乾信一郎のレビュー一覧

  • 時計じかけのオレンジ〔完全版〕

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    主人公のアレックス、若気の至りでちょっとヤンチャしてるとかいうのじゃ済まないくらい本当の悪人で、しかもそれが生まれ育った環境がそうさせたとかでもなく、本人が罪悪感もなく普通に楽しんでやっているのでかなり理解できない人種。
    そのアレックスの語り口調で進んでいくのでスラングが多くて最初は読みにくさを感じて戸惑ったけれど、慣れてくると独特のテンポ感がクセになって一気に読み進められた。

    選択の自由を制限して善人であるようにしか行動できなくすればいいんだ!という実験的な手術は倫理観に反しているとは思うけれど、だからって悪人に選択の自由を残していても更生することは難しいし、何をもって「善」とするのかを問いかけられる、悪人を更生させて終わりだけの単純な話ではなかった。

    15歳で逮捕され18歳で釈放された彼が感じた3年間の間に生じた世間とのズレや、かつての仲間と再会して社会に取り残されていると感じる場面には、つい辛くなって同情してしまった。
    最後は自分の意思で良い方向へ変わろうとしていて、やっぱり選択の自由は誰にでも平等にあるべきなのではないかなと思ったり。

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    2026年10月08日
  • 復讐の女神

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    ネタバレ

    ※クリスティーの他作品のネタバレかもしれない。
    カリブ海の秘密のあと、こちらをaudibleにて。未読。
    前作でよいコンビだったラフィール氏プレゼンツ、何をしてほしいのかから読み解かなくてはいけないミステリーバスツアー。晩年の作とは思えないくらい趣向がおしゃれ。これだけでなんとかしてくれると信じるラフィール氏、ミス・マープルへの信頼が篤い。あと気前がよい。2万ポンド、調べたら8000万相当と出てきた。
    シャコが食べたいと聞いて甲殻類の方を思い浮かべたがどうやら違うらしい。たしかに鳥にもいたなあシャコ。おいしいのかしら。
    途中小包の辺りで犯人はほぼ確定なのでは?となるし、「書斎の死体」と似たトリックの気がしてくるので多少まだるっこしいといえばまだるっこしいのだけど、愛ゆえの殺人ってクリスティー作品だとレアじゃない?だいたい金だし、ほかの女と結婚したいので奥さん殺しました!みたいなしょうもないのは除くとして、ぱっと浮かぶのがこの前読んだホロー荘の殺人と五匹の子豚くらい。前者はちょっと違うかもしれない。どちらも名作だと思っているのだが、今作も心の機微の描写がすごく良くて楽しく読んだ。ラフィール氏の息子への愛も大変遠回りだけれどよいものだ。
    ただ、聞き流していたからかエリザベス・テンプルとミス・マープルのタイミングがぴったり合ったのはなぜなのか分かっていない。彼女はツアーに参加せず目的地に直接行くんじゃダメだったのかしら。どこかで説明があったのかもしれない。読み直すのもありかも。

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    2026年09月28日
  • 復讐の女神

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    前作『カリブ海の秘密』の続編のようなもの。『牧師館の殺人』でちょっと出てきた人も出てきます。


    『カリブ海の秘密』から2年近くたったある日、ミス・マープルは新聞の死亡欄で富豪ラフィール氏の訃報を知る。数日後、ラフィール氏の弁護士から「あなたに遺言があります」との知らせを受ける。ラフィール氏はミス・マープルに「1年以内にある謎を解いてくれたらまとまったお金(かなりの大金)をあなたに遺そう」と書き残していた。ミス・マープルを「復讐の女神」と見込んだこと、正義に対する鋭い勘を信じているというのだ。
    しかし何を解決すれば良いのかのヒントはまったくない。(ここで、『カリブ海』に登場したラフィール氏の使用人のその後も分かる)
    ミス・マープルはこの申し出を受けることにする。ラフィール氏の謎の言葉に興味を持ったことと、「わたしたち年寄りだってまったくお金に興味がないわけではありません」ってことで。うんうん、お金は大事。楽しまなくちゃね。

