佐野洋子のレビュー一覧
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「100万回生きたねこ」を描いた人。
私が小学校2年生の時に、母が「よい絵本だ」と聞いて私に買ってくれた。
私は読んでみたけど、別に良い絵本だとは思わなかった。
よい絵本がなんだかよく分からないし。
愛とか死はもちろん「猫が死んでかわいそう」とかも思わなかった。
みんな猫が死んで悲しんでるのに、猫は悲しまないで、なんだか猫に怒ったらいいのか、猫が死んだことをやたらに悲しむおばあさんや海賊に怒ったらいいのか、気持ちの持って行き場がよく分からなかった。
だから、何も感じていないような気持ちになった。
白い猫に死なれて、オス猫が生き返らなかったことはすごく当たり前のことのようにも思えた。
大きく -
Posted by ブクログ
画家で、「100万回生きたねこ」の作者としても知られる佐野洋子さんの63歳から65歳の頃に書かれたエッセイ。
63歳の佐野さんが88歳の痴呆の母親に年を尋ねたら「そうねェー四歳くらいかしら」佐野さん自身が衝撃を受けながらも同時に可笑しさが込み上げて来る様子が手に取るようにわかる。
佐野さん、その他に出てくる佐野さんの友人たち、すべての人たちが面白くて個性的に思える。それはそれぞれの人たちが魅力を持っているだけでなく、佐野さんのフィルターを通して描かれているからなんだろうなあと思えた。
生きていること、次第に年を取って心身ともに変化していくこと、老いていく自分に抗わず、ありのままに受 -
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母と娘。
老後を見てもらうなら、実の娘がいいと言われますが、一説にはお互いに本音でぶつかり合うから、わがままの言いたい放題、したい放題になってしまう、という話を聞いたことがあります。
『100万回生きたねこ』の作者で絵本作家でもあった佐野洋子さんも
そんな母と娘の葛藤を体験した一人でした。
同じ娘でも何人もいたら気の合う子とそうでない子がでてくるものです。
佐野洋子さんとお母さんの関係は、はっきり言って最悪でした。
歯に衣きせぬ物言いの文章を書く佐野洋子さんが、
この作品の中で何回も何回も
「母はキライだ」と、めった斬りにしています。
佐野さんのお母さんは、
父が亡くなった後、弟の嫁さんに -
Posted by ブクログ
読んだ私は不惑ど真ん中。
視力に筋力に記憶力に、生活の至るところに己の経年劣化を意識し始めて数年。
まだまだ序の口なのだ、『老い』の。
読みながら、ざわざわした。
『史上初めての長寿社会での私達は、生き方のモデルを持たずに暗闇を手さぐりしながら云々……』
というくだりが、どうにも頭から離れない。
朝目が覚めてカーテンを足で開けたり、ATMでもたついて後ろの人の舌打ちされたり、、、
20年後ぐらいの私もきっとこんなん。
どうしよう…この先の、老いた自分の暮らしが急に現実味を帯びた。
この著者の生き方、というか老い方は、これから老いていく者にひとつの見本となる。