井波律子のレビュー一覧

  • 中国のグロテスク・リアリズム 明代白話小説「三言」を読む

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    『三言』に含まれる様々なタイプのストーリーで、キャラクター造形や話の展開といった要素を、その先蹤となる作品での表現とそこからの進化の様子を、西洋の文学理論も援用してわかりやすく分析している。

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    2026年08月31日
  • 裏切り者の中国史

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    春秋時代から明末清初までの中国の歴史を「裏切り者」を軸に見ていく一冊。

    面白かったー!!裏切り者というワードの割には憎めない奴が多くて読んでいて楽しい。井波律子さんの筆致がさらに良き。ダイナミックな中国史と合うんだなぁ。→

    北方史記と北方三国志が大好きだから、漢王朝と司馬懿のあたりはニヤニヤしながら読んだし、北方水滸伝履修中だから北宋の徽宗や蔡京のあたりでふふってなったあと、阿骨打が金王朝を建てるあたりで真顔になったよね(しまった!無知故のネタバレを喰らっておる……的な←歴史に疎すぎ)

    北方謙三氏のおかげでふんわりと知っていた中国の歴史をしっかりと繋げてもらった感じ、井波律子氏に感謝。
    そして実は同著者の水滸伝を積んでいるので、こちらを読むのも楽しみだなぁ、とほくほくしている。

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    2026年06月10日
  • 三国志演義 (三)

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    ネタバレ

     主要メンバーの退陣。特に関羽。関羽の部分はやはりしっかり文量割いて書いているように思った(73~77回)。気になったのは、関羽(荊州支部)に対する劉備&諸葛亮の対応。易中天の本では、この敗北は関羽の責任とされ、理由として劉備や諸葛亮などからの命などもなく勝手に進軍して敗北したことが書かれていたと思うが、演義では曹操と孫権の陰謀を知り、その打開策として劉備と諸葛亮が関羽に樊城攻めをするように命じている。つまり演義では関羽をよく書くために、関羽の責任を減らし劉備や諸葛亮に転嫁しようとしているのではないかと思われた。また易中天が上記を述べた根拠も正史だが、やはり関羽の正史を読んだ時も、「関羽が樊城攻めをした→曹操と孫権が組んだ」、という流れで、その逆ではない。そのため馬超と馬騰の経緯のように、話をよりよくするために前後の順番を変えているのではないかと思われる。ただやはり関羽の傲慢な態度は演義にも盛りだくさん書かれていて、正直あの敗死は不可避だっただろう。基本横山漫画そのまま。夷陵の戦いで、甘寧が戦死したり、その後張遼も矢傷が元で亡くなる。それまでたくさんの武将たちが戦いで活躍し、生き延びていたことは奇跡だと感じた。またそれと同時に華々しい世代の終焉を感じた。南蛮のあたりは、暗くなっていくストーリーを少しでも明るくするための、閑話休題的な感じがした。気で病になる人も多い。

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    2026年02月18日
  • 三国志演義 (三)

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    ネタバレ

    黄忠と厳顔、甘寧と凌統、関興と張苞など、コンビの活躍がワクワクする。諸葛亮と孟獲との攻防は、ファンタジーな要素もあって面白い。
    だがこのあたりから猛将たちが次々に命を落とし始めるので、全編に渡ってどこか物悲しさが漂う。三人の義兄弟もだが、個人的には黄忠と甘寧の死が悲しかった。

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    2025年10月23日
  • 中国奇想小説集

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    中国の怪奇小説。大体美女に惑わされる系が多いのは洋の東西を問わず。日本にわたって来て落語の怪談ものになったものも。
    どんな人が書いたのか(あるいは収集記録したのか)についての著者の解説も面白い。

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    2025年10月21日
  • 三国志演義 (二)

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    袁紹の死や劉備と諸葛亮の出会い、長坂の戦い〜赤壁の戦いなど三国志の中でも重要かつ有名な事柄がぎゅっとつまっている。
    赤壁の戦いといえば、映画などでは呉蜀が一致団結して曹操を迎え討つという描かれ方がされるので、その後両勢力が対立を深めるところに乱世のやるせなさを感じる。だが実際には、かなり早い段階で周瑜は諸葛亮に対して嫉妬と敵意(というより殺意)を抱いているため、その後の対立は読者目線では割と受け入れやすい。三国志の中でもファンの多い周瑜だが、終始諸葛亮の手のひらで踊らされるのがちょっと残念。
    個人的には甘寧の登場と、甘寧に父を殺された凌統が呉に加わるところが好き。三國無双から三国志の世界に入った人はみんな好きだと思う(偏見)