    やがてラフィール氏の代理人から、「大帝国の著名邸宅と庭園めぐり」の旅行券と、氏の手紙が届く。ミス・マープルは旅行に参加しながらラフィール氏が何を自分に解決してもらいたいと思っているのかを探っていく。
    ラフィール氏は何かをミス・マープルに解明してもらいたいと思っているんだけど、それをはっきり書かないし、ミス・マープルに会うようにと手配された人たちも事情をあまり知らされていない。それはラフィール氏がミス・マープルや他の関係者たちに余計な先入観を入れたくなく、本人が得た情報をどのように解釈するかを大切にしているからのようだ。
    なんとも困った遺言だが、ラフィール氏の手紙や伝言は親しみに満ちている。「あなたがピンクの毛糸で編み物をしている様子が目に浮かぶ」「愛情を込めてあなたの友」「守護天使が守ってくださいますように」「正義に関して鋭い勘を持った女性」など。『カリブ海』でも束の間の交流だったけれどもあのときの良い老・老コンビは、それっきり会うことはなくても心のなかでは「友」なんですねえ。現在のように電子手段で連絡を取ったり交通手段もゆっくりだった時代には「もう会えないけどずっと友達」っていう絆はあったんだろうなあ。
    …まあ、いくら曖昧な指示とはいえだんだん「解明してもらいたい謎」も分かってきた。ラフィール氏には大変とっても不肖の息子、生まれながらのロクデナシのマイクルがいる。数十年前に、ある女性を殺して遺体を損壊させた罪で終身刑となっている。だがマイクルの収容施設の館長は長年の経験から「マイクルは手の施しようのないし絶対改心しない犯罪者タイプだが、女性を殺して顔を潰すタイプではない」と考えた。それを聞いたラフィール氏が、殺人事件の真相を知りたがったのだ。
    ここでミス・マープルに求められる「正義に関する道徳心」が必要になる。ミス・マープルは「私は犯罪者は大嫌い。例えば不幸な幼年期を送ったり育った環境が悪かったとしても犯罪者は大嫌い」と断言する。
    確かに「探偵」って自分の判断で人を死刑にさせることもありますからね、断固たる気持ちを持っていないとできないよなあ。
    そして犯罪捜査の確かさを見込まれたミス・マープルの自己分析は「まあ、私はたまたま行く先々で犯罪事件に遭遇して、殺人犯を人よりは多く知ってるだけだわ。私の親戚は五回も船の事故にあっているし、知り合いで列車やタクシー事故に合ってばっかり人もいるし、渡しの場合だってたたまたま私自身にではなくて周りで殺人事件が起きてるだけだわ」って自己分析してるんだけど、いやいやいや、どれも嫌だよ笑・笑・笑
    まあそれでですね、ミス・マープルはマイクル・ラフィールのこと、彼が殺したとされている女性のこと、それとは別に行方不明の女性のことを調べていく。

    読者としては「これってどうやって解明するの!?」と非常に興味を持った。だって小説では登場人物が限られてるから、被害者も、加害者も必ずその中にいる。でも今回は10年も前の犯罪で、ミス・マープルの行動も限られている。さらにもしマイクルの殺人罪が冤罪だったとしてどうするんだ?生まれつきのロクデナシを「好きなようにロクデナシ人生を歩ませるため」に釈放させて大丈夫なのか?

