佐野洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人間が月に降り立ったことを喜べない人もいるんだと知って、価値観は多様だと改めて思いました。人類の進歩は、誰もが望んでいることだと信じてやまなかった自分をまだまだ視野が狭いと思い知りました。
そして、『月は昔を思い出すためにある』
すごく素敵な言葉で、月が出るのを心待ちにしました。読んだ日の月は、三日月がクスクス笑っているように感じました。
『死ぬとわかるのは自由の獲得』
死ぬとわかった時、ジタバタしないように生きているつもりですが、いざそうなった時にどんな自分でいるんだろうと思いました。
こんな風に割り切って残りの人生を楽しむ程、今を生きているのか考えさせられました。わかっているようで忘れ -
購入済み
役に立たない日々
佐野さんが、年をとって 日々生活して行くという事、頭の中で思って 感じた事、病気になる事、死ぬと言う事の 単純な明解な答など、いつものように普段使いの言葉と表現で、
ストレートに描いてくれている。
くすっとして うんうんとうなずいて そうだったのかもと 感心して 私は私の前を歩いて
くれた佐野さんがいるから 年をとって行く事にあまり不安が無くなった。
でも すぐ忘れちゃうから 何度でも読み返したい本。
佐野さんの本のなかでも 現在進行形で役に立つ特にオススメの名作!
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Posted by ブクログ
佐野洋子さんの、母親に捧げる懺悔の書…そういうふうに思えた。
老いた母を老人ホームに入れた事を「金で母を捨てた」と、愛情の無い自分という物を嘆き続ける。
自分を可愛がってくれなかったという記憶を語り、いつのまにか家事に堪能だった母の賛美に変り、叔母の方が気が合った、と書きながら、しかし叔母は家族を愛していたが、家族だけが大事で社会性がなかった、母はその点違う、と、母を見直す。
その書き様は、あざなえる2色の縄のごとし。
複雑な思いがそのまま表れている。
猛烈だった母は、ボケて、だんだんと優しいおばあちゃんになって行った。
最後には赦し合い、見送った後しばらくして、佐野さんも旅立たれた。
ご本 -
Posted by ブクログ
なんて風通しのいい方だったのだろうと思う。裏表どころか前も後ろも横もなく、全方位ただ佐野洋子そのものであるというような。当時60代の著者、もう人生降りて死に向かって緩やかに下降していきたいと書きつつ(そして心底思っていたのであろうことはわかる)それでも花や山や人に心を寄せながら西軽井沢で過ごす日々が描かれている。山荘というシチュエーションもあるかもしれないけれど、佐野さんと武田百合子さんにどこか似通った部分を見る。媚びないウソ言わない感じたままを口にする、というあたり。
長嶋有さんが登場してちょっとびっくり。そういえば表紙、佐野さんだったなぁと思い出した。
飼い猫の死について書いた一編が心に残 -
Posted by ブクログ
飄々として自由でザクッとした佐野さん。
どこまでもたくましくでも母性を感じる西原さん。
そして、率直でかっこいいリリーさん。
三者三様、みんな違うけれど、どこか近くて。
とても自然体で、芯がぶれずに自分の姿でシャラッと生きている人って見ていて気持ちがいい。自分が変われないことなんかもとっくに受け入れて、自分なりの生き方で長いようで短い時間を気負わずに生きる。
こんな大人の人達がいてくれると
なんだか勇気がでるなあとおもった。
リリーさんがお母さんを東京に呼んで一緒に住んでからの話はなんだかとっても幸福感に満ちていた。さらにすきになっちゃった、リリーさん。
そこまで生に執着しないと言い切 -
Posted by ブクログ
母と娘との間、また家族間にある溝や確執。
世の中、この手のものに無縁の人の方が多いらしく、そういう人々には、上記のような家族関係は理解不可能。そして、そんな人々から出てくる言葉は、「家族なんだから云々かんぬん×××」という類の無神経でつまらないもの。
だから、本書に共感したタイプの人の中には、自身がもつ家族間の確執やネガティブな思いを持っている事実を恥ずかしいと思い、口外もあまりしていないのでは。。。と思う。
しかし、本書はそんな人々に大いなる安らぎを与えてくれる。自分は責められるような人間ではないと許された心持ちになった人は多いのではと思う。人の心をやさしく救ってくれる、すばらしい本!
ま