自体はそれなりに面白かった。
    犯人を考えながら読み進め、バートラム・ホテルの意外な素顔に「なるほど?」となり、まぁ途中で女流冒険家ベス・セジウィックとエルヴァイラが母娘であることはすぐにわかったのだけれども。
    元軍人のドアマン、マイケル・ゴーマンとエルヴァイラの関

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    2025年05月28日
  • 復讐の女神

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    大好きなミス・マープルシリーズ。全13作の中の最後の作品。
    カリブ海の秘密、からの続編となっている。
    とはいえ、カリブ海の秘密を未読でも楽しめます。

    前作、「カリブ海の秘密」で、旅行先で出会った老富豪ラフィール氏とミスマープルは協力して旅先で起こった殺人事件を解決した。
    あれからさらに時が経ち、ミスマープルは新聞の死亡記事でラフィール氏が亡くなったことを知る。
    ところが、死んだラフィール氏からミスマープルにある事件を調べてほしいという依頼があった。なんのヒントも手がかりもないまま、ラフィール氏の手配で、イギリス国内の邸宅と庭のツアーに参加することになったミスマープルに待ち受ける事件とは…

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    2025年01月02日
  • バートラム・ホテルにて

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    イギリスの作家アガサ・クリスティの長篇ミステリ作品『バートラム・ホテルにて(原題:At Bertram's Hotel)』を読みました。
    『愛の探偵たち』、『フランクフルトへの乗客』に続き、アガサ・クリスティの作品です。

    -----story-------------
    姪のジョーンが、気分転換に旅行をすすめてくれたとき、ミス・マープルはロンドンのバートラム・ホテルを選んだ。
    14のとき、叔父と叔母が一度連れていってくれたことがある。
    落着いた雰囲気のうちに、目立たぬぜいたくがあるホテルだった。
    が、なにしろはるか昔のことである。
    どんなに変ってしまったか、心配でもあった。

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    2024年12月21日
  • アガサ・クリスティー自伝(下)

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    ネタバレ

    75歳のアガサ、人生を振り返って。

    下巻は英国博覧会の使節としての世界一周旅行から始まる。戦争と作家人生の始まり。そして離婚と再婚。有名な失踪事件には何も触れられてはいないけど、ふたつの戦争中の生活については興味深かった。どのタイミングで、有名な作品が書かれたのかも面白い。また『さあ、あなたの暮らしぶりを話して』にも語られていた遺跡発掘調査に同行した際の、中東での生活も。全体的に大時代なものを感じる。ミステリ作品には時代を感じない人間の強さや弱さを感じるのに。それもなんだか面白い。

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    2024年10月27日
  • アガサ・クリスティー自伝(上)

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    ネタバレ

    ミステリの女王が誕生するまで。

    アガサ・クリスティーが、自身の幼少期から結婚して最初のいくつかの小説を出すまでがここに書かれている。その間には第一次世界大戦がある。大戦前と大戦後の時代の変化が感じられる。それはもちろんクリスティー自身が幼少期、学生時代、大人になって、結婚・出産して、と人生の大きな変化を経ていることもあるが、それ以上に時代の変化が大きく感じられる。でも変わらないものもある。

    空想の友だちと遊んで時間が経つ少女時代。父や母の病気に抱く不安。結婚する予感と、結局しない相手と、運命的な出会い。看護師や薬剤師として出会う患者や医師、そして職場。老いていく祖母の姿。クリスティーの観察

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    2024年10月19日
  • パーカー・パイン登場

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    『黄色いアイリス』ではじめましてだったパーカー・パインについてもっと知りたくて、短編集を手に取りました。

    前半は"パーカー・パイン劇団"が奮闘するお話、そして中盤からはパイン氏が旅先で出会う"不幸な人たち"の悩みを解決する構成に。
    単発ドラマとして発展できそうな形だけに、パイン氏の登場がこれ限りなのがなんとも残念。月曜20時のドラマでやってそうなのに……。
    個人的に好きだったのは「退屈している軍人の事件」。『ハロウィーン・パーティー』に登場したリンゴ好きのオリヴァ夫人の筋書きに、思わずニヤリ。こういう誰も傷つかない結末にはほっこりしてしまいますね。

