坂井豊貴のレビュー一覧

  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    "民主制のもとで選挙が果たす重要性を考えれば、多数決を容易に採用するのは、思考停止というより、もはや文化的奇習の一種である。(p.6)"

     普段私たちが集団で何かを決めようとするとき、特に何も考えず「多数決」という方法をとるだろう。しかし、この「多数決」は手放しで信用できるものなのだろうか? 実は、多数決は完全からはまったく程遠い、いや程遠いどころかむしろ多くの欠陥を抱えた信用のならないルールなのである。
     最も理想的な意志集約の形は、もちろん「満場一致」であろう。全員が同意しているのだから、一番平和な解決だ。だが、現実には至るところに意見の対立が存在する。そこで、多数の

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    2022年09月10日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    まず多数決の限界を説き、ではそれに取って代われる集約ルールやメカニズムには何があるか?を単なる机上論に済ませず、現実的に考え抜いている書籍。
    多数決って微妙じゃない?
    投票制度って破綻してない?
    とぼんやりとした自分の思考を、スッキリしてくれたように思う。

    多数決は候補が1vs1の際にしか機能せず、それ以上となると「票の割れ」問題などが発生してしまう。ちなみに自分はボルダルールが一番分かりやすくて最適だと感じる。

    本書は社会契約論についても簡潔に纏められており、ルソーもいつか読んでみたいといった気持ちになった。
    ーー「自由なのは議員を選挙する間だけのことで、議員が選ばれるやいなや、イギリス

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    2022年05月13日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    一般常識として疑うことのない多数決を、これでもかというほど論理的に否定してくる。
    時に情熱的に語りかける文体に感嘆しつつ読んだ。
    私のごく少ない読書経験からだが、これは名著ではないだろうか。

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    2022年04月15日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    多数決な民主的な決め方だという説がまかり通っているが、この本は書題のとおり多数決のあやしさを論破していく内容(だと思われる)。悲しいかな、論が難しくて私は途中で理解不能になってしまった。でも、こういう世間で当たり前となってしまっていることをつくものであり、多数決が「民主的なもの」としてはあやしいことは明らか。
    ルソーの提唱した一般意志の考え方とかもわかりやすく解説されていた。ちょっと利口になれた。論の組み立て方も筆致も落ち着いていて良書のにおいがプンプンする。自分には哲学とか思想に関する体系的な知識とか知識をもとに考える能力が欠けているんだよなー。こういう本をちゃんと理解できるようになりたいな

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    2023年08月15日
  • メカニズムデザインで勝つ ミクロ経済学のビジネス活用

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    メカニズム・デザイン(あるいはマーケット・デザイン・マッチング、オークション理論、マッチング理論)のとっかかりとして最適な一冊。オークションの仕組みと実装に興味のある方々を対象にした「オークション・ラボ」コミュニティでのワークショップをテキスト化した内容。

    自分の運営しているBtoBサイトの本質は「良質なマッチング」にあるのだが、それを論理的に説明するための言語としてこれらの概念に触れておく必要を強く感じた。

    坂井さんの本(僕の本棚では#0406.坂井豊貴)をこれから読み深めてみようと思った。

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    2021年12月29日
  • メカニズムデザインで勝つ ミクロ経済学のビジネス活用

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    オークションはあくまでもツール。
    それをどう使うか、どう活かすかは人間次第。
    ボルダールールに代わるマジョリティジャッジメントを試してみたい。
    選挙という形の多数決が、強者の論理で変わらないのなら、草の根から多数決を見直す流れを作らなくちゃ。

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    2021年09月01日
  • 「決め方」の経済学

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    「決め方」、投票の制度次第で、結果が変わることを平易に解説した本。
    本書全編を通してなるほど、面白いと感じ、また社会的選択理論への興味が増した。
    ただ、制度によって結果が変わると主張しつつ、実際に制度変更の影響を受ける投票者へのアプローチがなかったのは残念、物足りなさを感じた。(本書、また研究の射程の範囲ではないのかもしれないが…)

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    2021年08月29日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    ネタバレ

    多数決制度だけでは民意を拾い上げたことにならない、多数決には欠陥がある。というのが大体の主な主張です。それに代わる意見集約の仕組みとして、ボルダルールとか、コンドルセルールなど、様々なやり方が提案されていました。
    そして、そもそも多数派の意見になぜ従わなくてはならないか、というところはルソーの一般意志の話が出てきました。簡単に言うと一般意志に基づいて社会は運営されるべき、多くの人が支持する意見が一般意志とみなされるという論理から、多数決が正当化されています。この本でも主張されていましたが、多くの人とは誰か?が重要な気がしました。選挙で当選したから、自分たちの意見が民意なんだというのは乱暴で、一

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    2021年08月11日
  • 暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない

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    暗号通貨の基本をわかりやすい例えを交えながら紹介来てくれている。初学者に大いに勧められる一冊。
    難しいことを簡潔に表現できるのは筆者の暗号通貨への理解の深さや表現者としての技法が存分に発揮されているところだろう。

    また、巻末の方に「とはいえ世の中はそんなに変わってないよ」と釘を刺しているのもニュートラルな姿勢があって良い。もっと早く読みたかった。

    億り人は江戸時代よりも重税 最大55%
    誰かが儲けてら税金として無条件に回収。一番儲かったのは国家(国民全体)かもね

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    ルソー、社会契約論 奴隷は鎖の中で全てを失ってしまう、そこから逃れたいと言う欲望までも