    それでも悪の気配を見抜くミス・マープル。この殺人の背景になるのは「この世にある最も怖ろしい言葉である”愛”」のため。
    ついに対峙した殺人犯人に告げる。「私の一つの名前はね、ネメシスっていうの」

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    2026年05月20日
  • バートラム・ホテルにて

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    ブラウンズホテルに行ったので、あぁあの素敵な空間はずっと昔からあったのね。という感じ。ミステリー読まないけどこれは好き。

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    2026年02月05日
  • 時計じかけのオレンジ〔完全版〕

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    映画も凄かったですが、小説はさらに凄い。映画をみた方でも小説は楽しめます。暴力を楽しむ主人公がどうなるのか、どこに行き着くのかが読みどころです。

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    2025年08月12日
  • 復讐の女神

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    ネタバレ

    今回マープルにバスツアーの依頼が!依頼人は富豪(故人)ラフィール氏(カリブ海の秘密に出てきたおじいちゃん)。マープルに何をしてほしいのかが全く解らない。バスツアー中に出てくる、ワンステッド教授、テンプル(元校長)、3姉妹、怪しい2人。バスツアー中に色んなヒントが。。。ラフィールの息子が女殺しで逮捕されている。もう1人の女性が行方不明。さらに事件が!テンプルが登山中に落石で瀕死の状態。マープルに遺言(女殺しの理由は愛だ!)を残す。犯人は外れたが、今回もドキドキの展開でした。マープルシリーズあと1冊で制覇だ!

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    2024年11月17日
  • バートラム・ホテルにて

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    ネタバレ

    マープルシリーズ10冊目?甥のレイモンドから旅行をプレゼントされたっマープル、ロンドンのバートラムホテルに滞在中。そこで牧師失踪事件が勃発、しかしマープルは牧師が失踪した日の深夜に牧師の後ろ姿を見かけていた!ロンドンでは銀行強盗など悪組織による犯罪が多発していたが、警察の捜査が難航。そこで起きた牧師の失踪事件だった。登場人物の冒険家・ベス、彼女の娘・エルヴィラ、レーサー・マリノスキーが中心に話しは進むが真相はわからない。珍しく犯人は当たったが動機などはハズレ。でも久しぶりに楽しいクリスティ作品だった。⑤

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    2024年10月20日
  • バートラム・ホテルにて

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    【マープル】
    冒頭のシーンが魅力的。
    舞台は都会ロンドン、古き良きエドワード王朝時代そのままの佇まいを保つバートラム・ホテル。

    高級で優雅でゆったりとした時間が流れるホテルに完璧なサービス。
    ピカピカの銀製ティーポットで飲む最高級のインド茶葉の紅茶の味は最高だろうなぁ。
    その描写がまるで映像のように鮮明に浮かぶ。

    「ほんもののシード・ケーキでしょうね?」
    出た出たー!!この名セリフ!料理の本で気になってたやつだ。
    「だって彼は殺されたんでしょ?」
    「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」
    など、クリスティー作品はセリフも魅力的で、1度目にすると忘れられない。

    由緒正しいイギリスのシードケーキはミントのようなスースーするケーキらしい。
    ちなみに先日読んだ『ミステリーの生まれたところ』によると、このホテルのモデルとなったホテルでも、シードケーキはもう食べられないそうだ。
    アメリカのマフィンはおやつみたいで本物じゃないと言ったり、アメリカの朝食と英国の朝食の違いも面白い。

    マープルが頼んだホテルの朝食がものすごく美味しそうに描かれていて、読んでいてお腹が空いてくる。
    明日の朝は英国式の朝食が食べたくなる。
    もうこのホテルの紹介だけで楽しい!

    ミステリーとしてはいつまで経っても具体的なものは起こらない。でもホテルという非日常の空間で起きている出来事があるので退屈することはない。

    セント・メアリ・ミードが時代と共に現代的になることに「世の中の移り変わりは、やはり受け入れなければいけませんね」と悲しむマープル。

    『カリブ海の秘密』のホテルは甥の招待で、今回の高級ホテルは画家である姪が招待してくれた。羨ましいほど叔母想いの甥と姪がいるマープル。
    マープルが14歳の時に泊まった思い出のホテル。奇跡的にそっくり昔のまま。
    嘘みたいに何もかもが完璧すぎる。
    マープルが感じるこの違和感は何なのか?

