坂井豊貴のレビュー一覧

  • そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。

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    1章 ビジネスパーソンの「武器」としての経済学
    ■まとめ
    ・経済学は、暮らしの改善やビジネスの利益拡大に役立つ武器である。
    ・「学知というサイエンス」「現場への実装というエンジニアリング」こそ、経済学のビジネス活用の軸。
    ・「経済学にできること」のざっくりとしたイメージをもっておくことで、いざ必要になったときに、スムーズに適切な経済学者と出会える。
    ・「付加価値を上げる?コストを下げる?」などの問いに対して、経済学は第三の選択肢を提案しうる。
    ・これからの経済学にとって、ビジネスでの実用・政策提言・純粋な研究は、すべて大切な存在意義である。
    ・経済理論には、ビジネスの多様な現場に合わせたカスタマイズの可能なものも。「経済学×ビジネス」の素敵なマッチングで、ビジネスの新たな可能性が開ける。

    2章 オンライン上に新しい市場をつくる
    ■まとめ
    ・オンラインの販売サイトには市場設計の知見が有用。
    ・締め切り直前の応札合戦にはいくつか対処の方法があるが、状況に応じて丁寧に選ばねば失敗する。
    ・よいユーザー体験を与えるためには既存研究の精査が不可欠。
    ・「車輪の再発明」は費用と時間のムダ。学問というデータベースをフル活用すべし。
    ・科学と職人感覚は補い合うことが大事。

    3章 利益を最大化するツール「FSP-D」モデルの基礎知識
    ■まとめ
    ・情報化社会、デジタル革命が、既存ビジネスの衰退と新規ビジネスの勃興を引き起こしている。そのなかで「FSP‐D」モデルを用いたビジネス戦略を立てることが、今後の勝負の分かれ目になる。
    ・「F=無料」で提供することで、多くのユーザーを手っ取り早く獲得し、ユーザーが多ければ多いほど顧客満足度が高くなる「S=ソーシャル」の「ネットワーク効果」を活用できる。この戦略により適しているのは、増産コストがかからないデジタル消費財である。
    ・ソーシャルメディアの普及により、人々の消費行動は「口コミ」「シェア」がベースになっている。その効果を活用するのがもう1つの「S=ソーシャル」であるソーシャルメディア・マーケティングである。
    ・「P=価格差別」の中でも利益を最大化する仕組みは、ヘビー~ライトユーザーすべての需要を取り込む「多段階価格差別」である。
    ・「D=データ」の分析が、FSPすべての根本となる。

    4章 世界標準の学知に基づく新しい顧客関係管理
     実務では新規顧客キャンペーンや既存顧客キャンペーンとして別々に掛けるコストを決めて実施することがありますが、CRMの思考法は一気通貫です。つまり、
    ①新規顧客獲得においては、相応の営業や広告、販促コストを掛けてでも「利益をもたらす顧客」なら獲得し、コストに見合う利益をもたらさない顧客ならコストを掛けてまで獲得しないこと。さらに獲得時の営業や広告、販促といった各種手段にどれだけコストを配分するか決めること
    ②既存顧客維持においては、その顧客が他社に乗り換える可能性や自社顧客であり続ける場合の利益額を踏まえて離脱防止のための施策を打つ、あるいは打たないこと
    ③これらを利益の指標である顧客生涯価値(LTV:Life-Time Value) で統 一的に管理する、場合によっては全社の利益最大化の観点から新規顧客獲得と既存顧客維持にどのようにコストを配分するか、さらには営業、広告、販管のコスト(投資)の比率や総額そのものを決めること

     ここではその例の1つとして、4か国の携帯電話会社のデータを用いた有名な研究を取り上げましょう(Minら2016)。
     ここでは4半期ごとの新規加入者数と現在の顧客から離脱率を計算し、また販促費の変動と新規顧客数・維持された既存顧客数の関係から成立する式を導いて、1人の新規顧客獲得のコストと既存顧客維持コストを出しています(図)。
     結果として得られた知見のうちいくつかを紹介します。
    ①原則として既存顧客維持コストは安い(1新規顧客獲得のコストは1既存顧客維持コストの平均2~5倍)
    ②競合が増えると新規顧客獲得コストは増える。一方、競合が増えても顧客維持コストは変わらない
    ③顧客維持はリーダー(トップ企業)とフォロワー(2位以下)で変わらない
    ④リーダー企業の新規顧客コストは、その製品・サービスが普及すると大分下がる。その理由としては、新しい製品やサービスを後から利用するようになった顧客(有名なロジャースの分類でいう後期大衆)はリスク回避的であり、最大手を選ぶためだと思われる
     つまり革新的な製品やサービスは競合が増える前にどれだけ新規顧客を刈り取るかが重要であり、一方、もしあなたがフォロワー企業の立場なら、早期であればまだ新規顧客獲得が重要であるが、成熟期なら既存顧客維持が重要であることを示唆しています。