    国家は、国内には警察

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    2021年06月14日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    多数決は票割れに弱い。1位に1点、他は0点。
    ボルダルールは、1位に3点、2位に2点、1位に1点をつける。票割れには強い。ダウダールルールは、1位に1点、2位に1/2,3位に1/3・・とする。これらはスコアリングルール。ボルダルール以外は、ペア敗者基準を満たさない。
    持ち点を分散させる方法は、分散したほうが不利=多数決と同じになる。
    ボルダルールには、クローン問題がある。クローンを立候補させると、複数当選者がいる場合には操作が可能。
    是認投票も同じ。ただしクローン問題を考えなくてよい場合は、是認投票はいい方法といえる。

    ペアごとの多数決で勝つ選択肢をペア勝者という。ボルダルールはこれを満たせ

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    2021年02月28日
  • ミクロ経済学入門の入門

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    ネタバレ

    ミクロ経済学とゲーム理論はつながっている。
    市場の財を巡って、相手の選択と自身の選択を考え、より得するように考えるのがゲーム理論なのだろう。
    私自身が今までに知っていたミクロ経済学の知識の確認と、それを応用するゲーム理論との橋渡しになった。

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    2021年02月14日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    多数決の根拠と問題点を歴史的、数学的な立場から論述した本。
    その上で、日本の行政における民意を反映し行政として意思決定を下すプロセスの問題点を述べている。
    抽象的な書かれ方のところが多く難しかったので、もう少し症例に対する解説的なものが欲しくなった。

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    2021年01月30日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    ネタバレ

    多数決は万人のためのものである。陪審定理は正解率を高めていくため、自身の考えと陪審結果が異なる場合は、自身が間違えている。ルソーによると一般意志は、分割不能な集合体である人民の一般化された意志であるため、代表制とそぐわない。この時、人民の主権は立法を指す。共同体の個々の構成員は、法案が一般意志に適うかどうかを判断し、多数決においてそれは正しさを証明されるため、多数派に少数派が従う正当な根拠となる。多数決をする際には、個々の要素を整理し、論点を明示することで、より正当な多数決となる。

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    2021年01月24日
  • メカニズムデザインで勝つ ミクロ経済学のビジネス活用

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    オークションとマッチング理論の初歩的な入門書。実際に不動産等で活用している方と第一人者の研究者の共著なので入門書だがいろいろ細かなところまで行き届いている感じが好著。
    巻末に推奨図書が充実しているので、
    マーケットデザイン・メカニズムデザイン
    オークション理論
    マッチング理論
    などが気になる方はこの本から入るのはあり。

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    2020年10月24日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    坂井豊貴(1975年~)氏は、早大商学部卒、神戸大学経済学修士課程修了の経済学者。専門は社会的選択理論、マーケットデザイン、メカニズムデザイン。慶大経済学部教授。
    本書は、「多数決ほど、その機能を疑われないまま社会で使われ、しかも結果が重大な影響を及ぼす仕組みは、他になかなかない。とりわけ、議員や首長など代表を選出する選挙で多数決を使うのは、乱暴というより無謀ではないだろうか」と言う著者が、異なる多数の意思を一つに集約する様々な方法を分析する「社会的選択理論」について、具体的な数字を示しながら、わかりやすく解説したものである。
    「社会的選択」は、言うまでもなく、我々日本人にとっても、国会議員や

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    2020年08月06日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    物事を決める時によく使われる多数決だけど、実は多数の意見を反映するには別の集約ルールの方が適切と知り、目から鱗。
    小選挙区制の選挙ならボルダルールで集約した方がよいのでは?と思った。

    また、憲法改正の国民投票の可決ラインも、本書にある通り、過半数ではなく64%程度に引き上げれば良いのに、と思う。

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    2020年05月21日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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     著者はマーケットデザインを専門とする気鋭の若手経済学者。最近、不動産オークションを業とする会社のチーフエコノミストに就任したとのニュースに接し、興味を持ち購入(ただこの不動産オークション会社は前身会社がリーマンショック前に実質的に行き詰まっている。その時は単なる普通の民間オークションを不動産に適用しただけ、という感じだった。今回の著者の就任でビジネスモデルは大きく変わるのだろうか)。
     
     現在の民主主義で自明視されている「多数決」。民主主義の誤作動が指摘されることが多い昨今、著者は民主主義ではなくこの多数決に問題ありとする。民主主義の萌芽となったフランス革命前夜、ボルダとコンドルセが提示し

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    2020年11月19日
  • 暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない

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    暗号通貨(=仮想通貨)及びブロックチェーンの歴史と仕組みを初心者が知るには良い一冊。
    ただ一時期のバブルではなく将来的にも利用されそうな理由が書いてあります

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    2019年07月20日
  • ミクロ経済学入門の入門

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    数式を使わないでミクロ経済学の基本を教える。数式の代わりに図を使っている。図で説明されると、何となくわかった気になるから不思議(苦笑)。無差別曲線、予算額と最適化、需要曲線、供給曲線、市場均衡、外部性、独占と寡占、リスクと保険、公共財、再分配の各章。

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    2019年05月30日
  • 暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない

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    「ようやく通貨が国から解放されるときがきたんだ!!」ビットコインを初めて知ったとき、こんな感想を持ったのを覚えています。それからブロックチェーンの本をいくつか読んでいくうちに、どうやってこの技術を使っていくかのほうに興味が寄っていたけれど、最初の興奮を思い出させてくれました。
    多数決の理論とか、社会選択論の文脈で暗号通貨を見るという視点も、おもしろかった。

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    2019年04月21日