    「例の髪を長くしたビートルズとか何とかいった連中」
    なんとビートルズが作中に出てきた!英国だもんね。
    私はQueenが大大大好きなんだけど、Queenは1971年からの活動だし、何となくQueenはクリスティーなら顔をしかめそうなので、さすがに出てこないよね…本と全く関係なくてすいません。

    登場人物は、大西洋単独横断飛行などをしている女流冒険家とその娘。
    今までにない職業と豪快な女性。
    そして物忘れが激しい牧師。
    私の親も同じような感じなので他人事ではなく心配しながら読んだ。

    おやじさんと呼ばれる味のあるデイビー主任警部が今回は事件を解いていく。
    マープルはこの作品ではロンドンで買い物を楽しんだりしているのがメインで、いつのものカッコ良さはない。
    でもお芝居をして聞き耳を立てて情報を仕入れる探偵みたいなことはやってる笑
    ラストは今までになく後味の悪さがあるけど、余韻の残る感じは好きだった。

    このホテルが観たくてドラマ版を観たけど、ホテルの雰囲気と女優さん達が本当に素敵で最高だった!

    マープル長編の未読は残り『復讐の女神』と『スリーピング・マーダー』の2作品のみ。

    どちらを最後に読むかがとても悩む〜!
    というのも、『スリーピング〜』はポアロ『カーテン』と同じく、戦争中に自分の身もどうなるかわからない時に書いている。
    公開されたのは亡くなった年の1976年だけど、執筆したのは1943年37歳の時。
    最終話としては『スリーピング〜』なんだけど、この頃はまだマープル作品を書いたばかりの頃なんだよな。

    だから事実最後に書いたマープル作品は、1971年81歳で出版した『復讐の女神』。
    『復讐の女神』はクリスティーも愛したマープル作品の本当の最後だと思って執筆したと思うから、どっちから読んだら良いか迷ってしまう…。
    そして読んでマープルが終わってしまうのが怖い(⁠╥⁠﹏⁠╥⁠)

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    2024年08月15日
  • 時計じかけのオレンジ〔完全版〕

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    ネタバレ

    ボルシービズムニーマルチックがドルーグたちとベックのガリバーやリッツォをトルチョクしてクロビーまみれにさせたりする小説。

    たぶん一回読んだことあるけど、まるで覚えてなかったのでたまにデジャヴ的な「ん?ここ読んだことあるような…」を感じながらもそこそこ面白く読んだ。トルチョックという単語、なんかのマンガとかで見た覚えがあるような… 調べてもわからなかった。

    序盤は毎回ルビが振ってある謎の用語が頻発するのに首を傾げるのだが、途中からなんかそういう世界なんだなと気にならなくなってくる。でも途中までは直訳感もある、変わった翻訳だなぁと思ってはいた。

    前半はアレックスと仲間たちが暴れまわり、暴力描写がかなりきっつい。酒飲んだり、不良のライバルとケンカしたりするのはともかく、老学者をボコって貴重な本をバラバラにしたり、かなり若い女の子を拐かしたり、しまいには猫好きのおばあさんの家に強盗に入って過失致死して捕まる羽目に。この時点で15歳なんだから全く救えない。

    後半はアレックスが刑務所にぶちこまれるものの、悪さをしていたとき同様、ちょっと頭のいい感じに上手く振る舞って司祭を手伝う模範囚になっていたところ、新入りに挑発されて暴力を振るって殺してしまうという、捕まったときと全く同じことをしている。
    刑務所内でも殺人をしてしまう15歳という、だいぶどうしようもないガキということで、ちょうどルドビコ法という矯正法を試したがっていた内務大臣に選ばれて治療をされていく。ここの描写もなかなかきっつく、暴力映画というよりももはやスナッフムービーや戦争犯罪の動画を、目を無理やり開けさせられてずっと見るというもの。次第に暴力を見るだけで頭痛がしてきて、自分でも暴力を考えると拒否反応が出るため、なにか優しいことを考えないといけないという思考矯正状態になる。しかも、映画と一緒にアレックスがもともと好きだったクラシック音楽をかけていたため、音楽にも拒否反応が出るように。
    実際、研究員に「ほれ、殴ってみろよ」と挑発されても、これまでのアレックスだとブリトバでズバッとやりそうなところなのに「あなたのためになりそうなことをさせてください」とか言ってしまうように。

