坂井豊貴のレビュー一覧
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"民主制のもとで選挙が果たす重要性を考えれば、多数決を容易に採用するのは、思考停止というより、もはや文化的奇習の一種である。(p.6)"
普段私たちが集団で何かを決めようとするとき、特に何も考えず「多数決」という方法をとるだろう。しかし、この「多数決」は手放しで信用できるものなのだろうか? 実は、多数決は完全からはまったく程遠い、いや程遠いどころかむしろ多くの欠陥を抱えた信用のならないルールなのである。
最も理想的な意志集約の形は、もちろん「満場一致」であろう。全員が同意しているのだから、一番平和な解決だ。だが、現実には至るところに意見の対立が存在する。そこで、多数の -
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まず多数決の限界を説き、ではそれに取って代われる集約ルールやメカニズムには何があるか?を単なる机上論に済ませず、現実的に考え抜いている書籍。
多数決って微妙じゃない?
投票制度って破綻してない?
とぼんやりとした自分の思考を、スッキリしてくれたように思う。
多数決は候補が1vs1の際にしか機能せず、それ以上となると「票の割れ」問題などが発生してしまう。ちなみに自分はボルダルールが一番分かりやすくて最適だと感じる。
本書は社会契約論についても簡潔に纏められており、ルソーもいつか読んでみたいといった気持ちになった。
ーー「自由なのは議員を選挙する間だけのことで、議員が選ばれるやいなや、イギリス -
Posted by ブクログ
多数決な民主的な決め方だという説がまかり通っているが、この本は書題のとおり多数決のあやしさを論破していく内容(だと思われる)。悲しいかな、論が難しくて私は途中で理解不能になってしまった。でも、こういう世間で当たり前となってしまっていることをつくものであり、多数決が「民主的なもの」としてはあやしいことは明らか。
ルソーの提唱した一般意志の考え方とかもわかりやすく解説されていた。ちょっと利口になれた。論の組み立て方も筆致も落ち着いていて良書のにおいがプンプンする。自分には哲学とか思想に関する体系的な知識とか知識をもとに考える能力が欠けているんだよなー。こういう本をちゃんと理解できるようになりたいな -
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ネタバレ多数決制度だけでは民意を拾い上げたことにならない、多数決には欠陥がある。というのが大体の主な主張です。それに代わる意見集約の仕組みとして、ボルダルールとか、コンドルセルールなど、様々なやり方が提案されていました。
そして、そもそも多数派の意見になぜ従わなくてはならないか、というところはルソーの一般意志の話が出てきました。簡単に言うと一般意志に基づいて社会は運営されるべき、多くの人が支持する意見が一般意志とみなされるという論理から、多数決が正当化されています。この本でも主張されていましたが、多くの人とは誰か?が重要な気がしました。選挙で当選したから、自分たちの意見が民意なんだというのは乱暴で、一 -
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暗号通貨の基本をわかりやすい例えを交えながら紹介来てくれている。初学者に大いに勧められる一冊。
難しいことを簡潔に表現できるのは筆者の暗号通貨への理解の深さや表現者としての技法が存分に発揮されているところだろう。
また、巻末の方に「とはいえ世の中はそんなに変わってないよ」と釘を刺しているのもニュートラルな姿勢があって良い。もっと早く読みたかった。
億り人は江戸時代よりも重税 最大55%
誰かが儲けてら税金として無条件に回収。一番儲かったのは国家(国民全体)かもね
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ルソー、社会契約論 奴隷は鎖の中で全てを失ってしまう、そこから逃れたいと言う欲望までも
国家は、国内には警察 -
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多数決は票割れに弱い。1位に1点、他は0点。
ボルダルールは、1位に3点、2位に2点、1位に1点をつける。票割れには強い。ダウダールルールは、1位に1点、2位に1/2,3位に1/3・・とする。これらはスコアリングルール。ボルダルール以外は、ペア敗者基準を満たさない。
持ち点を分散させる方法は、分散したほうが不利=多数決と同じになる。
ボルダルールには、クローン問題がある。クローンを立候補させると、複数当選者がいる場合には操作が可能。
是認投票も同じ。ただしクローン問題を考えなくてよい場合は、是認投票はいい方法といえる。
ペアごとの多数決で勝つ選択肢をペア勝者という。ボルダルールはこれを満たせ -
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坂井豊貴(1975年~)氏は、早大商学部卒、神戸大学経済学修士課程修了の経済学者。専門は社会的選択理論、マーケットデザイン、メカニズムデザイン。慶大経済学部教授。
本書は、「多数決ほど、その機能を疑われないまま社会で使われ、しかも結果が重大な影響を及ぼす仕組みは、他になかなかない。とりわけ、議員や首長など代表を選出する選挙で多数決を使うのは、乱暴というより無謀ではないだろうか」と言う著者が、異なる多数の意思を一つに集約する様々な方法を分析する「社会的選択理論」について、具体的な数字を示しながら、わかりやすく解説したものである。
「社会的選択」は、言うまでもなく、我々日本人にとっても、国会議員や -
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著者はマーケットデザインを専門とする気鋭の若手経済学者。最近、不動産オークションを業とする会社のチーフエコノミストに就任したとのニュースに接し、興味を持ち購入(ただこの不動産オークション会社は前身会社がリーマンショック前に実質的に行き詰まっている。その時は単なる普通の民間オークションを不動産に適用しただけ、という感じだった。今回の著者の就任でビジネスモデルは大きく変わるのだろうか)。
現在の民主主義で自明視されている「多数決」。民主主義の誤作動が指摘されることが多い昨今、著者は民主主義ではなくこの多数決に問題ありとする。民主主義の萌芽となったフランス革命前夜、ボルダとコンドルセが提示し