鹿島田真希のレビュー一覧
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「ハルモニア」環境にも恵まれ、音楽の神様にも選ばれた美少女ナジャ。ナジャに恋した主人公トンボ。ナジャは特別いい女とも思えないんだけど、ナジャと音楽に恋するトンボがすごく素敵だった。音楽のことだけ考えて音楽に没頭したい。でも音楽を聴くのは聴衆。生活を知らずして聴衆のための音楽を作れるのか?でも生活に追われていたら音楽は満足にできない、みたいな、音楽だけじゃなくて表現者として生きていきたい人間共通の悩みみたいなものが描かれており、それがありがちな僻みっぽさをまとっていないところが良い。
「砂糖菓子哀歌」は二度目。鹿島田さんの艶っぽい文体で、ネジが一本飛んだような女を書くと異様な凄味が出る。 -
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ネタバレ鹿 島 田 文 学 た ま ん な い ! !
もーなんだよー、なんだろこれー(誰か救心をくれ
感想とかもうほんとまったく上手く言えないけれど、とにかく上巻の時点でどっぷり。
特にユキさんに一番感情移入して、吉田青年が滑稽ぶりを発揮すればするほど頭おかしくなってきて自殺したくなってくる感じで白目剥いて昇天しまくった。
大体、もー、「やせ我慢が、性愛的な悦び」だの「やせ我慢が二人(ユキとエリ)にとって性行為」だの、この言葉の選びよう……!(笑
爆笑したった。なんてこの女性二人を端的に表す言葉なんだ!
それからユキさん(エリさんもだけど)の、愛されたい、愛して欲しいがために偽悪的というか、自 -
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初鹿島田さんにて胸かきむしられるような名前の付けられない痛くて苦しくて、その合間に一瞬だけ訪れる極上の救済体験をして、目がチカチカした。
独特な文章センス、彼女の独自の言語感覚に初めは振り回されて、自分が何を手にし、何を読んでいるのかさえ分からなくなるような気がした。
語られている二人ではない「二匹」となった少年が身体に受けた痛みや衝撃を共に感じ、彼らが走り続けて向かっていった場所へと同じように追っていったはずが、気付くと振り落とされて迷子になってしまったような感覚だった。
けれど何とか食らいついて鹿島田さんがぶん投げてくる文字に触れ続けていると、突然眼前に、私に干渉もしないが、私を当然の -
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表題作「女の庭」は、奥様同士のご近所づきあいにやや閉塞している主婦の隣人として現れた「外国人」の女性の自由な雰囲気に惹かれ、空想の中で話しかけるという話。孤独と連帯という題材に惹かれるし、空想や語りかけといった語りの構造もおもしろい。
もう一つの収録作「嫁入り前」は、思い切った虚構的なホラ話。母の命令で真逆のタイプの姉妹が怪しげな「教室」に通うという筋なのだけど、端正な文体の物語の中に淡々と卑猥な言葉が挿入されていくファルス(喜劇)で、どんどんとんでもないところに連れて行かれる。
まったく違うタイプの二作だが、どちらも水準が高く、この一冊で鹿島田文学が堪能できる。鹿島田真希の初心者に -
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表題作である「女の庭」に、封じ込められている、とでも表現したくなるような病的とすら思える内省は、今という時代においては確かにある意味でありふれた現代病のようなところがあるとは思うけれども、多くの人は同じように孤独に苛まれながらも、突き詰めてしまう前に自分が他人との結びつきを頼りとしていることを思い出し、「女の庭」で展開されるようなスパイラルに落ち込まずに済んでもいるのだろうと思う。それは、悔し紛れに奥歯を強く噛みしめたとしても臼歯を砕いてしまう程強くは噛みしめないでいられるような自己防衛本能と同じで、脳は肉体のみならず、思考に対してもリミッターを掛けるようにできているのだろうと思うのだ。
そ -
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わたしはわりと、深読みしすぎて過大評価をしてしまうことがおおいのだけれどこれにかんしてもそうではないことを祈る。本をよんでいる、ということを実感できる本、あとあとも思い返してみてもやっぱりその文章をよんでいるときのあの感覚は文章をよんでいるときにしか感じられなくて読みたくなる できるのならばふわふわと4次元に浮かんでいるのはこんなきぶんじゃないか、のうみそが その文章は、イメージがイメージとして並べられていて、キリスト教をベースにして ひとつのことばはひとつのいみだけではなくて どうとでもとれるから、その行間をあわせた文章のながれで構成されていて それはなんというか、カオスをカオスとしてみる