鹿島田真希のレビュー一覧

  • 冥土めぐり

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    第147回芥川賞受賞作。主役の既婚女性が、裕福だった頃の家族の過去を手探りに行くかのように、幼い頃に旅行で訪れたホテルに、病気で体が不自由となった旦那と訪れる。全体的に何となく陰気な雰囲気。金持ちから急に貧乏になった為か、母親がとても痛々しい。

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    2020年08月25日
  • ハルモニア

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    初読みの作家さん。音大を舞台に、2浪してようやく入った「トンボ」と彼を取り巻く学友達(母親がロシア人でハーフの天才・ナジャ、ゲイであることを公言するルツ子、韓国の大学を卒業後、日本に留学してきたキム)の群像劇。トンボの一人称で語られるが、それぞれのキャラクターが立っていてなかなか楽しかった。大学生活ってこんな感じなんだなと思えた。音楽理論やら音楽記号がやたら出てきて、明確に意味はわからなかったけれどおもしろい。自分とナジャの関係を第1主題、第2主題、コーダ……なんて分析するなんてさすが音大生だ。

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    2019年05月03日
  • ゼロの王国(下)

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    愚かなまでに心の清い青年への憧れから、人々は彼を中心としたサークル活動を始める。
    ある者は名前を書き続け、ある者は椅子を磨き続ける。
    過酷な「繰り返しの作業」の果てに、平等な社会(ユートピア)は生まれるか。
    世にも滑稽な“聖なる愚か者”吉田青年の、恋のゆくえは。

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    2016年11月07日
  • ゼロの王国(上)

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    滑稽なまでに心の清い青年。
    不幸になりたいと結婚に踏み切る女性。
    富豪から贈られた一億円を燃やす美女。
    無意識に愚図な女性を好む青年医師。
    すれ違うひとつの恋が、人々の心をあばいてゆく。

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    2016年11月07日
  • 冥土めぐり

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    表題作より、99の接吻のほうが好きです。
    4姉妹の、男を巡って変化していく物語。暗くて甘美的なお話でした。
    田村君は出てくる必要あったのかなーとひっそり思いましたが……

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    2016年08月07日
  • 来たれ、野球部

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    マザコンというのはようするに母親への執着なんだけど
    母子姦のタブーゆえに、母が自分のものにならないと絶望した子供は
    その代替として
    「母になってくれるかもしれない女性」を探し始めるわけ
    んでもって、それを見つけてモノにしたと感じたとき
    彼は幼児期の全能性を取り戻して
    なんかとんでもない世界にトリップしちゃったりする
    こともあるのね
    一方、そういう男に魅入られてしまった女の子は
    母を演じようと必死になって
    大変なことなんだ

    「恐るべき子供たち」が
    アクロバットでさわやかな着地を決めたような小説だが
    もうちょっと恥を知れよと言いたい部分はあります

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    2015年09月07日
  • 少女のための秘密の聖書

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    聖書を読んだのはもう20年以上昔の幼児時代で、旧約もあまりしっかりとは知らなかった。
    この話は中学生の主人公の現実であるなんだか粘っこい世界と、
    変わった人達の口から語られる聖書の世界が上手く交じり合っていて面白かった。
    聖書は面白いけど、名前だとかの横文字や言い回しに頭痛や睡魔に襲われる人は少なくないと思うので、閑話的に入る短い現実視点が読み易さや理解に一役買っていた。
    まだ未熟で大人になり始める子供達の素直な思考とか意見、だからこそ敏感に感じ取ってしまうよくわからない汚くて怖くて粘つく感覚。

    面白い小説というより、わかりやすい旧約聖書という感じ。
    お菓子が美味しそうでしたw

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    2015年08月08日
  • 一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する

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    聖書の創世や受難の物語と現代の教室や男女関係の物語を重ね合わせて、そこに古代から現代にいたるまでかわることのない人間の不安を、やや神秘的な雰囲気で浮かび上がらせようとしている、ような気がする。聖書についても女子の世界についても、実生活の中で体感することのないので、何かありそうだけどよくわからなかった、というのが正直なところ。5編の中では「この世の果てでのキャンプ」が一番しっくりきた。

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    2015年07月22日
  • 少女のための秘密の聖書

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    頭のおかしいような人ばかりで
    聖書の世界とマッチ。
    世の中は意味不明だが、神はその極地。
    信じる人も、なく生きる人も、みんな意味不明。

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    2015年07月17日
  • 冥土めぐり

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    3年前の芥川賞受賞作。主人公の奈津子さんの現在(いま)が、救われたものなのかどうか?最期までよく分からなくてモヤモヤした。作家ご本人の旦那さんがご病気で、ご自身がアル中にまで陥った経験をお持ちだとか。壮絶。わたしも、旦那に優しくしよう。しなきゃ。と思わせてくれた一冊。

