鹿島田真希のレビュー一覧

  • ハルモニア

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    「ハルモニア」環境にも恵まれ、音楽の神様にも選ばれた美少女ナジャ。ナジャに恋した主人公トンボ。ナジャは特別いい女とも思えないんだけど、ナジャと音楽に恋するトンボがすごく素敵だった。音楽のことだけ考えて音楽に没頭したい。でも音楽を聴くのは聴衆。生活を知らずして聴衆のための音楽を作れるのか?でも生活に追われていたら音楽は満足にできない、みたいな、音楽だけじゃなくて表現者として生きていきたい人間共通の悩みみたいなものが描かれており、それがありがちな僻みっぽさをまとっていないところが良い。
    「砂糖菓子哀歌」は二度目。鹿島田さんの艶っぽい文体で、ネジが一本飛んだような女を書くと異様な凄味が出る。

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    2014年07月17日
  • ゼロの王国(上)

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    ネタバレ

    鹿 島 田 文 学 た ま ん な い ! !

    もーなんだよー、なんだろこれー(誰か救心をくれ
    感想とかもうほんとまったく上手く言えないけれど、とにかく上巻の時点でどっぷり。
    特にユキさんに一番感情移入して、吉田青年が滑稽ぶりを発揮すればするほど頭おかしくなってきて自殺したくなってくる感じで白目剥いて昇天しまくった。

    大体、もー、「やせ我慢が、性愛的な悦び」だの「やせ我慢が二人(ユキとエリ)にとって性行為」だの、この言葉の選びよう……!(笑
    爆笑したった。なんてこの女性二人を端的に表す言葉なんだ!

    それからユキさん(エリさんもだけど)の、愛されたい、愛して欲しいがために偽悪的というか、自

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    2013年03月17日
  • ゼロの王国(下)

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    本当に、主人公はゼロに経ち帰ったのだなと言う印象。
    不倫だろうと純愛!みたいな話はよくあるけれど、相手がいるなら相手との決着を付けない限りは、他人から見れば不倫だと言う事を主人公と共に思い知らされた。

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    2013年02月20日
  • 黄金の猿

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    ただひたすらに難解で、知らない詩を聴いているような感じ。もしくはメロディが気に入った知らない言語の歌とでも言うのだろうか?2直線の交点を探しても見つからないようなモヤモヤ感が満載。

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    2013年01月29日
  • 二匹

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    初鹿島田さんにて胸かきむしられるような名前の付けられない痛くて苦しくて、その合間に一瞬だけ訪れる極上の救済体験をして、目がチカチカした。

    独特な文章センス、彼女の独自の言語感覚に初めは振り回されて、自分が何を手にし、何を読んでいるのかさえ分からなくなるような気がした。
    語られている二人ではない「二匹」となった少年が身体に受けた痛みや衝撃を共に感じ、彼らが走り続けて向かっていった場所へと同じように追っていったはずが、気付くと振り落とされて迷子になってしまったような感覚だった。

    けれど何とか食らいついて鹿島田さんがぶん投げてくる文字に触れ続けていると、突然眼前に、私に干渉もしないが、私を当然の

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    2012年08月15日
  • ゼロの王国(下)

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    これ絶対一年前は読めなかった。
    滑稽、ばかみたいって一蹴してたと思う。

    読みにくいし難しいのに手が進む。
    吉田青年の聖人君子ぶり、面白かったなあ。
    彼みたいな人はいないんだよね。
    だからラストは個人的に好きでした。
    恋愛は見返りあってこそなんだと思う。
    愛したいし愛されたいのが人間の本能で本望でしょう。

    愛している人のリストであると同時に、
    愛してほしいと思っている人のリストでもあったのだ。

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    2012年07月13日
  • ゼロの王国(上)

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    会話に次ぐ会話劇。こんなに地の文が少ない小説は初めてかもしれない。戯曲のようなセリフ回しは突拍子もないが、不思議なテンポを醸し出している。
    キリスト教的な聖人君子の主人公がどんな結末を迎えるのか下巻を読んでみたいと思う。

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    2012年07月01日
  • 女の庭

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    第140回芥川賞候補作。”主婦”という存在になることに抗いたい気持ちと、守られている安心と安定を手に入れたい気持ちの狭間で揺れる私には非常に共感できる描写が多かった。男性にも是非読んで欲しい作品。

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    2011年09月18日
  • 二匹

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    なんとなくこの感じに騙される。意図していることがなんであるかとか、書かれていることを追っても無駄だったと思う。すごく曖昧なところでおもしろいと言わされる、なかなか抵抗しがたい本だと思った。わからないのが怖いという弱点をもちながら、時々なんとなくこの感じわかるという少しの安ど感があって、そこにあるのは著者の想像だけという気がしてそこが好きだった。ほかの作品を読んで何かを確かめたくなる、挑戦を買いたくなるようなことを『二匹』を読んで思った。