    矯正されたあとに無事社会復帰するものの、家に帰ると知らないおっさんが両親の新しい息子みたいになってて、うろついているところに以前のアレックスを知っている人々や被害者たちに馬鹿にされボコボコにされたりして、最終的に以前押し込み強盗をした「時計じかけのオレンジ」を書いてた小説家の家にまたたどり着き、優しく手当をされる。
    で、小説家は反政府マインドも持っていたらしく、アレックスの矯正のニュースを見てこんな政府はいかんよと、反政府仲間と共にアレックスを担ぎ出そうとする。
    が、暴力性はなくなったものの、使う言葉がまだナッドサット語なので、それに何かを感じ取ったらしい小説家が平静を失いかけていてやばい。仲間たちはそれに薄々気づいていたので、とりあえずアレックスを隔離するが、隣の部屋でクラシックをかけてアレックスに嫌がらせをし、全てから逃げたくなったアレックスが飛び降り自殺を図る。

    ルーカーもノガも折れ、クロビーまみれになったものの一応生きていたアレックスは、なぜか矯正状態が解除されており、暴力的思考やり放題になっていた。その様子をまた内務大臣や医者が見に来ていて、なぜかもとに戻ったことを確認した上で治療され、退院、釈放されてしまう。ここがよくわからん。内務大臣たちは、ルドビコ法の中身がバレて批判されたからもう治療はやめたということなんだろうか。「よろしい、よろしい」じゃないんだが。

    そしてキューブリックの映画だとここで終わりらしい。小説版では「幻の最終章を追加」となってて、結局当たり前のようにまた暴力仲間とつるんで好き放題する以前のアレックスに戻るが、昔の知り合いに偶然会って、彼が二十歳になって結婚しているオトナになっていることを知るとアレックスもそろそろオトナにならなきゃなと思って終わり。

    確かに映画版だと、暴力振るうと矯正されちゃうよ良くないよ、しかも矯正したって人の根本は変わらないよ無駄だよ、みたいなテーマになってしまうかも知れないが、小説版だとこれはこれでただの暴力礼賛青春小説だし、単に若気の至りだからそのうち落ち着くよ、みたいな内容でどっちもどっちな感じ。
    まあ、物語はすべからく教訓があるものである、という考え方自体あまり好きじゃないので別に文句とかがあるわけではないんだけど。
    特徴的な語り口やナッドサット語のおかげか爽快に読めるけど、矯正治療されたあとも単に暴力のことを考えられなくなってるだけで根本は治ってないクソ野郎なので、因果応報されてるときはスカッとするけど、娯楽小説というのもちょっと違うような…

    解説には「時計じかけのオレンジ」が何を指していたのか、以下のように丁寧に説明してくれているのだが…
    『人は自由意志によって善と悪を選べなければならない。もし善だけしか、あるいは悪だけしか為せないのであれば、その人は時計じかけのオレンジでしかない ーー つまり、色もよく汁気もたっぷりの果物に見えるが、実際には神か悪魔か(あるいはますますその両者に取って代わりつつある)全体主義政府にネジをまかれるぜんまいじかけのおもちゃでしかないのだ』
    読んでもなんだかよくわからない。なるほどね!だから時計じかけのオレンジか!と思いたかったんだがなぁ。