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    2025年10月07日
  • 三国志演義 (一)

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    ネタバレ

    黄巾の乱から始まる群雄割拠の時代。洛陽を恐怖のどん底に陥れた董卓を討つべく決起する連合軍。董卓を裏切った呂布も、最後には曹操らに討ち取られる。許都に献帝を移しその後ろ盾となった曹操が権力を握ると、官渡にて袁紹と決着をつけることに。
    旗揚げ時から夏侯惇、夏侯淵、曹一族が配下にいる曹操はやはり強い。さらに典韋や許褚、徐晃なども加わるのだから、曹操の人を見る目は確かで、カリスマ性があるのだろう。改めて読むと典韋の死が思いのほか早いことに驚く。猛将との出会いの中でも特に、呂布配下の張遼と相見えるところがワクワクする。
    一方の劉備は、お人好しすぎて関羽、張飛がヤキモキするのが面白い。だがその慎重さは乱世を生き抜く強かさでもある。二人の義兄とは違い直情的な張飛の欠点が、後に災いとなるだけに何とも居た堪れない。忠義を尽くして曹操のもとを去る関羽のシーンは、三国志のハイライトの一つ。
    呉については、改めて孫堅の退場があまりにも早いことを実感する。孫策が盛り立て、父親の時代から付き従う者に加え、周泰や太史慈が配下になる展開が熱い。だが晩年の孫策は、あまりに粗暴で意固地過ぎる。古くからの優秀な人材に支えられ、新たに魯粛も陣営に加わり若き主君孫権が立ち上がる。
    時折原文が挟まれることで臨場感や情緒が味わえたり、当時の人々の心情に思いを馳せることができる。訳が流麗で非常に読みやすい。

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    2025年09月16日
  • 裏切り者の中国史

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    伍子胥、王莽、司馬懿などの人物を中心としながら、春秋時代から清朝前期までを描いた中国通史。「裏切り者の中国史」という題名には「?」な内容だが、却って各人のエピソードに終始する事なく、飽きる事なく壮大な中国史を楽しめた。また、講談社学術文庫のような学者の本は、一般書であっても読み辛かったり自分の説語りが多かったりする事もあるが、本書は簡潔で上手な文体で各時代の流れも把握し易く読みやすい。

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    2025年08月03日
  • 故事成句でたどる楽しい中国史

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    出典付きの故事成句の索引、参考文献、年表が巻末にあります。元王朝以降はあっさり。紅楼夢、読んでみたい。

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    2025年07月11日
  • 完訳 論語

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    何度も読み返して楽しんでます。論語は解釈が色々とあるので、お気に入りの解釈は人によって様々でしょう。

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    2025年07月08日
  • 水滸伝 (四)

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    梁山泊は着々と来たる日に向けた準備を始め、宋江も動き出す、いつ梁山泊と合流するのか、、叛乱の動きを無視できなくなってきた政府軍、この先がますます気になる

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    2025年03月22日
  • 完訳 論語

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    以前、齋藤孝さんの論語を読んだことがありました。内容の把握という点では良かったです。この本は、孔子と弟子たちの人間関係がよく分かる上に、人間像の説明も詳しいです。

    2500年以上も前であるのに、孔子の考え方に共鳴できる点があること、なんだか驚きです。孔子は、弟子の個性に応じて対応を変えており、まさに個に応じた教育の先駆者だ!と思いました。孔子が、音楽も愛していたこと、知りませんでした。現代で、こんなに密な師弟関係、あるのかなぁ。

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    2025年02月15日
  • 読切り三国志

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    三国志の始まりから終わりまでをサクサクと読むことができる作品。
    ゲームやマンガで輝かしく描かれている部分だけでなく、
    歴史としての部分もしっかり載っている。
    読み終わったら登場人物たちをキャラクターとしてでなく、人間として見ることができる良書でした。

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    2025年02月09日
  • 中国名言集 一日一言

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    井波律子(いなみ りつこ)
    1944年富山県生まれ.京都大学大学院博士課程修了.国際日本文化研究センター名誉教授.著書に『三国志演義』『奇人と異才の中国史』『中国の五大小説』(上・下)『中国文学の愉しき世界』『三国志名言集』『中国名詩集』『完訳 論語』『中国人物伝』(全四巻)(以上,岩波書店)など,個人全訳に『三国志演義』(全四巻),『世界新語』(全五巻),『水滸伝』(全五巻,刊行中)などがある.

