鳩見すたのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
陸地がすべて海に沈んだアフターの世界でセイラーとして生きる少女アキの物語第2巻。
いやなんか愉しいなあ。
やっぱりアキのキャラクターがいい。
アキはちょっと抜けてて都会ではダメダメである意味アホの子だと思うのだけど、「たくさん生きる」に正直に真剣に頑張って生きているのがとても素敵。
それは何度も死にかけて、そのたびにいろんなものに助けられて、託された命の重さを彼女がよくわかっているからだ。
そんなアキがオルカのいいお姉さんになろうとするところも微笑ましい。
ダメダメなアキにそれはうまくいかなかったのかもしれないけれど、彼女のその想いはオルカにちゃんと伝わったよね。
それにしても今回もサバ -
Posted by ブクログ
ディストピア小説が好きだ。
ディストピア、すなわち荒廃しきってほぼ終末を迎えたような、架空の世界を舞台とした物語のことだ。その魅力は、極限の世界でもなお生きることを諦めない人間の逞しさや気高さにある、と思う。
この物語の主人公アキも、そうした逞しさを持つ人物の一人だ。14歳の少女でありながら暗い過去を背負い、一人ヨットを駆って"ひとつ海"を渡ることで生計を立てる"セイラー"である。
この設定は、現実世界の私たちからするといささか背伸びし過ぎているように思えるかもしれない。しかし、実際に読み進めていくと、細を穿つ設定と描写によって作り出されたディストピア -
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Posted by ブクログ
映画『かもめ食堂』を観ればシナモンロールを焼きたくなるように、この小説を読めばパンをかじりたくなる。
それも、個人がやってるブーランジェリー(パン屋)のパンを。
ライトノベルか深夜アニメ化と思うほどしっかり味付けされたキャラクター設定。
日本のお家芸である「普通(だと自任している)男性キャラクターが美女/美少女とつるみながら何かする」テンプレートに則りながら、ハリネズミとパンというふわふわもちもちが加わることでそのニオイ消しになっている。
殺人事件が起きるわけではない。
トンでも事件に巻き込まれるでもない。
「これは何なんだろう」をひたすら追って解き明かす。
間にパン休憩が入る。
私は近 -