高遠琉加のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ全寮制男子校もの。政治家の息子でチャラ男の香司と、優等生で天体観測が好きな昴との切ない恋物語です。高遠センセの本領が発揮された作品。
モテ男の香司は、立ち入り禁止になっている寮の屋根裏部屋に女子と忍び込んだのを、昴に見つかってしまいます。いつもそこで星を観測しているという昴に、香司は口止め代わりに深夜バイトの門限破りを手助けすることに。星を一緒に眺めたりして昴に近づくうちに、香司は彼のことがどんどん好きになり、「オレとつきあってみないか」と告白したのがきっかけで二人は付き合い始めるのですが、なぜか昴の心の中はまったく見えなくて。
香司が人が良くて、やさしくて、憎めないキャラなんです。昴が憎みきれない気持ちが理解できました。バイトばっかりして疲れきっている様子の昴を見ると、香司はほっとけなくてどんどん助けようとしてしまいます。少々、昴の気持ちを危ぶんでいるところもあるので間抜けじゃないんだけど、それでも好きという気持ちは止められません。
一方の昴も、端々に心苦しさが見え隠れしているんですよね。香司には決して言えない真実があるからです。それなのに、憎んでも憎みきれなくて、それどころかどんどん香司にほだされてしまっているのが伝わってきます。
でも、好きだと言ってくれる香司の気持ちに素直に応えることはできません。
最後まで読むと、ああ、あの時はそういう気持ちだったんだと改めて切なくなりました。
ただ、伏線が見えなくて、すべてが明らかになるまでずっと昴がどう思い悩んでいたのかわからなかったかったんですよね。ぱっといなくなっちゃうし。
再会シーンでやっと安堵できたのですが、できればもう少し成長して完璧に親離れしているところも見たかったです。
二人の初々しい恋もよかったけど、そんな二人がどうこれから生きていくのかというのも興味深いです。
もっと興味深いのは、あの先生二人ww
スピンオフは、やっぱり棚橋先生と朝倉先生が見てみたいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ高遠さん初のヤクザものだそうです。でも主役はヤクザじゃないよ。
新橋の片隅でしがない鉄板焼き屋を営む桐島は、元全日本チャンピオンのプロボクサー。諸事情あって、今はヤクザの飴屋に借金返済しながら、ぼそぼそと日銭を稼いでいる。
その腕っぷしを見込んでか、飴屋は時折厄介な仕事を持ち掛けてくる。ヤクザ絡みなんてタチが悪いと思いつつ、一向に減らない借金をかたに報酬をちらつかされれば否が応でも引き受けるしかない。例えそれがロクでもない仕事だとわかっていても。
ある日、飴屋が依頼してきたのは、結婚式を間近に控えた男をストーカー女から24時間態勢で警護すること。500万円という報酬に不穏なものを感じながらも引き受けた桐島の前に現れた警護対象者は、果たして一年前にヤクザにボコられて倒れていたところを匿ってやった青年だった。
手負いの獣みたいに警戒心を解こうせず、素性はおろか、本当の名前さえ語ろうとしない。けれども徐々に自分との生活に馴染んでいくのを目にして、野良猫が手ずから餌を食べた時のようなこそばゆさを感じる。元来面倒見のいい桐島はこのまま背負っているモノもろとも引き受けても構わないと考え始めた矢先、ヤクザに居所を知られ、桐島にも害が及ぶと考えた青年は忽然と姿を消してしまったのだ。零という名前だけ残して。
この再会は仕組まれたものだったのか、困惑する桐島に
不敵な笑みを浮かべる零。ふたりの濃密な5日間が始まる。
高遠さんは、ホントこういう話うまいな~と思う。謎が謎を呼ぶような、疾走感のある展開。
登場キャラもそれぞれ立っていて、元妻も、ヤクザの飴屋もいい味出してる。何より桐島が、男気があって、いい男なのでつ。
零がついつい引き寄せられちゃうのも納得。
零もまた“ツンデレ”って言うの?“クーデレ”って言うの?こう、デレた時がもうたまらん。
明確なHappy Endではないけれど、気持ちのいい終わり方。ヨネダさんのカバー絵はまさに象徴的だった。
でも零の正体は最後までわからずじまいだ本名すらも…。
高遠さんはまた機会があれば続きを書きたいとおっしゃっているので、次回は零の過去とふたりの仲をもっとがっつりと。
とはいえ、『世界の果てで待っていて』の続きを先にお願いします。(切望) -
Posted by ブクログ
ネタバレ幸せと不安はいつだって背中合わせだ。
お互いの気持ちが通じ合い、やっと身も心も結ばれたカオルと〝うさぎちゃん〟こと秋広。
こんなに幸せなのに、心のどこかでそれが消えてしまう日を怖がる。
思えば、それは予感みたいなものだったのかもしれない。
突然現れた伯母のせいで、マスコミに過去を暴かれ一大スキャンダルに巻き込まれるカオル。
改めて自分はカオルのことを何ひとつ知らなかったことに、秋広は愕然とする。
取り巻くもの全てに嫌気がさして、カオルは姿を消してしまう。秋広すら置き去りにして。
カオルの過去は予想以上に暗かった。悪いこともたくさんしてきた。
そんな自分が秋広を汚してしまうかもしれないと恐れて、何もかも断ち切ってしまう。
カオルを助けたいのに。支えたいのに。そばにいたいと願っているのに、輪の中に入れてもらえない。
カオルにとって、自分は本当は必要のない人間だったのだろうか。
でも、会いたい、会いたいと煩悶する心。
やがて、逃げてしまったカオルを今度は自分から追いかける決心をする。
カオルはロンドンにいた。しがらみから解き放たれて、ストリートで自由に歌っているカオルをみつける。
傷つけられても、歌う場所を失くしても、カオルはやっぱり歌っている。
離れてしまった時間を超えて、秋広の口をついて出た言葉は『愛してる』だった。
一緒にいることは、苦しい。嬉しい。悲しい。愛しい。
でも、もう離したくない。
『君の体の中には天国がある。甘く優しく、僕の上に降ってくる』
夢のような逢瀬だけれど、今はお互いにはお互いの場所もやることもあるからと一旦は遠距離を選ぶふたり。
やがてカオルは自分の納得のいく形で日本で再デビューを果たした。
はぁ~、切なくて、でも幸せで、いい最終巻だった。