田中一江のレビュー一覧
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【ポアロ】
パリからロンドンに向かう飛行機の中で事件は起きた。人が密集している狭い飛行機の中でどうやって殺人をしたのか?
見つかった凶器も謎だらけの、まさに「雲をつかむ」ような事件。
大好きなクローズドサークルで起きた事件に恋愛要素も入ってきて楽しめた。
解説はなんと大好きな阿津川辰海さん!
久しぶりの阿津川さんにめちゃくちゃテンション上がってしまった。
ファンだから言うのではなく、本当に過去イチわかりやすい解説だった。
まず、阿津川さんも同じクリスティー攻略本を読まれていることに驚いた。
そして、それぞれの主要メンバーの心理描写が描かれている所を親切にページ数まで教えてくれる。読者はそのページを振り返ると伏線に気が付くことができる。
なんてわかりやすい楽しい解説なんだ!
2度読みすると、ちゃんと書いてあるから面白いんだよなぁ。
阿津川さんの解説を読んで更に物語の深みに気が付くことができた。ミステリーの読み方を教えてもらえると、こんなに面白くなるんだ。
教え方がとても上手な先生に教えてもらったような感じで最後まで楽しかった。
★3.5 -
Posted by ブクログ
ヒューゴー賞とネピュラ賞受賞、ローカス賞のオールタイムベストでも上位入賞2回、直近の2012年では『Dune』に続き2位だ。期待も高まろうというもの。
なんだけれども、自分の好みではあまりなかった。
読みやすい。
読み出してから2日で上下巻読み終わった。
バガーという種の設定なんて面白いと思うし、主人公のストーリーとは別に兄弟のストーリーも進むのも物語を厚くしていると思う。
ただやはり、主人公の成長もいいんだけれど、ちょっと流石に幼すぎやしないか? 6歳から教育が始まるのはまあ良しとしても、12歳で地球を救ってもう隠遁生活みたいな、いやいや、ちょっとリアリティなさすぎでしょう。
というか、ジュブナイルだよな。と思う。
ジュブナイルとしてなら、自分も高評価。
でも自分むけの本ではない。
なので、そうだなー、シリーズ物みたいだけど、次を読むことはないかな。 -
Posted by ブクログ
ポアロシリーズ10作目。1935年の作品。
原題は『Death in the Clouds』。
飛行機という密室の殺人事件なので「雲の中の死」、「空中殺人事件」みたいなタイトルですが、事件の不可解さから「雲をつかむ」にかけているわけですね。
阿津川辰海による解説に「心理描写を行っているにもかかわらず、犯人が分からない、という趣向は、本作発表の四年後、『そして誰もいなくなった』で飛躍的進化を遂げる。テキストを読むというゲーム性では、『そして誰もいなくなった』は、『アクロイド殺し』のトリックとも繋がる。」とありますが、「テキストを読むというゲーム性」とはクリスティーの小説をよくあらわしている言葉で、これがおもしろくてクリスティーを読むんだなと思います。
『ゴルフ場殺人事件』のジロー警部の名前が出てきたり、容疑者に探偵小説家や考古学者が出てきて揶揄されたりするのもクリスティーの余裕を感じます。
60
「探偵小説家ってやつは、いつも警察を小ばかにしてるし……警察の仕組みがまるでわかってない。そうさ、連中が書くものに出てくるような調子で上役にものを言ったりしたら、明日にも警察から叩き出されてしまうでしょうよ。物書きなんて、なにもわかっちゃいない! この一件は、いかにもくだらない小説書きが書きとばすような、ばかげた殺人事件のたぐいだ」
249
「じつはね、ポアロさん、それとこれとはまったく話がちがうんですよ。探偵小説を書くときには、だれでも好きな人物を犯人に仕立てられる。」
はたしてクリスティーが本作に出てくる探偵小説家のように好きな人物を犯人に選んでそれから動機や犯行手段を考えるのかどうかわかりませんが、犯人を当てるミステリーとしてよりも、殺人が起こす波紋がやっぱりクリスティーの醍醐味だよね。
95
「殺人は被害者と加害者だけにかかわることじゃない。それは罪のない者にも影響をおよぼすんです。あなたもぼくも犯人じゃないけれど、殺人の影はぼくたちにもおよんでいるんだ。その影が、ぼくたちの人生にどう影響するかはわからないんですよ」
以下、引用。
58
「いや、警部、若いお嬢さんが緊張するのは、たいてい若い男性がそばにいるからで──事件の犯人だからじゃありません」
59
故人とは知りあいではなかったけれど、ル・ブルジェ空港では見かけたのはおぼえている。
