佐野洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレタイトルだけ見て、面白そうだと思って読んでみたのだが
よくよく見てみれば『100万回生きたねこ』や『おじさんのかさ』の佐野先生が筆者なのだった。
絵本から受ける印象とは当然というのが全く違い
毒舌と言えば毒舌なのだが、正直でストレートな言葉が小気味よいエッセイ。
時節柄、
元いじめっこに「いじめられっこが復讐に来たらどうするか」
と尋ねたら、「殺されても仕方ない」と答えた
というエピソードがなんだか印象に残った。
自分はもう終わった人間で、早く死にたいと
同情を誘う訳でもなく素直な心情としてばっさり書いて
癌になっても驚かないし、余命を確認して
余生のことを考えてしていた貯金を使ってぽん -
Posted by ブクログ
幼児期に、わたしは「100万回生きた猫」を読んだ。正確には大人に読んでもらった。いっちょまえに主題を分かった気でいるような子どもだった。愛の意味なんか知らない癖によぅ!
20年くらいたって、愛の意味なんてまだまだ分からない私は、「100万回~」の著者である佐野洋子さんのエッセイを読んでいる。佐野洋子さんって、谷川俊太郎と結婚していた時期もあるらしい。驚いた。愛にあふれた人です。
何故今まで自分は佐野洋子さんの著書を読まなかったのか後悔した。女で佐野さんを読まないのは人生無駄にしている気がする。辛辣だけど女の本音をずばっと書いてくれて、読んでいて小気味いい。少しも嫌じゃない。冒頭の出産の章か -
Posted by ブクログ
全体的に冗長で、ダブっている箇所も多く、読むのがしんどかった。
ただ、ハッとするような表現があった。
P12 「悲しみ」っていうのは事件ではなくて、感情の底を流れる水流みたいなものだと思います。
P65 憎むべき相手も持たない孤独と憎むべき人間を持つことの不幸を同じはかりにかけられないのではないか。
P160 同じ行為が受け手によって全く違う意味を持つのだ。さらりと流せる人間もいる。こだわり続ける人もいる。こだわり続けることで自分を創る人もいれば、流すことで生き続ける人もいる。
P242 ニューヨークのネコの話し
P296 この世はみにくく、めちゃくちゃでくそいまいまし -
Posted by ブクログ
なんというか、あまり考え事をしたくないとき、緩~い気分でいたいとき、そんなときにぴったりの本。絵本作家・佐野洋子さんのエッセー集。というよりも、「ふつうのおばちゃんの戯わ言集」といった方が、しっくりくる(失礼ながら)。思い出やら日々の雑感やら、とにかく思ったことをありのままに書いている。だからおもしろい。佐野洋子さんの人柄がストレートに伝わってくる。
「メロンが6個あります。弟に3個あげました。いくつになったでしょう。答えは5個である。誰がメロンを3個も人にくれてやるか。」
「結婚とは、恋愛とか理想とかなりゆきとか半狂乱とか打算とかいろいろ動機はあるが、つまるところ相性がいいかどうかという -
Posted by ブクログ
佐野洋子さんは無邪気だなあと思う。いい歳をして、子供だなあと思う。そこがめちゃくちゃ羨ましい。
★人間ってすごい丈夫だよねェ、六十年も動きつづける機械はないよ。毎日使っているんだよ。内臓なんて寝てても一秒も休まず働いているよ。時々手入れなんかすると百年も動きつづけるよ。百年も走る車ないよねェ。
★人間は少しも利口になどならないのだ。そしてうすうす気が付き始めていた。利口な奴は生れた時から利口なのだ。馬鹿は生れつき馬鹿で、年をとって馬鹿が治るわけではないのだ。馬鹿は、利口な奴が経験しない馬鹿を限りなく重ねてゆくのだ。そして思ったものだ。馬鹿を生きる方が面白いかも知れぬなどと。
★いつ死ぬか -
Posted by ブクログ
病院での待ち時間に読んだ。前から読みたかったのに、癌で亡くなった後になってしまった。時代に決定的に揺さぶられてきた家族の歴史。登場人物たちの、個性豊かな生きざまは、リアルに過ぎて。
たくましいと言っていいほどの母が病院で次第にあくが抜けていくみたいに描かれているところは、死に向かい流れる時間の、ある意味理想の姿のように思えた。その母の、人間から仏に近いような在り様に、佐野さんは、ずっと責めてきた自分が赦されたと感じる。
4歳から触れることのなかった母の手をさすり、包み込む。
病院で、検査の結果を待ちながら、周りの視線気になりつつ涙ぐんでしまった。、