佐野洋子のレビュー一覧
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新聞のコラム欄を読んでいて、ふと目に止まり、行きつけの本屋に出かけた。まず目についたのが「100万回生きたネコ」でも、本当に読みたいと思ったのは、こちらのエッセイの方だった。勢いでお取り寄せして、一気読みしてしまった。
読み終えて、何だったのかよく分からなかったが、心がホッと一息ついた気がした。
私は、このところ、突然脚が痛くなり、杖なしで歩くのが難しくなる事がある。病院で薬を処方してもらい、薬を飲んで二、三日もすればすっかり痛みは取れてスタスタ歩けるようになるのだけど、そんな時、思うのは、私も充分生きたから、死に一歩近づいたのだなぁと言う事だ。無意識のうちに、「死」が頭の中に棲みついて、あと何年生きられるか分からないから、やりたいことは今のうちにやらなくてはと思うのだけど、日常にとりまぎれて、その思いはついつい忘れてしまうのだ。
この本の作者は、癌を発症されて亡くなるまでの徒然をエッセイとして残されて、ありがたいと思った。この本は、それを読み、後に続く私、いや私たちの道標となる本だと思った。この本は、多分、これからも折に触れて手にするのではないかなぁと思う。読み解く場面はその時々で違うと思うけれど。 -
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
ガンが転移し余命二年を宣告されながらも、煙草を吸い、ジャガーを購入し、ジュリーにときめく。そんな日常生活や、一風変わった友人たち、幼い頃の思い出などが、著者ならではの視点で語られる(表題エッセー「死ぬ気まんまん」)。併せて主治医との対談や、関川夏央氏による「『旅先』の人」などを収録。著者の思いがいっぱいに詰まった魅力的なエッセー集
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佐野洋子のエッセイを読むのは初めて。
「100万回生きたねこ」を読んだ余波、というか「混乱」といった表現が近いと思うのだけれど、佐野洋子という人物に興味を惹かれて読んでみた。
本書は彼女にとって最後のエッセイ「死ぬ気まんまん」を中心に構成されている。体裁としてはその最後のエッセイに、築地神経科クリニック理事長である平井達夫氏との対談、彼女が神経症を患い入院した際のエッセイ「知らなかった」、そしてノンフィクション作家・評論家で漫画家谷口ジローと組んで漫画原作も手掛けている関川夏央氏の佐野洋子の思い出を綴った「『旅先』の人」、エッセイスト酒井順子氏の「書き下ろし解説」といった構成になっている。寄せ集め的な印象もあり、時期が異なるエッセイも収録されているので本としての一貫性は薄いように思えるのだけれど、読んでいる最中は佐野洋子の強烈な個性が全体をひとつの流れとして束ねているように感じられ、とっ散らかった印象は全くなかった。
確かに佐野洋子の文章や言葉の選択は強烈だと思う。「言葉が汚い」という彼女のエッセイに対する批判も散見されるけれど、言葉を装飾せずに直に発している印象。だから「言葉がきたない」のではなく、普段は隠されがちな種類の言葉、でもそれが本当の姿である言葉が展開されるから「汚く」みえてしまうのかな、なんて思っている。それと結構極端に見える意見をそのまま表現しているような箇所もあるけれど、変に世間体を気にせずに己の信じている思考をそのままストレートに口に出しているといった印象。確かに首を傾げるような場面もあるのだけれど、それも一つの強烈な個性になっているようにも思える。受け入れられるかどうかは別として。
言葉を装飾せずに直に発し、変に世間体を気にせずストレートに口に出している。よってものすごくリアルな印象を受ける。彼女の死に対する態度も生に対する態度も、他人に対する態度も哀しいくらいにリアル。だから読んでいるほうも哀しくなってくる。
このエッセイを読んで「100万回生きたねこ」に対する印象が変わったわけではない。あの絵本はいまだに僕にとっては謎が多い作品。いずれにしても一貫性のない内容なのにとても強烈なインパクトを残してくれた本書。他の佐野洋子のエッセイも読んでみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