「どうしておぼえていたのですか?」
「だって、びっくりするほど不美人でしたから」ジェーンは率直にいった。
60
「探偵小説家ってやつは、いつも警察を小ばかにしてるし……警察の仕組みがまるでわかってない。そうさ、連中が書くものに出てくるような調子で上役にものを言ったりしたら、明日にも警察から叩き出されてしまうでしょうよ。物書きなんて、なにもわかっちゃいない! この一件は、いかにもくだらない小説書きが書きとばすような、ばかげた殺人事件のたぐいだ」
82
「探偵ってものをずいぶん旧式に考えていらっしゃるんじゃありません?」ジェーンが問いかけた。「つけひげなんかで変装するのは、もう時代おくれですわ。いまどきの探偵は、ただすわっていて、心理的に事件を分析するんです」
「そのほうが楽そうですね」
95
「殺人は」ノーマン・ゲイルは説明した。「被害者と加害者だけにかかわることじゃない。それは罪のない者にも影響をおよぼすんです。あなたもぼくも犯人じゃないけれど、殺人の影はぼくたちにもおよんでいるんだ。その影が、ぼくたちの人生にどう影響するかはわからないんですよ」
97
警部はまた笑いながら、「そういえば、小説じゃ、探偵がじつは犯人だったっていうのがよくありますよ」
98
「ジローさんからも、あなたのことはうかがっております」
かすかな笑いがフルニエの唇にのぼったように見えた。ポアロはフランス警察のジロー警部のことを、常日頃“人間猟犬”といってばかにしていた。その男が自分のことをどんなふうに言ったか想像がつくから、ポアロもまた、用心ぶかくわずかにほほえみかえした。
122
「四六時中、犯罪小説や探偵小説のことばかり考えたり、事件についての読み物に片っ端から目を通したりしてるのは、人間として不健全じゃないですか。そんなことだから、いろいろと良くないアイディアまで頭に浮かぶんですよ」
202
彼は思った。“女をけなすのに雌犬(ビッチ)と言うが、おかしな言いかたをするもんだな。ベッツィ、おまえは雌犬だけれど、ぼくがいままでに出会った女を全部あわせたほどの値打ちがあるよ”
221
「ぼくじゃない。あの人はあまりにも醜すぎますよ!」
「そうかしら。きれいな人よりも、醜い人のほうを殺すものじゃなくて?」
222
「そうかなぁ? やっぱり、あなたもおなじような考えかたなんだ。人間はね、仕事をして、お金を手に入れる──女の人に夢中になって、あれこれと世話を焼くことで、そのお金を使う──ってことは、女の人はお金よりもはるかに大切で、理想的な存在だということですよ」
229
殺人ってやつは、なんて妙な事件なんだろう! 人が殺された、それだけのことだと思いがちだが、じつはそうじゃない。予想もしなかった影響があちこちに出てくるんだ。
245
「ああ、わたしにはわたしの推理方法があるからだよ、ワトスンくん。ワトスンくんなんて呼んでも気にしないでください。悪気はないんです。ところで、間抜けな友人を使うというテクニックがいつまでもすたれないのはおもしろい。個人的には、わたしはシャーロック・ホームズの物語はかなり過大評価されてると思うんです。あの作品のなかには、誤った論理が、じつにおどろくほどたくさんの誤った論理が出ているんだから」
249
「じつはね、ポアロさん、それとこれとはまったく話がちがうんですよ。探偵小説を書くときには、だれでも好きな人物を犯人に仕立てられる。しかし、いうまでもなく、現実の事件では相手は現実の人間だ。事実を勝手気ままにねじ曲げることもできない。」
314
「考古学者というのは、あわれな連中だと思うしね。いつも地べたをほじくり返しては、何千年もむかしになにがあった、かにがあったと大ボラを吹いてばかりいる──そんなむかしのことなんか、誰にわかるかと訊きたいですよ。
ぼろぼろのビースの首飾りを出してきて、五千三百二十二年まえのものだと言われても、それはちがうとは言えませんからね。まあ、そんなことで──ホラ吹きと言ってもいいでしょうよ──自分たちはホラとは思っていないけれどもね──しかし、害のない連中です。」
374
「人生は、とてもつらいものになりうるのです。人には、たいへんな勇気が必要です」
「自殺するのに? ええ、きっとそうでしょうね」
「生きるためにもです」ポアロは言った。「人には勇気が必要ですよ」
404
『アガサ・クリスティー完全攻略〔決定版〕』では、「クリスティーは演劇である」「『自分がたしかに見たと思っている事象が、別の意味をもっていたと悟る』というクリスティーの得意の技法は、きわめて視覚的である」(同書、二五八、二五九頁)と述べる。
