ネタバレ
Posted by ブクログ
2015年08月13日
初っ端からこれは当たりだと思いながら読み進めた。鹿島田さんにしか書けないだろう、奇想天外な展開。面白かった。イカれてる御伽噺のようで。
語り手の“わたし”が住む家には母親と血の繋がらない二の腕を触りたがる父親がいる。わたしの住む裏のアパートにはパンツ泥棒かもしれない気味の悪い浪人生のお兄さんがいて、...続きを読むわたしは母親に頼まれて家賃を取りにパンツ泥棒かもしれないお兄さんのもとに行く。そこでひょんなことをきっかけにお兄さんから旧約聖書について話を聞くことになるーーという物語の始まり。
血の繋がらない父とちょっと壊れている(どろけいをしている娘に破廉恥と言い捨てたり、かりんとう=犬の糞=破廉恥という考えな)母の不穏な、いやらしい始まりの気配があるたび、家賃を取りに行けと命じられ、次第にそれが楽しみになるわたし。パンツ泥棒かもしれないお兄さんはいつもお菓子を与えてくれ、旧約聖書の続きを読み聞かせ、ときにわたしの周囲での事件に準え話を進めていく。
そしてちょいちょい愉快な、シュールな展開を迎えるから面白い。
黒い靴下しか持っていない男のクラスメートに白い靴下が欲しいなら自分で買えばいいと指摘したことで、黒い靴下の男の子に「黒い靴下を履いているやつが黒い心を持っているとは限らない」とか言われ殺してやるとしつこく嫌がらせを受けたり笑、
わたしの見る夢の中。
お父さんとお母さんは裸でした。お父さんが、おちんちんをこすり始めます。すると、それはどんどん大きくなりらバットほどの大きさになりました。おちんちんがそのぐらい大きくなると、お父さんは消化器のホースみたいに、白い液体を放出しました。それがお母さんの乳房に当たると乳房がどんどん膨れあがってしまうのです。とか笑
ネタバレになりますが
ラストのパンツ泥棒の正体がお兄さんではもちろんなく、お父さんでもないところがちょうどよかったかな。
不気味さと少しのしょうもなさを真面目に描いた物語が好きな方は是非。