鹿島田真希のレビュー一覧

  • 冥土めぐり

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    プライドとお金に執着する母たち、善意が自身に向けられていることを疑わないような振る舞いを続ける夫。
    ひどい、辛い、面の皮が厚い、など様々な思いを読んでる中で抱いたものの、読み進めると、果たしてどういう感情でいればよいかわからなくなる。圧倒的な筆力。感情がもっていかれます。

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    2023年02月26日
  • 冥土めぐり

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    「冥土めぐり」は本当に素晴らしい。不条理や理不尽の中で思うようにいかないまま「生きていく」ということが、それぞれの登場人物を通じて、とても生々しく、リアルに描かれている気がします。

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    2021年09月02日
  • 冥土めぐり

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    亡霊のようにずっと自分の人生にまとわりついた過去。そういったものは誰でも1つは持っていると思う。
    色鮮やかに、何度も繰り返し語られた過去の素晴らしい出来事。例えばそれが軽井沢の別荘でバーベキューをした優雅な休日だったとする。それを50年経ってから、もう一度同じ場所に行って、風化した別荘の床を踏んで、みてみる勇気はあるだろうか。
    もし見てみたいと思ったら、読んでみることをお勧めする本。

    素晴らしい本でした。

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    2020年04月04日
  • 選ばれし壊れ屋たち

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    超面白かった、個人的に。
    近著だと来たれ、野球部や、少女のための秘密の聖書が好きだった人は間違いなく好きでしょう(あまりいないと思いますが苦笑)鹿島田さんファンならぜひぜひ。

    電車や休憩時に会社で読むのはやめておいたほうがいい、笑えて笑えて仕方ないから。ついつい口元が緩んでしまう。
    新人賞受賞し小説家デビューしたものの、二作目はボツばかりでなかなかうだつの上がらない主人公と、その周りのどこか壊れた人たち。クレイジーで自意識が高すぎる自称クリエイターな元恋人、美人なのにネジが何本か外れてる先輩、そしてその恋人。主人公は小説を書くための修行的な一環でBLの新人賞の下読みをする。その作品の数々と、

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    2016年07月01日
  • ハルモニア

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    まるで音楽を聴いてるように読んだ 砂糖菓子の話しも面白かった この人の作品は当たりハズレがかなりある

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    2015年02月25日
  • 冥土めぐり

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    痛い。
    痛いけど心地よい。淀んでる。
    個々の細かい描写が好みだった。
    シーン展開はいつもどおり(?)神話的。とても良い。
    「今は、意味の分からない絵でも見ることができた。奈津子は、ただ、絵を見ていた。」

    『99の接吻』も美しい。
    「蛍光灯のようなもの」・・・

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    2015年02月05日
  • 少女のための秘密の聖書

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    ネタバレ

    初っ端からこれは当たりだと思いながら読み進めた。鹿島田さんにしか書けないだろう、奇想天外な展開。面白かった。イカれてる御伽噺のようで。
    語り手の“わたし”が住む家には母親と血の繋がらない二の腕を触りたがる父親がいる。わたしの住む裏のアパートにはパンツ泥棒かもしれない気味の悪い浪人生のお兄さんがいて、わたしは母親に頼まれて家賃を取りにパンツ泥棒かもしれないお兄さんのもとに行く。そこでひょんなことをきっかけにお兄さんから旧約聖書について話を聞くことになるーーという物語の始まり。
    血の繋がらない父とちょっと壊れている(どろけいをしている娘に破廉恥と言い捨てたり、かりんとう=犬の糞=破廉恥という考えな

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    2015年08月13日
  • ゼロの王国(下)