410
このように、心理描写を行っているにもかかわらず、犯人が分からない、という趣向は、本作発表の四年後、『そして誰もいなくなった』で飛躍的進化を遂げる。テキストを読むというゲーム性では、『そして誰もいなくなった』は、『アクロイド殺し』のトリックとも繋がる。 -
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ヤン・ウェンリーでありアムロ・レイでもありシャア・アズナブルでもある可能性を持つエンダーのニュータイプ能力? を覚醒させるため軍はあえて彼を孤立させる。子どもたちの敵視は続くがエンダーはそう簡単にはやられない。
ピーター、ヴァレンタインも含めておそるべき三きょうだい。
■エンダーのゲームについての簡単なメモ
【アーライ】バーナードの取り巻きの一人だがエンダーの能力を認めているし自身の能力も高い。
【IF/インターナショナル・フリート】国際艦隊。
【遊び道具】《そして、遊び道具は――ゲームがひとつだけだ》p.58
【アンドルー・ウィッギン】→エンダー
【ヴァレンタイン】エンダーの姉、ピーターの妹。エンダーの理解者。エンダーは彼女を慕っている。そこが軍にとっては問題やった。人の美点を刺激することでコントロールする能力を持つ。
【エンダー・ウィッギン】主人公。本名はアンドルー・ウィッギン。ヴァレンタインがそう呼んだ。「終わらせる者」の意味? 物語開始時六歳。戦争の天才かもしれないと大人たちは考えている。
【グラッフ大佐】戦闘訓練基地で初等訓練の指導をしてはる。
【サード】第三子。この世界は二人以上の子どもをつくってはいけないことになっている。
【サラマンダー隊】新入生の間でようやくうまくいきかけていたエンダーがそこから引き離されて配属された隊。
【シェン】バーナードのいじめの対象になった小柄な少年。
【出産】エンダーは第三子だが本来ならこの人数は違法のようだ。ピーターが優秀そうやったからか両親の遺伝子的な何かで第三子まで生むことができた。
【スティルスン】いじめっ子。
【ダップ】エンダーたちの部屋のメンバーの世話係。
【ディンク・ミーカー】ラット隊の小隊長。優秀でエンダーを認めた。
【二流】二流にできるのは一流を育てることと権力に酔うことくらい。
【バーナード】いじめっ子気質。エンダーにちょっかいを出して腕を折られる。フランス系で自分のことをベルナルドと言う。
【バガー】敵性異星人? 前回の襲撃は八十年前でメイザー・ラッカムがいなければ人類は滅亡していたと思われる。そして今メイザー・ラッカムはいない。
【不承諾家庭】二人以上の子どもをつくらないという世界的な決まりを守らない家庭。税金も重くなるしいろいろ苦労する。国レベルで不承諾なポーランドは国際的な制裁を受けている。
【ピーター】エンダーの兄。戦闘訓練基地に行けなかった。人の弱点を突くことでコントロールする能力を持つ。
【ペトラ】サラマンダー隊のメンバー。唯一の女子。狙撃の技術が高い。
【ボンソー】サラマンダー隊の指揮官。規律を重んじる。というより皆を自分に従わせたいタイプ。
【メイザー・ラッカム】あらゆる不利を覆した名司令官。
【ローズ・ド・ノーズ】ラット隊の隊長。あまり優秀とは言えない。 -
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スーシェ版ポワロを見るために手に取りました。いやはや、本当にクリスティーは容疑者たちのキャラクターを立たせるのが上手いなと。美容室で働くジェーンなどは、今後のサブキャラクターになるかと思うほど詳細に描かれていましたね。
最後の謎解きは「そんなにうまくいくか?」とツッコミたくなりましたが、客室乗務員やメイドなど、この当時の人々が「あえて意識しない」ことを利用した方法だったのだなと。意中の人が席を立った瞬間に手鏡を出すのは、令和の我々もやることですし。
通して、あまり派手な内容とはいえないのですが、そのぶん第一章の鮮烈さは強烈。映画だったら絶対ここでタイトルが出るでしょうね。
いつにも増して、「自分のことを話したい」本能的欲求にアプローチする手法で進む今作。あっという間に読み切ってしまったのは、きっと新訳版の上手さのおかげではないかと思います(旧訳は未読ですが……)。
メイドを引き連れ食事やなんやが出てくる当時の旅客機は想像が難しかったので、ここはしっかり映像で楽しみたいと思います! -
Posted by ブクログ
異星人バガーの侵攻に対抗できる="人類の救世主"となる指揮官を育て上げるための施設<バトル・スクール>で、過酷な訓練を受ける幼い少年エンダーの物語、下巻。
