矢野浩三郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
綿密な構成と幾多の伏線が張り巡らされた荘厳な物語。大聖堂という一つの象徴を用いて変化のダイナミズムを描く筆力に圧巻させられる。
本作品を読むうえで読者側にもある程度の素養が求められる。まず12世紀のヨーロッパは現代と大きく異なり、暗黒時代を抜けたイタリアのルネサンス前の比較的後進的大地であった。品位と野蛮が交錯する、前近代的な混沌とした時代であった。そうした時代のなか大聖堂建築を夢見る野蛮な建築職人のトム、品位の象徴でありながら残虐なウィリアム、中立的な聖人と人間的危うさを兼ね備える修道院長フィリップスの対比が見事に冴える。国家と修道院で繰り広げられる権謀術数と、それに翻弄されるトムの姿が、 -
Posted by ブクログ
スティーブン・キング原作の映画を観ることはあれど、呼んだことはなかった。この本を買った当時、丁度映画「ミスト」を観終わった後で、お!と思って買った1冊。ミストのことはすっかり長編小説だと思っていたが、中編小説らしい…あまり本を読まない私にとっては長編小説に思えた。
「キングは言い回しがクドい」と言われたことがある。確かにと思わせる節はあるのだが、物語のシチュエーションだったり、起承転結の持っていき方というか結末の付け方が私は好きだった。
収録されている作品で最も好きなものは「ジョウント」。
私の望む結末のあり方だった。何回読んでも良い。