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    2015年03月11日
  • 来たれ、野球部

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    好きかと言われればNoです。
    芥川賞作家の鹿島田さん、初読みです。
    タイトルは「来たれ、野球部」ですが野球部の話ではなく。
    青春物語という触れ込みですあり、確かに高校生たちの精神状態を扱った内容なのですが、爽やかさは無く。なにせ精神的に不安定な登場人物ばかり。自殺者(未遂も含む)が3人も出てくるし。
    鹿島田さんが何かを描きたかったのだろうというのは判るのですが、上手く描けているかと言えば多分上手く行かなかったのでしょうね。何かを伝えたかったけど、それが伝わってこない。そんな気がします。

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    2016年05月15日
  • 冥土めぐり

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    最初の作品は確かな存在感のある重い内容だった。2番目の作品は4人姉妹の入り組んだ関係性を一番下の妹の視点で描かれている。短編2作品。芥川賞

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    2015年01月24日
  • 冥土めぐり

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    第147回 芥川賞受賞作

    読み終えて、どっと疲れました。

    結婚後、脳の障害で不自由な生活をせざるを得なくなった夫との暮らしに幸せを見つけられない奈津子は、夫を連れ覚悟の旅へ。。。

    向かった先は、子供の頃家族で止まったホテル。

    今では五千円で泊まれるホテルだが、子供の頃のそこは家族の栄華を象徴する場所だった。

    今では全ての財産を失っているのにもかかわらず、いつかまた元の暮らしが待っていると謙虚さの欠片もない母と、プライドの塊でうまく行かないのは誰かのせいと疑わない無職の弟。

    その二人の存在こそ、奈津子を死に向かわせた理由だった。
    奈津子の母と弟への嫌悪感は、ただただ陰鬱で気持ち悪か

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    2015年01月24日
  • ハルモニア

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    ここまで一貫して万人受けしないものを書き続ける作家さんも珍しいな、と思います。相変わらずの強さ。
    表題作のハルモニアはとてつもなく異なっている音大生の男女の愛とやらを音に乗せ、音楽として描いているものすごく入りづらくて読みづらい気がするのに不思議とテンポ良く物語が運ばれていきます。

    砂糖菓子哀歌もまた独特で、ほんと哀歌です。リズミカルなの。言葉の運び方が。甘いのか苦いのか固いのか。中身を理解するよりも先にすいすいと読み進めてしまう不思議な本。
    もはや中毒。川上未映子的なね、けど川上未映子さんよりももっと独特ださらに万人受けしない、好きだなー。

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    2013年10月21日
  • ゼロの王国(下)

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    なんとか最後まで読み切ったという感じ。
    しかし最後にロシア文学者の解説を読んで、いろいろ腑に落ちた。
    描きたいことは分かるけどもう少しまとめられなかったのか…などと思いながら読んでいたけれど、ドストエフスキーの現代日本版ということで納得。
    『白痴』を過去に読んでいれば、また面白かったのかも。

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    2013年04月26日
  • ゼロの王国(上)

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    これは賛否が分かれそう。
    ストーリーの進行はほとんど登場人物たちの会話に委ねられ、地の文が極端に少ない。一人ひとりの発言がいちいち長く、言葉遣いも語る内容もなかなか非現実的。
    よって、良いのか悪いのか判断しかねたまま、なんだかジェットコースターのように一気に読まされてしまった。
    ストーリーを楽しむというよりも、作者の伝えたい事柄が直接登場人物の口から語られているという印象だな。間接話法じゃなくて直接話法というか(イメージ)。

    やや引っかかったのは瞬という人物。いつも登場に違和感があるというか、物語における役割としての「説明する人」っぽさが出てしまっているのかな。

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    2013年04月15日
  • ゼロの王国(上)

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    これは読むのに忍耐が必要な本。
    何故なら、下巻にも書いてあったけど、今時洋書をそのまま翻訳した様な書き方の本は見た事がないから。
    主人公を初めとする台詞の長い事、長い事!
    人を選ぶ本だと思うけれど、読書への忍耐力がつく本だとは思うので読書力(忍耐力)を付けたい人にはお勧めしたい。

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    2013年02月20日
  • 二匹

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    今まで読んだことのないような内容でなかなかついて行けなかったというのが本音だけど、気づいたら読み切っていた…
    もう一回落ち着いて読んだら、何か見えるのかなぁ。。

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    2012年11月02日
  • 二匹

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    鹿島田真希さんのデビュー作。クラスの出来損ないの男子高校生二人が、現実逃避を繰り返し、仮の狂犬病と化していく姿。諸所に色んな意味が込められてるのだろうけれど、今の私には解せなかった。

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    2012年09月12日
  • ゼロの王国(下)

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    繰り返される古典戯曲のような問答は前半のまま、はやり突拍子も無い行動をとる登場人物たち。リアルさがないのは確かだが、喋るセリフと行動がマッチしているので妙な感覚に陥る。
    そして恋愛というよりは愛がテーマ。主人公は聖人君子というよりは愚か者である。
    何か読むにつれ既読感が増していく感じがしたが、なるほどロシアの名作が基となっているのか。
    タロットカードのゼロ(愚者)のイメージが浮かぶ。

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    2012年07月08日