    ■顧客生涯価値の計算にはどんな情報が必要か?
     顧客あるいは顧客のタイプ(セグメント)ごと、場合によっては契約種別ごとに、
    ①離脱率の予測値を出す(ここが肝)
     顧客のタイプや契約形態、利用形態が同じような人"での過去の離脱率から計算
    ②月間あるいは年間の収益の予測をする
    “同じような人”での過去のデータや経済状況による変化などから計算
    ③コストの計算をする
     獲得コストと獲得確率、および獲得後の維持コストから計算
    が必要となります。
     獲得コストはBtoCであれば広告や新規顧客への値引きなど、BtoBであれば営業活動のコスト、コンペへの対応費用、初年度の契約の優遇による利益減少額などです。

     本来投資すべきは、新たな利益となる新規顧客と、まだまだ自社にもたらしてくれる利益に「伸び代」があるライト~ミドルの顧客です。
     一方、上顧客がロイヤル顧客であって「貴社だけから購入している」とすれば、追加で購入させることが難しいのは当然ですね。すでに伸び代いっぱいまで利益をもたらしてくれている上得意は、追加購買という、投資に対するリターンは低いと見なすべきなのです。
     上得意よりライト・ミドル層の顧客のほうが割引やポイントプログラムの効果が高いという結果は、非常に多くの研究で報告されています。
     例えば小売業のポイントプログラムについての有名な研究(Liu,2007)では、図のように、ポイントプログラム開始時点でヘビー・ミドル・ライトの3群に顧客を分けると、開始後の顧客の購買頻度や購入量はヘビーではほとんど増えず、一方ミドル・ライトで上昇していることが分かります。

    ■まとめ
    ・顧客は「自社に利益をもたらす存在」であり、「中長期的にどれくらいの利益をもたらしてくれるのか」(顧客生涯価値)で、その顧客に対する投資額(金銭的・時間的・人的)を決めるべきである。
    ・顧客生涯価値の計算に基づかないCRMシステムは何の役にも立たない。
    ・BBにおいても営業すべき先の選定などで顧客生涯価値の計算は重要。
    ・顧客生涯価値に基づく施策決定にあたっては顧客データがなくてもシミュレーションはできるが、精度を上げるにはデータ分析が必要。
    ・一律投資よりも、「高いリターンが見込める顧客に集中投資」のほうが、効率がいい。
    ・獲得したい新規顧客が、中長期的に投資額を上回るリターンをもたらしてくれるのなら、多額の初期投資をしてでも獲得すべき。
    ・原則として上得意の既存顧客に値引きなどの「金銭的なベネフィット」は愚であり、「特別扱い」を感じさせる「非金銭的なベネフィット」が効く。

    5章 会計とESG 価値観とルールの大きな変化をざっくりつかむ
    ■まとめ
    ・会計は企業の一つの全体像を写す 「カメラ」。
    ・会計への理解を深めることが、世の中や経済そのものの理解につながる。
    ・近年、金銭で価値を測りにくい要素で企業価値を測る動きが盛ん。 ESGはその代表例。
    ・ESG投資の流れが盛ん。企業はESG投資を受けられるように動く。
    ・ESGによって、企業に求められる価値、ビジネスで生み出すべき価値が大きく変化していくことは確実である。