100万年も しなない ねこが いました。
100万回も しんで,100万回も 生きたのです。
りっぱな とらねこでした。
100万人の 人が, そのねこを かわいがり, 100万人の 人が, そのねこが しんだとき なきました。
ねこは, 1回も なきませんでした。
読むたびにちがう気持ちになる、りっぱなとらねこの、ふしぎな物語。
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有名な絵本なので、存在は知っていたのだけれど、いままで読んでこなかった。なんとなく読む気になれなかった、というのが正直なところ。今回、ちょっと訳があって読んでみることにした。
実は、多くの方がレビューで書いているような「感動」はしなかった。ただ「感動」はしなかったけれど、いろいろと考察することはできた。それは例えば他人のために生きることの不幸。自分らしく生きることの発見。愛するものとの出会いと別れ。そして生まれ変わることから解き放たれる感覚など。
物語の主人公が本当の意味で亡くなった時に、「よかったね」と思えるような読書体験はあまりしてこなかったような気がする。そういう意味でも、どこか不思議な読後感だった。 -
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最近読んだ記事に、会社の人間関係に友情が必要か?友情が業務効率に影響するのか?といったものがあった。その記事を読んだこともあるが、最近ことに友人とはなんぞやと考える機会が増えた。自身の友人関係が短くても10年以上、長い場合は30年以上の付き合いになる人もいる。またこの長い友人については、自分本当にこの人のこと好きだなぁ、としみじみ思う感情を自身で確認できるような感覚を持つようになった時に、この本を手に取った。内容は共感の連続だった。友情は恋愛とほとんど同じ、女同士だから愛してるとかはないけど、友達になっていく過程と恋人になっていく過程は同じと言うところは、タイムリーに強く同感するものがあった。それ以外にも幼少期から高校、大学、大人になってから、ある程度落ち着いた大人になるまで、様々な人生のフェーズでの友人論について、谷川俊太郎さんとのリズム感バッチリな会話も楽しめるところが魅力の本でもある。いつまで今の友達と楽しく過ごすことができるか…。不安ではあるがそんな友達がいることに改めて感謝したい気持ちにもなる読書体験でした。
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友だちとは何か。
いい影響を与えてくれる人、尊敬できる人を友達にしたがりがちだし、そういうことを勧める言葉も見かけるけど、駄目なお互いをそのまま曝け出せること、無駄だと思える時間を共に過ごすことが大切なこと、相手をお互いに評価せず、そこに居るってことが大事なのかなと思わされた。
一緒にいるのが無駄と思っていたような友達が、実は自分にとってとても大切な存在だった、ということが書いてあった。長く付き合っていくとそういうこともあるのかもしれない。
あとがきにこの本の大事なことが凝縮されてる。
そして自分にはさらけだせる友だちがいないということにも気付かされた。友達ってなんなんだろ。 -
Posted by ブクログ
100万回も飼い主を変え、誰のことも好きにならずに死ぬことを繰り返したねこ。彼が初めて「自分自身の生」を謳歌し、自らを誇らしく思う姿は、誰かの期待に応えるだけの人生に疲れた大人の胸に深く刺さります。
高慢だったねこが白ねこを愛し、寄り添い、そして失う。その悲しみを知ることで初めて、彼は100万回のループから抜け出します。「愛する人を失うのは辛いけれど、誰も愛さない人生よりはずっといい」という、残酷で美しいメッセージが描かれています。
最後、ねこはもう二度と生き返りません。それは絶望ではなく、「満足して命を全うした」という究極のハッピーエンドです。「どう死ぬかは、どう生きたかである」という哲学的な問いを、私たちに投げかけてくれます。
読み終わった後、隣にいる大切な人をそっと抱きしめたくなるような、一生ものの感動をくれる一冊です。