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Posted by ブクログ
タイトルを見て手に取った人は多少なりとも多数決という仕組みが不完全であることには気づいていると思うが,本書は多数決が不完全であることからスタートして,では完全な投票システムとはどのようなものかを数学の知識がない人にもわかるように解説してくれている。
後半多少難解な部分もあるけれど,読み飛ばしたとしても十分ためになる内容。
民主主義を支える投票というシステムが、現実には全然民意を反映できない仕組みになっていることを啓発する一冊。
われわれ日本人が幼少の頃より平等な決定方法と刷り込まれてきた多数決があまりにおおきな欠陥を抱えているということはなかなか意識されないところ。この本のような内容を、簡略でもいいから学校でぜひ教えるべきだと思う。
民主主義国家を名乗る上で絶対に国民全員が知っておくべき内容だろう。
Posted by ブクログ
多数決という制度について、数学的な視点、社会学的な視点から幅広くレビューしている。それぞれ決して難しくなく、数学オンチも歴史オンチも、引き込まれる事必須。
多数決は簡単で、また私達の生活に溶け込んでいるため、正しいと思いがちである。しかし重大な、複数の問題を抱えており、より良い手法は(重視したいルールに応じてそれぞれ)存在する。
しかしながら、より民意を反映させる別の方法を採用すれば、手間や時間といった他の事項が犠牲となる。ともすれば、今の方法が間違いと結論づける事も出来ないだろう。著者が最後に言うように、限定的に、場面毎に最適なルールを採択できればよい。
反論したいのは、市民は最善の選択を出来ないのでは、という点。専門性が高いほど、将来、広範囲な視点を含めた判断は難しくなる。執行する者が市民の理解を得ようとする事は必須だが、安易に全体での選択とすべきだろうか。執行者はある程度の権限を持つべきと考える。当然ながら、市民は反対する権利を持ち、それに応じて棄却される制度もあってしかるべきとは思う。
Posted by ブクログ
『多数決を疑う』おもしろかった。少数意見も尊重しましょうという話では全然無く、多数決より優れた意見集約ルールを探る話。多数決は票割れで結果が変わるので、意見集約ルールとしては性能が悪いという。著者の結論は、ペア勝者弱基準もペア敗者基準も棄権防止性も満たすボルダルール(1位に3点、2位に2点、3位に1点と配点し合計点で競う)が良い。さらに単峰性を満たす、争点が明確な議題なら中位ルール(メジアン=中央値を採用する)が良い。読みやすくて社会選択理論の面白さが解った。
とはいえ、多数決をボルダルールに変える改善効果の大きさはよく解らなかった。真の民意は常に分からないのだから、どれだけ民意に近い結果になったか評価できないのでは。多数決の偉大なメリットであるシンプルさを捨てるほどの価値があるのだろうか。選択結果そのものより、意見集約プロセスの納得感という効果を取るということか?
ルソーの一般意思の概念が、少数派が多数派に従うべき根拠となる点は興味深かった。でも一般意思を考えない今日では根拠にはならないか。著者のweb記事で、ボルダルールは満場一致に最も近いから優れているという本書には書かれていない説明があった。いいかも。納得感を根拠にするのは有力そう。
終盤に、うちの近所でもある小平市都道328号線問題で住民投票が開票されなかった事例が出てきて、そこだけは少数意見も尊重しましょうという変な話になりかけて危なかった。特殊利益的な公共サービスは行政機関だけで決めるのでなく、メカニズムデザインで市場的に決めるという意見集約ルールについてはなるほど。
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