    6章 ダメな会議はなぜダメで、どうすれば改善できるか
     結論をまとめると、独立した人々による目的の共有が、集団がうまく機能するための条件です。陪審定理以外の集団の意思決定に関する定理でも、大抵これと同様の結論になります。
     一例を挙げましょう。コンドルセは社会科学に数学を持ち込んだ開祖のような人です。彼が蒔いた種は20世紀になってから、まず経済学、続いて政治学や社会学で実りました。そこで近年得られた重要成果のひとつに、多様性定理があります。本当の名前はもう少し長くて「Diversity Trumps Ability Theorem」、直訳すると「多様性は能力に打ち勝つ定理」です。
     この定理は「さまざまな認知能力を使って解決する必要がある問題を解く際には、多様な人々の集団のほうが一人の高能力者よりも早く問題を解く」ことを示しています。
     人間の認知能力には広いバラエティがあります。私たち一人ひとりは、それぞれ得意なことが異なっている。「さまざまなメンバーが自分の能力を会議に持ち寄るとよい」というのが、多様性定理が会議の研究に教えることです。そして、この多様性定理においても、目的の共有と独立性は必要です。
     より砕いていうと、集団での意思決定においては、人々は同じ方向を向かねばならない。そのためには組織のミッションやビジョンを共有し、かつ利害も共有する必要があるでしょう。

     私なりの答えを申し上げます。1人と複数人のパフォーマンス比較では、ほぼすべての実験で、複数人のほうに軍配が上がります。そして、4人や5人から人数を増やしても、パフォーマンスはとくに上がるわけではなく、全体としては下がる傾向が強いです。
     では4人と5人とでは、どちらがよいのか。私は5人を推します。メンバーの間で意見が割れたとき、奇数なら賛否同数にならず、多数決で決定を下せるからです。5人だと各人の発言時間も確保できますし、各人が自分の存在感を感じられます。
     では3人と5人ではどちらがよいのか?はっきりした答えはありません。実験によっては、3人から人数を増やしても、集団のパフォーマンスは上がらなかったと結論付けるものもあります。
     あとは現場で判断ということになるのだと思います。それでも適切な参加者数は3人から5人程度と、範囲を絞れました。この知見は非常に便利です。

    ■まとめ
    ・会議では、みなで目的を共有することと、他の参加者に忖度しないことが決定的に大事。
    ・参加者が自由に発言しにくい空気をつくる者は、会議に入れないほうがよい。
    ・人数が増えるにつれ、多数のメリットが増えていくにせよ、増え方は減っていく。一方、人件費は人数と同じペースで増え続ける。
    ・「何となく」や「念のため」で会議の参加者を増やすのはダメ。
    ・集団は個人の総和ではない。人数を増やしたせいで、人々のやる気の総和は減りうる。

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    2023年10月21日
  • ミクロ経済学入門の入門

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    オーディオブック。図を多用しているため、オーディオで聴くには向かない本だったかも。前半くらいまでしか分からなかった。物理本で見ると分かりやすそう。再読したい。

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    2023年11月27日
  • そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。

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    経済的アカデミアと実業のコラボで日本を再生しようとする意気込みを強く感じることが出来る書。
    きっかけになり、様々なギャップを対話で埋めていく、創り出していくことの可能性を秘めている素晴らしい入口だと思う。

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    2022年12月21日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    副題にもある「社会的選択理論」というものを、本書で初めて知った。
    人々の意思を集約するルール、方法を考える学問である由。

    三つ以上の選択肢があるとき、多数決は必ずしも人々の意思を反映しない。
    そこで、さまざまな方法が考えられ、いくつもの条件の下で強度が試されてきた。
    有力な2つの選択肢に対し、第3の選択肢が表れて票が割れることで結果が変わってしまう。
    このような不合理への頑健性を試す条件として「ペア勝者規準」「ペア弱者規準」などが考えられている。
    ここだけでも、「ほほお」である。

    スコアリング・ルール(選ぶ順位に応じ点数配分をして集計する)、ヤング・コンドルセの最尤法(複数選択肢からペアを作り、ペアごとに多数決を取ったデータから選択肢の選ばれた順序を求める)などが紹介される。
    なるほど、方法も洗練されて行っているということか…と思う一方、ベースはボルダとか、コンドルセという18世紀の理論であることにも驚く。

