田中一江のレビュー一覧

  • ねじまき少女(上)
    90ページほど読んで、1年以上積んであった。

    石油が無くなり、常に変異する疫病群で多くの動植物が絶滅している世界で、タイを舞台に、遺伝子改造食料メジャーの西洋人アンダースン、ホロコーストを逃れた老中国人難民ホク・セン、試験管から製造された工業製品である日本の女の子エミコ。

    改良された象とゼンマイ...続きを読む
  • ねじまき少女(下)
    非常に読み応えがあって面白かった。
    最初は「石油枯渇後の近未来でバンコクを舞台に、遺伝子操作された生物が主役となる話」という設定に惹きつけられて手にとったのだが、実際に読み進めてみると、設定と世界が深く作りこまれているだけでなく、人間同士のドラマが複雑に織り成されていて、こちらも見事だった。

    うん...続きを読む
  • ねじまき少女(下)
    スピード感が出てきたと思ったら、物語が一気に流れて行く下巻。説明不足や伏線の投げっ放しがあるようにも感じますが、それを無視して十分に楽しむことのできる作品でした。決してきれいなストーリーではないですが、混沌とした社会の中で、それぞれの立場で精一杯に生きる人々の物語に圧倒される。

    外国バイオ企業の手...続きを読む
  • ねじまき少女(下)
    上巻で起きた暴動が内乱につながり、政変が起こる。視点が目まぐるしく変わるので誰かに肩入れして読む、というのではなく全体的な雰囲気を味わう物語、という感じ。
    粘っこく、ドロドロした世界の中で精一杯生きる道を探す人を描くのが上手いなぁ、と『シップブレイカー』を読んだ時にも思ったけれど、今回もそう思った。...続きを読む
  • ねじまき少女(上)
    そこかしこで散見される訳の拙さはさておき、散文的にばらまかれる現在形による描写にまず打ちのめされる。いわゆる普通の文体に慣れた身にはほんと辛かった。

    そんな読み手の困惑を無視してしょっぱなから話はぐいぐい進む。今我々が住む世界とは似ても似つかないとんでもない近未来世界へ何の前知識もなく放り込まれる...続きを読む
  • ねじまき少女(下)
    同じ背景で描かれた池上永一『シャングリ・ラ』はどこか遠い未来、遠い世界の話に思えたけれど、本書で描かれる近未来はそうではない。ちょっとした糸の掛け違えで、近い将来こんな未来が待っているのではと思わせるだけの怖さがある。

    正直言うとこの作品、ストーリーなんてあんまり覚えてない。覚えてないというか、も...続きを読む
  • ねじまき少女(上)
    石油の枯渇した近未来のバンコック、外国人の工場では遺伝子操作したゾウを動力として海草タンクを用いて新型エネルギーであるゼンマイを製造している。最初80ページ位はタイトルと小説の世界観が上手くなじまずちょっと読み進むのに抵抗があった。ちなみに昨年このあたりで一回挫折w

    そしてタイトルでもある日本製の...続きを読む
  • ねじまき少女(上)
    石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来のバンコク。遺伝子組替動物を使役させエネルギーを取り出す工場を経営するアンダースン・レイクは、ある日、市場で奇妙な外見と芳醇な味を持つ果物ンガウを手にする。ンガウの調査を始めたアンダースンは、ある夜、クラブで踊る少女型アンドロイドのエミコに出会う。彼とねじ...続きを読む
  • ねじまき少女(下)
    先に『第六ポンプ』を読んだせいか、衝撃度は少なかったけれど(オチとかもう少し大風呂敷かと思っていたので)、どんな世界でも幸せを求める生物…というところで希望が持てそうな終わり方でした。エミコすきすき。
  • ねじまき少女(上)
    舞台は近未来のタイ、バンコク.石油は枯渇し、ねじまき(ぜんまい)が主な動力源となっている.温暖化のためか海面は上がりバンコクも水没の危機に瀕している.また新たな疫病もはびこっている.カロリー企業や通産省、環境省の役人、軍人はそれぞれの勢力を伸ばそうとして暗躍する.エミコは日本製のねじまき少女だがタイ...続きを読む
  • ねじまき少女(下)
    日本製のねじまき少女エミコは肌を美しく見せるため毛穴が少なく発汗がしにくいため暑いバンコクではすぐにダウンしてしまう.しかし彼女は恐るべきスピードと殺傷能力を備えていた.事態はエミコのおこした事件から大きく展開し始め、バンコク全体を巻き込む大団円に向かってスピードアップしながら突き進んで行く.
  • ジェイクをさがして
    13 の短・中編と、ひとつのコミックからなる作品集。
    真相のわからない物語は、結構つらい。
    手暗がりで不気味な非現実性に浮き足立つ。

