田中一江のレビュー一覧
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名作。飽きさせない展開ももちろんだが、そもそもエンダーをはじめ子どもたちが戦争に駆り出されるという設定が秀逸で、物語にリアリティを持たせ、ストーリーを魅力的なものにしていると感じた。当たり前といわれれば、その通りなのだろうが、この作品では特にそのあたりががっしりとした背骨のように作品全体を支えているようで、存分に世界観に浸ることができた。
また、高い知能を備えながらも、子どもゆえの不安定さや未熟さを見せ、友情によって結束や排除を繰り返す子どもたちの描写がよい。数少ない大人が、チャプター冒頭で交わす擦れたユーモアも面白い。
そして、なんといっても終盤の展開が最高で、そこで僕にとっての本作の評価は更に上がった。エンダーにとっての「ゲーム」が果たす役割が、このような形で最後に華を添える形になろうとは…続編もぜひ読みたい。
最後に、読んでいて困ったことについて。まず、登場人物の子どもが多いので、徐々に判別が出来なくなってしまったこと。ページを戻らねばならないことがあった。そしてもう一点は、和訳が読みにくい箇所が複数あったこと。原文はどうなっていて、この訳になったのか、ともやもやしたことが何度もあった。読み手の問題かもしれないが。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『エンダ―のゲーム』をビーンの視点から描いた姉妹編。本編では描かれなかったビーンの生い立ちや葛藤が描かれている。以下、備忘。
・エンダ―の宿敵はピーター、ビーンの宿敵はアシル(ロッテルダムでビーンがポークに殺せと命じたがポークの温情で生き長らえ、後でポークを殺す足の悪い少年。)
・ビーンの頭脳はエンダ―以上。天才のインフレ化傾向が止まらない。
・リーダーシップの取り方やカリスマ性が及ばないため、ビーンはリーダーにはなれない。
・エンダ―がリーダー論だとしたら、ビーンは参謀論?リーダーの理解者論?
・エンダ―が本編以上に神格化されすぎているのが気になる。本編の位置づけと違うような…
・上巻までは冷徹だったのに、衣食足りて甘め思考になるビーン。最後には家庭が見つかってよかったね。
・ティーンの少年たちが中心なのに(そして上品とは言えないののしりあいも多いのに)性的な言及は極端に少ない。
・ビーンもエンダ―と同様、みんなから好かれていない状況がスタート地点でそこから信頼を勝ち得ていく。
・二人とも、別格扱いで基本的に孤独。数少ないエンダ―の支えは姉ヴァレンタイン、ビーンはニコライ?エンダ―とビーンは相互に信頼があるが、心の支えとまでは言えないように感じられた。
・タロ・モモエって桃太郎だよね?イトゥって伊藤だよね?
著者がモルモン教徒と後で知った。道理で尼僧やら神学的な隠喩やらが多いわけだ。 -
Posted by ブクログ
近未来のバンコクを舞台にした物語の下巻。エミコたち「つくられた生き物」と、もとからいる人間とで構成される街では、あやうい均衡を保ちながら政治闘争が繰り広げられ、その均衡がついに崩れることに。生き残りを図る人々を描く下巻では、物語が進むにつれ、アンドロイドを開発した日本人の意図が明らかになります。上巻でエミコは、受けた教育と自分の中にあるものとの間にずれを感じていました。エミコの葛藤が何だったのか、読者はようやく知ることができます。真実が明らかになり、報いを受ける段になっても、顔色ひとつ変えない。こうした日本人の描き方からは、とらえどころのなさ、ある種の不気味ささえ、国際社会が抱いているように思えます。結末には「生き物」のしたたかさを感じて、ホッとしたような、救われたような気持ちになりました。
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紙媒体で読んだのは20年以上前。感動したしセリフを覚えるくらい何度も読んだ。なのにもう一度読みかえしてみたら、新鮮な驚きがあった。エンダーって大人顔負けだと思っていたけれど、こんなに幼かったんだと改めて思い、少年少女の大人にならざるを得ない状況に涙した。ところで続編の「死者の代弁者」はまだ電子書籍にならないのかな。あれも良かったからもう一度読みたいなあ。