    20世紀には「中位ルール」というものが発見される。
    これは段階的に並ぶ複数の選択肢に山形の順位づけができるとき、真ん中の選択肢を選ぶというものだそうで、票の割れにも、自らの意向を偽って投票して対立候補をつぶすような戦略的操作にも強いとのこと。
    政策を評価する投票などでは効果はあるようだ。
    自分などは、議員の選挙のイメージがつい出てしまうので、最初どういう活用ができるか、なかなかイメージがしづらかった。
    が、たしかに有権者に熟議により論点を評価する観点にある程度の共通認識があれば、よい方法なのだということが経験的にも理解できる。
    どちらかというと、職場での意思決定に活用できるのではないかという気がする。

    最後の章ではメカニズムデザイン(集約の制度設計)の話が取り上げられていた。
    公共財の使い方を自律・分権的に決められるよう、制度を作っていくという考え方のようだ。
    ここではクラークデザインを取り上げていた。
    近年研究が進んでいる分野だそうなので、また別の本で読む機会があればと思う。

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    2022年11月13日
  • そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。

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    類書をたくさん読んでいるのでちょっと物足りなかったけれど
    経済学とビジネス
    が結びつかない人を結びつけようとする意味では分かりやすい本だと思う

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    2022年09月11日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    "民主制のもとで選挙が果たす重要性を考えれば、多数決を容易に採用するのは、思考停止というより、もはや文化的奇習の一種である。(p.6)"

     普段私たちが集団で何かを決めようとするとき、特に何も考えず「多数決」という方法をとるだろう。しかし、この「多数決」は手放しで信用できるものなのだろうか? 実は、多数決は完全からはまったく程遠い、いや程遠いどころかむしろ多くの欠陥を抱えた信用のならないルールなのである。
     最も理想的な意志集約の形は、もちろん「満場一致」であろう。全員が同意しているのだから、一番平和な解決だ。だが、現実には至るところに意見の対立が存在する。そこで、多数の人間の意思をなんとかうまくひとつに集約するルール(=「意思集約ルール」)を考え出す必要に迫られる。
     多数決の長所は、仕組みが単純明快で理解しやすく、しかも集計が容易なところにあると思う。だが、そもそも多数決は必ずしも多数派の意見を実現するわけではない(!)。例えば、A, Bの2人が立候補している選挙を考えてみる。支持率はそれぞれ60%, 40%とすると、この2人に対して多数決を行えばAが勝つ。だが、ここに3人目の候補者Cが現れた。CはAと似た政策を掲げていたために、元々Aの支持者だったうち半分がCに流れてしまった。すると、支持率はA, B, Cで30%, 40%, 30%となって、多数決の結果Bが勝利することになった。こうして、多数派が支持しているはずのA(またはC)の政策が多数決で選ばれないという事態に陥る。(2000年に行われたアメリカ大統領選挙で同様の状況になったそうである。)つまり、多数決は、候補が3つ以上あるとき「票の割れ」に脆弱なのだ。また、多数決は有権者の判断のうち、「誰を一番に支持するか」という一部分しか表明できないという欠点もある。
     本書の副題にもある「社会的選択理論」とは、意思集約ルールが備えているべき性質を数学的に定式化する学問である。18世紀から様々な意思集約ルールが検討されてきたが、その一つが「ボルダルール」である。それは"例えば選択肢が三つだとしたら、1位には3点、2位には2点、3位には1点というように加点をして、その総和(ボルダ得点)で全体の順序をきめるやり方で(p.14)"、票割れの問題を解決している。本書では、他にもコンドルセ・ヤングの最尤法、決選投票付き多数決、繰り返し最下位消去ルールなどが紹介されている。
     そうなると、問題なのは、多数決より色々な点で優れた様々な意思集約ルールが提案されているにもかかわらず、社会でそれらがほとんど認知されていないということである。多数決で決まったことに、なぜ皆が従わなければならないか。それは、本来であれば多数決の意思集約ルールとしての妥当性からその正当性が保証されるはずだ。しかし実際には、多数決を用いることは多くの場合妥当とは言えない。このような民主主義の根幹に関わる事実は学校教育で教えてほしかったが、「多数決」という自分の固定観念に穴をあけてくれたその一点だけで、本書を読んだ価値があった。
     本書の後半では、民主主義に関するルソーの議論を参照しつつ、投票について考察を深めている。フランス革命の思想的土台を作ったルソーは、人民は一般意志に基づいた熟議的理性を働かせて投票しなければならず、その限りにおいて少数派が多数派の投票結果に従うのが正当になると述べた。ここで一般意志とは、"自己利益の追求に何が必要かをひとまず脇に置いて、自分を含む多様な人間がともに必要とするものは何かを探ろうとすること(p.76)"である。だが、これは現代の民主主義国家における実際の投票の姿とは異なるもののように僕には思える。それは、有権者たちは(少なくとも僕は)「公」の利益より「私」の利益を最大化してくれそうな候補者に投票しているからだ。そうであるならば、「少数派は多数派の投票になぜ従うべきか」という倫理的な問題は結局、依然として未解決のままなのだろう。一方で、ルソーの構想したような投票は実現がかなり困難そうだ。一般意志に従って投票する(あるいは、投票しようとする)集団があったとして、その中に一人、個人の利益のために投票する人がいれば、彼は僅かかもしれないが他の人より得をするはずだからだ(従って、ルソーの構想した投票を実現しようとするなら、「裏切り者」の得が得ではないような仕組みを作らなければならないだろう)。
     民主主義と切っても切れない「投票」というものが、かなり根本的なところで未完成であることがよく分かった。