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    演劇を観てるような錯覚に囚われる本だった。

    「飽くことを知り、足ることを知る」、滑稽なまでに清い主人公•吉田青年。

    不思議な魅了を持つ彼が色んな人と関わっていくお話、後半。


    登場人物のキャラが割と極端なのに(自虐の人、外交的な人、妬む人、鈍感な人…)、不思議と誰にでも共感できた気がする。

    非現実的で観念的で理屈っぽくて、吸い込まれる様に前後編読み切ってしまった。

    多分好き嫌いが分かれそうな作品だけど、私は好きだ。
    読むたびに新たな気付きがありそう。


    ラストの、
    「それは、単なる宛名書きではなく、吉田青年が愛してる人の、リストのようなものになった。
    (中略)
    愛してる人のリストで

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    2012年06月23日
  • ハルモニア

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    ネタバレ

    異国の血が流れるナジャは、首席として音大入学当初から有名人だった。

    環境にも恵まれていて、生まれながらの才能を持つ、まさに音楽に選ばれた天才のナジャは
    いつだって音楽のことを考えられたし、自由奔放で、人の気持ちになんて無頓着だった。

    ぼくは凡人で2浪の末の入学だから学費もアルバイトで稼ぐ日々で、音楽のことを考えるのはどうしても二の次になっていた。

    だけどぼくは才能のあるナジャを心から応援していたし、傷ついてもなお、彼女に恋していた。
    ゲイのルツ子とピアニスト志望のキムも交えて、
    互いの成長とナジャとぼくの関係。

    トンボは優しいなあ。凡人でありながら天才に嫉妬して自暴自棄になるわけでもな

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    2021年12月04日
  • 冥土めぐり

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    「冥土めぐり」「99の接吻」の二編。どちらも中性的な登場人物と癖のある登場人物との対比が面白い。冥土めぐりでは、純粋で鈍感でかつ前向きな太一。99の接吻では、中性な観察者で感性ですべてを理解する菜菜子。他の登場人物がコントラスト豊かに浮かび上がる。面白いと思いました。

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    2021年11月21日
  • 冥土めぐり

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    読書開始日:2021年9月28日
    読書終了日:2021年9月30日
    所感
    【冥土めぐり】
    家族のかたちは様々だと小説を読んで初めてわかる。
    自分は自分の家族で良かったと思えることが増えると同時に、現実は小説よりも奇なりといったもので、辛い過去として抱えて生きるものもたくさんいることがわかる。
    本作はそんな拗れた家族と時を過ごした主人公の話。
    母親と弟の浮世離れした人柄を痛々しい肌に描写されている。
    母に関しては幼い頃の経験、弟に関しては母親をはじめとした親族からの伝承にそれぞれが縛られ、浸されている。
    縛りは強固で、何を言っても、何を望んでも無駄になる。
    もう一生考えが交わることが無いとわかる

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    2021年09月30日
  • 二匹

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    「二人」ではなく「二匹」であることにより築かれる二人だけの濃密な世界。閉鎖的で誰も介入できない世界。ある意味、青春。

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    2017年12月18日
  • 選ばれし壊れ屋たち

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    面白い!この作家さんの作品初めて読んだけれど、痛いとこつかれすぎて読んでる間中ヒリヒリする(笑)
    この作家さんなりの朝ドラ的な物語を書こうと思ってこうなったのだろうか。
    登場人物たちは気味が悪くイタイけれど尊敬できる人ばかり。

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    2017年08月26日
  • 選ばれし壊れ屋たち

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    ネタバレ

    新人小説家、見崎沙代子と壊れ屋たち。

    口先だけのナルシスト北川という元恋人に振り回された出来事の数々。
    自意識というもの皆無のツバサ先輩と、恋人の見た目と中身のギャップありまくりのクマちゃん。