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    2024年02月06日
  • 復讐の女神

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     まず、なにより邦題も「ネメシス」でよかったのではと。日本語にしてしまうと名称としての力強さがなくなり、少し説明じみたイメージになってしまう。ネメシスの方が復讐の女神より力強さや恐ろしさを感じるのは僕だけだろうか。
     
     僕はクリスティがミステリにおける殆どの試行やトリックを編み出し使い尽くしたと考えており、彼女以降の作家は新たなジャンルや作風の工夫こそ出来うるかも知れないが、ミステリの観点でアイデアで彼女の創作を超えていく事は難しいと常々偉そうに語っている(笑)
     ミステリの形式としては、1.犯人は誰か2.何故事件は起きたのか3.事件の過程を解き明かす4.叙述トリックなどが考えられるのだが、今回は問題は何かというまさかのテーマであり、そもそもミステリの殆どは何かの事件やトラブルに対しての道筋であるはずなのだが、今作ではマープルと同じ様に読者も広大なフィールドに投げ出され、とにかく進んで何かを見つけろと言われている様な気分であり、新しいジャンルを経験している様な気分だ。中盤から終盤にかけて、徐々に今作の解明すべき問題が明らかにされていき、ラフィールが一体何をマープルに託したのか、が構築されていく。大枠としては漫画やゲームの構成と似ているなぁと感じた部分もあり、そういったものがまだ表現されていないなかで、文章で表現されているのは驚きだ。
     カリブ海の秘密で共闘した数年後、新聞の死亡記事にラフィールの名前が載る。マープルは彼の名前をようやく思い出し、カリブ海での事件に思いを馳せる。数日後、弁護士事務所を通じてマープルの元にラフィールからの不思議な依頼が届く。何について、誰について、全く何の依頼もなく、弁護士達も何も知らされていない。そんな中、マープルはラフィールが手配したバスツアーに参加する事となり、少しずつラフィールが意図した事件の輪郭が姿を現してゆく。
     物語の軸自体を読者が探し、考察しながらストーリーの真相に迫っていく。ある意味で謎解きの幅が広くなり、登場人物達を全て精査していく必要上、読みにくくなる事が考えられたが、全くそんな事はなく、反対に非常に整理された道筋を辿るため読みやすくさえあると言える。
     今作は連作のため、カリブ海の秘密から続けて読むと格別だ。(バートラムホテルの事件は次に読む予定)また、本来三部作を予定しており、英題を読み解くと、ウーマンズレルム(女性の領域?僕は今作かは勝手に想像し、女王の庭と略した!!)
    が完成しなかった事は残念だ。僕は本当にこの二作が好きで、ふたつ合わせてクリスティの10指の一つに選びたい。

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    2023年09月30日
  • 時計じかけのオレンジ〔完全版〕

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    キューブリックの映画で昔見たことあったけど原作は読んだことなかったので読んでみたところハラショーだった

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    2023年05月01日
  • パーカー・パイン登場

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    ネタバレ

    短編ながらストーリーも魅力があり、ラストはクリスティーお得意のどんでん返し満載。どの話も面白いけど、一番好きなのは退屈な軍人の話。ほんとに結婚するの?!大丈夫??と思ったところに相手も相談者だったと読者に知らされるオチは、シンプルだけれど、だからこそはっとさせられて爽快。シリーズものにならなかったのは残念すぎる。もっと読みたかった。

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    2022年02月23日
  • 復讐の女神

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    ネタバレ

    今まで読んだマープルシリーズは、どちらかというとマープル以外の登場人物によって調査が進められていたものが多かったので、今回のようにマープルの場面がほとんどの作品は私には珍しく、いつもと違った雰囲気を味わうことができた。
    前作『カリブ海の秘密』でも印象的だったピンクのフワフワ、あの作品の中でこの場面だけが、話の要点は忘れても記憶に刻まれていた。今作でラフィール氏があのフワフワに言及した瞬間に前作と繋がり、しかも「ネメシス」という暗い響きとギャップが大きいこともあり、強烈な印象を残した。
    事件の真相を、人や家から漂う「暗さ」から嗅ぎとる独自の捜査方法が面白かった。