    1 多数決からの脱却
    2 代替案を絞り込む
    3 正しい判断は可能か
    4 可能性の境界へ
    5 民主的ルートの強化
    読書案内

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    2022年09月10日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    まず多数決の限界を説き、ではそれに取って代われる集約ルールやメカニズムには何があるか?を単なる机上論に済ませず、現実的に考え抜いている書籍。
    多数決って微妙じゃない?
    投票制度って破綻してない?
    とぼんやりとした自分の思考を、スッキリしてくれたように思う。

    多数決は候補が1vs1の際にしか機能せず、それ以上となると「票の割れ」問題などが発生してしまう。ちなみに自分はボルダルールが一番分かりやすくて最適だと感じる。

    本書は社会契約論についても簡潔に纏められており、ルソーもいつか読んでみたいといった気持ちになった。
    ーー「自由なのは議員を選挙する間だけのことで、議員が選ばれるやいなや、イギリス人民は奴隷となり、無に帰してしまう」(ルソー/『社会契約論』)
    小平市の都道328号線問題はまさにこれ。

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    2022年05月13日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    一般常識として疑うことのない多数決を、これでもかというほど論理的に否定してくる。
    時に情熱的に語りかける文体に感嘆しつつ読んだ。
    私のごく少ない読書経験からだが、これは名著ではないだろうか。

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    2022年04月15日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    多数決な民主的な決め方だという説がまかり通っているが、この本は書題のとおり多数決のあやしさを論破していく内容(だと思われる)。悲しいかな、論が難しくて私は途中で理解不能になってしまった。でも、こういう世間で当たり前となってしまっていることをつくものであり、多数決が「民主的なもの」としてはあやしいことは明らか。
    ルソーの提唱した一般意志の考え方とかもわかりやすく解説されていた。ちょっと利口になれた。論の組み立て方も筆致も落ち着いていて良書のにおいがプンプンする。自分には哲学とか思想に関する体系的な知識とか知識をもとに考える能力が欠けているんだよなー。こういう本をちゃんと理解できるようになりたいなー。

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    2023年08月15日
  • メカニズムデザインで勝つ ミクロ経済学のビジネス活用

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    メカニズム・デザイン(あるいはマーケット・デザイン・マッチング、オークション理論、マッチング理論)のとっかかりとして最適な一冊。オークションの仕組みと実装に興味のある方々を対象にした「オークション・ラボ」コミュニティでのワークショップをテキスト化した内容。

    自分の運営しているBtoBサイトの本質は「良質なマッチング」にあるのだが、それを論理的に説明するための言語としてこれらの概念に触れておく必要を強く感じた。

    坂井さんの本(僕の本棚では#0406.坂井豊貴)をこれから読み深めてみようと思った。

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    2021年12月29日
  • メカニズムデザインで勝つ ミクロ経済学のビジネス活用

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    ネタバレ

    オークションはあくまでもツール。
    それをどう使うか、どう活かすかは人間次第。
    ボルダールールに代わるマジョリティジャッジメントを試してみたい。
    選挙という形の多数決が、強者の論理で変わらないのなら、草の根から多数決を見直す流れを作らなくちゃ。