    「鏡」
    2003 年 ローカス賞ノヴェラ部門受賞作品。

    「ロンドンにおける“ある出来事”の報告」
    2005 年 ローカス賞ノヴォレット部門受賞作品。
  • ヘラクレスの冒険
    大好き連作短編集!

    テーマはギリシャ神話「ヘラクレス12の難業」だよ!

    ポワロが自分をヘラクレスとし
    (エルキュールはヘラクレスって読むらしいよ)
    舞い込む事件を12の難業に例えて解決していくんだよ!

    とはいっても、けっこう強引なこじつけが多い(笑)
    本格的なミステリーっていうよりも、
    ポワロ...続きを読む
  • ジェイクをさがして
    異世界の一情景すっぽり切り取ったような作品集。
    だから、オチがないものが多い。
    ドタバタ風の寓話『あの季節がやってきた』が一番読みやすいか。

    ただし、あの異様な世界にはまると、どっぷりとはまり込んで抜けられません。
  • シャドウ・パペッツ
    面白かったが『死者の代弁者』を読んだ頃の年齢だとそうでもないかも、と思った。人が共感するポイントも年齢によって変わるんだなぁ。
    続編はSFとしてはどんどん緩くなってます。が、子どもを産み育てる、というテーマはリアルな小説だと食傷気味だけど、舞台がこうなると割と素直に読める。個人的には好きです。自分...続きを読む
  • ヘラクレスの冒険
    そろそろ引退を考え始めたポアロが、自分の名前である
    エルキュールに因んだギリシャ神話の英雄「ヘラクレス」が
    成し遂げた「12の冒険」にかけて、
    その一つ一つの偉業に絡む「12の事件」の依頼を引き受け、
    ものの見事に解決する短編集。

    彼の引き受けた12の事件は、
    ペット誘拐とか政治家のスキャンダルの...続きを読む
  • ゼノサイド(上)
    死者の代弁者続編。前作で少年から中年に年を経たエンダーも、今作では老年の佳境に。シリーズを締めくくるに相応しい重量感で、腰を据えて読む必要があります。
  • ヘラクレスの冒険
    程好い厚さなのに短篇集なのでお気に入り。でも、ポアロらしくない一冊かも。ミステリ要素は薄いです。ポアロが引退しようと自らの名前エルキュールにちなんでヘラクレスの偉業に見立てた事件を次々とこなしていく話。
  • シャドウ・オブ・ヘゲモン(上)
    エンダーが去った後、地球では「戦争の天才」である彼の部下たちを巡って争乱が起ころうとしていた。ビーンを主人公に置いた「エンダーズ・シャドウ」の続編。己の本性を知る唯一の人物、ビーンを狙うアシルの魔の手、そしてエンダーの兄、ピーターの登場。お楽しみどころ満載です。「エンダーのゲーム」の続編としてはこち...続きを読む
  • エンダーズ・シャドウ(上)
    「エンダーのゲーム」をエンダーの片腕ともいえる存在、ビーンにスポットを当てて書かれた物語。ビーンはエンダー以上の天才だった。面白い作品だが、先に「ゼノサイド」で残された宿題を片付けてほしかった。