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    2022年02月23日
  • 復讐の女神

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    マープル
    「カリブ海の秘密」の続篇。ただし、未読でも充分楽しめると思う。私はラフィール老人のキャラクターは覚えていたけれど、ストーリーはぼんやりしか覚えてないのでこの後再読してみよう。
    だいへん面白かった!自分の場合、クリスティー作品は半分ほどまでは途切れ途切れに読み進めていて、後半になると引き込まれて一気に読むパターンが多いが、今作はすぐにワクワク読み進めるのが楽しかった。
    クリスティー作品では他でもあった若く、可愛い、素敵な女性が、誰からも賛成されない男と熱烈な恋をして結婚しようとする、しかし分別ある大人たちではそれを止めることはできないというエピソード。現在(2021年10月)の日本国民の多くに苦い共感を起こさせるではないかな。

    巻末の解説に三部作の2作目となる予定だったが、残念ながら第三作は発表されなかったとあり、興奮した。それは読んでみたかったな〜という気持ちと、でもこの作品でうまく収まっているのでは?という気持ちもある。ところが「アガサクリスティー完全攻略」を読むとどうやら三部作説の根拠が薄弱らしい。真相が気になるが、いずれにしても読めないからな〜。

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    2021年10月04日
  • バートラム・ホテルにて

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    マープル
    ホテルが好きなのでとても面白かった。マープルがロンドンでのお買い物で「たいそうごきげんな時間を過ごして」(p110)いるのもこちらまで楽しくなってくる。
    モデルになったホテルはブラウンズらしいが、「イギリスのお菓子とごちそう」にはブラウンズとフレミングス・ホテルを合成して描いたという説が紹介されていた。ブラウンズのアフタヌーンティー、味わってみたいものだ。

    メープルの長編の未読は2冊になってしまって寂しい。

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    2021年06月27日
  • アガサ・クリスティー自伝(下)

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    2021年に読んだ&読む既刊の、まずベスト1だろうなー。
    私、前世は1910〜20年代のイギリス人だったよ、きっと。『メアリー・ポピンズ』に始まり『ダウントン・アビー』も『ダロウェイ夫人』も漫画『エマ』も心をつかんで離さない。なんで今までクリスティーにハマらなかったのか。この年になるまで待っててくれたのか。
    『さあ、あなたの暮らしぶりを話して』に書店の旅コーナーで出会って魅了され、自伝に進んだが、読んでる一瞬一瞬が幸せだった。
    裕福な家に生まれ、破産、戦時の結婚、離婚、13?も年下の考古学者との再婚、執筆と中東での発掘の日々…思い出すままにあちこち書き連ねたこの自伝、ゆったりしたペースと、イギリス人らしく控えめな感情表現&ユーモアで、目まぐるしいクリスティーの人生を一緒にたどっていける。
    彼女の人生を幸せにしているのは、類まれな才能とともに、豊かな愛情に恵まれたことですね。幼少期の家庭も、後半生を共にした夫も本当に愛が深い。それに謙虚に感謝する心がまた美しい。
    描写については、衣食住、あらゆる細部が楽しいが、私がつねに心惹かれるのは…やっぱり使用人。本人も当時の使用人たちがいかに誇りあふれるプロフェッショナルであったかを語っている。もちろん平等と自由は何より尊重されるべきだし、陰惨な話もたくさんあったろうけど、『ダウントン』しかり、しっかり保護されて自分より貴重なものに使える労働は、今の時代にはない幸せだったんじゃなかろうか〜。
    やっぱ前世はあの時代のイギリス貴族じゃなくてメイドかなw
    さて、忘れ去ったもの、未読のもの、クリスティーの作品は幸い山ほどある。生涯かけてゆっくり読みましょうぞ。

