佐野洋子のレビュー一覧
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ネタバレ愛さなければ、喪失の痛みも感じ得ない。
悲しみの源泉は愛である。
その痛みは命をなめ取るように削り去っていく。
王さまも、船のりも、手品つかいも、どろぼうも、おばあさんも、子どもも、ねこを愛したがゆえに一日じゅうないた。
白いねこの死は、100万回生きたねこにとって初めての愛の喪失で、これまで1回もなかなかったねこが100万回もないて、ねこの「一生」ぶんをないて、涙が尽きてはじめて「命」も尽きたのだろうかと思う。
ねこにとって一番苦しかったのはこの生だったが、一番幸せだったのもこの生だった。
実りのある生というのは、何かを愛した生なんだろう。
愛するのは未来の傷を背負うこと。それでも何かを愛してみたいと思える、すてきな作品。 -
Posted by ブクログ
25.5.3の日経新聞で北川悦吏子さんが紹介していたので手に取った。北川さん、ありがとう。「その文章に憧れる」で紹介が締めくくってあった。正におっしゃる通りで読んでて心地よく、いつでもスマホで読み返せる様にあちこち丸コピーしたくなった。「その文体はあまりにすっきりしてて、媚びてなくて涼やかだった」北川さんの表現も素晴らしい、共感。
そして思ったこともない発想、そんなこと考えたこともなかったということによる気づき、読んでてホント楽しかった。
「時を見た人はいないのに、ときという名前をどうして人はつけることができたのだろう。」
「時は金なりということばを、私は好きではない。」 -
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ネタバレ絵本の作者としか知らず、なんとなくエッセイが読みたくなって買った1冊。
とんでもなく面白くて、なぜこの人のエッセイを今まで知らなかったのだろうと後悔した。
戦中、戦後、高度経済成長期を経ていくなかの記憶が、些細な1部なのだろうが佐野洋子さんが書くと一粒のちいさな宝石みたいに輝いている。いや、恐らく佐野さんは日常から宝石を発掘するのが上手い人なんだろうなと思う。
特に月の話が好きだ。人類が月へ行ったことへの憤り方も笑ってしまうほど面白いのだが、月は過去を思い出すものだ、というのに付随する彼女の月があった日々の記憶の数々はまるで同じ光景を見ているかのように染み入ってくる。
と思えば、最後の話ではなぜか延々と大便の話で、立派な便のときはそれで「あいうえお」を全て書こうとした話なんかもあり、なんでこんな面白い人を知らずに過ごしていたのか悔しくなる。
後半のご病気のときの便については、あまりの状態に心配になるのだが、やけに詳細な描写に読んでる方も脱力するというか、笑いそうになりなんだか口がモニョモニョしてしまう。
他のエッセイも読みたくて、今からもう楽しみ。 -
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けっきょくと言ったら変だけど、なんだかんだで佐野さんはお母さんのことを尊敬していて愛していたんだなと思った。
親を愛していてその自覚がある
親を愛していてその自覚がない
親を愛していなくてその自覚がある
親を愛していなくてその自覚がない
時期によって一様ではない。佐野さんは3つ目から1つ目に変化した、ならすと2つ目の感じが多かったのかな、と思った。
同じ親を持つ姉妹でも親への愛情表現は異なるものだなと思った。
自分は父に対しても母に対しても、尊敬していてその自覚がある。幸せなことだと思う。呆けても尊敬は変わらない気がするけど、どんなことを感じるか想像がつかない。呆けた姿を自分も含め他人に見せたくないだろうなというのは想像できる。
親から子に対してもいろんなパターンがあるとも思った。けど、子を愛さない親っているのかな、というのは思う。虐待したり殺してしまう親も、どんなに歪んでいても何らか心の奥底には子を想う心があるのではないか、そうでないことはなかなか信じられないなぁと思った。
それと、佐野さんのお母さんからしてみたら、子を亡くす経験を三回もされている。そういう時代だったとしても、並大抵のことではない。
自分には三人の娘がいる。どの子が死んじゃうことも考えられない。受け入れられない。
けど、万が一死んでしまったら、受け入れて無理やり前を向いて生きていくしかない。残った子に対しても、死んだ子に対しても、父はいつも前向きに生きていた と思われたい、と思った。 -
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175ページ
1300円
5月18日〜5月18日
人には誰でも得手不得手があること、男と女の違い、幼い頃に選ばなかったバッグにいまだに未練が残っていること、夫婦の不思議、乳ガンと診断されてからの充実した日々などが描かれている。
最後の2008年冬に描かれている自身のガンについての話が衝撃だった。乳ガンで、寝たきりで韓流ドラマを見ていたら、あごが外れたって所でフッと笑ってしまった。骨に再発し、余命2年死ぬまで1000万円か
かると言われ、『ラッキー』という言葉にびっくり。『年金がないから、90まで生きたらどうしようとセコセコ貯金をしていた』とか、すぐにジャガーの車を買ったり、やり残した仕事はなかったり、2年と言われたらウツ病が消えたり、人生が充実したという。死ぬとわかるのは自由の獲得だとも。『私は死ぬのは平気だけど、親しい友達には絶対死んでほしくない』という言葉に、あ一わかる、と思った。『死の意味は自分の死ではなく他人の死なのだ』にも激しく共感した。 -
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ネタバレ175ページ
1300円
6月1日〜6月1日
失恋した友人が泣きつかれた後にはとことん食べた話。息子の家庭教師の話。息子を叱るために家をでたけど、母を見すかしている6歳の息子の話。母のことを思い出す話。下宿人の芹沢くんの話。親切にすることの話。もの忘れがひどくなってきた話。大切に思っていない友達の話。
最初の話の友達と、最後の話の友達が同一人物とわかった時には、なんだか嬉しかった。大切に思っていないなんてタイトルをつけながらも大切にしていることが伝わってきて、ほっこりした気持ちになった。テレビが壊れたと思ったら、電話をリモコンと間違えて使っていたり、人にもらったものを誰にもらったかわからなくなり、本人にあげてしまっていたりと、クスリと笑ってしまうようなところは、ちょっと悲しいけどおもしろかった。猫の話は一つもないのに、扉絵や所々に登場するその姿に癒やされる。