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    2011年03月04日
  • 女の庭

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    中篇2篇の作品集。表題作「女の庭」では、平穏で平凡な毎日を過ごしている、自称普通の主婦のひとりよがりな妄想記。ゴミ収集所前での井戸端会議やら、隣に引っ越してきた外人ナオミへの意識上の同化やら、わからなくも無いがその姿は、滑稽すぎて哀切。もう一方の多和田葉子「聖女伝説」を連想する、猥雑でぶっ飛んでる「嫁入り前」の方が好き。鹿島田真希は滑稽さが、美しい。

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    2011年03月02日
  • 女の庭

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     表題作「女の庭」は、奥様同士のご近所づきあいにやや閉塞している主婦の隣人として現れた「外国人」の女性の自由な雰囲気に惹かれ、空想の中で話しかけるという話。孤独と連帯という題材に惹かれるし、空想や語りかけといった語りの構造もおもしろい。

     もう一つの収録作「嫁入り前」は、思い切った虚構的なホラ話。母の命令で真逆のタイプの姉妹が怪しげな「教室」に通うという筋なのだけど、端正な文体の物語の中に淡々と卑猥な言葉が挿入されていくファルス(喜劇)で、どんどんとんでもないところに連れて行かれる。

     まったく違うタイプの二作だが、どちらも水準が高く、この一冊で鹿島田文学が堪能できる。鹿島田真希の初心者に

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    2011年02月02日
  • 一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する

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    題名に惹かれて読んだ本。
    聖書がモチーフ、なのかな。知識があまりないからわかんないところも多かったけど、なんだかすらすら読めた。一番好きなのは表題作。

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    2010年12月06日
  • 一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する

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    最初ニ篇はやってることは明快なんだけど響くものがなくていまいちだった

    「この世の果てでのキャンプ」「一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する」は★5

    特に表題作の哀しみはとても共感できてしまった

    気持ち悪いことに

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    2010年04月21日
  • 女の庭

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    表題作である「女の庭」に、封じ込められている、とでも表現したくなるような病的とすら思える内省は、今という時代においては確かにある意味でありふれた現代病のようなところがあるとは思うけれども、多くの人は同じように孤独に苛まれながらも、突き詰めてしまう前に自分が他人との結びつきを頼りとしていることを思い出し、「女の庭」で展開されるようなスパイラルに落ち込まずに済んでもいるのだろうと思う。それは、悔し紛れに奥歯を強く噛みしめたとしても臼歯を砕いてしまう程強くは噛みしめないでいられるような自己防衛本能と同じで、脳は肉体のみならず、思考に対してもリミッターを掛けるようにできているのだろうと思うのだ。

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    2009年12月27日
  • 二匹

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    案外すきです、こういう無意味な中にあるやるせなさ。そうそう書けない。

    こういうやり取りって十代はじめにしかできないんじゃないのかな。
    今やれって言われてもできないかも。

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    2009年10月04日
  • 一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する

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    わたしはわりと、深読みしすぎて過大評価をしてしまうことがおおいのだけれどこれにかんしてもそうではないことを祈る。本をよんでいる、ということを実感できる本、あとあとも思い返してみてもやっぱりその文章をよんでいるときのあの感覚は文章をよんでいるときにしか感じられなくて読みたくなる できるのならばふわふわと4次元に浮かんでいるのはこんなきぶんじゃないか、のうみそが その文章は、イメージがイメージとして並べられていて、キリスト教をベースにして ひとつのことばはひとつのいみだけではなくて どうとでもとれるから、その行間をあわせた文章のながれで構成されていて それはなんというか、カオスをカオスとしてみる 

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    2009年10月04日
  • ゼロの王国(下)

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    かなり特殊な作品には違いないので一般受けは絶望的だとしても、誰かの人生を救うこともできるくらいとても強い作品になっている。

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    2025年05月02日
  • 少女のための秘密の聖書

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    主人公の母親と義理の父親がめちゃくちゃ気持ち悪い 主人公の少女の思春期らしさはある意味リアリティがあるけど母親が気持ち悪すぎて現実感がなかった 聖書のエピソードが差し挟まれてるので全体の気持ち悪さがいくらか緩和されてるところはある 少女から見た世界はこんなに気持ち悪いんだな

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    2025年03月13日
  • 冥土めぐり

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    読んでいくとタイトルに感心、執着とは違う母性とも違う愛より情かあって感じました。99の接吻では私の持ってる感性と離れてて分かり得なかったとこあり。

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    2023年07月06日
  • 冥土めぐり

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    ネタバレ

    表題作と、「99の接吻」を収録。大人になった娘に寄生し依存する母弟と、脳機能障害による障害を負った夫。奈津子がそれに囚われている。ある日、思い出の保養所に夫と旅行に出る。そこで自殺してしまうのではという予感をもち恐る恐る読み進めたが、最後は薄明かりの見える結末でよかった。

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    2023年04月18日