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    2021年04月20日
  • パーカー・パイン登場

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    アガサ・クリスティが生んだキャラクターの中でも、マイナーな存在かもしれないパーカー・パインが主人公の短編集。

    読んで初めて知ったんですが、パーカー・パインさんはいわゆる「探偵」ではないんですね。

    新聞に「あなたは幸せ? でないならパーカー・パイン氏に相談を」という不思議な広告を出し、事務所に訪れる人の悩みを解決するということをしている人です。

    確かに、「悪い奴を推理で追い詰めてこらしめる」というよりも「困っている人を助ける」という面が前面に押し出されています。

    そのためなのか、読み進めていくうちに、だんだんとくつろいだ気持ちに。。。

    こちらの短編集には12作が収録されています。

    前半6作はパーカー・パイン氏が主に事務所で依頼人を待つというスタイルで、後半6作はパーカー・パイン氏が旅先で事件に遭遇するスタイルになっています。

    どちらのスタイルもとてもおもしろかったです。

    興味深かったのは、前半6作の中に、ポアロシリーズに登場する人物が出てくるという点。

    秘書のミス・レモンと作家のオリヴァ夫人です。

    時系列的には、パーカー・パインシリーズへの登場のほうが先なのでしょうか?

    オリヴァ夫人はパーカー・パインシリーズが初登場らしいのですが、ミス・レモンは??

    ちょっと調べてみたいところです。

    パーカー・パイン氏自体がなんとなくポアロを彷彿とさせるのですが、こうした関連性を感じるとなんかうれしいですね。

    さて、このパーカー・パインシリーズは全14編の短編のみです。

    残り2編は「黄色いアイリス」という短編集に収録されています。

    個人的にはかなりパーカー・パインシリーズが気に入ったので、今後も読み返していきたいと思います。

    ◇おすすめポイント
     ・パーカー・パイン氏のお悩み解決法が素敵
     ・事務所スタッフも魅力的
     ・トラベルミステリも楽しめる

    ◇こんな方におすすめ!
     ・クリスティの短編を読みたい
     ・ちょっとポアロやマープルじゃないものを読みたい
     ・肩の力を抜いてミステリを楽しみたい

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    2019年10月13日
  • 復讐の女神

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    復讐の女神。アガサクリスティー先生の著書。アガサクリスティー先生の作品はどれも本当に楽しいです。時間を忘れて独特の世界観に引き込まれてしまう。

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    2019年02月10日
  • 復讐の女神

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    ミス・マープルシリーズの長編11作目。9作目「カリブ海の秘密」の続編にあたる。
    クリスティが最後に執筆したマープルシリーズでもある。

    【あらすじ】
     「カリブ海の秘密」で知り合った大富豪のラフィール氏が死去した。氏の遺言である事件の調査を引き受けることになったマープルだが、漠然とした情報のみが提示され困惑する。やがて、死去前の氏の計らいでイギリス各地の名所・庭園を回るバスツアーに招待されたマープルは、ある場所で悪の気配を感じ取る。

    【感想】
     「カリブ海の秘密」の続編ではあるが、関係者の再登場は故・ラフィール氏と元秘書程度なので、この本を先に読んでも楽しめる。最初は事件の陰すら暗中模索状態だったマープルだが、持ち前の考察力と事件を感じる力によって徐々に真相に近づいていく点が面白い。怪しそうな人物を多数配置し、誰が敵か/味方かわからない状況を作って読者に色々を想像させる点も読み応えがあった。
     タイトルの由来は、マープルが持つ「悪を嗅ぎつけ断罪できる力」をラフィール氏が例えた言葉から。

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    2016年07月18日
  • チャイナ・オレンジの秘密

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    殺人現場の死体の着衣、絨毯、本棚は全て逆向きに動かされ、あべこべになっていた。なぜ犯人はこんな事を?
    傑作です。

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    2012年01月28日