大人たちによって画策された過酷な環境下においても次々と結果を残していくエンダー。飛び級でコマンド・スクール(司令官訓練基地)への移籍を命じられ、"ゲーム"の過酷度は更に増していく。そして明かされる異星人バガーとの戦いの真相―――。
ヒューゴー賞/ネビュラ賞を受賞し、タイトルも有名な作品で期待していたのだが、個人的には琴線に触れる内容ではなかった。やはりエンダーが11歳という年齢設定で、主人公の視点で物語を追うには感情移入が難しかったか。また、舞台が養成施設で訓練描写が大半を占めるのだが、イマイチ盛り上がらず面白味に欠ける。これは、自分がテキストから上手く脳内映像を作り出すことができなかったことが大きそうなので、映画版を観てイメージを補間しよう・・・なんか評価低いけど。。。 -
Posted by ブクログ
毒針を使った空の密室殺人を暴け。
パリからロンドンに向かう飛行機の中で殺人が起きた。凶器は落ちていた毒針。飛行機内で蜂を見たという人も現れる。ポアロは犯人を見つけられるのか。
乗り物全般が苦手なのかポアロ。この当時、もしかして飛行機での旅行は珍しいものだったのか。吹矢で毒針を飛ばすなんてありなのか。トリックや犯行にはなんだかピリッとしない感じがある作品。
しかし最後まで止まらずにページをめくり続けてしまうのは、会話が面白いから。いい加減なマスコミ、パリで出会った2人の進展、あれこれと語り合うポアロと警部たち。さらに登場人物の独白も面白い。犯人とわかってからその人物の独白を読み返すと、ここにこんな意味があったのか、と驚く。犯行時の行動がそこに堂々と書いてあるのだ。
クリスティーすごいな、とまた思った。これはやはり全作品読むしかない。 -
Posted by ブクログ
複数巻を平行に読破月間。
遺伝子改変とハックが当たり前になり、他国の作物をジーンハックゾウムシによって壊すことで、エネルギー機器に陥らせる時代。独自の種子バンクを持つタイでは西洋由来のカロリー(エネルギー)企業に負けない食文化を構築した。そこで藻類を研究するアンダーソン、通産省で闇カロリーを駆逐するジェイディー、日本製の遺伝子改変"ねじまき"少女のエミコの人生が交錯していく…。
クールなアンダーソン、自分がうまく制御できないエミコ、熱く衝動的なジェイディーに、得体のしれないホク・センと、サイバーパンクというか、アニメ的な登場人物の視点でそれぞれ進む序盤。状況の説明と、やや支離滅裂なストーリー展開がほとんどのため、上巻前半はなかなか読みすすめるのが難しい。
裏表紙に書かれているストーリーも、何となく全体にずれていたり、表現が誤っていたりするような感じで、出版社も上巻だけでなんともならないように思える。
そういう滅裂感が、上巻の後半にやや動き出してくる。的だと思っていたジェイディーが事件に巻き込まれ、エミコは北を目指す。
ヨーロッパから見たアジアの混沌とした世界観、特に通産省とは名ばかりの、日本のヤクザをベースにしたと思われるネチネチした陰湿な組織形態、得体のしれない敵国としての日本など、そういう風景が見えるようになってくると、理解が深まっていくだろう。
でもまあ、まだ序盤である。ようやく話が始まろうというところなので、後半に期待。
余談。
吾妻ひでおの『不条理日記』に出てくる「ミルクちゃん」の元ネタかと思って読み始めたのだが、2009年の作なのね。不条理日記って1979年頃よね。 -
Posted by ブクログ
パリからロンドンに向かう飛行機のなかで、金貸し業を営む女性が変死体で発見された。その首には蜂に刺されたような傷があったが、偶然乗り合わせたポアロは、床から人工の毒針を拾い上げる。衆人環視の客室内で、誰がいつ、どうやって犯行に及んだのか?大空の密室を舞台とした不可解な事件にポアロが挑む。
密室殺人という意味ではオリエント急行を彷彿とさせる作品ですが、やはりこの本でも殺害方法が肝になってきます。最後まで蜂に騙されたなあ・・・。ノーマンは怪しいと思っていたのですがどうしてもアリバイというかどうやって殺したのかが分からなかった。後から読み返すと伏線が見事で感嘆しますね。2か所はおかしいと引っかかったんですが、そこ以外は完全に気が付かなかった。一つ気になるのが、殺されたマダムの娘は、連絡をもらわなければ全く気付かなかったということ?それともノーマンに言われたから知らないふりをしていただけで母親のことをすでに知っていたということだったのかな?それで同じ飛行機に乗り合わせるってすごいな。