井波律子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
人生初の論語ということで分かりやすそうなものを選んだ.
論語そのものの内容は正直あらゆるところで言われている理想論の塊で
特に面白いと思うような考え方はなかった.
ただ,今後論語の思想を引用した上で「孔子様が言ってた」と言えば説得力は
出そうかなという感じではある.
わずかに感じられた孔子様の為人は,正直大した人物とは思えないどころか
近くにいたら正直鬱陶しいと思いそうな人間で
・君主からの呼び出しに馬車を待たずにすぐさま歩いて出向こうとする
(実際にこれをやられればあてつけとしか思えない)
・やたら弟子の顔回を贔屓し,顔回が没した際には他の弟子を蔑ろにするような物言いをする
等,正直この人を知・仁・勇を兼ね備えた君子であると考えることは難しい.
本の中ではこの孔子を時に君子として,ときに人間らしいとしてダブルスタンダードでとにかくべた褒めするので,初めて孔子を知る側としてはまるで教祖を崇める信徒による本のようにしか見えない.
また,論語そのものも到底うまいとは思えない比喩を書いて終わったり,全く意味不明で曖昧な表現で終わるといったことも多く,自分としては正直持ち上げ過ぎなのではないかと思うところもある.
それでもやはりこの思想が紀元前500年頃に作り上げられていたということは非常に興味深いことであると思う.
論語の解説はこの本だけではないので今後はまた別の人の思想,解説を頼りに改めて論語を読み解いていきたいと考えている.
論語そのものに触れたことは自分の中で大きなことであると思うので評価は最大で. -
Posted by ブクログ
地元の本屋の岩波フェアで購入。自宅に戻り、本棚を見ると著者の「論語入門」も既読だった。
私事ながら中学の頃、週一で校長の指導で論語を読むクラブに参加していた。白川静「孔子伝」、宮城谷昌光「孔丘」も読んでいる。ある程度知識はあるつもり。
論語全部を読み通したのは初めて。全体的に寸鉄人を刺すような短い言葉が多い。多くが孔子と弟子たちとのやり取り。孔子の言葉が聴きたくて、弟子たちが集ってくるような印象。
第一弟子の子路は勇敢で先生第一の律義者、琴が下手で孔子に貶されると後輩たちに見下されて、孔子がフォローしている。後年、孔子が出仕しようとするところを子路が何であんな奴の処にと、抑える処もある。孔子自体に矛盾した時もある。
眼から鼻に抜け孔子と丁々発止とやり取りをする子貢。茫洋としているが、孔子や子貢から目される顔回、孔子にぶしつけな質問をする若い子張。
孔子は理想主義者だが、大らかでユーモアがあり、弟子に合わせた言葉を与えている。
孔子のクーデター失敗の後、永い放浪時代を過ごす。やはり狂接与のエピソードが印象強い。若い頃読んだ邱永漢さんのエッセイに。鵬よ鵬よ、という接与の歌は孔子の理想主義への批判とあった。鳳凰は純血、龍は鹿の角、蛇の皮など色々のトーテムを寄せ集めたものと。純血主義は怖い。孔子は周の政治を理想とし、周辺の部族を見下している部分が確かにある。
終盤の「子張」は弟子たちの言葉。子張、子夏、子游、曾子たちから成る。孔子のおおらかさが無く、こうして儒教が堅苦しい学問になっていったんだなと残念な気持ちを覚えた。 -
Posted by ブクログ
第1回では三国時代の概要と、正史三国志の著者陳寿についてが述べられている。陳寿と、後に注をつける裴松之の対照的な人生が印象的。
第2回では曹操の人物像にフォーカスして、魏の歴史が書かれている。悪玉として描かれることの多い曹操だが、その知略や大胆さはやはりカリスマ性がある傑出した人物。
第3回では、劉備と諸葛亮を中心とした蜀の歴史が扱われている。人望のある劉備と諸葛亮との出会い。特に、荊州と益州の獲得など三国志の中でも重要な局面を詳しく説明している。戦略などをかなぐり捨て、義弟関羽の弔い合戦に臨む劉備の人間くささがいい。
第4回では、孫権と彼を支えた重臣たちがクローズアップされている。若き主君を支える古参勢力、という構図が呉の特徴。周瑜、魯粛、呂蒙、陸遜と続く優秀な軍事責任者の存在も魅力的。一度は共闘した孫権と劉備が対立を深めるところに、乱世の世知辛さを感じる。その間を奔走した魯粛の存在の大きさは計り知れない。
ページ数が限られているので三国の猛将たちを事細かに説明しているわけではないが、荊州をめぐる三国の攻防など、要所が抑えられているのでとても読みやすい。
-
Posted by ブクログ
中国史って,「三国志演義」や司馬遼太郎の「項羽と劉邦」のような小説があったり,遣唐使や蒙古襲来で日本史にも関わったりするから,馴染みはある.その割には,全体としての流れってのを全然知らないなと思ったので,中国史の概観についての読みやすそうな本として読んだ.
