沙村広明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ美少女嘔吐ドタバタSFコメディ、メタ多め。
これはさる構成作家さんのお言葉ですが、「「ギャグ」にはどこか、【毒】と【狂気】が必須であり、それがないと「ユーモア」という、あの、世の中の枠内で収まっている薄っぺらい笑いになってしまう」。この伝でいけば、本作は「毒と狂気、それから勢いがある作品」になると思います。もちろん、あの文学横文字を多用した鼻につく批評で解体されるようなユーモア作品とは一線を画しております。
「なんでも食べる」という発想自体はありふれていますが、ここではそこから一歩踏み込んだ「吐く」という行動が用意されています。吐くとどうなるか。食べたものが出てきます、ただしいろいろ混ざった状態で。次々と登場人物たちがヒロインに食われは吐かれ、食われは吐かれし、とんだキメラと化しては投げっぱなしジャーマンでお話が終わります。ここらへん、ちょっと真似できない。
しかし、狂的な勢いで邁進してきたこの作品、何故か最後は綺麗に終わったりします。それも伏線なんぞも用いつつ、主人公に対する救済も行うという、エンターテインメントのきれいなオチ。毒と狂気と綺麗な幕引きの混在するアンビバレンスが、なんというか、頭おかしいなあ、と。 -
Posted by ブクログ
粗野な男たちの檻へ放り出され、不安と失望と恐怖を浮かべる少女の顔。お試し版とでもいうのだろうか、うすい冊子に掲載されていたのはそこまでだった。「かつてこれほど残酷な、少女の運命があっただろうか」そんな帯の惹句にもつられて、ただただ好奇心だけで、わたしはこの本を買う。そのようなコピーがつけられた本なのだからもちろん、あかるい展開など望むべくもない。それは百も承知だけれど、にもかかわらず、なかなか読みすすめることができない。むしろおぞましいものをこそを求めていたはずなのに、気持ちはどんどん暗く沈んでゆく。全8話で構成されたこの陰惨な、しかしうつくしい物語には必ず、絶望への伏線として、わずかな希望が描かれている。それがどんなに人の心を打ちのめすのか、この作者はよく知っているのだとおもう。