佐野洋子のレビュー一覧
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癌で余命宣告をされた後の日常を書いたエッセイ「死ぬ気まんまん」。主治医との対談。身体の痛みに耐えかねて入院したホスピスの体験を書いたエッセイ「知らなかった」。関川夏央が寄せた文章「旅先の人ー佐野洋子の思い出」の4編が収められている。
痛みこそ恐れたが、死を突きつけられても恬淡としているように見える著者であったが、無念な気持ちは抱えていたようではある。関川夏央が引用している「神も仏もありませぬ」の中に、住んでいた北軽井沢の山の春を、佐野さんは次のように書いている。
【引用】
ここの春はいっぺんにやってくる。山が笑いをこらえている様に少しづつふくらんで来て、茶色かった山が、うす紅が -
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Posted by ブクログ
ネタバレEテレで『100万回生きた猫』で有名な佐野洋子さんのエッセイを、北村裕花さんの絵と上村典子さんの語りで5分の番組にしている。
その番組を書籍化したもの。
ヨーコさんの言葉にはいちいち納得。
昔やっていた『美容整形の実験番組』に感じたもやもや感は
「手術後はあいまいな同じような顔になる。ああ、世界は平らになる。デコボコがあってこそこの世と思うのである。気に食わん」
という気持ちも確かにあったし、
戦中の雰囲気の中「淡谷のり子さんのぎんぎらぎんのあの化粧と、どっ派手な洋服で、ちゃらちゃらしてそれで押し通したと言われて」いるまさに‘命がけ’の勇気には賛同と尊敬を覚える。
エッセイのひとつひとつが -
Posted by ブクログ
ネタバレ佐野さん自身と母親との関係を描いた生々しいエッセイ。呆けた現在の母と、苦しみを与えた過去の母を行ったり来たりするような構成が、その切実さをいや増している。
終戦後、5人の子を抱えて中国から引き揚げ、その後3人の子を亡くした母。さらに夫(佐野さんの父)も亡くなり、女手一つ、完璧な家事と仕事で4人の子供を大学まで行かせた母。一方、ヒステリックで子どもに虐待の様なこともし、見栄と自尊心をこじらせていた母。どちらも同じ母で、すべてを嫌いになれなかったからこそ、佐野さんはさんざん苦しめられたんだろうなと思う。
問題を起こす家族は、物理的に離れること、これが一番なんだと思う。親を捨てたという思い