    編集者の洞察力抜群の金子さんと
    少女漫画家でありながらも派遣で働く、精神ぶっとんでる氷川だいあ。

    ボーイズラブ小説の選考読みするバイトで
    支離滅裂のように感じたそれぞれの小説たちに
    実は深い意味があったという衝撃。

    壊れてるね、沙代子もみんなもw
    完全に崩壊するすんぜんという、絶妙なバランスで
    シュールで、狂気やエロさえも感じる。

    「プライドのために、精神と肉体の欲求が離れてしまうのは、脅威で

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    2016年12月27日
  • 冥土めぐり

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    表題作は簡単に言えば、アダルトチルドレンの治癒の話。主人公の感覚は分かるものが多かった。個人的に凄くハッとさせられたのは芸術作品を鑑賞してるときの感覚で、これは自分もまったく同じなので驚いた。同時に、客観的に見るとこれは芸術を味わう感性と真逆の思考回路だなと気づいた。自分の芸術を見る目がないことがすとんと納得できた瞬間でした。
    最後のシーンは感動した。蝕んでいたものが根本からなくなると、日常が変わるんだなあと。旅行自体は単なるお祓いみたいなものだけど、人間にはこういうプロセスが必要なんだよなと思う。
    さて、めでたく歪んだ家庭という足枷から心理的に脱出できたわけだけど、その実際のきっかけが難病と

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    2016年11月20日
  • 少女のための秘密の聖書

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    ネタバレ

    近所のお兄さんの家に家賃を取りに行って、お菓子を食べながら聖書の話を聞いた子どもたち。わたしと、黒い靴下の少年。

    血のつながらのないお父さんはわたしの二の腕を触りたがるし、
    お母さんは少女のままでいやらしい目でわたしを見て接してくる。
    黒い靴下の少年は殺してやると言って、わたしを間違ったものから守ってくれる。

    万物の誕生からモーセ、預言者ダニエル、聖書を通じて現実の物事と向き合っていく正直者たち。

    モーセのところが難しかった。
    とてもわかりやすく、そして難しい。
    正しいこと間違っていることを見極める力を身に付ける大切さ。
    性的だけど、中学高校で読むといいかも)^o^(

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    2015年05月08日
  • 少女のための秘密の聖書

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    旧約聖書か~と思って読むとはじめから卑猥な風景が、どちらが主題か判らないですが、面白かったです。でも聖書は謎だらけですよね。エジプト脱出のあとアモンは武器持って戦ってるし、ヘブライ人は、神に見いだされたから正しいみたいな自己肯定は納得できない。

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    2015年04月08日
  • 一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する

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    鹿島田真希の原点(デビュー作は『二匹』だが以降の著作の方向性はこの作品で決定づけられている)と思う。無力さ、孤立感、絶望と呼ぶことすらできない絶望、名まえを失くす閉塞感と名まえを手放す開放感、徹底した無個性の特異さ、愚者の聖性、抑圧された性欲の虚構化、それが、この世で唯一真実とされる虚構である「聖書」の、モチーフや象徴を戯画化する形で描かれる着想と構成、その様式美。著者の様式美は後に、完全過ぎて違和感すらある平凡さ、に行き着くがこの作品ではまだ隙だらけであり、その揺らぎ自体が不安定で面白い。

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    2015年03月06日
  • 少女のための秘密の聖書

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    面白い角度で旧約聖書のことが書かれていて楽しめました。
    旧約は大学時代に勉強していたのでなんとなく斜め読みで、少女少年お兄さんの物語だけしっかり読みました。
    旧約聖書って何言ってんのかよく分からなかったりするけど、聖書についてお兄さんから聞いた後に少女たちが色々と話してるのを見てると「あぁ、なるほど」ってなんとなく、ぼんやりとでも旧約聖書について掴めるので良かった。
    タイトル買いした本だったけどすごく当たりでした。

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    2015年02月11日
  • 少女のための秘密の聖書

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    近所のパンツ泥棒と噂されるお兄さんが(主に)聞かせてくれる旧約聖書の話と、ちょっと生々しい現実に置かれた主人公の少女の話が代わる代わる出てくる。

    旧約聖書の人々や神様の話って、よくある教訓めいた話と違って、なんだかすっきりしない。まるで、少女の置かれたねちねち、ぬるぬるした現実世界みたい。そんな風に、言葉に表しきれない何かを読みながら感じていたのだけど、物語の最後で少女がまとめてくれました。

    旧約聖書は本当の物語なんだ。
    旧約の物語には、その「はっきり」がありません。物語に出会うたびに、ただ、ぞくぞく、ぬるぬるした気持ちになるのです。
    でも、それはわたしが生きている世界にとても似ています。

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    2015年01月29日