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    2021年09月01日
  • 「決め方」の経済学

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    「決め方」、投票の制度次第で、結果が変わることを平易に解説した本。
    本書全編を通してなるほど、面白いと感じ、また社会的選択理論への興味が増した。
    ただ、制度によって結果が変わると主張しつつ、実際に制度変更の影響を受ける投票者へのアプローチがなかったのは残念、物足りなさを感じた。(本書、また研究の射程の範囲ではないのかもしれないが…)

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    2021年08月29日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    ネタバレ

    多数決制度だけでは民意を拾い上げたことにならない、多数決には欠陥がある。というのが大体の主な主張です。それに代わる意見集約の仕組みとして、ボルダルールとか、コンドルセルールなど、様々なやり方が提案されていました。
    そして、そもそも多数派の意見になぜ従わなくてはならないか、というところはルソーの一般意志の話が出てきました。簡単に言うと一般意志に基づいて社会は運営されるべき、多くの人が支持する意見が一般意志とみなされるという論理から、多数決が正当化されています。この本でも主張されていましたが、多くの人とは誰か?が重要な気がしました。選挙で当選したから、自分たちの意見が民意なんだというのは乱暴で、一般意志にそっていくよう不断に確認する振る舞いが求められます。この辺りのルソーの話はもう少し勉強しないとな、と思いました。

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    2021年08月11日
  • 暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない

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    暗号通貨の基本をわかりやすい例えを交えながら紹介来てくれている。初学者に大いに勧められる一冊。
    難しいことを簡潔に表現できるのは筆者の暗号通貨への理解の深さや表現者としての技法が存分に発揮されているところだろう。

    また、巻末の方に「とはいえ世の中はそんなに変わってないよ」と釘を刺しているのもニュートラルな姿勢があって良い。もっと早く読みたかった。

    億り人は江戸時代よりも重税 最大55%
    誰かが儲けてら税金として無条件に回収。一番儲かったのは国家(国民全体)かもね

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    ルソー、社会契約論 奴隷は鎖の中で全てを失ってしまう、そこから逃れたいと言う欲望までも

    国家は、国内には警察を持ち、国外には軍隊を持っている。物理的に最強だから、法律を通用させられる。そんな国家が決済サービスと結びつくと、気に食わないものをお金の利用から締め出されてしまう。


    通貨の本質は「交換の媒体」
    今日使おうとする通貨は明日も使えるものであること、明後日も使えるものであること、以下循環

    国家が発行する通貨も将来にわたり交換の媒体たりうるという信頼がなければ価格はつかない

    国家→一定の領土を治め、暴力を集中管理 内部は警察外部は軍隊

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    2021年06月14日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    多数決は票割れに弱い。1位に1点、他は0点。
    ボルダルールは、1位に3点、2位に2点、1位に1点をつける。票割れには強い。ダウダールルールは、1位に1点、2位に1/2,3位に1/3・・とする。これらはスコアリングルール。ボルダルール以外は、ペア敗者基準を満たさない。
    持ち点を分散させる方法は、分散したほうが不利=多数決と同じになる。
    ボルダルールには、クローン問題がある。クローンを立候補させると、複数当選者がいる場合には操作が可能。
    是認投票も同じ。ただしクローン問題を考えなくてよい場合は、是認投票はいい方法といえる。

    ペアごとの多数決で勝つ選択肢をペア勝者という。ボルダルールはこれを満たせないことが、コンドルセの批判。
    パリには、ボルダ通りとコンドルセ通りがある。

    コンドルセの2者に分けて判断する方法では、サイクルのパラドックスが発生する可能性がある。その中で、正しい可能性が低いペアを棄却すれば、決められる=コンドルセの方法。最尤法を使う。

    マルケヴィッチの反例によれば、多数決、ボルダルール、コンドルセ・ヤングの最尤法、決選投票付き多数決、繰り返し最下位消去ルール、のどれでもバラバラな結論になる。

    ペア敗者基準とペア勝者基準は、票の割れ煮対する頑健性の基準。ペア勝者基準は、ペア勝者が一位になるべき、と考える。ペア敗者基準は、ペア敗者が1位にならなければよい、と考える。ペア敗者基準のほうが満たしやすい。ペア勝者基準は、厳しいので、ペア敗者が最下位にならなければよい、と弱める。
    その結果、ボルダルールと、コンドルセヤングの最尤法が有力。実際には、最尤法は納得感を持ちにくい。

