鳩見すたのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ地球最後のゾンビである少女エコと、少年ユキトのボーイミーツガール・ゾンビラノベ。
タイトルの『地球最後の男』へのオマージュを始めとする、『28日語…』や『ゾンビランド』等の、数々のゾンビ映画の影響が随所に感じられており、その手の映画が好きな人が読めば十分に楽しめる一冊となっている。キャラクター造形や出会いなどは王道ラノベのボーイミーツガールを踏襲しており、無垢で明るい少女とやや偏屈な少年というキャラ立ては、万人受けする反面、設定を変えただけなので関係性は他のボーイミーツガールと変わらず、ノリも同じであるため、やや食傷気味な部分もある。ゾンビのトラウマがあるとはいえ、やや暴力的でつっけんどんな主人公はあまり好きにはなれなかった。
しかしエンバーミングを施すことによりかろうじて意識を保っているという腐らない少女エコの秘密は面白く、その秘密が発覚すると同時に否応なく「終わり」への旅路を意識したのは上手いと思う。またゾンビが単なる舞台設定だけでなく、アクシデントの対義語であるインシデントと呼ばれていたり、ゾンビが隣人や死人といった感じで呼ばれていて、ゾンビという呼称を避けられていたり、自殺推奨や出生前虐待という教義を掲げて生存者を襲うパンクスという集団など、ポスト・アポカリプスものとしての練り込みは素晴らしいと思った。ドッグフードで飢えをしのぎつつ、たまに見つけたマシュマロ、いざというときに取っておいたごちそうである金ちゃんラーメンなど、終末メシの描写もよく、電力が貴重品になっているという設定も良い。カブで終末の世界を走る光景も脳裏に浮かぶようだった。
特に白眉なのは「俺達は貧乏くじを引かされた」という作中の言葉で、これはすでに壊れてしまった後の世界の物語である。災害に名が付く前に全ては終わりを告げ、遺された若者の未来に希望はなく、また戦うべき脅威となるゾンビもすでに地上にはいない。
>ユキトたち奪われた世代は前時代でも好況を知らない。彼らはものわかりのいい大人を演じたいのだろうが、それはユキトたちに覚えのなかった劣等感を植え付ける。それなら「今の若者はけしからん!」と、苦労した自分の時代を語ってくれる老人のほうがよっぽどありがたい。「俺たちは誰かに謝って欲しいわけじゃない」「インシデントに見舞われた被害者に、上も下もないよね」「歴史を振り返れば、いつの時代にも『昔はよかった』と愚痴をこぼす人間がいる。あいつらは現状を変える力を持っていないことを嘆いているだけだ。だがどんな時代であれ、結局生き方ってのは自分で見つけなくちゃいけない」
このあたりの言葉はバブルを知らず、政権交代を経験した安定なき世界に生きる若者の言葉の代弁である。すでに世界は壊れているという実感は、僕らよりも若者のほうが強く、ゾンビという設定を通して語りかけてきたのは非常に良かった。ゾンビとの戦いはクライマックスにハイライトのように流れはするが、バトルめいたものはなく、読み手によってはやや退屈に映るかもしれない。しかし敵がいないことこそがこの作品の肝なのである。
終わりは予想の範疇ではあったものの、死ぬ前にやりたいことリストの消化の順番はやや意外だった。悪い人をだしぬくといったリストが展開に関わってくるかと思ったが、むしろ悪人はいなかったのだろう。王道的にまとめた良作である。 -
Posted by ブクログ
『ひとつ海のパラスアテナ』の作者の2作目。
前作とはがらっと変わってドラゴンや人魚の登場するハイファンタジー。
人にあだなす害獣を退治する新米角守アッシュとその害獣を治療して回る異端者の少女フィジカの物語。
なんというか読んでて某『狼と香辛料』や『うちの姫様にはがっかりです』なんかを思いだしてしまった。
そう言う意味ではどこかで見たようなお話だなと感じるのだけど、一つ一つの話は人と幻獣との関係の複雑さを描いていてそこが新鮮。
特に人魚の話はなかなか深みがあってよかった。
ただ、物語の盛り上がり的にはちょっと微妙。
ハイライトはドラゴン話だと思うのだけど、それまでにフィジカの正体と目的を明かして いなかったために、もう一つ盛り上がりに欠けてしまった。
最終話の内容を前に持ってきた方がよかった気がする。
そこはちょっと残念。
アッシュは最初そのあまりの頭の固さにちょっとイラッと来たけど、真実を直視し考えを改める実直さはいいよね。
フィジカの方は異世界人か未来人かと思ったけど半分正解半分ハズレかな。
それにしてもフィジカのピンチに颯爽と現れたアッシュが女装してたとは!
信仰を守る方法がそれかい!
台無しだよ!(笑)
うん、想像すると笑える。
あと、アッシュは女性に年齢を聞いちゃいけないなあ。
ラストは自業自得だよね(笑)