「故事成句でたどる」ってのが存外に良かったな.暗記を目的としているわけではないのだけれど,記憶術の場所法みたいな感じで,個々のエピソードと結び付けられてかなり印象に残りやすく,中国史の流れがよく分かった.
故事成句って現代まで言い伝えられているのだから当たり前かもしれないけれど,その言葉が生まれた時勢と合わせてみると,めちゃくちゃセンスがある.現代の権力者とは比較にならないほど,絶対的な権力の持ち主に対する痛烈な諫言や風刺であったりするから,それだけ強烈なインパクトが必要だったのだろう.技術・技巧の多くは時代が進むにつれてより洗練されていくものだけれど,言語感覚ほど最高位の水準であり続けるものってあまりないかもしれないなと思った. -
Posted by ブクログ
中国から来た小学校高学年より上くらいの子どもたちの書く作文を読んでいると、そこまでの文脈から明らかに浮いて見える比喩や格言のようなものを使っているのをよく目にした。
「おわりに」で、「時代が下るほど、中国の人々は故事成句を作りだすことよりも、すでに存在する故事成句をここぞという場面で、臨機応変に使いこなすことに力点を置くようにな」ったと、筆者は言い、革命家毛沢東の演説や文章の話を紹介している。かつての中国系の子どもたちの作文にあった特徴には、この本に書いてあるような名言、故事成句を引用していく、表現の伝統があるんじゃないかと思わされた。
各節、各章ごとに、そこまでの歴史的出来事を象徴的に表している故事成句が紹介される構成になっている。
個人的には、三国時代に終止符を打った西晋の武将、杜預の「今、兵威已に振るい、譬えば竹を破くが如し」が印象的だった。いわゆる「破竹の勢い」である。三国時代の大国、呉への進軍に際して、慎重論を唱えた者を説得するために言った言葉だそうで、三国時代の終わりと西晋による全国統一を象徴する言葉として紹介される。
現実がどうだったのかは知らないが、それぞれの時代の節目に、その節目を飾る言葉があり、各章のタイトルも、そうした故事成句になっているのがかっこいい。一言で、どんと存在感のあるフレーズは、中国ならではな感じがして、日本の歴史では同じような本はあまりピンと来ない気がする。
基本的な内容は、王朝史と文化史を中心にした手堅い通史の入門書。それを故事成句というキャッチーなフレーズを手がかりに進めていくことで、読みやすくしている。
とはいえ、読後感としては、「ジュニア新書」にしてはけっこう重厚感のある感じがした。中国の歴史を部分的にも知っていて、名句が好きな人には、ピッタリな本だと思う。 -
新版 一陽来復 中国古典に四季を味わう
- カート
-
試し読み
-
Posted by ブクログ
タイトルの裏切り者に惹かれて購入。秦檜、呉三桂など有名な裏切り者なこともあれば、伍子胥、司馬懿は普通は裏切り者とは呼ばれないよね、と思うような人物を、時の政権への裏切りという観点で、その思想や行動を評価し直してみる、といった取り組みと感じた。
各章のタイトルに取り上げられた人物の評価を中心にしながらも、そこに行き着くまでの時代の流れや、その中で現れた裏切り者達にも言及しており、清朝初期までの中国史の総覧的な内容になっていた。歴史上の有名人も多く登場しており、読み物として面白かった。反して、個々の人物については期待していたより薄くなっており、いままで知らなかった事件やその背景の描写は少ないため、中国史に詳しい人には退屈なのかもしれません。 -
新版 一陽来復 中国古典に四季を味わう
- カート
-
試し読み
-
新版 一陽来復 中国古典に四季を味わう
- カート
-
試し読み