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    2024年03月10日
  • 復讐の女神

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    殺人の動機、いわゆるホワイダニットが特殊というか異常でそこに物語のキモがあった。バスツアーというグランド・ホテル形式も作品に面白さを追加するいい要素だった。

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    2024年02月12日
  • バートラム・ホテルにて

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    ネタバレ

    犯人がそこそこカスな上に捕まっていないので、読後感がスッキリしない。ホテルの対応にホクホクしながらも、裏にある邪悪さを感じ取って少しづつテンションが下がっているマープルが可愛い。牧師さん生きてて良かった。

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    2024年02月03日
  • バートラム・ホテルにて

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    バートラム・ホテルという魅力的な場所で、様々な人物が錯綜する。そこにミス・マープルも絡んで。これまでのマープルものと比べて後味が悪い感じがした。それも今作の魅力だろう。

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    2024年01月31日
  • バートラム・ホテルにて

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    推理小説としてのプロットはかなり緩いし、犯罪シンジゲートの描き方はかなり雑で現実味がない。しかし、ビートルズが登場し、古き時代の英国が失なわれていく中で、何とかしてかつての「雰囲気」を描こうとしたのか。全てに古色蒼然とした魅力をたたえるバートラムホテルと個性豊かな登場人物たちは健在。

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    2024年01月14日
  • バートラム・ホテルにて

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    ネタバレ

    クリスティの長編ミステリー。探偵役は(一応)マープル。
     推理小説の探偵物でよくある光景が警察官が無能であり、探偵の足を引っ張る構図だ。探偵を邪険に扱い(場合が場合なので仕方ない部分もあるが)、的外れな推理をしてんで真実に辿り着けない様な人物や事柄を重宝し、しまいには探偵が解き明かした真実を受け入れ犯人を我が物顔で逮捕し、探偵に笑顔を振り撒いて一件落着する。ある種のお約束だ。さて、では、もし探偵がいる中で警察官がとても優秀だったらどうなるのか。答えは「面白味に欠ける」だった。
     今作に出てくるオヤジさんこと主任警部のフレッドは優秀であり、完全にマープルが脇役になっている。読者は当然、探偵の活躍

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    2023年10月01日
  • バートラム・ホテルにて

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    ネタバレ

    これまで読んだアガサクリスティーの小説とは少し違った。人が死ぬのもかなり後半の方だし、牧師さんは生きてたし。でも比較的人物関係も整理しやすくはあったから理解はしやすかった。強盗事件が物語の軸ならもっとそこを深く掘り下げて書いて欲しかったかも。

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    2023年09月22日
  • パーカー・パイン登場

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    “身上相談探偵(?)”、パーカー・パインを主人公とした連作12話の短編集です。

    「あなたは幸せ?でないならパーカー・パイン氏に相談を。」
    ↑こちらの広告にホイホイされて、パーカー・パイン氏の事務所を訪れた人達のお悩みを、パイン氏の指示を受けた事務所のスタッフ達があの手この手で解決していく展開です。
    この、“チーム・パイン”のメンバーとして、ミス・レモンやオリヴァ夫人といった、ポアロものにもちょいちょい出てくるキャラが登場したりというサービス(?)も嬉しいですね。
    様々な立場の人々の、あらゆるお悩みを、“今度はどんな筋書きで解決するのかな~”と、何だか大掛かりなドッキリを思わせるような仕込みっ

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    2023年03月30日
  • バートラム・ホテルにて

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    他の巻と比べたら、なかなか死体が転がらないし、事件というより奇妙な状況が二つ三つと重なるだけ……と思っていたのに、ラスト二十ページくらいから怒涛の急展開過ぎて、さすがにびっくりした。とりわけ、エルヴォイラにまつわる真相のあれこれがあまりにも想定外で、色々と無慈悲に思えて、呆然とせずにはいられなかった。

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    2022年10月30日
  • バートラム・ホテルにて

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    アガサクリスティー。ミスマープルシリーズ。
    古き良きバートラムホテルにて神父の失踪事件がおこり
    ついでドアマンが殺され事件が起こる。
    ミスマープルはあくまで宿泊客のひとりという立ち位置で
    物語はデイビー刑事が引っ張っていく
    マープルの出番が少なく、いつものセントメアリ・リードの推理方法が見受けられないのでマープル好きには物足りないと思った

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    2022年07月01日