    棄権のパラドックス=棄権したほうがそのことで自分に有利に働かせられること。コンドルセ・ヤングの最尤法は棄権防止性を持たない可能性がるが、ボルダルールは棄権防止性を持つ=棄権したら損になる。
    サッカーの勝ち点は、スコアリングルールの一種。小選挙区制の国会議員などは、これのほうがよい。

    陪審定理=陪審員の数が増えるほど、正しい結論に近づく。対数の法則の応用。扇動するものがいないという前提。平均してコイントスより正しい判断ができて、判断の独立性が高いことが前提。
    ルソーの社会契約論にある、一般意志に従うこと。

    多数派の横暴を防ぐには、憲法による抑制、複数の機関を通す、ハードルを過半数より高くする、ボルダルールを採用する。
    代表制と直接民主制では、結論が違う結果になる場合がある=オルソロゴルスキーのパラドックス。

    多数決の難点=新たな選択肢ができると票割れが起きて、別の選択肢が勝つ可能性がある。=単峰性が成り立たない場合。
    中位ルール=真ん中の意見を選ぶルール。票割れは怒らない。単峰性がある場合は、正直は最善の策。棄権のパラドックスも生じない。

    アローの不可能性定理=二項独立性を満たす集約ルールは存在しない。二項独立性と、満場一致性を満たすルールは独裁制のみである。

    2大政党制では、政策が中位選択肢に向かわせる。

    現行の憲法改正条項は、小選挙区制では硬性性が弱い。過半数の有権者が望めば、小選挙区制では2/3を確保できる。

    現行の行政権の強さは、民主的ではない現状を現実化している。都道328号線問題。一般の人がおかしいとかんじても、現実には阻止できない。行政機関は国民に由来する正統性を持っているか。行政が権限を持つ利便性と相克する。
    メカニズムデザイン=公共事業などの正しい執行のための仕組み、制度設計のこと。クラークメカニズムなど。
    周波数オークションなどに応用。先進国で導入していないのは日本だけ。

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    2021年02月28日
  • ミクロ経済学入門の入門

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    ミクロ経済学とゲーム理論はつながっている。
    市場の財を巡って、相手の選択と自身の選択を考え、より得するように考えるのがゲーム理論なのだろう。
    私自身が今までに知っていたミクロ経済学の知識の確認と、それを応用するゲーム理論との橋渡しになった。

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    2021年02月14日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    多数決の根拠と問題点を歴史的、数学的な立場から論述した本。
    その上で、日本の行政における民意を反映し行政として意思決定を下すプロセスの問題点を述べている。
    抽象的な書かれ方のところが多く難しかったので、もう少し症例に対する解説的なものが欲しくなった。

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    2021年01月30日
  • 多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

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    ネタバレ

    多数決は万人のためのものである。陪審定理は正解率を高めていくため、自身の考えと陪審結果が異なる場合は、自身が間違えている。ルソーによると一般意志は、分割不能な集合体である人民の一般化された意志であるため、代表制とそぐわない。この時、人民の主権は立法を指す。共同体の個々の構成員は、法案が一般意志に適うかどうかを判断し、多数決においてそれは正しさを証明されるため、多数派に少数派が従う正当な根拠となる。多数決をする際には、個々の要素を整理し、論点を明示することで、より正当な多数決となる。

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    2021年01月24日
  • メカニズムデザインで勝つ ミクロ経済学のビジネス活用

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    オークションとマッチング理論の初歩的な入門書。実際に不動産等で活用している方と第一人者の研究者の共著なので入門書だがいろいろ細かなところまで行き届いている感じが好著。
    巻末に推奨図書が充実しているので、
    マーケットデザイン・メカニズムデザイン
    オークション理論
    マッチング理論
    などが気になる方はこの本から入るのはあり。

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    2020年10月24日
  • 暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない

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    暗号通貨(=仮想通貨)及びブロックチェーンの歴史と仕組みを初心者が知るには良い一冊。
    ただ一時期のバブルではなく将来的にも利用されそうな理由が書いてあります

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    2019年07月20日