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    2025年01月04日
  • 新版 一陽来復 中国古典に四季を味わう

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     まえがきで、2009年に定年退職したこと、同年に母親を亡くしたことが述べられる。著者は花を育て、台所に立ちながら、亡き母とのこれまでを振り返る。季節はめぐり、著者の中で母と過ごした時が熟成されていく。ディランのノーベル文学賞受賞を難ずる人たちに向けて詩経を例に出しながら「ディランは紛れもなく詩の原点に回帰した」(p206)と喝破する2016年11月13日の文章は著者のロックな側面がうかがえゾクっとするほどかっこいい。夫である井波陵一の解説は、亡き妻の生き様を客観的に、かつ愛をこめて論じており、胸打たれる。

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    2023年11月01日
  • 読切り三国志

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    三国志キャラの活躍の内容そのものは、あらかじめみっちりと頭に入っていても、こういうリズミカルでこころ踊る文章でアレンジされてると、やっぱり楽しく一気読みしてしまう。井波律子氏の三国志関連の文書は、妙な癖もなく、バランスが良くて快い。

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    2022年08月13日
  • 中国名言集 一日一言

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    何歳になっても人は悩み、迷い、そして困り果てる。そんな時に支え、励まし、示唆を与えてくれる。中国の成句や名言から、時代や国を超えた不易のパワーをもらった感じ。

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    2022年06月12日
  • 論語入門

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    私も孔子に弟子入りしたい。
    この先生に教わりたい。

    本書を読み終えた瞬間、そう思った。

    だって孔子の顔が見えたんだもの。
    キラッキラした瞳で空を見上げる孔子の顔が。
    目の前に。

    読んでいる最中、自分は入門したてのペーペーの弟子で、先輩弟子たちから「先生って〇〇でね、こうおっしゃってたんだよ」などとお話を聞かせてもらっているような感じだった。

    そのくらい人物が生き生きと描かれている。
    顔回、子貢、子路、子夏、子游、曾子……間違いなく、この人たちは紀元前に生きていたのだ。
    私と同じように。

    最後の章を読み終えるとき、涙が出た。
    びっくりした。
    お勉強色の濃い岩波新書を読んで泣けるなんて。

    『論語』って、とにかくお堅い教訓の書だとばかり思っていた。
    実際、現代でもよく見聞きする有名な格言が盛りだくさんで、これは『論語』から来てた言葉だったのかと知ったものも多々あった。

    しかしそれ以上に、孔子が、その弟子たちひとりひとりが、こんなにリアルに、個性を持ったひとりの人間として目の前に立ちのぼってくるものだったとは、想像もしてなかった。
    おもしろいぞ『論語』!

    本書のおかげで「入門」できたので、次はちゃんと『論語』を読もうと思う。
    その時はもっとしっかり弟子入りさせてもらいますぞ。

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    2019年10月18日
  • 三国志曼荼羅

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    まるで三国志ファンブック。人気の曹操、諸葛亮、五虎将など人物本位に好きなページから読むことができる。各人物のイメージを裏切ることなく「この人って、こうだよね」みたいな共感を誘う。蜀善玉史観および魏悪玉史観が成立するまでの長いプロセスや、日本における演義受容の歴史などの裏話的なものも多数。

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    2019年04月11日
  • 三国志演義 (一)

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    三国志演義を読んで

    学生時代に一度読みました。今回は説明も詳しく解りやすく更に三国志が好きになりました。吉川英治や北方謙三さんの三国志も読みましたがやはり三国志演義が基本になつているからこそ楽しく読めたのと思います。

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    2017年09月02日