坂井豊貴のレビュー一覧
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ネタバレものすごく面白かった。ふだん、何気なく使っている多数決の本質について考えさせられた。
・最も一般的な決め方としては多数決があるが、なぜ多数決なのか。
特に選択肢が3つ以上ある場合は票の割れの影響を強く受ける。決選投票をつけるのか、1位は3点、2位は2点、というように配点式にするのか
・ネーダー、ゴア、ブッシュの三人が大統領選に出ていてこの順で支持する人の場合、多数決の仕組みではネーダーに入れても仕方ない。二大政党以外から出馬しているネーダーが勝つ見込みはないから。実際、ゴア陣営は票の割れを恐れてネーダーへの投票はブッシュに投票するようなものだ、と呼びかけていた。
すなわち、ネーダーが不在な -
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副題に「みんなの意見のまとめ方」を科学する-とあるように,本書は,人々の多様な考えの状況を如何に正確に捉え判断するかを解説した本です。
本書を読むまでもなく,単なる多数決は,民主的な方法とは言えません。しかも多数派が少数意見を全く無視したような多数決は「多数の横暴」とも言えます。さらに,3択や4択があるときの多数決は,死に票がたくさん出たり,本来のベターではない人が選ばれたりする可能性もあります。
本書は「決め方を変えると結果が変わる」ということを具体的に示してくれるています。「民意は選挙結果から分からない」ことも,教えてくれます。
この決め方が絶対正しいというのはないようですが,ボル -
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『多数決を疑う』おもしろかった。少数意見も尊重しようという話ではなく、多数決より優れた意見集約ルールを探る話。多数決は票割れで結果が変わるので、意見集約ルールとしては性能が悪いという。著者の結論は、ペア勝者弱基準もペア敗者基準も棄権防止性も満たすボルダルール(1位に3点、2位に2点、3位に1点と配点し合計点で競う)が良い。さらに単峰性を満たす、争点が明確な議題なら中位ルール(メジアン=中央値を採用する)が良い。読みやすくて社会選択理論の面白さが解った。
とはいえ、多数決をボルダルールに変える改善効果の大きさはよく解らなかった。真の民意は常に分からないのだから、どれだけ民意に近い結果になったか -
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物事を決める際に当たり前のように用いられる多数決。そこに潜む課題を素人にもわかりやすく解説した良書。中身は専門的だが一般教養として面白い。
・ブッシュとゴアの大統領選挙のように、1対1ならゴアが勝利していたはずが、ゴアに考えが近いネーダーの出現によりゴア票が割れ、結果的にブッシュが勝利した。多数決はペア敗者を選びうる(ペア敗者基準を満たさない)という課題。ペア敗者基準を満たすのが、1位に3点、2位に2点、3位に1点を付けるボルダルール。ただし、ボルダルールもペア勝者基準を満たさないことがある。
・ルソーの人民主権は、自分も含めた社会を構成する共同体が、人々の共存と相互尊重を志向する意思=一 -
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・タイトル通り、働く大人が社会の問題点を考えるときの土台を教えてくれる本でした。
多分学生時代に社会で習ったことも多くあると思いますが、ピンときていないから覚えていないんですよね。
同じことを学んでも社会に出て経験を重ねることによって「あれは、こういうことだったんだな」と理解出来ることが多くあると思います。
そういうことが学べる本です。
・「労働の義務」ではなく憲法27条「勤労の義務」(まじめに労働にいそしむ)
を定めているのは日本だけ。
勤労の義務は25条「すべての国民は文化的で最低限度の生活を営む権利を有する(生存権)」と結びついている。
勤労の義務を果たしていなければ、生存権は保障され -
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学校のクラスの話し合いをしていると、最終的な決定は、結局、多数決になる。そんな多数決する生徒たちを見ていて疑問だったのが、子どもたちが意外と数票差とかであっても、多数派の意見になることに対して抵抗感がないことだった。
かといって、ではその問題点をどれくらい自分がきちんと説明できるのか、多数決に変わる代案を出せるのか、と聞かれると答えることが難しい。そんな問題意識がから手に取ってみた本だ。
てっきり、「多数決を疑う」とあるから、多数決に代わる、何か画期的な意思決定の方法を見せてくれるのだと勝手に思っていたのだが、違った。この本は、多数決の限界を理解しつつ、それでもなお、「よりマシな多数決」のや -
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1章 ビジネスパーソンの「武器」としての経済学
■まとめ
・経済学は、暮らしの改善やビジネスの利益拡大に役立つ武器である。
・「学知というサイエンス」「現場への実装というエンジニアリング」こそ、経済学のビジネス活用の軸。
・「経済学にできること」のざっくりとしたイメージをもっておくことで、いざ必要になったときに、スムーズに適切な経済学者と出会える。
・「付加価値を上げる?コストを下げる?」などの問いに対して、経済学は第三の選択肢を提案しうる。
・これからの経済学にとって、ビジネスでの実用・政策提言・純粋な研究は、すべて大切な存在意義である。
・経済理論には、ビジネスの多様な現場に合わせたカスタ -
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副題にもある「社会的選択理論」というものを、本書で初めて知った。
人々の意思を集約するルール、方法を考える学問である由。
三つ以上の選択肢があるとき、多数決は必ずしも人々の意思を反映しない。
そこで、さまざまな方法が考えられ、いくつもの条件の下で強度が試されてきた。
有力な2つの選択肢に対し、第3の選択肢が表れて票が割れることで結果が変わってしまう。
このような不合理への頑健性を試す条件として「ペア勝者規準」「ペア弱者規準」などが考えられている。
ここだけでも、「ほほお」である。
スコアリング・ルール(選ぶ順位に応じ点数配分をして集計する)、ヤング・コンドルセの最尤法(複数選択肢からペアを -